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第14話 邂逅、雨の日にて……

 一週間後、カナセは病院を無事、退院した。折れた肋骨が肺に穴を開けたまでの大怪我のわりに退院が早かったのは、クレアの適切な応急処置の賜物だった。

 もし最初の処置をしくじっていれば退院は半年ほど先伸びになっていたはずだ。

 リエル薬局に帰ってからもカナセは身動きが取れずに居た。

 理由は療養と三日前から降り続ける長雨のせいだった。

「暇だなぁ……」

 店の中に置かれた客のテーブル席に座りながらカナセは外の景色を眺めていた。

 雨のせいで今日も店内に客の姿は見えない。居るのは店番をしているカナセと目の前の揺り籠の中で眠る赤ん坊だけだった。

 そして雨脚は弱まる気配もなく、外界の空は陰気な雲で覆い尽くされている。

 姉妹は店に不在だった。ミリアは村の小学校に、クレアは村人のロゼッタというばあさんの所にリウマチの薬の配達している最中だった。

 カナセはぼんやりしながら目の前の揺り籠を揺らしていた。

 中の赤ん坊は大人しく眠ったままだ。

「あ~あ……な~んも考え無しに寝てやがる。まあ赤ん坊だから当然か……」

 赤ん坊は近所の若夫婦の息子だった。用事で二人揃って外出せねばならなくなった為、今朝方ここに預けに来たのだ。

 そして店番の傍ら配達前のクレアにベビーシッターを言いつけられた。

「頼むからクレアが返って来るまで起きないでおくれ……」

 祈る様にカナセはつぶやく。

 正直、子守りの経験など一切なかった。赤ん坊に触れる機会がそもそも無かったのだから当然だ。お陰で赤ん坊がいつ泣き出すか、その事実に内心ビクビクしていた。

 クレアが外出する前に一度だけこの子を抱かされた。

 まるでガラス細工を渡された様な危うさにカナセは慄いた。

「もし抱いている子を床に落としでもしたら……」

 そう考えただけで背筋が震えあがったほどだ。

 カナセが抱いていたのは子供の体だけではない。命を守るという責任の重さも一緒に抱き抱えていたのだ。

 時が過ぎる中、緊張の糸が張りつめる。

 小さな命相手にこんな苦戦を強いられるのは予想外だった。

 暫くして店の扉が開いた。

「いらっしゃい!」

 不安を紛らわそうと飲み屋の店員の様な威勢の良い声を上げる。

 しかし店に入って来たのは客ではない。学校から帰って来たミリアだった。

「ああ良かった、ミリアか……」

 ミリアの顔を見た途端、心臓まで揺さぶられる様な安堵感に震える。

 これで子守りから解放されるかと思うとミリアの姿が天使の様にさえ思えた。

 だが思わず声を張り上げてしまった事が災いした。

「ふええ~」

 店の中で赤ん坊の泣き声が響き渡る。カナセの声に赤ん坊が驚いて目を覚ますとそのまま泣き出してしまったのだ。

「うわぁあ! しまった!」

 泣く子と地頭には敵わない。泣き止まぬ赤ん坊にカナセが焦燥する。

「ミリア、頼む?」

 カナセは今しがた帰って来たばかりの年下の少女に助けを求めた。女の子なら赤ん坊のあやし方を知っているとの目論見だ。

「え? 何を頼まれるんですか?」

 だがカナセの願いをミリアは冷然と跳ね除ける。

「この子をあやして上げてくれ。赤ん坊の扱いなんて全然、知らないんだ」

「多分、おしめかお腹が空いてるか寂しいかの三択です。ですからまずは一個づつ試してみて下さい」

「いや、だからさぁ……」

 カナセは何としても赤ん坊とその面倒事をミリアに押し付けたかった。

 しかしそれ位の浅知恵はとっくの昔にミリアはお見通しだ。

 ミリアは脱いだ雨具を干しながらカナセに言う。

「私は今、帰って来たばかりで手が離せないんです。カナセさんお願いします。それに赤ちゃんを触るならウガイと手洗いを済ませなきゃ」

「そこを何とか……」

「しゃべっている暇があったら手を動かして! 赤ちゃんが可哀そうでしょ!」

 ミリアの強い口調にカナセは身を怯ませる。

 こんな時に垣間見せる押しの強さは本当に姉妹揃ってそっくりだ。

 仕方なく、カナセは泣き止まない赤ん坊をおっかなびっくり抱き上げると、まずオシメを確かめてみた。

 オシメは濡れてないし臭いも漏れていない。泣いている原因は外にある様だ。

 次に確かめようとしてのはお腹が空いているのかどうかだ。だが判ったところでカナセは赤ん坊のミルクの上げ方を知らない。

「これは流石にミリアに任せちまおう……」

 あとは寂しさを紛らわすためにあやす位しかない。

「よーし、よし……」

 カナセはやさしく抱きしめると赤ん坊の背中あたりをやさしく撫でてみせた。しかし赤ん坊は泣き止むどころか赤の他人に抱かれているのを嫌がって体をくねらせて抵抗する。

「うぎゃ……」

 赤ん坊の蹴りがカナセのくっついたばかりの肋骨に当たった。痛みに耐えかねて赤ん坊を手放しそうになる。しかしここはどんなに痛くとも耐えねばならない。

 責任を背負わされた者の辛い所だ。

「ええっと……こんな時はどうすりゃいいんだ?」

 カナセが子供のあやし方に思い悩む。

 だがそんな時に頭に浮かんだのは師匠の顔だった。師匠は赤ん坊の頃の自分をあやす為よく子守唄を歌ってくれた。

「あーよしよし……ねんねんころり、ねんころり~♪ 坊やいい子だねんねんこ~♪」

 カナセが節を付けながら歌い出す。

 しかしカナセの子守歌を聞いた途端、こちらに戻って来たミリアがおかしそうに笑った。

「何です? そのねんねんころりって」

「ええ? ころりって、子守り歌だよ」

「そんな歌、初めて聞きました」

「そうかい? それよりも、もう降参だよ。ミリア、頼む。さっき折れたアバラを蹴られて死にそうなんだ」

「判りました、この子をこっちに渡してください」

 ミリアが救いの手を差し伸べるとカナセは一目散に赤ん坊を手渡しした。

 そして蹴られたばかりの脇腹を撫で回す。

「痛ててて……」

「よ~しよし、いい子、いい子。ね~んね~♪ ね~んね~♪ ね~んね~こね~♪ ね~んねこ坊やはやさしい子~♪」

 赤ん坊を抱き上げたミリアがカナセの代わりに歌い出した。

 少女が歌う子守歌を聞いた瞬間、赤ん坊が泣き止み、ミリアの胸元に顔をうずめた。

「それがヨシュアの子守歌かい?」

 歌を聞きながらカナセが訊ねる。

「そうですね。私もこれを聞いて育ちましたから。お母さんやお姉ちゃんが歌ってくれたのを覚えています」

 暫くして赤ん坊は再び眠りについた。

 ミリアはゆっくりと揺り籠の中に赤ん坊を降ろし毛布を掛けた。

「カナセさん、お姉ちゃんはいつ頃、帰って来るか聞いてます?」

 赤ん坊を寝かし終えたミリアが訊ねてくる。

「ロゼッタ婆さん家にリユマチの薬を届けるだけだって言ってたからそんなに遅くはならないと思うけどな」

「そうですか」

「しっかりしているよね、ミリアは」

 カナセが不意に感心するとミリアは不思議そうな顔をする。

「どうしてですか?」

「だってここの店番をしっかりこなしてるじゃないか。薬の名前なんかも全部覚えてるんだろ?」

「ただの慣れです」

 ミリアはカナセからの誉め言葉にも落ち着いて答えた。そのせいで彼女は見た目よりも随分と大人びいて見える。

「カナセさん……少し聞いて良いですか?」

 今度はミリアが聞きいて来た。

「何? 俺の事?」

「お姉ちゃんの事です」

「それなら聞くまでも無いさ。君のお姉ちゃんとは相思相愛の間柄で……」

「そんなデタラメを聞きたいんじゃありません!」

 ミリアはカナセの冗談をぴしゃりと止めた。

「じゃあ、なに? お姉ちゃんの事なら直接、本人に聞けばいいじゃないか」

「それが聞けないから困ってるんです……」

 そういってミリアは溜息を吐いった。どうも思っていた以上に真面目な話の様だ。

「けど、俺なんかが聞いて役に立つかなぁ?……」

「聞いてく下さるだけでも結構です」

 どうもミリアにとって愚痴を聞いてもらえる相手が欲しい様だ。

「それ位なら……」

 ミリアの言葉にカナセは身を乗り出す。

 役に立つかどうかは聞き終えた後に考えれば良い。

「それで聞きたい事って?」

「お姉ちゃんの仕事は知っていますよね」

「知ってるさ。この薬局の店長さんで販売の他に薬の調合もして、それを町の付き合いのある薬屋さんや病院にも卸してるんだろ?」

「本当にそれだけでしょうか?」

「それだけって、薬屋さん以外に副業でもあるって事かい?」

「はい、お姉ちゃん、裏で違う仕事をしている様に思えてならないのです」

「裏で違う仕事ねぇ~。歓楽街でオジサン相手にお酌してるとか?」

「いいえ、お姉ちゃんの性格からして、それはあり得ません」

「じゃあ、なに?」

「多分、戦争に関係した事だと思うんです。例えば自分も戦っているとか……」

 そうミリアが答えると、ふたりの会話は途切れ店の中が静まり返る。

 聞えて来るのは外からの雨音だけだ。

「ふ~ん……そうなんだ……」

 沈黙の後、ややあってカナカナセはつぶやく。その言い方はどこか気の抜けた様な、惚けた口調だった。

 しかし喉の奥は緊張でからからだった。吞気に「ふ~ん……」などと言っていられる気分ではない。

「クレアのバカ! 妹にはもうバレてるじゃないか!」

 カナセは心の奥で叫んだ。同時にミリアの慧眼に震え上がった。

 確かにクレアは戦争に参加し戦っていた。しかも飛び交う銃弾の雨の中を箒で飛び回っているのだ。だがその事実を妹には秘密にしており、カナセ自身もクレアから強く口止めされていた。

 無論、ミリアに心配掛まいとする姉の配慮なのだが、それに妹は勘付いて居たのだ。

 彼女を年下と侮ってはならない。

 だがここは何としても誤魔化さなければ。

「ミリアはお姉ちゃんが、もし……戦争で戦ってるとしたらどう思う」

「嫌です! 死なれても怪我をされても困ります! 本当にそうなら今すぐにでも辞めさせます! 私、お姉ちゃんに死なれるのが一番、怖いんです!」

 そう答えたミリアからは強い意思が垣間見えた。

「そりゃそうだよな。妹なら、家族なら当然だよな」

 流石にここまで言われればカナセも従う他ない。

 しかしここで敢えて探りを入れてみる。

「けどそれってミリアの想像だろ? 思い違いって事もあるじゃん」

「そうでしょうか?」

「なら何かお姉ちゃんが戦争に関わってるって思う根拠でもあるの?」

「お姉ちゃんが帰って来ない日が変に長い事です。幾ら、得意先に回るからって薬の配達なんかで何日も家を留守にするなんてあり得ますか?」

 確かに不自然だ。そんな長距離配達、お姉ちゃんは淡海の向こうの遠い異国にまで薬を届けに行っているのか、と言いたくなる。

「それにお姉ちゃんが留守の時、偶に軍人さんが店に来ることがあるんです。魔煌士組合のクレア・リエルは居ないかって」

「それで?」

「居ないと答えるとそのまま帰るか書類の入った大きな茶封筒を置いて帰るんです。こちらが要件を聞いても何も答えてくれません」

「それは単に軍がお姉ちゃんに発注を掛けに来ただけだろ? お姉ちゃん、軍にも薬を卸してるんなら、その注文書か領収書のどっちかさ」

「じゃあ、最初からそう言えば良いし、注文なら電話でも良いはずです」

「まあ、軍事機密って奴じゃない? 軍隊のやり方はくわしく知らないけど……」

「それに変なのはそれだけじゃありません」

「えっ、まだあるの?!」

 カナセは思わず声を上げた。その声を聞いた瞬間、赤ん坊がぐずつき出す。

 たがぐずつきはすぐに収まり赤ん坊はまた眠りに付いた。

「ええと、何だっけ?」

 気を取り直してカナセが聞き返す。だが正直、もう聞きたい気分ではない。

「偶にすごく重い郵便物が届く事があるんです。試しに宛先を調べてみたら武器店でした。それでお姉ちゃんが家を空ける日の前夜にこっそりカバンの中を開けてみたんです。何が入ってたと思います?」

「何? 想像もつかないよ……」

「手りゅう弾って爆弾です。大きさだって野球ボール位のものから鉄の塊みたいに重い奴まで……」

 それを聞いてカナセは心の中で大きく溜息を吐く。

「こりゃ駄目だ。完全にミリアにバレてるな」

 ここにもしクレアが居たらその脇の甘さを徹底的に問い詰めてやりたい気分だ。

 しかしカナセは気持ちを落ち着かせるとミリアに言った。

「それを何で姉に言って直接、確かめないんだい?」

「本当はそうしたい所なんですが……」

「二人っきりの姉妹なんだ。今更、遠慮なんて要らないだろ?」

 そうカナセが確かめるとミリアは黙り込む。

 成程、カナセはミリアが何に悩んでいるのか理解した。

 ミリアは姉が戦争に行っている事に気付いている。無論、妹の気持ちとしては姉にはこれ以上戦ってほしくない。

 しかしその事を姉に言い出せない。言えば姉はきっと苦しむ事になるからだ。

だから今までは知らぬふりをしてやり過ごして来た。

 しかし黙っているのも限界だ。もしかしたら今度の出撃で姉は死ぬかもしれないのだ。

「だがら俺に相談して来たって訳か……」

 もしかしたら姉を問い詰める時に手助けしてほしい。そこまで考えているのかもしれない。そう思うとカナセはミリアが不憫で成らない。

 カナセは考えた。姉妹にとって何が一番、正しい選択なのか。

 やはり一番良いのはミリアの手助けをし、クレアに直接、自分の秘密を打ち明けさせる事だ。そして両者、納得の上で戦場から遠ざけさせる。

 それにクレアが戦場に出る事にはカナセ自身も思うところがあった。

 好きな女の子に戦ってほしくない。彼女の身を案ずるならば当然だ。

 しかしクレアの意思はそんなこちらの気持ちを跳ね返すはずだ。

 それほどまでに彼女が持つこのヨシュアに対する思いは強い。

 だが一方でそれは姉にとっても辛い決断だ。自分の身を案じてくれている妹も気持ちを踏みにじる事になるからだ。

 真面目で優しいクレアはその事できっと苦しむはずだ。

「だがそれを乗り越えて、クレアにはミリアにちゃんと話す義務がある」

 カナセは心を決めた。姉妹の事を本当に思うなら自分はミリアの味方になるべきなのだ。

「判ったよ、ミリア……俺が時を見計らってお姉ちゃんに聞いてみる。そしてクレアの口から君に話させるよ。その時は俺はミリアの味方だ」

「味方?」

「俺もミリアと一緒にお姉ちゃんを引き留めるって意味で味方さ」

「でもそんな事したらカナセさん、お姉ちゃんに嫌われるかも……」

「大丈夫さ。最初に言ったろ? 俺とお姉ちゃんは相思相愛なんだ。それ位の事で関係にひびが入る事なんてありえない。それに俺だってクレアには安全な場所に居て貰いたいと思うよ」

 それを聞いてミリアが大きな溜息を吐いた。

 それは重い荷物から解放された後に出る安堵の溜息だった。

「よろしくおねがいします……」

 ミリアが頭を下げる。

「ああ、二人でお姉ちゃんを説得しよう。頑張って言い聞かせればお姉ちゃんだって判ってくれるさ」

 そう言ってカナセはクレアを励ましてみせた。

 とはいうものの、クレアを説得出来る補償なんてどこにも無い。

 クレアがそれでも妹の気持ちを跳ね除けた後、自分はどんな決断を下せば良いのか……。

 カナセはまだその答えが出せてない。

 暫くして再び店の扉が開いた。

 雨音の向こうから人影が飛び込んでくる。

「ただいまー。もう、本当に何処も彼処も雨、雨、雨で嫌になっちゃう」

「おかえりー」

「お帰りなさい」

 店主の帰還に二人が声を揃える。

「ミリアも帰ってたのね。何か変わった事は?」

「別に。カナセさんの子守歌が変だっただけかな」

「なにそれ? そんなに音痴だったの?」

 そう言って笑う姉の前でカナセは言い返す。

「あの美声を音痴とは失礼な。ここで一曲歌ってやろうか?」

「遠慮します。それよりミリア、紅茶を煎れて頂戴。うんと甘くしてね。外に出たから寒くて仕方ないわ」

「うん、判った」

 姉の注文に応えようと妹はカウンターから離れ何食わぬ顔でキッチンに向かった。

 結局、ミリアもカナセも今は自分の気持ちを直接、姉にぶつける事は無い。

 誰もが口を噤んででも一時の平和を欲していた。

 血を分けた二人暮らしの姉妹でもおいそれと触れられない問題がある。

 カナセはその息苦しさに眩暈を覚えた。


 一時間ほど経って、今度は店の中に顔馴染みが飛び込んできた。

「クレアはいるかい!」

 村の機械屋のスルタンだった。

「いらっしゃい、スルタンさん」

「悪いけど今日は買い物じゃない」

「あらそう、じゃあ何の御用かしら?」

「親父から電話があって、今すぐコニーベイにまで来てくれって」

「コニーベイ?」

 コニーベイとは村の南にある大きな貯水池だ。村の周囲を網の目の様に走る水路はやがてあそこに集約される。

 同時にコニーベイと言えば排水ポンプのある排水場の事も差す。

「確かおじさんて今年の水利委員ですよね。何かあったの?」

「行けば判る。出来れば若旦那も一緒に、ってか絶対連れて来てほしい」

「俺も?」

 カナセとクレアは顔を見合わせる。だが二人が必要という事は魔煌絡みのトラブルが起こった事くらい想像がつく。

「判りました。今すぐ用意します」

二人はレインコートを着こむとスルタンの用意した幌付きの小型トラックに乗った。

 車を運転しながらスルタンは事情を話す。

「コニーベイの排水場なんだが、あそこがこの長雨で盛り越しそうなんだ」

「盛り越しそうって、そんなに悪いの?」

「ああ、このまま何も手を打たなければ時間の問題だって。溢れた水が流入すれば村も田畑も水浸しになる」

「排水ポンプの状況は?」

「それが……全機が息切れ寸前でね。ほとんどがコアの使い過ぎが原因だ」

「フル稼働で無理が祟ったって訳ね……」

「機械の修理なら対応出来るんだがコアの不調はこっちではお手上げた」

「そこで俺達が呼ばれたって訳か」

「トラスニークの水利組合本部には連絡したの?」

「あっちはあっちで手いっぱいだってさ。水路の満水はカーニャだけじゃないから出来るだけそっちで対応してくれって」

 やがてトラックはコニーベイの貯水池の要である排水場に到着した。

 カナセはまるでサツマイモの様な形をした大きな貯水池を眺める。

 長雨の中、茶色く濁った水が今にも盛り越しそうだ。

「こりゃ大変だ。もう水面ギリギリじゃないか……」

「カナセ君、早く!」

「ああ判った! 今、行く」

 カナセは貯水池を後にすると隣接する排水場へと入っていった。

 排水場は四台の大型排水ポンプを収めた石造りの建物で、村を囲む水路の水を州が管理する土手の上の大型水路へと汲み上げる役目を負っている。

 土手の上の大型水路とはカナセが淡海に出るときに使うあの水路の事だ。更にその大型水路の水が大河川に汲み上げられ淡海へと排水される。

 それは海面より低地の干拓地を維持する為の必須の水位調整システムだった。

 なぜなら常時、淡海からの水が染みこむ干拓地は、排水ポンプを稼働し続けなければやがて水没する。それは海より低い土地の宿命であり、長雨や集中豪雨による洪水は悪魔からの死の鉄槌と言って良かった。

 貯水池は長雨の中、既に満水に近い状態になっていた。最悪、溜まった水が大量に盛り越せば田畑と村を飲み込んで低地の干拓地全体に大水害をもたらす。

「それどころか、皆、逃げ場を失って溺れ死ぬかもしれないわ!」

 状況を聞いてクレアも気が気でない。

 排水場の入り口ではスルタンの父親であるこの地域の水利委員のハラスマが出迎えてくれた。

「よく来てくれたね、クレア。それに旦那さんも病み上がりに申し訳ない」

「いや、気にしないでくれ。今は村の大事の時だ。幾らでも協力させてもらうよ」

 ハラマスの言葉をカナセが自然に受け答えする。

 だがそれを聞いてクレアは少なからずショックを受ける。

 どうも村の中の認識では自分とカナセが夫婦という間柄で定着しているらしい。

「あとできちんと説明しなきゃ……」

 二人は早速、排水ポンプの前に連れて行かれた。

 排水ポンプは大小で二種類二台づつ並べられていた。どれもが場内を横切る巨大な排水管と連結されており大型のコアモーターによって稼働する。

 だがその全てが悪い状態に陥っており既定の能力を大幅に落としていた。

 カナセが四台ある内の一番、動きの悪い排水ポンプの前に立った。

 排水ポンプは一号ポンプと呼ばれる排水場内で最大級の一つで、出力400煌力、排管の呼び径1200ミリ、毎秒12立法メートルの水を吐き出す能力を有する。はずなのだが現状の水量に全く勢いがない。

「こりゃ酷い、コアが息切れしてる。止めて予備と交換した方がいい」

 調査を終えたカナセが現状を率直に答えた。

 それを聞いてハラマスが苦い表情を浮かべる。

「それは無理だ。予備の28番コアは戦時供出で政府に持って行かれて手元には一つも残ってないんだ」

「そんな、一つもだって?! 嘘だろ?」

 カナセは思わず声を上げた。戦争に勝つ事も大事だろうが、その為に日々の生活が脅かされては何の意味も無いはずだ。

「カナセ君……言いたい事は判るわ。でも今はこちらに集中して」

 クレアが取り乱すカナセの気持ちを落ち着かせる。

「ああ、判ってるよ…今は水位を何とかしなきゃな。スルタン、排水ポンプ用じゃなくてもいい。大き目のコアがいくつか欲しい。何とか集められないか?」

「集めてどうするんだ?」

「ポンプを変形させて、集めて来たコアを外部から一時的に接続する。その間、28番を休ませて回復を待つ」

「そんな事が可能なのか、若旦那? コアとコアモーターの間には接続の為に強力な呪詛が掛けられていて番数が違うと拒絶反応を起こすはずだ。機械屋の常識だぜ」

「普通はな。だがそこは俺のモーフィングマギアを使って調整していく」

 実際、カナセはこの方法を使って海底に沈んでいた漁船を一時的に生き返らせ、マギアギアに変形させたのだ。

 だがカナセの意見にスルタンが戸惑う。

「おいおい、簡単に言うなよ。もし失敗したら両方に負荷が掛かって排水ポンプもろともドカンだ」

「だが、このまま放って置けばコアの方が先に耐え切れなくなって粉微塵に砕け散る」

「けどよ……親父、どうする?」

「ふむ……」

 スルタンとハラマスの親子が顔を顰める。しかしそこへクレアが割って入った。

「大丈夫よ、スルタンさん。彼の腕は私が保証します。信じて上げて下さい。それに私も今の状況を何とか出来るのはそのやり方だけだと思います」

 クレアがカナセの肩を持つ。すると親子は暫くして顔を上げた。

「判った。君達の事を信じよう」

「ならちょっと待って居てくれ、店に廃車から取り出したコアが幾つかあるはずだ」

「だったら私も行こう。村の一大事だ。知り合いにも掛け合ってみれば何件かはデカいのを供出してくれるはずだ。それと風車の方の排水ポンプの具合も確かめにゃならん。古い物だが緊急用で取って置いたものを稼働させているんだ」

「私も行きます。今からこの辺りに住んでる知り合いの魔女に当たってみるわ」

「頼むよ。俺はここに居てコアの具合を見張ってる。あと、出来るなら大型トラックを一台持ってきてくれ。大型ポンプに変形させて水をくみ上げてみる。夜通しぶん回せば少しは役に立つはずだ」

「なら出来るだけ大型が良いな。判った、持って来るよ」

 三人は手分けして排水場を出ると、施設内はカナセ一人となった。

「よし、やってやるか。最近、良いトコ無しだったからな」

 カナセは建物の中で一番、調子の悪い一号ポンプに手を翳した。

 しかし今もコアは調子を落としたままで、その能力も半分以下にまで落としている。

「取り合えず、皆が帰って来る前に準備だ。予備が来てすぐに使える様に呪詛を緩めておかないとな」

 そんな時、一号と同型の二号ポンプの向こうにあった三号ポンプが突然停止した。

 三号ポンプは150煌力、二種類の内、四号と共に小型の部類で一番古い型の物だ。

「嘘ッ! マジかよ!」

 カナセにとってそれは予想外の出来事だった。三号ポンプは古くともコアの疲労はそれほどでも無かったはずだ。なのに何の前触れもなく停止した。

「コアが原因じゃない。じゃあ、機械的なトラブルか?」

 コアから取り出された煌気を物理的な回転力に変えるコアモーターの部分が故障したのかもしれない。

「何にしても直さねぇと!」

 カナセは一号から離れ三号ポンプに向かい掌を当てた。

「俺の力を上手く使えば……」

 魔煌技の詠唱を終えた後、カナセは三号ポンプを支配下に置き内部を調べてみた。

「マギ・モーターのコイルが焼き切れてる……」

 さて原因が判れは後は修理だ。カナセはそのままモーフィング・マギナを継続させる。モーフィング・マギナには変形に際して光の被膜同様、二次的な特性があった。それは変形の経過の中で機械の故障個所を自動で修理するという特性だ。

 カナセはその特性を利用しポンプを修理しようとしていた。

 そして変形途中に修理が完了させ、また元のポンプへ形を戻せば焼き切れたコイルを巻き直す手間は無い。

「だが、あんまり時間は掛けてられないな……」

 今はこの三号ポンプが停まったままの状態だ。

 それは水路の水が堤防を盛り越すのを速めてしまう事を意味する。

 しかし目の前の状況は更に悪化していった。残っていた二号と四号の排水ポンプも立て続けに停止してしまったのだ。

「おい、ちょっとタンマ! 誰が止まって良いって言った!」

 思わぬ緊急事態にカナセの全身から血の気が引いていく。機械への負荷はカナセの予想を遥かに超えていた。

 そしてその一瞬に沸き起こった焦りがコイルの修理にまで悪影響をもたらした。

 変形途中の三号ポンプに繋がれた800ミリ管のつなぎ目から水が噴き出したのだ。

 恐らく魔煌技の僅かな失敗が呼び水となって管内の水圧を上昇させると、古いパイプの接合部から漏れ出したのだ。

 漏水はまるで消防団の放水の様な凄まじい流水となってカナセに襲い掛かった。

「うぎゃあ!」

 水流に負けたカナセが数mの距離を一瞬で吹き飛ばされた。

 しかし襲ってきたのは水だけではなかった。

 配管をつなぎ留めていたボルトの一本が水圧で外れ、カナセに向かって飛んできたのだ。

 弾丸を喰らった様な衝撃が病み上がりの肋骨を直撃した。

「!!」

 天地が裂けんばかりに痛みに声も出ない。

 代わりに体をずぶぬれにしながら床の上をのたうち回る。

「うう……」

 苦しさの余りうめき声を上げるので精一杯だ。まるで胸板は穴が開いたように痛む。

 そして残っていた一号ポンプも負荷に負け遂に停止した。

 もはや村を守る術は完全に失った。水位はこのまま上昇し堤防を盛り越すに違いない。

「み、水を……」

 カナセは村を救おうと奮起する。

 脇腹が信じられない位に痛い。その痛みに気持ちが負けそうだ。

 それでも今の状況を何とか出来るのは自分しかいないのだ。

 しかし傷付いた自分の力だけでは目の前の惨事をどうする事も出来ない。

 カナセの中で絶望がよぎる。

 だがその時、ポンプ室の片隅で声が聞こえた。

「どうしたんだい、そんなにずぶぬれになって? もしかして水泳でもしてたのかな?」

 カナセが必死に顔を上げると止まった一号ポンプの上に座っている人影が見えた。

 居たのは白銀の髪と燃える様な赤い瞳をした美少年だった。

「お困りかい? 困っているのなら助けてやってもいいんだよ」

 村が未曽有の危機の中にも関わらず少年は涼し気な笑みを浮かべていた。

 少年はカナセの知らない顔だった。かといってカナセはまだカーニャの村に来て日も浅い。村人全員の顔を知っている訳でもなかった。

「だ、誰だ?」

「通りすがりの美少年」

 息も絶え絶えにカナセが尋ねると少年は冗談っぽく答えた。

 その返答にカナセは自分が馬鹿にされている様に思えた。

 しかし今は胸の痛みで怒る気力もない。それよりも止まったままの排水ポンプを何とかするのが先決だった。

「用が無いのなら……帰れ……。俺は……今、忙しいんだ……」

 カナセはおぼつかない足取りで立ち上がると肋骨を押さえながら水浸しの床を歩き始めた。そして継ぎ目から水を吐き出し続ける三号ポンプの前に辿り着く。

 カナセは手をかざして呪文を再詠唱しようとした。

「ああ、勇ましきかな闘神マルケルスよ……」

「出でよ、我が守護神!」

 だがそこへ別の詠唱が割って入った。カナセが驚いて詠唱の方を向く。すぐ隣にあの白髪の美少年が立っていた。

 少年は軽く呪文のさわりだけを詠唱し終えるとポンプの漏水は一瞬で止まり、後は正常に稼働し続けた。

「治っただと?……」

 その光景にカナセは息を飲む。

「はははは……」

 少年は笑いながら今度は隣で止まったままの一号ポンプと二号ポンプに立て続けに飛び移ると、同じ様に呪文を唱えた。

 やはり止まったポンプは嘘の様に復旧していく。

「こいつ、魔煌士だ……それもポンプを呪文の詠唱無しであっという間に直しやがった」

 カナセは苦しそうにつぶやく。

 そして自分よりも遥かに優秀な魔煌士である事に違いない。

 少年は最後に残った四号ポンプも何の苦も無く元通りに直して見せた。コアの状況を確かめても正常に煌気を放出している。

 まるで奇跡の様な光景だった。カナセはただそれを茫然と眺める他なかった。

「ざっとこんな物さ」

 少年は得意げに言う。その立ち振る舞いはまさに魔法使いかおとぎ話の妖精の様だ。

 そしてポケットから小さな小瓶を取り出すとカナセに投げつけた。

「応急手当用の薬だ。飲んでおくと良いよ」

 カナセは小瓶を受け取ると中の薬を無理やり飲み干した。

 肋骨の痛みが瞬く間に引いていく。

「せっかく、君のピンチを救ったんだ。礼ぐらいしてくれたっていいんじゃないか?」

「あ、済まなかった。恩に着る……」

 カナセは痛みの消えた肋骨を抑えながら慌てて体裁を取り繕った。

「しかし、どうやって……」

「まあ高等魔煌技である事は確かだね。けど勉強すれば出来ない事も無いよ。その気があるのならエリザベス・アムンヘルムの著作を読み漁るといい」

「エリザベス・アムン……誰だそれ?」

「魔煌士の癖に知らないのかい? ロータスの魔女と呼ばれた偉大なる魔女さ。ところで君、マルケルス神技ってのは珍しいね。誰から学んだんだい?」

「師匠からだ」

「ふ~ん、師匠か……。さぞ高名な方なのだろうね」

「いいや訳の判らない田舎の魔法使いさ」

「名前を教えてくれるか?」

「タタラ・ヘンジ」

「タタラ・ヘンジか? ……そうか、覚えておこう。じゃあ楽しかったよ。暇つぶし位にはなった」

 そう言うと少年はここから立ち去ろうとした。

「待ってくれ!」

 カナセは少年を慌てて呼び止めた。

「俺の名はカナセ・コウヤ! あんたは?」

「最初に行っただろ? 通りすがりの美少年だって」

 そう言い残して少年は危機を脱した排水場から消え去った。

 カナセはその後姿を追い掛ける。

 だが外に出ても少年の姿は既になく雨模様の貯水池の景色だけが映るばかりだった。


 暫くするとクレアが排水場に戻って来た。

「どうしたのこれ! びしょ濡れじゃない!」 

 クレアは最初に水浸しの排水場を見て驚きの声を上げる。

「いや、ちょっと色々あって……」

「なに誤魔化そうとしてるの?」

「誤魔化してるわけじゃないさ。説明が色々と面倒臭くてさ……」

「でも排水ポンプはどれも正常に動いてる……これってカナセ君がやったの?」

「それなんだけど……」

 どうもカナセの言い方は歯切れが悪い。

 そんな時、カナセが肋骨を服の上から押さえているのに気付いた。

「ちょっと待ってて。もしかして肋骨の傷がぶり返したの?」

 クレアが痛み止めの薬を取り出しカナセに飲ませようとする。

「いや、痛み止めの薬はいい。もう飲んだんだ」

「飲んだって。カナセ君、薬なんて持ってたっけ?」

「それより、さっき肋骨の傷が開いたかもしれない……そっちを見てくれ」

 クレアはカナセを検診した。

 カナセは検診を受けながらここで出会った通りすがりの美少年と名乗る魔煌士に救われた事を話した。

「凄い人……そんな高度な魔煌技を使える人が居たなんて……」

「だよね。俺もびっくらこいたよ」

「どこの誰だが判らないの?」

「こっちが聞きたい位だよ。それに最後まで名乗らなかったし」

「残念ね、会って話がしたかったわ」

「またスカウトするのか?」

「出来る事ならね……何か容姿に特徴は無かった?」

「年は俺と同じか下みたいだった。なかなかの男前だったよ」

「それじゃ判らないでしょ」

「髪の毛が真っ白だった……。いや、違うな。あれって銀髪っていうのかな?」

「銀髪ですって?」

 銀髪という言葉にクレアが触診中の手を止めた。

「それと俺とよく似た赤い目かな……何だ? 知り合いに居るのか?」

「いいえ、そうじゃないけど……」

 クレアはカナセの言葉を否定する。クレアが知っている銀髪の魔煌士は独りしかいない。

「でもあり得ないわ。あの男がこんな所に居るなんて……」

 だがカナセから語られる特徴を聞けば聞くほど知っている男の容姿と重なっていくのだ。

「まさかね……」

「それで肋骨の方は?」

「ええ、骨は大丈夫。あざがあるくらいよ」

「そうか、よっぽどいい薬だったんだな……」

「良かったわね、大事にならなくて。その銀髪さんに感謝ね」

 クレアはカナセの前で笑顔を浮かべた。

 しかし心の中ではその銀髪の魔導士の事が引っかかって仕方がない。

「あの男が村を助ける理由なんて何も無いわ。その逆はあっても……。そうよ人違いよ」

 だが最後にはそう言って自分自身を納得させた。

 

 その後、スルタン父子も集めて来たコアを持って到着した。

 しかし四機の排水ポンプは運ばれてきたコアを使うまでも無く全てが正常に作動しカーニャの村は救われた。

 その頃、淡海の小さな船着き場から一隻のボートが離れると全速力でヨシュアの支配地域から脱出していった。

 ボートの搭乗席には二つの人影が見える。操縦席には赤髪の美少女、リサ・マキーナが乗り、その後ろにはあの銀髪の美少年が乗っていた。

 少年はリサから銀の獅子仮面を受け取るとそれを被ってみせた。

 少年の正体はグレン・ハルバルトだった。

 彼は最も優秀な部下でもあるリサを追い払った男に興味が湧いて、単身カーニャに潜入したのだ。

「それで、如何でした? 例の少年は?」

「まあ、……悪くはなかったよ」

 だがその言い方には何か引っかかる物がある。 

「何かご不満でも?」

「才能はある。だが、まだまだ甘いな。あの程度では我々の敵にはならないさ」

「そうでしょうか?」

「何か思うところがあるのか?」

「ご自身とお比べになれば誰でもその程度の評価になるのではと思うのです」

「誉めてくれてるのかい?」

「事実を分析したまでです」

「私はそれほど自信家ではないさ。自分が他人より特別に秀でているとは思わないよ。所でリサ、少し話は変わるが頼まれ事を請け負ってくれないか?」

「頼まれ事? 何でしょう」

「ある人物を調べてほしい」

「人探しですか? 誰でしょう?」

「タタラ・ヘンジ。あの少年の師匠らしい人物だ。彼はマルケルス神技の使い手だった。それだけが引っかかる」

 その思いも依らぬ依頼を前にリサはグレンの顔を見入った。

 横に座る美少年は髪の色と同じ獅子仮面の下で遠くを見詰めている。

 その下で彼は笑って居る様に思えた。

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