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災難

 次の日、僕はギルドへ行く前に泊まっている宿の中庭で神聖結界の確認をしていた。


 ステータスをさっき確認したが魔道具で鑑定した時と全く同じだ。

 自己強化結界なんて発動した覚えがないな。どうなってるんだ?


 ・自己強化結界

 結界術が上級結界術へと成長したため自動的に発動。一時間で消費魔力は1。消費する魔力を増減させることで身体能力の強化率を自由に変更可能。ただし、強化率の上限はスキルレベルに依存する。


 この急に出てくるのもなんだか慣れてきたな。それにしてもいつの間に結界術を獲得してしかも上級結界術に成長させたんだ?

 確か結界系スキルの習得熟練速度に補正が入っていたがここまですぐに成長するのか?それとも僕だけか?


 その後も疑問に思ったことを確認していく。その中でも特に気になったのが


 いつレベルが上がったんだ?魔物を殺した覚えはないんだが。

 もしかして結界内に魔物がいたのか?それだとなんでその事が分からなかったんだ?

 結界に魔物の探知を付与しなかったからか?だとすると少しだけ融通が聞かないな。

 それにしても神聖結界で魔物を殺す場合どんなふうに死ぬんだ?


 ・神聖結界

 全てを聖なる結界で包み込みどんなものであろうと安らぎを与え浄化する


 つまり、魔物達に苦痛を与えずに殺したってことか…それは良くない。非常に良くない。

 結界が浄化するときに魔物にだけ苦痛を与える効果を付与するとどうなる。


 ・浄化時に苦痛付与

 1分間の消費魔力2


 なら問題ないな。魔物達に安らぎなんて与えない。次からは付与して苦しめてから殺してやる。

 だが、そうすると魔力が足りなくならないか心配だな…魔力の吸収とかはできないのか?


 ・浄化時に苦痛・魔力吸収付与

 1分間の消費魔力4


 魔物がいれば永遠に使えるがいなかった場合は魔力を無駄に消費してしまうな。

 結界の範囲の比率を変えればどうなる?


 ・半径十メートルにした場合

 1分間の消費魔力0.1

 ・半径1キロメートルにした場合

 1分間の消費魔力10


 なるほど、比率は同じになるんだな。上手く使えばより多くの魔物を殺せる。


 そのまま神聖結界を使って出来ることを確認しているうちに昼が来てしまったので、ギルドには午後から行くことにした。


 ギルド


 ギルドの中に僕が入るとざわめきが一瞬だけ止まり、全員がこっちを見た。

 何だ?今日は特に何もしてないはずだが。まぁ、それよりもまずは金だ。

 これでまとまった金が手に入る。


 周りからの視線を気にせず受付嬢のリアリスのところに向かう。受付嬢は慌ただしく仕事をしていたが、リアリスの前だけは空いていた。


 他の受付嬢のところには人が並んでいるのになんでリアリスところに誰も並んでいないんだ?まぁ、空いてるならそれでいいか。


「リーバァさん。ようこそお越しくださいました。」

「…どうしたんですか?敬語なんか使って。」

「依頼の達成報酬と薬草を鑑定した代金を受け取りに来たということで間違いありませんか?」

「間違いありませんかって。はい、そうです。」


 さっきからどうしたんだろうか?


「それでは依頼の達成内容をお伝えします。リーバァさんが納められた薬草は全てで126個。そのためギルドへの貢献度が一気に溜まりE級へと昇格になります。D級以上は魔物に対する戦闘力が必要になるので昇格の試験を受ける場合は受付まできてください。」


 よし!階級が一気に二つ上がったぞ。これで魔物の討伐依頼が出来る。


「それで、今回の依頼達成報酬と換金した金額の合計が金貨386枚銀貨3枚銅貨6枚になります。」


 流石にこれは予想外だ。さっき見られたのはこれが原因か。もしかして敬語になってるのって緊張してるからか?

 それにしてもこの金額は大きすぎる。


「えっと…何かの間違いでは?」


 僕の言葉にリアリスは大きく取り乱す。


「も、申し訳ございません!当ギルドには予算がなく今出せる金額としてはそれが最高です。」


 ん?もしかして増額を要求したと思われたのか?


「いきなりの大金で多すぎるんじゃないかと思っただけですよ。査定に問題がないならこの額で構いません。」


 リアリスがホッとしたような表情をする。増額を要求するとでも思われていたのだろうか。

 だとしたら心外だ。


「それでは、依頼達成報酬をお受け取りください。」


 大金が詰まった布袋とE級の証であるプレートが渡される。このプレートはG級だとすぐに死んで無駄になることが多いからF級以上でないと渡せない規則になっていたそうだ。


 これで、終わって帰れる。受け取ろうとし、手を伸ばすと、


「ちょっと待てよ!そんなガキがいきなりE級になった上にそんな大金を受け取るなんておかしいだろ!お前達もそう思うだろ!?」

「そうだぜ!何か不正をしたに決まってる!」

「おいおい、だとしたらここは先輩冒険者としてきっちり指導しないとな!?」


 近くのテーブルで酒を飲んでいた三人組の冒険者に絡まれた。しかも、ギルド内にいる他の冒険者達も僕に疑惑の念を込めた視線を向けてくる。

 まさか、こいつら…この僕が不正したとでも思っているのか?


「何だ?折角の初依頼達成にケチをつけるつもりか?」

「あ!?テメェが本当にそうだったら俺は何も言わないぜ。だがなー、不正したってんならそういう訳にはいかねぇ。」

「そうだ!冒険者には冒険者のルールがある。それにはしっかりと従ってもらわないとな?」

「そういうわけでよ、受け取った金を全部置いて家に帰んな!そうしたら、ボコボコにしないでやるからよ!」

「不正だと?昨日この僕が依頼の品を納めたところを見てないのか?」

「見たに決まってんだろ!その上でテメェが不正をしてるって言ってんだよ!」


 ダメだ…コイツらに話が通じそうにない。しかも、他の冒険者の連中は傍観するつもりらしい。

 リアリスも突然の事態に驚いて動くことすら出来ないようだ。

 …仕方ない、これは避けることが出来なかった事態だとして潰すとしよう。


「今回の依頼で何も不正をしていないと僕は胸を張って言える。だが、それでも納得しないって言うなら僕にも考えがある。」

「ほう?その考えってのを言ってみろよ。」

「僕もボコボコにされるのは嫌だからね。だから、かわりに半殺しにしてやるよ。」


 冒険者達に言い放った時、無意識のうちに僕の口は大きな弧を描いていた。



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