悪夢と始まり
「ウワァァァァァァ!」
大きな声を上げて僕は目を覚ました。自分の周りを見渡すとそこにはどこまでも続く白い空間が広がっていた。
一体ここはどこなんだ?どうして僕はここにいるんだ?
目を覚ますと知らない空間にいたことで混乱していた。すると、僕の前に一人の女性が現れた。
僕はその女性を見て驚いた。僕の前に現れたのは姉さんだった。
ありえない!だって姉さんは魔物に殺されて…でも僕が見間違えるはずがない!
「姉さん!生きてたの!?」
「………………………………」
姉さんは何も答えない。何も喋ろうとしない。それでも構わずに続けた。
「僕は姉さんが死んだんだとばかり思って…でも、生きていてくれて本当に嬉しいよ!ここがどこかは分からないけど出口を探して早く出よう!そしたら、そのあとはどこか安全な場所で一緒に暮らそうよ!」
僕のその言葉に
「………………………」
姉さんは何も答えない。どうして何も喋ろうとしないのだろう?
「姉さん?どうしたの?どうしてさっきから何も喋ろうとしないの?体の調子が悪いの?」
僕の問いかけに
「………………………」
姉さんは何も言わない。
「姉さん、どうして何も言ってくれないの?何か喋ってよ!」
「………………どうして…」
「え?」
「どうして助けてくれなかったの?」
そういうと姉さんは僕の両肩を掴んできた。
「痛っ!姉さん痛いよ。一体どうしたの?」
かなり強い力で掴まれた僕は姉さんを引き剥がそうとし、姉さんを見ると、僕の目には身体中傷だらけで血塗れになっている姉さんが映った。
「どうして助けてくれなかったの!私もまだ生きていたかったのに!?リーバァ!リーバァァァァ!」
そう言って姉さんがより一層強い力で掴んでくる。しかも、だんだんと姉さんのは身体が崩れていき、内臓が外へと飛び出して真っ白な地面の上を跳ね周りを赤く染め上げた。
その光景にに耐えきれなくなった僕は
「ウワァァァァァァ!」
絶叫を上げて目を覚ました。
現実世界
目を覚ました僕はしばらく動くことが出来なかった。夢を見ている間にかいたのかまとわりつくような嫌な汗をべっとりとかいていた。
気持ちを落ち着けて周囲を見渡すと自分と同じく包帯を巻きつけられてベッドの上に横たわっている人間が何人もいた。
どうやらここは治療院のようだ。
しばらくそうやって周囲を観察していると一人の看護師が部屋に入ってきた。
その看護師は僕の方を見ると何やら驚いた様子で部屋の外へと飛び出して行き、それから少しすると男の医者を連れて部屋に入ってきた。
その医者は僕のほうに来ると僕が眠っていた間のことについて教えてくれた。
どうやら僕は3日もの間眠っていたらしい。僕の家族や村がどうなったか訊くと家族は知らないが村は壊滅。あの場で気絶した僕を門番の人が治療院まで運んでくれたとのことだ。僕以外で生き残ったものは確認されていない。
何でだ…どうしてこんな目に遭わなければならないんだ。いや、そんなの魔物が世界に存在しているからに決まっている!
赦さない…僕の家族を殺した魔物を。奴らを一匹残らず殺してやりたい。でも、どうすればそれを実現できる?
…そうだ。冒険者だ。冒険者は世界中を旅しながら魔物を殺す職業だって聞いたことがある。
僕も冒険者になって魔物を殺し尽くそう。そうと決まればいつまでもここにいる意味はない。
冒険者になることを決めた後の僕の行動は早かった。医者の制止を振り切り治療院を脱走。
街行く人から冒険者ギルドの場所を聞き出し、冒険者ギルドへと向かっていった。
冒険者ギルドにつくと受付をするためにすぐさまカウンターへと向かい、受付の列に並んだ。
冒険者ギルドの中は活気で溢れており沢山の人がいた。周りを見ながら待っているとすぐに僕の番が来た。
「ようこそ冒険者ギルドへ。本日はどのようなご用件でいらっしゃったのですか?」
受付嬢はブロンドヘアーがよく似合う若い女性だった。確実に冒険者になるために第一印象は大事だろう。
多少丁寧に受け答えするか。
「冒険者になりたくて来ました。」
僕の返答に受付嬢の人は困ったような表情をしてしまった。何か不味かったか?
「もしかして僕は冒険者になれないのでしょうか?何か資格が必要とか?」
「いえ、そういうわけではないの。君みたいな小さな子が冒険者になって死んでしまうことがよくあるの。だから、おすすめできないかな。それに、お金を稼ぎたいんだったら冒険者じゃなくても家族に頼んでどこかで見習いとして働くこともできると思うの。」
なんだ、単にこの受付嬢の気遣いか。そんなに小さく見えるのだろうか?まぁいいか。
「問題ありません。家族は全員死にましたし、冒険者になりたいのはお金のためでなく魔物を殺したいからです。」
「………わかったわ。少し待っててね。今登録の手続きをするから。」
そういうと、冒険者の登録用紙を取り出し、説明を始めた。
「これから冒険者の制度について説明します。冒険者はランク分けされていて、一番下がGで一番上がSになります。冒険者はランクに応じて依頼を受けることができ、自身の冒険者ランクよりも上のものは受けることができません。複数回依頼を失敗したり、犯罪を犯した場合のみ冒険者資格の剥奪がありえます。ご注意ください。説明は以上です。質問がなければ登録用紙に必要事項を書いてください。」
特に質問したいことはないので必要事項を埋めていくと一つの問題にぶつかった。それは…
「どうかしたんですか?スキルの欄が何も埋まっていないのですが?」
僕としたことがうっかりしていた。早く冒険者になろうとするあまり神の恩恵の内容を確認し忘れていた。
普通確認しない人などいないのだろう。受付嬢もなぜ入れないのか不審に思っている。
というより神の恩恵ってどうやれば見れるんだ?見せろ!って言えば出るのか?
んな馬鹿な。これは訊くしかないのか…
そうやって考えていた僕の前に、唐突にガラスの板のようなものが現れた。
「うわっ!」
「どうしたんですか?」
受付嬢は僕のことを訝しげに見ている。これが見えてないのか?
いや、おそらくこれが神の恩恵なんだろう。登録するためにもまずは確認しなきゃ
ステータス
名 リーバァ
レベル 1
ジョブ なし
体力300/300
魔力100/100
物攻50
魔攻50
耐物50
耐魔50
知力50
素早さ50
スキル
・神聖結界lv1(固有スキル)
・逃走lv2
逃走はわかるけど神聖結界ってなんだ?固有スキルってことしか分からないな。
まぁいいか、先に登録済ませてあとで調べよ。
必要事項を書き終わった僕は登録用紙を提出した。あとは受付嬢が承認するだけだ。
「はい。何も問題ありません。」
良し!これで僕も冒険者だ!地道に稼ぎながら魔物を殺して行こう!
「冒険者登録が完了しました。では、これからジョブを決めていただきます。」
………………へっ?