ペンギン三兄弟 〜 4話 宅急便こわい の巻
ペンギン三兄弟、チャン、ドン、ゴン。
今日も仲良く暮らしています。
ピンポーン!
ドアのチャイムがなりました。
「お届け物でーす」
チャン「ああ、どうも」
チャンは宅急便屋さんから荷物を受取りました。
チャン「また、ゴンあてだよ」
チャンは荷物を運びこんでくると、
うらめしそうに部屋の奥を見つめました。
奥の壁一面には、ダンボール箱が天井まで届きそうなほど山積みになっています。
すべてゴン宛ての荷物でした。
チャン「おーい、ゴン。いい加減にこの荷物片付けてくれよ。部屋がダンボール箱に占領されるのも時間の問題だぞ」
ゴン「あー、わかってるんだけどね、面倒くさくってさあ。明日やるから」
チャン「明日明日って、絶対明日やらないでしょ、やるなら今でしょ」
ゴン「古いこと言うねえ、じゃあ手伝ってよ」
チャン「しょーがねーなー。おいドンもいっしょに。あれ?ドンがいない」
ゴン「あいつまた、逃げ出したな」
チャン「あの労働察知能力は大したもんだね。働く時に限って姿消しちゃうんだよなあ」
ゴン「まあいいや、オレたちだけで片付けようぜ」
チャン「ぜんぶゴンの荷物だけどな」
ゴン「まあまあ、そうお堅いこと言わずに」
ゴンは、柔らかい手でペンペンとチャンの肩を叩きました。
チャン「しかし何入ってんのこれ」
ゴン「うーん、なんだろう。ネット見てるとさ、ついついポチッと買っちゃうんだよね。でも何買ったかよく覚えてないんだよなあ」
チャン「ちょっと、それもどうかと思うよ」
ゴン「まあ、開けてみよう」
ゴンは1つの箱を開けてみました。
ゴン「おお~、ゴジラだ。カッケー!」
箱から出てきたのは、ゴジラのフィギュア大でした。
チャンは別の箱を開けてみました。
チャン「あ、これもゴジラじゃん」
出てきたのは、ゴジラのフィギュア中でした。
チャンは、また別の箱を開けてみました。
チャン「まさかの、三連チャン」
出てきたのは、ゴジラのフィギュア小でした。
チャン「ゴジラばっかじゃねーか」
ゴン「だって好きなんだからしょうがないじゃん」
チャン「ゴジラ好きのペンギンなんて、聞いたことないよー」
ゴン「見て見て、これ目が光るんだぜ」
ゴンがスイッチを押すと、ゴジラは鋭い目を赤く光らせ、「ギャオー」と吠えました。
チャン「とりあえず全部開けてみようぜ」
それから、チャンとゴンは、何十個もの箱を開けて、中身を取り出しました。
部屋の中は、ダンボールの空き箱と、何十種類ものゴジラや怪獣のフィギュアで、足の踏み場もないほど、いっぱいになってしまいました。
チャン「ダンボールとフィギュアの海に
おぼれそうだ。たすけて...」
と、そこへ
「ただいまー!」
ドンが元気よく帰ってきました。
ドン「楽しかったなー、骨董市に行ってきたよ。掘り出しものがたくさんあってね、いっぱい買っちゃった。あとで荷物が届くからよろしくね!」
チャンとゴンは、くちばしを開けたまま
凍りついてしまいました。
おわり