愛が全てだとは言わないが、愛は素晴らしいものだ
とある世界、フェードラッド王国の城下町にある一軒の宿。
その宿は地方の下級貴族や金持ちの豪商などが泊まるような豪華な、そして周囲の家々と比べて遥かに大きく高い建物。
そんな高級宿の最上階の特別室に泊まっているのは、人々から“勇者”と呼ばれている男とそのパーティーのメンバー達だ。
“勇者”ポチョムキン。
歴代の“勇者”と呼ばれる者達に比べて、ポチョムキンは断トツに強かった。
発達した腓腹筋。
一般男性の腰ぐらいある大腿四頭筋と大腿二頭筋(太股の前部分と後部分)。
腹直筋(腹筋)は八つに割れ、発達した腹斜筋(腰の脇の辺り)がその巨体の上部をしっかりと支えている。
それだけではない。
大きく張り出した大胸筋(胸)。
前鋸筋が発達しすぎて脇は閉まらないし、肩の三角筋のせいで腕が真上に上がらない。
もちろんその腕もしっかり鍛えており、上腕二頭筋と上腕三頭筋は太股と太さが変わらない。
そんなポチョムキンの装備はビキニアーマー。とは言っても下半身はブーメランパンツのみ、そして上半身は大事な部分を隠すビキニ型の鎧、ではなくほとんど紐だ。
ポチョムキンは宿の一室で憤っていた。
分厚い唇に引かれた真っ赤なルージュを歪まし、血走った眼を瞼に描かれた紫色のシャドウが強調しており、肩まで伸ばしたおさげ髪を振り回していた。
彼が愛したパーティーメンバーに裏切られ……
金髪碧眼、しかもこの国の第二王子。その端正な顔立ちからポチョムキンの本命だと言われていたフェリオ。
黒髪黒目で、幼くあどけない顔立ち。貧しい農家の出身だが、ポチョムキンと同じ出身で一番付き合いが古く最後に選ばれるのは彼だと言われたライル。
黒髪短髪で珍しい緋色の瞳をしたダンディーな顔立ち。ずっとポチョムキンに付きまとい、同じく付きまといの仲間の親友と最後は河原で決闘し、今の場所を勝ち取ったガルフォード。
最後にポチョムキン曰く、醜悪な脂肪の塊。公爵令嬢と言うだけで無理矢理ついてきたエリカ。
ポチョムキンを含めたこの五人が勇者パーティーだった。
そう、もう彼しかそこには居なかった。
◇◇◇
時は遡ること数時間前。同じ宿の一室で対面するポチョムキンとエリカ。
「やっと……やっと、最後のライルを救えたわ。ポチョムキン、貴方の魔の手からね!」
「一体、何を言ってるの……貴方達!!」
会話の途中で部屋に入ってきたのは、フェリオ、ライル、ガルフォードの三人。
ポチョムキンが愛した男達。
しかし、彼ら三人は、エリカの後ろにつく。
それは、つまり……彼らがエリカの味方をしている事を意味していた。
「そんな、貴方達……まさか」
「許して欲しい、ポチョムキン。その私達は、彼女を……」
「いや! そんなの聞きたくない!」
ポチョムキンは首を振り否定しながら、エリカを、エリカの豊かな胸を睨み付けた。
「まさか貴方達が、その醜悪な脂肪の塊に惑わされるなんて……お願い! 目を覚まして!」
「醜悪、醜悪、五月蝿いのよ! と言うか、あなたの顔の方がよっぽど醜悪じゃない!」
「え、エリカ。それはちょっと言い過ぎなんじゃ……」
「ライル! 貴方もいい加減気づきなさいよ! あれは、男よ! 貴方達の美意識おかしいのよ!」
必死に訴えるポチョムキンに対して少し心が痛んだライルが割って入るがエリカに一蹴されてしまった。
「ライル。エリカの言うとおりだ。我々がどうかしていたんだ」
ガルフォードがライルの肩に手をのせ、これ以上割り込まないように押さえる。
「ふふ……これで貴方は一人よ。一人で魔王が倒せるかしら? あははは! 貴方は私達が魔王を倒して地位も名誉も手に入れた姿を指を咥えて見てなさい! あははは!」
部屋を出るエリカの後をフェリオ、ライル、ガルフォードがついていく。
「フェリオ……」
「すまない、ポチョムキン。私は真の愛を知ったんだ」
「ライル……」
「ごめん、ポチョムキン。最後まで抵抗したんだ……だけど……ごめん!!」
「ガルフォード……」
「ポチョムキン、君には感謝している。君は俺を夢中にさせてくれた……ただ! 別に夢中になるものを見つけてしまったんだ……」
部屋に一人残されたポチョムキンは、止めようと伸ばした手をしまえずに、ただ立ち尽くしていた。
◇◇◇
時間が経ってくると、ふつふつとエリカに対する怒りが、自分を裏切った三人に対する怒りがこみ上げてくる。
「ヴオオォォォォ!! アイツらァァァァ!!」
ポチョムキンは、怒りに任せ床を強く踏みつける。
木板の床の軋む音が聞こえると同じくして亀裂の入る音が重なる。
一度入った亀裂は、みるみるポチョムキンの足元全体に広がり、轟音と共にポチョムキンは下の階の部屋に落ちていく。
「な、な、なんだ!? お前は!?」
下の階に泊まっていた豪商の家族は、突然上から降ってきた肉塊に心臓が止まるかと思うほど驚く。
落ちてきたポチョムキンも、突然現れた豪商の家族に状況がわからず、辺りをキョロキョロし、天井を見た時に漸く自分が落ちてきた事に気づく。
「ま、ママー! ま、ま、魔物がー!」
「誰が、化け物だぁぁ!!」
怯える子供が思わず口走り、豪商の夫婦はここで死ぬのだと覚悟を決めた。
ところがポチョムキンは、大股で歩き部屋から出ようとするではないか。
夫婦は、ホッと安堵すると、扉を開けて出ようとしたポチョムキンが振り返り、再び心臓が締め付けられる。
「早く、出なさい。上、崩れるわよ」
流石、勇者ポチョムキン。家族を救う事を忘れない。
ポチョムキンの言葉に天井を見上げた夫婦は、今にも崩れそうな状況に慌てて子供を抱え部屋を出た。
その後、ポチョムキンが部屋を出ると同時に天井からベッドやら何やら落ちてくる。
豪商の荷物などは、潰れたがポチョムキンには預かり知らぬところだ。
何事だと、従業員が階段を上がっていく横を、ポチョムキンは何事もなく通りすぎ一階の受付に向かう。
チェックアウトしようとすると、どうやらエリカ達はお金を払わずに出て行ったみたいだ。
「アイツら~!」
しかし、ポチョムキンは懐、というか着ているのはビキニアーマーなのだから懐など無く、ブーメランパンツに括り付けた袋から適当に金貨を数枚取り出し、支払いを終える。
流石勇者ポチョムキン。修理代や下の階の豪商の分を差し引いても余りある。
ポチョムキンは宿を出るとすぐに腕を組みながら目を瞑り、これからどうするか考え出す。
宿の入り口前で立つポチョムキンは、まるで仁王で、これから泊まろうとしていた商人が入れず遠巻きで見ているしかなかった。
「そうだわ! ギルドに行きましょう。あそこなら、アタシは引っ張りだこのはずだわ」
目をカッと見開くと、遠巻きで見ていた商人は物陰に隠れる。
ギルドで新しいメンバーを探そうと、ウッキウキのポチョムキンは、スキップをしながらギルドに向かう。
ポチョムキンのスキップで凹んだ地面の足跡がギルドに向かって伸びていくのだった。
◇◇◇
「くそっ! なんだ、ギルドの奴ら! ふざけやがって」
ギルドから出てきたポチョムキンは、鬼の形相をしていた。
ギルドに着いたポチョムキンは、喜色満面でギルドに入ると、ギルドにいた連中はポチョムキンを見て顎を外しそうになるほど驚く。
ポチョムキンがギルドにいた連中を物色する。どストライクは居ないが、磨けば光りそうな金の卵がチラホラと。
思わず舌舐めずりをすると、その場にいた全員の背中に虫酸が走る。
ポチョムキンに向けられる怯えの視線は、ポチョムキン補正で憧れの眼差しと受け取られる。
「アタシのメンバーに入りたい人、手を挙げてー」
ノリノリでポチョムキンは、挙手を求めるが誰も手を挙げようとしない。
ポチョムキン補正により、照れているのかと受け取られた。
「もう! 今ならアタシも寛容よ。みんな自信を持って! さぁ、もう一度。手を挙げてー!」
しかし、やはり誰も手を挙げない。いや、一人の若者が手を動かす。
ポチョムキンもそれを見逃すはずもなく、若者を品定めする。
今はもっさりしているけど、アタシが変身させてあげるわ。それがポチョムキンの彼への評価だった。
若者は、徐々に手を挙げると途中で止まり、ポチョムキンの背後を指差した。
「ん?」
ポチョムキンが自分の背後を振り返ると、でかでかと“ポチョムキン出現注意”と書かれたポスターが。
ポチョムキンは、勇者である。怒りに任せてこのポスターをビリビリに破ってしまいたいが、我慢する。
ギルドから出てきたポチョムキン。正確に言えば、ポスターの貼ってあった壁をぶち抜いて、出てきたポチョムキン。
また、しばらく腕を組み目を瞑って考え出す。
「そうだわ! エリックがいた。あの子拗ねてなければいいのだけれども。待ってて、エリック! 迎えに行くわ」
ポチョムキンは、再びスキップをして今度は城に向かう。
ポチョムキンのスキップで凹んだ地面の足跡が城に向かって伸びていくのだった。
◇◇◇
エリックは、フェリオの二つ上の兄である。フェリオが第二王子。つまり、エリックはこの国の第一王子だ。
エリックも、フェリオと同じく金髪碧眼の美青年である。
元々エリックもポチョムキンについて行きたかったが、ポチョムキンから、第一王子という立場を諭され渋々諦めたという経緯があった。
ピンポーン。
「エリック~、遊びましょう」
城の門前に着いたポチョムキンは呼び掛ける。もちろん城にチャイムなどある訳がない。
ポチョムキンは、チャイムを押すが如く人差し指を閉じられた城門に突き刺す。
本来外開きの筈の城門の扉が内側に無理矢理抉じ開けられる。
何事かと、城兵が集まってくるが門をくぐってきたポチョムキンを見て怖じ気づく。
ただ一人、若い兵士が震える体を抑え持っていた槍をポチョムキンに突き刺す。
この若い兵士も勇者だった。
しかし、無情にも槍はまるで壁を突いたかのように、ポチョムキンには刺さらず、しなりの限界を迎えて真っ二つに折れた。
誰もがこの若い兵士は殺されると思った。
だが、ポチョムキンは若い兵士に見向きもせずに城の中へと入っていくではないか。
ポチョムキンは、槍で突かれたなど全く気づいていなかったのである。
「エリック~」
ずんずんと城の階段を登っていく。ポチョムキンを見た執事は灰と化し、メイドは腰を抜かす。
城の警備兵も、勇者だ。ポチョムキンの腰にしがみつくが、ずんずんと階段を登っていく。
五階建ての最上階に着いたポチョムキンは、王の間を無視して、エリックの部屋に向かう。
「ふふふ、エリック驚くかしら?」
ポチョムキンがエリックの部屋の扉を力一杯引いて開く。
もちろん、この扉は本来内開きだ。
いきなり現れたポチョムキンにエリックは驚く。
エリックを見たポチョムキンも驚く。
ポチョムキンにしがみついていた警備兵も驚く。
エリックと同衾していた公爵であるエリカの父も驚く。
「ぽ、ポチョムキン……」
エリックが口を辛うじて開くが、ポチョムキンはショックで逃げ出してしまう。
「よりによって、公爵とだなんて、あんまりよぉぉぉ!!」
ポチョムキンは、エリックの部屋の前の窓を突き破る。
ここは五階だ、落ちたらまず助からない。ポチョムキンではなく、腰にしがみついている警備兵が。
偶然も偶然、割れた硝子に服が引っかかり警備兵は難を逃れる。
あんな化け物を城の中に入れてしまったと、後悔していた城兵の上からポチョムキンが落ちてきた。
いきなり文字通り降ってわいた化け物に、城兵は蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
ポチョムキンも、そのまま女の子走りで城から逃げていく。そのスピードは途中で馬車を追い抜いた。
「ぶへらっ!」
走る重戦車と化したポチョムキンは、途中何かを跳ねた。
しかし、ポチョムキンは意に介すことなく突き進んで城下町を飛び出した。
ポチョムキンの遥か後方で声がする。
「おい! エリカ、大丈夫か!?」
「お、おのれポチョムキン……」
◇◇◇
「どうして、どうしてアタシだけこんな目に……」
城下町を飛び出したポチョムキンは街道近くの森の中で悲しみに暮れていた。
森は静かだ。生き物の気配すらない。ここにポチョムキンが来てから逃げ出して行ったから。
森に意識があり、足があるなら逃げ出したいだろう。しかし、森は所詮森である。
涙を溢しては拭きを繰り返すうちにアイシャドウは、歌舞伎の隈取り状態まで広がっていた。
泣き晴らしたポチョムキンは、一つの想いを決意すると森を突き抜けて行き、森の中に新たな街道が出来る事となる。
それ以降、ポチョムキンの姿を見たと言う人は現れなかった。
◇◇◇
それから数年の年月が過ぎ去ろうとしていた。
ここ数年で魔物の数は減少してる。
エリカ率いる勇者パーティーのお陰だと言う者。
魔王が倒されたからだと言う者。
人々が魔物討伐を頑張ったからだと言う者。
様々な憶測が飛び交う中、“勇者”ポチョムキンの名前は人々の記憶から消えていた。
そんな中、魔王の住む城の最上階にある扉の前に立つ複数の人影が。
「ようやく……ようやく、ここまで来たわ! あと一歩よ、みんな!!」
人影の正体は、エリカ、フェリオ、ライル、ガルフォード。
そしてエリックと、有志によって集まった三人の男達。
ポチョムキンの抜けた穴は非常に大きく、中々エリカ達は先へ進めずにいた。
その結果エリカの取った手段は、人数による人海戦術。
まず、エリックに頼み有志を募ってもらった。
計五十人近くの有志が集まり、エリック自身も参加する。
エリックの場合は、単に警備兵に公爵との逢瀬を見つかり城に居づらくなっただけなのだが。
しかし、魔王の住む城までの道のりは険しく、五十人いた有志も三人にまで人数を減らしていた。
エリカが扉を開ける。
「フハハハハハ!! よく来たな人間どもよ! 私が魔王だ!!」
案の定その扉の向こうには魔王の姿があった。
魔王は、内に秘めた膨大な魔力を放出しエリカ達を圧倒し、ニヤリと笑った口からは二本の牙が剥き出しである。
エリカ達は動けない。先制攻撃を仕掛けようにも、その異様な光景に目を奪われていた。
部屋の最奥に設置された豪華な玉座。肝心の魔王は玉座に座らず玉座の横に立ち、代わりに見慣れた男が座っていた。
「ポチョムキン!! どうして貴方が!?」
魔王にとって代わり玉座に座るポチョムキン。そんなポチョムキンに寄り添い魔王が立っているのだ。
エリカだけでなく、フェリオ達も困惑していた。
フェリオ達の中では、未だにポチョムキンは“勇者”なのだ。
そんな“勇者”が魔王と手を組んだ様子に。
「ポチョムキン! 見損なったよ、魔王と手を組むなんて!!」
ライルが憤り怒鳴りつけてくる。
「ふふふ、手を組む? こういう事かしら?」
ポチョムキンと魔王は、お互いの手を握る、指を絡ませて。
そして見つめ合うポチョムキンと魔王。
完全に二人だけの世界がそこに出来上がった。
「くっ! そういう事ね、ポチョムキン! 魔王と手を組んで私達に復讐するつもりね! そうはさせないわ」
「復讐? そんな気ないわよ。アタシは魔王とここで暮らすだけよ。ね、魔王?」
「ポチョムキン……」
再び魔王とポチョムキンは二人だけの空間を作り上げる。
「魔王と組んで、人々を殺させはしないわ!」
エリカがポチョムキンに向かって単身突っ込んでいく。
「エリカ!」
フェリオ達が止めようと後を追いかける。
「人々を殺す? しはいわよ、そんなの」
一気に玉座まで詰め寄ったエリカに対し、ポチョムキンは人差し指でエリカの鳩尾辺りを押す。
「ぶへらっ!」
エリカは部屋の入口の壁に一度叩きつけられ、勢い余って天井にも当たり、床に落ちた。
エリカはそのまま気を失う。
「エリカー!!」
フェリオ達がエリカの元に駆け寄るが、圧倒的なスピードでポチョムキンがエリカとフェリオ達の間に割って入る。
「うう……」
「アタシは、貴方達に裏切られた……だからね、愛に生きようと思ったのよ。その時出会ったのが魔王だった……」
ポチョムキンが姿を消してから、ポチョムキンは愛に生きる為にあちこち走り回った。
時には山を掘り進め、時には川の上を走って渡り、時には“勇者”として、空から人々を困らせていたドラゴンにドロップキックをかまし。
最期に辿り着いたのが魔王の城だった。
魔王と拳という名のラブレターで語り合ったポチョムキンは、ようやく自分の愛を受け止めてくれる者と出会ったのだ。
ポチョムキンは自分の過去を語り終え、フェリオ達に問いかける。
「貴方達は、エリカに愛を感じたのかしら?」
フェリオ達は、黙り込んでしまう。果たしてエリカを愛していたのだろうかと。
フェリオは第二王子。地位も名誉も既にある。それ故にエリカに唆された時、ついていこうと決意したフェリオはそれを愛だと思っていたのかもしれない。
ライルは、エリカに愛など感じていなかった。一番ポチョムキンとの付き合いが長く、それ故自分が一番だと、フェリオやガルフォードに対する嫉妬の裏返しだったのかもしれない。
ガルフォードは、ずっと付きまとっていたポチョムキンに認められ満足し、親友を追い落とした事で、いずれポチョムキンが今度は自分を追ってくれると天狗になっていたのかもしれない。
「ねぇ、貴方達も愛に生きない? エリック、貴方もよ」
ポチョムキンの穏やかな顔を見て、戦意など完全に削がれてしまい、膝から崩れ落ちた。
「決まりね。そこの三人は初めて見る顔ね。悪いけど、エリカを運んで帰ってもらえるかしら。もちろん、またここに来たいなら歓迎するわよ」
有志の三人は、エリカを抱えて城から出ていく。
フェリオ、ライル、ガルフォード、エリックの四人は、この魔王城に住むこととなり、フェードラッド王国は後継ぎが誰も居なくなる。
後継ぎを失ったフェードラッド王国は、内乱を経て一年足らずで周囲の国々と戦争状態に突入する。
◇◇◇
現在魔王城の前には多くの魔物が挙って集まっていた。
城の上部にあるテラスに立つのは、もちろん“勇者”ポチョムキン。
ポチョムキンの両側には、魔王、フェリオ、エリック、ライル、ガルフォード。
そして以前来ていた有志の三人の男達。
フェードラッド王国の人々を救う為に、ポチョムキンは立ち上がったのだ。
流石“勇者”ポチョムキン。フェードラッドの現状の原因が自分にあっても意に介さない。
「さぁ、行くわよ」
「「「おう!」」」
新調したビキニアーマー。大事な所を隠すビキニには愛を表すハートのマークが。
──アタシ達の戦いは、これからだ!!──
完