こうかん
残酷な表現があります。苦手な方はお読みにならないで下さい。それ以外で大丈夫と言う方はお進み下さい。
私の生死は決められている。
神様の為さることなら、運命と思って受け入れられる。
自然の摂理なら皆、平等だと思う。
でも、私は違う。
私は、神の仕業でも無く、自然の摂理でも無く、人の手によって、私は人生を終わらせられてしまう。
「いい加減ここから出してよ!!」
私、神矢樹里。
部活の帰り道を急いで帰っていたら、いきなり後ろから棒の様なもので殴られ気を失ったところをラチられたらしい。
「ねぇ!!聞こえてるんでしょ!?」
閉じ込められて多分3日か4日くらいだと思う。
まず、食事は与えてくれてるから餓死させるつもりは無いらしいから殺しの目的じゃ無いよね。
部屋には、水道もついてるしトイレもある。
まぁ、6畳くらいの1ルームかな…。
でも、入り口は鉄の扉で外から鍵が掛けられてるからそこからは逃げられない。窓は明かりを取り込む程度で私の手の届かない高さにあるから無理だし、第一そこからは出られない。
私が太っているって訳じゃなくて子供でも抜けられないよあの窓は…。
「何が目的なの!?
身代金だったら家≪うち≫はお金ないから無理だよ!!」
誰の返事もこないのに一人でワメいている。
その時、ガチャッと鍵のあく音がした。
ギーィッと扉が開き人が入ってきた。
黒づくめで顔は隠しているため誰なのか、性別さえ判断できない。
「一体、何なのよ!!
何の目的でこんな事してるのよ!?」
私は怒りにまかせ掴みかかる勢いで怒鳴りよった。
そのとき部屋に入ってきたのは一人かと思ったらもう一人私の背後にいたのだ。
後ろの人に気をとられていたら、ガチャッと音がして手首に手錠をかけられた。背中を押されバランスを崩した私は前倒れになり手首を踏まれ私の頭を両手で掴み完全に動けないようにされた。
後ろで何か動く気配がした。
ジョキ…ジョキ…ジョキ……。
髪が引っ張られる感じがしてすぐに、私の髪が切られている事に気づいた。
「やめて!!やめてよ!!」
私の背中まで伸ばしていた自慢の黒髪が無造作に切られていく。
不意に目から涙がこぼれた。
「お…お願いだか…らやめてよぉ」
どんなに、たのんでも止めてもらえずに、髪が引っ張られる感じも無くなり、ハサミの音も止まり、その時には私の髪はボーズに近い状態まで切られてしまっていた。
黒づくめの二人、は私の髪を大事そうに袋にしまい、無言のまま部屋を出ていった。
私は髪を切られた事と、何が起きているのか訳がわからず放心してしまった。
気がついた時には辺りは真っ暗だった。
「何が…起こったの……?
私の…髪は…どうして…切られたの……?」
答えの返ってこない問いを口にする。
「何なのよ!!ここから出せー!!」私は力の限りに鉄の扉を何度も叩き叫んだ。
暴れ疲れて眠ってしまったのだろう。
「…?」
目覚めた時に何か違和感を感じた。
手足の感覚がまるで無い。
一体どういう事!?
感覚があるのは首から上だけなのだ。
何が起きたのか状況を把握しようと回りを見渡した。
何で動かないの?
これから何が起こるの?
手足が動かないという事に恐怖を感じパニックになってしまっていた。
ガチャリ
扉の鍵の開く音がした。黒ずくめのあの二人がまた入ってきた。
『手』に『何か』を持って。
『それ』は…なに?
その『手』に持っている物は…なに?
ギュゥーィン…ギュン…
ギュン…ギュゥーィン…
『それ』で何をするの?
ガガガガガガッ!!
何?何をしてるの!?
この体に伝わる振動は何!?
ゴトン!!
何の音!?
持ち上げられた『それ』を見なければよかったと私は後悔した。
『それ』は私の『足』だった。
今さっき切り落とされた私の足…。
あの音は…チェーンソー…?
「うわぁぁぁぁぁぁ!!
返せぇぇぇ!!」
私は動かない体をもて余しながら叫ぶ。
声が枯れるまでずっと叫び続けた。
私が叫んで…いや、気が狂っているうちに、足だけでなく私の『腕』も奪われてしまった。
手足を失った私はまだ生きていた。
もう、いやだ…ボロボロと涙が流れた。
もう、死のう…手も足も無くなって、自分の意思で動く事もできなくなって生きる気力も無くなった。
今なら、死ぬのは怖くない…。
舌を噛みきって死のう…!
がぶっ
「!!!!」
何で、何で何で何で!?
死ねない…
死ぬ事が…出来ない…。
私の最後の武器が無くなってる!!
私の『歯』が一本もない!?
それなら!!
息を止めて!!
「…?」
苦しくならない…何で!?
いくら呼吸を止めても、私の肺は空気を取り込んでいる。意図的に呼吸ができる様に喉から呼吸器が装着されている。
……………………………………もう…死ねない…………………
「あはははは…」
私は気が狂った様に笑い続けた。
実際に私は狂いはじめていた。
それからは、私は何をされても無反応だった。
臓器をすべて奪われようが……
眼球をエグられようが…。
ガラスの前に誰かが立っている。
コポ…コポ…コポ……。
…ダ…レ……?
「貴女の脳は要らないわ。
私は貴女になりたいわけじゃないもの。」
少女が私の髪を自分の物のように身に付け、私の足で大地に立っている。
「貴女が、あの時くれるって言ったから私は、それをただ貰っただけよ。」
脳だけになってしまった私の前に立った少女は嬉しそうに微笑む。
「ありがとう。………………お姉ちゃん…ふふふ…」
『里乃とお姉ちゃんの体がこうかんできたらいいのにね』
〜おしまい〜
支離滅裂なこのお話を読んでくださった方、ありがとうございます。初めてのホラーに挑戦してみました。ちゃんと、ホラーになっていたでしょうか? ご意見ご感想などいただけたら幸いです。 ライカ