ご挨拶を
やっと復活出来ました。遅くなり申し訳ございません。またよろしくお願い致します。
あれからまた月日が経ち、私は3歳になった
マリアンによるとノアルは暫くこっちに来れないと連絡があった為、2年近くも会っていない
因みに今日は3歳になる誕生日で、フィリアスさんの知り合いから豪華な贈り物が沢山届き、アナさんとメリダさんそれにマリアンまで一緒に選別している最中
「こっちはどうでしょう?」
「うーん…あまり好みでは無いですわ」
〈こちらは綺麗ですね!!〉
贈り物の中には綺麗なネックレスや指輪、ドレスまであり何をどう使えばいいのかサッパリ分からない
着せ替え人形のように貰った物をつけて着ては選別しているので多少疲れてきている
「つかれたぁ…」
「あら!もうこんな時間だったのね…ごめんなさいナナリー、つい夢中になってしまったわ」
時刻は15時を過ぎていて、朝早くからやっていたので割とヘトヘトである
メリダさんもアナさんもこれからパーティの準備をするべく、品々をケースにしまっていった
しかし1つのネックレスと指輪、イエローのドレスは残して整えていた
「これきりゅー?」(これ着るー?)
「ええ、もちろんです。今日のパーティにはライオネル様もいらっしゃいますからね」
「ライ、オネルしゃま…??」
そんな名前聞いたことないと思いつつ、アナさんが身支度を手伝ってくれている
メリダさんはあれもこれもとメモにチェックし、ドレスを身に纏った私を見て笑顔が広がる
「まあ!なんて愛らしいのナナリー!」
(えー…)
自分ではドレスを着る習慣も無かったから着心地悪いし、ネックレスはチクチクするし指輪は違和感があるのでどうも合わない
元々職業柄、装飾品は付けない質だからだったか…まあ、これから慣れていくのだろう
「よくお似合いですわ、ナナリー様」
〈お化粧しなくてもお顔が整ってるからドレスに負けてませんわ!ネックレスがアクセントですわね!〉
「あら~わかって下さる?これがまたいい品ですのよ」
ふふふ、おほほと話している3人だが…当のこっちは勘弁してほしいわー…
鏡を見て確認するが、不貞腐れた顔に綺麗なドレスたちがキラキラと光っている
「私はそろそろ下の準備を確認しなくては…」
「分かりました、私もフィリアスと来客の確認をしますわ」
私はどうしようかな…と悩んでいると、マリアンからお散歩はいかが?と言われてそうする事にした
アナさんとメリダさんにはくれぐれもはしゃぎ過ぎないようにと念を押され、マリアンはアザラシに戻り人形となり、近くにいたメイド2名と共に屋敷裏の庭園へヨタヨタと歩きながら向かった
――――――――――――――――――――――――――――…
「はあ…疲れたーー…」
〈楽しく無かったですか?〉
中央のベンチに座り、ポケーっと空を見上げて溜息を吐く
自分よりも大きな茂みや色とりどりの薔薇のような花、百合のような花に囲まれている
先程のメイド2名は入口付近で待機をしてもらい、死角になる所でマリアンに戻ってもらう
マリアンは肩に乗っかり、私の髪の毛を弄って所々三つ編みにしながら問いかけてきた
「あんな沢山のドレス…見たことないし」
〈以前の世界ではドレスは着なかったのですか?〉
「普段は洋服って言って、ジーパンとかスウェットしか着てなかったかな…楽だったから」
〈ジーパン???スウェット??〉
因みに、マリアンと2人だけなら赤ちゃん言葉は使わないようにしている
さすがにまだアナさんやメリダさんがこんな流暢に話してるの見たら嫌だろう、仮にも3歳だし
前世の服を言っても想像つかないだろうとマリアンの反応にケラケラ笑っていると、入口に居たであろうメイド2名が慌てる声とコツコツと誰かが歩いてくる音がする
マリアンはすぐさまアザラシになり、人形として私に抱きかかえられた
歩いてくる方向を見ていると1人の男性が颯爽と現れた
「おや…こんな所に…」
「あ、…う??」
その姿はまるで聳え立つ城のように立派であり、金の髪を靡かせ、地面につく程のコートに貴族の衣装を身に纏っていた
たじろいでしまう程の風貌に言葉を失っていると、男性が頭を撫で私をその腕に抱き寄せた
「君がナナリー、だね?」
「は、はい…!」
「私はライオネル、ライオネル・ザート・エヴァンスだ」
少し前にメリダさん達が言っていた、ライオネルという人物はこの人かと理解した
キリッとした顔つきに金の口髭がよく似合っている
何故抱き寄せられたのかはわからないし、自分を知っている事に驚いているとライオネルさんは笑っていた
メイド2名は驚き、ご主人様(父フィリアス)を呼んできます!と走っていった
「すまない、突然現れて驚いただろう」
「はう…」
「ふ…、流石はフィリアスの娘だ。肝が座っているな
少し休もうと思って此方に来たのだが、お邪魔だったかい?」
「いいえ!」
首を大きく横に振って否定すると、ライオネルさんは微笑んで再び私の頭を撫でた
そのまま私が座っていたベンチに座り、天井を見て溜息をひとつ吐いた
「ふぅ…此処は本当に落ち着くな」
父のフィリアスさんと知り合いということは貴族の階級でも高い位置にいる方だろう
あまり下手に声を出すべきでは無いが、とても疲れていらっしゃるみたいだ
「えっと…肩もみしましゅか?」(しますか?)
「む?肩もみとはなんだ?」
この世界には肩揉みとか云う言葉はないのか…と戸惑いつつ、小さな身体でライオネルさんの背後に廻りコートを少しズラして肩を揉んでみる
凄く凝っているから3歳の腕では力不足だが、ライオネルさんは気持ち良さそうな顔をしていた
「これが肩もみというのか…」
「マッサージすると、気持ちいいですっ!」
「うむ、確かに気持ち良いな」
とても満足気な顔をしてニッコリと微笑むライオネルさん
すると、バタバタと慌てて人が何人も入ってきた
何事?!と思い、すぐにライオネルさんのコートを直してから離れて立っていると父フィリアスがライオネルさんの前に立ち、すぐさま膝を地につけて挨拶をする