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転生女神は料理を愛でる  作者: 卯月 霰
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「マリアン、おいで」



呼ばれたマリアンというスカイブルーの髪の色をした小さな女の子の精霊が近づき、私と手を合わせる

すると私の右手首に水色の紋章が現れ、スっと消えた



「これで何かあれば慌てて召喚魔法をしなくても、マリアンがすぐに私に報告してくれるでしょう。マリアンも力はあるからナナリーの事は守れるはずです」


「精霊王様、恩に着ます…」


〈ナナリー様っ、これから私がしっかり守りますわ!〉



他の精霊達は少し不服そうにしていたが、マリアンという精霊は羽が6つも生えていて、他の子達とは少し違くみえた

光の加減によりキラキラと光るその羽はまるで宝石のように美しい



(羽が…綺麗)


「そう、マリアンは羽が6つあるんだ。精霊にも階級があってね、僕ら精霊王が1番上なら6、4、2って羽の数が違うんだよ」


「何か力が違うのでしたよね…?」


「羽が増えるには50年経たなきゃならない、その間に消滅してしまう子もいるんだ。6つ生えれば動物にもなれるし、瞬間移動もできる」



マリアンはふわりと舞い上がり、ゆっくり目を閉じると瞬く間に小さな白いアザラシになった

なんとも愛らしい姿であり、フワフワな毛も再現されている



「ふわふわあぁあ!」



つい喜んで叫んでしまった私だが、何せ動物が大好きなもので致し方ない

それにアザラシなんて実際に触るには北極行かないと無理なわけであってこんな所で出会えるなんて嬉しいに決まってる



〈ナナリー様ぁぁ…ううう…撫ですぎです~…〉



モフモフと抱き寄せて触っていたらマリアンはヘロヘロになっており、少し触りすぎたと頭をポンポンする

他の精霊達はいいなーとしょんぼりしているが、ノアルも羨ましそうにしていた



「……マリアン、しっかり守ってよね」


〈は、はい!勿論ですわ!!〉


(く…黒い、黒ノアルさんだ…)



低い声で話したノアルに驚いたが、私がにやにやしていると拗ねたのかそっぽを向いてしまった

メリダさんとアナさんも見ていたのか、くすくす笑いながらあらまあ…と呟いていた


それはそうと時計の針はもう22時を回っており、さすがに眠くなってきている

大きな欠伸を1つすると伝わったのか、アナさんが私をベッドに降ろして布団をかけてくれた



「さあ、もう眠る時間だね」


〈〈ノアル様も帰るんです!!!〉〉



同じようにベッドに入ろうとするノアルを精霊達が引っ張り、現れた魔法陣へと入っていく

マリアンは元の姿に戻り、私のベットの中に入り隣でその様子を見ていた



〈ノアル様ったら、本当にナナリー様が大好きなんだから〉


(…う、うーん)


(マリアン、余計な事言ったら連れて帰るよ)



地獄耳なのか、ギロリとマリアンを睨みつけてテレパシーで急に話してきたノアルだったが私がお礼を言うといつもの感じになっていた



(今日はありがとうノアルさん)


(!…こちらこそごめんね~、こんな遅くまで~…)


(これからもよろしくお願いしますね)


(!!……うん、うん!!ナナリーはな~んにも心配いらないからね~、私に任せて~へへへ~)



表情筋が崩れて喜んでいるノアルだが、まだフィリアスさんとかいるのに気づいていないのか頬を染めてヘロヘロになっている

もうメリダさんとアナさんはお見通しなのだろう、ノアルの先程の話し方はきっと仕事モード的なやつであると



「それでは、また会おう」

(すぐ来るからね~ナナリー!)



そう言ってノアルは魔法陣へ入っていき、部屋はしん…と静まり返った

フィリアスさんは頭を抱え込み、メリダさんアナさんはホクホクした顔で喜んでいる



「旦那様、奥様。そろそろ私達も部屋に戻りましょう」


「ん?あ、ああ…」


「フィリアス、どうかなさって?」


「…精霊王、加護……僕の…ナナリーが…」


「奥様、しばらく放っておきましょう」



項垂れるフィリアスさんを連れていきながら、おやすみと言って3人とも部屋から出ていった

部屋にはマリアンと私しかいなくなり、横を向いてマリアンを見る



〈今日は疲れてしまいましたね、ナナリー様〉


(うん…さすがに疲れた)



一通り落ち着いてほっとしたのか、そろそろ眠る準備に入る

マリアンはずっと手を繋いでくれていて、私は瞼を閉じた










――――――――――――――――――――――――――……









side??




ノアルがマリアンを残し、ナナリーの部屋から魔法陣へ入っていた先でのこと

ノアルが管轄する自然の国、アルメタリアルへと戻り深海へ戻ろうとしていた矢先、広い草原で茶色に揺れる短髪を靡かせた者が1人、エメラルド色をした瞳でノアルを睨んでいる者が1人、待ち構えていた



「…ノアル、……」


「…貴様」


「うわああああ!!!ごめんって~!!内緒って訳じゃなくて、中々皆にも会えなかったからさ~……ぎゃ!!!!」



慌てるノアルのいた後ろの木にバシュン!!!と穴が開く、直ぐにその穴は塞がるがノアルは顔を引くつかせた



「おい、ルシファート…少しは落ち着け」


「何が落ち着けだと?」


「ていうか!そもそも転生させたのは私だし、こっちから会うのも1年我慢したし、契約しなかったらどこに居るかもわからないからって言われた訳であって勝手にじゃないんだから~!!」


「アンネか…」



はあ、と溜息をつく茶髪の少年は横目でエメラルドの瞳を持つルシファートと呼んだ少年を見た



「ルシファート、あまりノアルを責めるなよ…アンネに言われたなら俺らも何も言えねぇだろ」


「転生したのは分かっていたが、何故貴様だけが接触できる手筈なのが理解出来ん」


「…それは~…ううぅ…」



完全に独占欲です。とは言えないノアルであったが、きっと見透かされているからこそ激怒されているのだろうとわかっていた



「終わった事はまあ、仕方ない。次に会う時は俺らにも連絡をしろ」


「その前に今、居場所を言え。我だけ逢いに行く」


「お前なぁ…」



呆れながらルシファートを見る茶髪の少年、アラムはまた深い溜息をひとつ吐く

ノアルは膨れながらそっぽを向き、ルシファートに言い放つ



「そんなんじゃナナリーに怖がられるだけだよ~っだ!ホントにルーって目つき悪いんだからさ~」


「!!……貴様っ!」


「ナナリーは~……って、うわあああああああ!!アラム止めてよおおお~!!」



怒りに震えるルシファートの周りに風が吹き荒れ、竜巻が起こるとノアルへ鋭い葉っぱが勢いよく降り注ぐ

それに対抗し素早く水のガードを施し逃げ惑うノアル

アラムはもう諦めたと言わんばかりにその場に座り込み、2人の喧嘩が落ち着くまで放っておく事にしたのであった











新たな登場人物がやっと出せました!ノアルと仲が良い?人物達です!

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