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「ナナリーお嬢様~…ふふ、今日も天使ですわね~」
「あっ…アニャっ」
私、二宮 渚 改めナナリー・ルーシェ・ラスターナ
現在赤ん坊であります
無事、ノアルが飛ばしてくれた魂は
メリダさんのお腹の赤ちゃんへと宿り
生まれて来る事が出来たみたい
赤ちゃん言葉しか喋れない辛さよ全く…
今、目の前で私のプリティーなお尻を
拭いてくれているのは出産時に助産師をしていた
アナ・ツーウェさん
年齢は30歳、この家の庭師が旦那さんらしい
「今日はいい天気ですよ~?ほらっ、太陽さん!」
快晴の空を私に見せ、とても喜んでいる
もう何回見せるの…飽きない人ですねー本当…
綺麗だけどさーあー…
私はもうナナリーとして生まれて1年も経っていた
毎度毎度繰り広げるこのループにも慣れ、
そろそろ状況を把握出来てきている
「アナさん、そろそろ昼食かしら?私もナナリーも」
「奥様、そうでございますね!今ご用意致します」
アナさんから違う人へと抱き渡された
甘い香りがし、温もりが心地よいこの人こそ
私の母、メリダ・ラスターナさん
なんと年齢は20歳……いや、日本だったら
このご時世に早い出産と成りうるが、まあいいよ
精神年齢は年下というのも複雑ではあるけれど
問題はこの容姿!!
まだ幼いでしょうと言いたい程の可愛らしさに
ナイスバディな身体…そのお腹から私が
出てこれたの?と疑いたくなる
それぐらいの美しさを持つメリダさんが
私のほっぺたをプニプニと突き、ニコリと笑う
「ナナリー、ご機嫌麗しゅう?ふふ」
「おかっ、ちゃま!」
お母様!と言っているつもりだが
全く伝わらないであろう
メリダさんはこれから昼食を食べるため
私をベビーベッドへ降ろし、また後でねと言い残して
アナさんと一緒に私の部屋を出て行った
―――――パタン…とドアが閉められた瞬間
私はドサッと座り込んだ
あー疲れたよ。
ずっと寝ちゃあご飯、寝ちゃあご飯で
何回繰り返せばいいのよ。
動ける範囲もまだ部屋の中だけ…
早くいっぱい動きたいわー…
それにしても赤ちゃんというのは
ほっぺが柔らかい…自分の頬をムチムチしながら
ひたすらご飯を待つ
「ノアウ…けんきかしあっ」
あの日私を飛ばしてから、ノアルとは会っていない
呼びかけようにもどうすればいいのやら分からず、
あの微笑みをもう一度見たいと思うばかりである
《唱えればいいよ…》
ふと…声が聞こえ、周りを見渡す
しかし誰もいない
ホラーかと思い近くにあったタオルケットを掴み
身体をベットの隅っこに寄せて怯える
《召喚魔法…ノアルって言ってみて》
召喚?魔法?とは凄い魔法じゃないか?と
思いつつもか細い声で唱えてみる
「しょ、かんまほぅ…ノアウ」
すると手からパァァァアと光が放ち、
小さな水の花びらが出てきた
恐る恐るそれを突くと、今度はイルカになって
手のひらから此方を見てきた