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転生女神は料理を愛でる  作者: 卯月 霰
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ゴオオオオォオォ―――――……



竜巻の真ん中を爽快に突き抜ける最中

ノアルはニコニコと微笑みながら、ずっと私を見ている

そんなに見られたら穴開くんですが…



(…あの、…)


「へへへ…ずっと待ってたんだ~貴女が戻ってくるのを」


(…待ってた、とは)


「あんまり私から説明しちゃダメって言われてるから

でも、貴女が私たちの仲間ってことは言えるよ」



――――――――仲間

なんてこった、精霊王と仲間って相当レベル高いんじゃないの


よし、ファンタジーなのはわかった

割とファンタジーのRPGゲームはやってたから順応は早い

ヒールとかあるのかな魔法使えちゃうとかしたらどうしよう

でも、今の私って魂だけなら身体あるの?ないよね

触れられてはいる気がするけど…

手を動かしたりとかそんな感覚はない



(私も、貴方みたいな容姿ですか…?)


「もう~ノアルでいいよ~!

うーーーん…どうなんだろう?見たことないからな~

仲間っていっても本来の姿になるまで凄い時間

かかるだろうし、試練もクリアしないとだし

正直にうん、とは言えないかな~ごめんね~」


(いえ、お気になさらず…)



結構容姿は重要だったんだけど仕方ない。

なるほどね、試練もあるのか、凄いファンタジーじゃん

私この世界で生きていけるのかなー…

試練とか試験とかダメなんだよね昔から

苦手というか身体が拒否する



「おお~もうすぐ着くからね〜」



ノアルがそう言って上を見上げると

眩い光が天一面に広がり、地上に近いことを知らせる

いつの間にか竜巻も速度を和らげていて

近くにいた魚達もゆらりと泳ぎ始めた




――――――――――――――チャポン…




ノアルが水面から顔を出す、そしてゆっくりと

浮き上がるとそこには素晴らしい景色が広がっていた



色鮮やかな鳥達、新緑の香りが漂う森林

滝、川が流れ…空は雲一つない晴天

見たことも無い動物達が走り回る

浮き上がって海を見れば、様々な生き物が

優雅に泳いぎ、空を鏡にしているような海があった



「へへへ、驚いた?

此処は自然の国〈アルメタリアル〉

私が管轄をしている国なんだ

管轄って言っても自然の摂理を調整してるだけだけど

国の人達が一生懸命守ってくれてるから

なーんにもしてないんだけどね~」



ゆらりゆらりと水面を歩き、近くの芝生に降り立つ

すると目を疑わった

ノアルの踏んだ傍から芝生に花が咲き誇り

辺り一面花畑になってしまったのだ



「渚、よく聞いてね」


(はっ、い…)



ずいっと顔を近づけられ、赤くなる頬もないのに

ぽーっと見とれてしまうその顔は真剣で



「今から元の肉体のある場所まで貴女を飛ばす事になる

貴女の肉体はまだ赤ちゃんで、生まれる前…

魂を持たぬまま何度の転生を繰り返し生まれた肉体だろうから

きっと入る時は辛いと思う

でも、貴女ならきっと大丈夫だから」



今までの口調はどこへやら、真剣な眼差しに

惚れ惚れしてしまう…

んやまてよ…?赤ちゃん…?に生まれ変わるの?

この思考のまま?!



「生まれる家は由緒正しい公爵の家で、

きっと幸せに暮らせるから安心してね

多分そう運命が手配してくれてる筈だから

それに、何があれば私の名前を呼べばいい

距離は遠いけど精霊に手助けさせる事は出来るから」


(ノアル…さん)



待って待って、不安でしかないんだけど

ノアルさんは来ないの、来れないのね

でも待った、精霊ってそもそもどんなか知らないし

公爵って結構偉いって昔に

西洋の料理の授業でなんか聞いた気がするよ



「…まだ混乱してて、きっと色んな事が理解出来ないと思う

でも、大丈夫。思い出すよ…私たちの事も自分の事も

どんな存在で、貴女がどれだけ待ち詫びられていたかゆっくり、ゆっくりと…」




――――――瞼が重くなる

これでお別れじゃないからね…と寂しそうな顔をして

額らしき所にチュッとキスをしたノアルさんは、私を空にふわりと飛ばすと何やら呪文を唱え周りに光が漂っていた



「主 元へ

―――― 約者、ナ リー ルー ェ   ターナを

この世界 司る 天使且つ  神と て今、蘇 ん」



突然、空から七色の光が私に向かって降り注ぐ…

暖かく、綿菓子のように触れるそれは

まるで私を撫でてくれているかのように



「地の 霊王―― ラム、火 精霊 ―― リ タ

水の精 王―― アル、風の  王――ル   ト

闇の 霊 ――イ  ァン、光 精霊 ――ア ネの

名の元に…祈 を捧 る



スピリット・レザディ(精霊の祈りを)




途切れ途切れに聞こえる祈りにも似た

呪文を聴きながら

眩い光に包まれ、私は意識を失った――――







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