まわりがうっさい ~ゲン
初めての人との遭遇はうっさいとしか言いようがない。
なんや、挨拶もなしに契約しようって。なめとんのか!
あったまきて、テレポートしてやったわ!
咄嗟だったから、また生まれた時の花の上に降りちまって、いい加減にしろと叫ばれたがな。
いや、ほんとすまん。
にしても、それからというものわいの回りが騒がしい。契約したいという人等がゴロゴロわいてでる。
こどもはまだいい。大抵騒いでおわる。たまに、石投げてくるが投げる前にテレポートすりゃいいしな。へっ!なめんなガキども!
問題は大人どもだ。奴等はへんな奴しかおらん。
「君こそは僕が探し求めていた精霊だ!君もわかるだろ?僕のこの魅力を!」
と、へんなポーズを決めて歌ってた男。まじで、吐きそうになったわ。羽がぞわっとする。とにかく、ひどい。あまりに酷すぎて固まってると、これ幸いと自分のおすすめポイントやらを語ってくる。やれ、格好いいだの、やれ、知性があるだの。ちなみに契約していないのは、自分に釣り合う存在の精霊がいなかったらしい。
「お前に付き合おうと思う精霊がいなかっただけだろ!」
つい叫んだが、奴に届く分けねぇし。でも、口が動いたと判断して、わいと心が通じたとか言いやがった!んなわけあるか!!
もう、付き合うのもバカらしくて、消えてやった。
他には、研究者とか言うやつもいた。こいつはもう他の精霊と契約していたが、わいを観察に来たらしい。こいつらは、気配がほとんどなくって、ふと、振り向くといたりするからたちがわりぃ。心臓止まるかと思ったわ!ま、心臓なんてあるか知らんけどな。
ちっこいわっかの塊が精霊で、毎回写真とやらの角度やら、次の観察対象がどうとやらを語っていたからだいたい把握したが、あの女全く話さなかったからな。わっかの精霊は何で契約したんだ?会話なんてないだろ。よぉわからんもんだな。
あと、一番めんどいやつ。今でもちょくちょく顔を出すランナオという男。そう、1番にあった人。あいつが1番めんどくさい。相棒であるプチプチ?プニブニ?だかを、置いてひとりで顔を出して、相棒の精霊の愚痴やら、結婚した相手ののろけやら、子供の育て方やらとにかく話をして来やがる。しかもタイミングが悪すぎる。わいをやっと受け入れてくれた、ユキの花。そう、俺が生まれ落ちた花の上でくつろいでいるときに限ってきやがる。ユキの花は、ちゃんと礼儀を尽くさなきゃならんのに!勝手に乗ったり、去ったりしたら、花粉で攻撃してくる。しかも数週間その花粉がまとわりつく!涙がとまらん!でも、あの座り心地は捨てられん!なのに、座ってすぐに奴はくる!
そして、奴の相棒とやらも喧嘩を売ってくる。相棒をとられてたまるかって。いや、いらんしな。ほんといらんわ。
まぁ、そんな年月過ごして15年?150年?年なんか数えてないからわからんが、そのくらい。いつの間にか、ランナオも来なくなって、そして何故かわいは、ルフィアと呼ばれるようになった。
まだ、契約はしていない。
契約する気はない。
するなら、ユキの花だな。ほんとここは寝心地がいいわい。