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小さな賢者の魔導学  作者: 五泉 昌
人魔戦争編
98/159

73 ある(弟子に甘い)師匠の話

「あ〜、何でこんなことになってるかな。」


あてがわれた要塞の一角にある女性士官用の部屋で、わたしはボヤく。

部屋にはわたしとカルナヴァルだけだ。

シエラは斥候に、メーヴィは自主鍛錬を命じてある。

アルトリウスはゲオルグ将軍と軍議の最中だ。

ちなみにルナリアは王都に置いてきた。

あの子には魔族によって無理迷宮(ダンジョン)に変質させられた【オーグル】を元に戻す作業をしてもらっている。

ただ、迷宮核(ダンジョンコア)として権限を持つあの子でも長きに渡って改造させられた迷宮(ダンジョン)を元に戻すのは一朝一夕にはいかないらしく、暫くはその作業にかかりきりになるらしい。

……現状に少々辟易している。

そもそも何で貴族なんぞになって、戦争に駆り出されなければならないのか。


転生に際し、わたしは転生前のように世捨て人になって自分の好きなように生きていくつもりだった。

だが、転生先には家族がいた。

両親は善良で、好感が持てる人柄だった。

その上で置かれた環境が劣悪だった。

転生後直ぐに行方をくらますには余りにもバツが悪い。

せめて環境を整えようと奮闘した結果、村人から聖女か神かと崇められてしまった。

創造主(あんなの)と同一視されてしまうのは御免被りたい。

まぁ、そこまでは良い、所詮は辺境の開拓村だけで済む話だ。

ところが聖女の噂がめんどくさいのを引き寄せてしまった。

まったく、人の口に戸は立てられない。

領主の私兵とやらが、わたしを捕らえるためにわざわざ辺境の端っこにあるわたしたちの村までやってきた。

それは口八丁で撃退したのだが、今後のことも考えてこちらから領主に話を付けるべく領都に赴いた。

そこでひと騒動起こり、放っておいたら世界がヤバい的な騒動を仕方がないから解決したら流れで貴族になってしまった。

お爺様はいつでも貴族なんぞやめて構わんと言ってくれてはいるが、実際はわたしを囲い込む腹積もりマンマンだろうし、わたしのような規格外の存在を野に放逐しておく方が為政者としてはどうかしているのは理解している。

それに些かわたしはパルマス王国(このくに)に関わりすぎた。

出奔するのはカタリナとアルトリウス、それに国王(エルディラン)の行く末くらい見届けてからでも遅くはないだろう。

なぁに、たかだかあと7〜80年くらいの話だし、わたしにとっては良い暇つぶしだ。

そうでなくてもあちこちでかけるつもりではいるし。


戦争に際し、わたしは国に対する魔法の教導を少し改めるつもりでいる。

具体的には攻撃魔法だ。

魔法とは戦時に於いて強大な効果をもたらす。

特にわたしが使える広範囲殲滅魔法などは、一方的で壊滅的な被害を敵軍に与えるだろう。

もちろん、教えたからといって誰でも使える訳ではないが、使用技術が伝わっているというだけでも割と問題がある。

このレベルの魔法が両軍に備わっていたら、どれだけの被害が出るか想像もつかない。

もちろん、わたしを介さず自らの研鑽で得た力ならば、わたしがどうこうする問題ではないだろうが、少なくとも今の魔法技術では無理かな。

300年くらい同じ魔法大系を研究し続ければあるいは……いや、戦術級はともかく戦略級魔法になると異なる魔法大系の同時研鑽が必要になるし、やっぱ無理かな。

それ以前に人族は300年も生きられない。

魔法の研究には数代に渡る永き研鑽が必要になるだろうが、後継者がいなければ元の木阿弥だ。


「まぁ、あくまでもわたしはこの戦い、オブザーバーだ。軍属ではない以上、直接の戦闘はやらないし、したくない。」

「良いのですか? 戦ともなればそれなりに被害も出ると思われますが。」

「戦争で人死にが出ない方が不自然でしょ。戦争ってのは最悪の外交手段のひとつだけど、それによってもたらされる出血にはそれなりに意味がある。流された血が多ければ多いほど後の世に対する抑止力になるからね。」

「抑止力……ですか?」


カルナヴァルは不思議そうに首を傾げる。

あぁ、カルナヴァルには馴染みのない考え方なのか。


「ドラゴンのカルナには理解しにくい話かもしれないけどさ。戦争は悲惨なもの、なるべくならやらなくて済ませたいものだということを知らしめるには、流れる血が多いほど効果的なんだ。それでも喉元過ぎれば何とやらで、ヒトはいつの時代も戦に明け暮れてきたけどね。」

「度し難いですね。」

「まぁ、戦争を起こす理由も千差万別だから、一概に悪と決めつけられるものでもないんだけどね。単なる領土欲なのか、周辺国との軋轢からの止むに止まれぬ事情があるのか、貧困からくる理由なのか。宗教戦争なんてくだらない理由もあるしね。」

「ヒトは何をするにも理由が必要なのですね。ドラゴン(われら)は割と好き勝手に生きてますから、なかなかに理解しがたい。」


ヒト種とドラゴンとでは生物としての格が違いすぎる。

最強種たるドラゴンに、弱き者、小さき者たるヒト種の考え方はなかなかに難しいものなのかもしれない。


「強いからね、ドラゴンは。生きるのに理由なんていらないでしょ。好きなことをして生きていてもそれを阻むものはほとんどいない。でもヒト種、特に人族はそうはいかない。ほかの種より圧倒的に寿命が短いこの種は、自分が生きることの意味を探している。自分が生きた足跡を後世に残したがる。」

「我は阻まれましたが。」

「それはフィオレンティーナ(わたし)に目をつけられたのが運の尽きだね。」


カルナヴァルが言いたいのは、わたしが出張れば味方に殆ど被害を出さずに勝ち戦を拾うことができるのに、何故やらないのかということだろう。

確かにわたしが戦場に出れば無双できるだろう。

味方に一兵の犠牲も出さずに魔族軍を壊滅させる自信はある。

しかしそんなことになれば、人は勘違いをする。

人族は聖女によって護られている、神の加護がある、魔族なんぞ神の威光の前には障害にもならないなどと思われてはいけない。

戦争は悲惨なもので、あくまでも最低の政治手段だということを忘れてはならない。

まぁ今回は一方的に攻められたのだから、戦う以外の手段は無いんだけどね〜。


「戦場での一方的な勝利。それは戦争とは呼ばないよ、虐殺っていうんだ。」

「そうなのですか?」


それの何がいけないのかって顔をしてるね。

まぁカルナヴァルは最強種(ドラゴン)として一方的な勝利を重ねてきた経歴があるからなぁ。

ピンとこないのかもしれない。


「さっきも言ったけど、戦争は双方に出血が伴わないと意味がない。一方的な戦果は勝者を増長させる。そして増長したヒトは必ず暴発する。これは歴史が証明している。」


もちろん、戦場以外で、例えば調略などで血を流さずに戦争に勝つこともあるだろう。

そういう場合は一方的な勝利と呼んでも虐殺とはいわない。

でも、そういう場合でも勝者は増長するんだけどね。


「マスターが言うと説得力がありますね、では傍観ですか?」

「いや、わたしはわたしのやるべきことをやるよ。」

「と、言いますと?」

「魔族軍の指揮官に会ってみようかと。今回の出兵の意義が全く見えないから。どのような戦略的意義を持って戦争をしかけてきたのか、それが知りたい。」


まぁ、話ができればよし。

できなかった場合は……戦闘も止むなしではあるが。

その場合はまぁ……倒すのも止むなしかな。


「マスター……甘いですね。」

「やっぱそう思う?」

「甘々の甘ちゃんです。そんなにあの子たちがかわいいですか。」

「初陣くらいは勝たせてやりたいじゃない。」


◇◆◇◆◇


魔領緑地帯。

大北壁(グレートカストルム)の北側、グナイ川を渡った先に広がる大森林地帯にわたしは足を踏み入れる。

最初は直接敵指揮官のいる場所に行こうと思ってたんだけど、その手段がなかった。

空間魔法のレベル4スキルに【視認転移】というスキルがある。

移動距離に制限があるものの、見える範囲なら大体瞬間移動できるスキルで、これが様々な遠見スキルとシナジーがある。

ところが、シエラとの【感覚共有】で一気に敵指揮官のところまで転移しようと思ったら、シエラが敵指揮官の位置を掴めなかったのだ。

シエラの【魔力感知】のスキルレベルではこの濃密な魔力濃度の中、特定の個体を探し出すのが困難だった。

仕方ない、わたしの認識不足だ。

そのため、結局虱潰しに探すことになったわけだ。


「申し訳ありません、主人様(あるじさま)。わたくしが役立たずなばかりに。」

「気にしない。ついでにレベリングも出来るし、むしろ一石二鳥と考えよう。」


残念ながら【視認転移】は一人専用のスキルなので、カルナヴァルはお留守番だ。

わたしが要塞にいないことをアルトリウスたちに誤魔化してもらうために残ってもらったともいう。

というわけで、森に踏み入ったわたしとシエラを出迎えたのは、想像を絶する密度の魔物の群れだった。


「いや〜、ある程度は想定してたけど、それ以上だね。」


目の前に広がる光景、ゴブリン、オーク、コボルド、エトセトラエトセトラ……

意外なことにそれぞれの集団にそれぞれの上位種が部隊指揮官として配属されているっぽい。

ゴブリンの群れにはハイゴブリンが、オークの群れにはハイオークが、コボルドの群れにはコボルドリーダーの姿が見て取れる。


「思ったより組織的だね。ただ数を頼っているわけでもないみたい。」

「意外そうにされていますね。」

「そりゃぁね、こんな統率された魔物の群れ、初めて見たもの。」


人型とはいえ、魔物の知能はそう高くない。

基本的には本能によって行動し、欲望の赴くままに獲物を襲う。

多くは食欲を満たすためだが、そうでない場合もある。

ゴブリンとオークは雌が少なく、そのほとんどが雄なので、生殖のために人族の女性を襲うことも多い。

ゴブリンは全体の三割、オークに至っては一割未満しか雌はいないとされていて、その代わりオークは多産なのだと古の知識で知っている。


「では、主人様は格好の獲物ですわね。」

「シエラもね。まぁアイツらは穴さえあれば容姿や体型は気にしないと聞いてるけども、それはそれで失礼な話だよね。」

「まったくですわ。」


一方で、コボルドは多種族交配はしないが、犬頭の魔物なせいか集団で行動する習性があり、凶暴性が高く組織的に獲物を狩る。

一個体そのものは然程強くないが、集団戦になるとかなり手強い魔物だ。


「所詮はイヌッコロですわよね。」

「まぁ、狼ではないよね。個々の戦闘力はそんなに高くないよ。」


森に踏み入ったわたしたちを遠巻きにしていた魔物たちは、むしろ面食らったように動きを止めていた。


「メス……ヒトノ……メス……ダ……」

「メス……オカス……」


うへぇ、絶賛発情中だなぁ。

まぁ、ゴブリン(こいつら)は万年発情期なんだけどね。

オークにはきちんと発情期があるらしいけど、それでもやろうと思えばいつでもヤレる……って下世話過ぎるッ!


「シエラ、行くよッ!」

「はい、主人様。お供します。」


わたしの合図と共に、双方が弾かれたように動き出す。

目指すは強い魔力反応を示す方向——わたしの【魔力感知】ならばこの濃密な魔力濃度の中でも問題ない——その魔力反応こそが、おそらくこの魔族軍の指揮官だろう。

陽は落ち、夜間戦闘な上に森の中。

完全に真っ暗な闇の中ではあるが、わたしは古代語魔法レベル6スキルの【絶対暗視】を発動しているし、シエラはもともと種族特性として夜目が効く。

体術スキルに【暗視】というものもあるが、わたしは持っていない。

が、その上位スキルを魔法で獲得しているため必要なかったとも言える。


「シエラ、大規模な殲滅スキルは使わないでね。ここにわたしが来ていることはアルトにはナイショなんだから。」

「かしこまりましたわ。でも何故ですか?」

「わたしがお膳立てしてることがバレたら、あの子怒りそうじゃない? 余計なことすんなよ、って。」

「あぁ……目に見えるようですわね。」


魔物どもの攻撃は思いのほか組織的だ。

遠巻きから弓による威嚇、槍による牽制、近接武器を手にしての突撃。

それらの指揮を、各上位魔物たちがそつなくこなしているように見える。

ただまぁ、装備はお粗末なものだ。

正規の軍の装備ではなく、それぞれが持ち寄った手製の武器。

棍棒や石槍などが多いのは、やはりこれだけの軍勢に相応の装備を行き渡らせるのは無理があるということだろう。

わたしはその飛来する矢を避け、魔力で弾き、【魔力刃】を付与した素手で叩き落とす。

わたしは戦闘系の体術スキルを一切持っていない。

だが、そんなわたしでもこうやって近接戦闘ができるのは全て魔法スキルの恩恵があるからだ。

まず、わたしには【物理耐性】と【上級物理耐性】がある。

このふたつのスキルのお陰でこの程度魔物どもの攻撃は端から通用しない。

もちろん耐性が発動するたびにゴリゴリ魔力を使うのだが、正直減る魔力量より、【MP自動回復】による回復速度の方が早い。

耐性スキルは対象の攻撃が入る寸前に発動する自然発動(オート)スキルだが、もちろん発動するだけのMPが無ければ発動しない。

本来なら保険のようなスキルで、常時展開していると思わぬ攻撃を受けてあっという間にMP切れを起こし発狂するようなもので、正直普通の魔法使いがまともに使えるスキルではない。

これをMP垂れ流しで使うのは多分わたしくらいのものだろう。

その上で、無属性魔法レベル8スキル【マッシヴワンダー】により、カルナヴァルから【徒手空拳】と【体術】のスキルをまるごと写し取っている。

【マッシヴワンダー】は同意を得た相手から体術系のスキルを写し取るスキルで、達人から写し取れば一瞬で達人になれるスキルだ。

ちなみに写し取られた相手にデメリットは無い。

効果時間はスキルレベル依存だが、最大レベルであるわたしは最大60分この効果が持続する。

また、十人まで写し取る対象をメモリーでき、いつでも上書き可能という破格の性能を持ったスキルだ。

まぁ、伝説中の伝説スキルである物理魔法の上位スキル、無属性魔法のさらにレベル8とかいう誰が使えんだよこんな魔法、ともいうべきスキルなので、性能が良くなくては話にならないのですよ。

ちなみに、わたしのこの【マッシヴワンダー】の体術模写のメモリーは現在四人の人物のスキルを写しこんである。

ひとりは言わずもがな、カルナヴァルの【徒手空拳】と【体術】なのだが、その他のストックはいずれも転生前に写させてもらったものだ。

ああそう、このスキルはひとつだけ難があって、写し取れるスキルは対象者の体術スキルレベルよりふたつ下がる。

つまり、【徒手空拳】レベル8のカルナヴァルからは【徒手空拳】レベル6までを写し取れるというわけだ。

写し取る相手よりは強くはなれないということだね。

まぁ、スキルをそもそも持たないわたしからすれば8も6もあまり変わらないのだけど。

あとは、スキルを写し取っても体格が変わるわけではないので、この幼女の身体で格闘戦だとちょっとリーチが足りないな。

ちなみに、この【マッシヴワンダー】の下位互換に【スキルボロゥ】という一時的にスキルを借り受けるスキルがあるんだけど、そっちは借りてる間は貸主がそのスキルを使えなくなるんだけどね〜。

まぁ、【スキルボロゥ】は体術スキルに限らないので一概に下位互換かと言われると違うような気もする。


「ギギ……コイツ……ツヨイ……」

「囲ンデ……イッキニ……」


やっぱ数が多いね。

となれば次の手はこれだ。

わたしは毎度お馴染み、【威圧】を自分の持てる最大で発動する。

先日レベルが上がって、指向性を持たせることに成功した【威圧】だが、範囲指定も同時にできるようになった。

森の外まで効果が及べば、アルトリウスに気付かれる恐れがあるからね。

わたしはこの敵部隊の指揮官におはなししに来ただけで、戦闘が目的ではないのだ。

ホントだよ?


「さぁ、早くでてきてくれないかなぁ。」

「ノリノリに見えますわ、主人様。」

「気の所為だよ、シエラ。」


【威圧】の効果が森中に及ぶと、あちこちでその効果にあてられ逃げ出す魔物が出る。

中にはそのまま倒れこむものもいて、知ってはいたけど【威圧】効果高すぎでしょ。

まぁ、今の世に高レベルの【威圧】持ちなんてそうはいないだろうからねぇ。

【威圧】の発動は一瞬だが、恐怖は伝播するようで、範囲外の魔物まで我先にと逃げ出している。


「何事だ! これはいったい……!」


そこに現れる、明らかに魔物ではない人影。

あれが指揮官かな?

ならばお話を聞かせてもらうとしよう。

ドラゴンメイド「以前からあの二人に甘かったですよね、マスター。」

悪魔娘「そうなのですか?」

ドラゴンメイド「あの二人に限って色々仕込みすぎじゃないですかね。元々の目的が緩やかな魔法技術の普及なのに、明らかにあの二人には緩やかどころじゃない育成してますよね。」

悪魔娘「そう言えばそうですね。まぁ、それなら弟御も大概ですけどね。」

ドラゴンメイド「あぁ、あれは最早別次元ですね。マスターは人間兵器でも作るつもりなのでしょうか?」

悪魔娘「人間兵器……言い得て妙な例えです。」


甘ちゃん賢者「……キミたち五月蝿いよ。(弟子なんて持ったの初めてだから加減がわからん……)」

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