30 エピローグ
「それで、其方どうするのじゃ? 妾の講師になってくれるのか?」
トーガとの会見の後、寛ぐために充てがわれた部屋でカタリナがわたしに問いかける。
部屋にいるのはわたしとカタリナ、カルナ、そして新たに使い魔となったシエラ。
カルナは何故かメイド服を着込み、わたしとカタリナにお茶などを淹れている。
シエラは黒猫の姿のままわたしの傍らで居眠りしていた。
「もちろん、お引き受けします。」
わたしは決めていた答えを告げる。
カタリナのことは気に入っているし、貴族院の中身も気になる。
どうせ時間は沢山あるのだから、その時やれることをやれるだけやってみたい。
王国の中枢に近づければ、魔族領の情報も手に入るだろう。
そうなればルーデルフェルトのことも何かわかるかもしれない。
「そうか、良かった。これで断られたらどうしようかと思うたわ。」
これからお父さん達を説得しなければならないのだが、まぁ問題無いかな。
新領主たるトーガにはわたしの村の安全を確約してもらったし、後顧の憂いも無くなった。
正直、王都行きはちょっと楽しみでもある。
「あんたたちはどうする?」
わたしはわたしの使い魔達に問う。
「もちろん、我も付いていきますよ。」
「にゃおう。」
カルナとシエラが当たり前だとでも言うように告げる。
わたしは特別使い魔達を拘束する気は無いんだけど、まぁ付いてくるなら好きにすれば良い。
その代わり、こき使ってやるから覚悟しときなね。
「望むところです。」
「にゃおう。」
◇
「では、妾達は一足先に王都へ戻る。冬が来る前には必ず王都の我が屋敷を訪ねよ。待っておるぞ。」
そう言い残してカタリナは王都へ帰って行った。
カタリナは普段からエルヴェレストの領地ではなく王都のエルヴェレスト公爵邸に住んでいるそうだ。
わたしもお父さんを説得次第向かうことを約束した。
「さて、ウチに帰るか、カルナ、シエラ。」
「了解です、マスター。」
「にゃ。」
領都から少し離れた郊外で、わたしは【空間扉】を開く。
カルナに乗って帰ってもいいんだけど、流石に疲れた。
転移魔法ならば一瞬で我が家に着く。
空間を越えた先は見慣れたわたしの部屋だ。
家にはわたしの家族が揃っている。
またひとり家族が増えたことを告げ、わたしどう言ってお父さんを説得するかを考えていた。
そういえば、シエラと戦ってた時に感じた高揚感はなんだったんだろう。
後先考えずにMP使いまくったあれのことだ。
まるで自分の感情ではなかった感じがしたんだけど……
いつもありがとうございます。
これにて「聖女転生編」は終了となります。
次の舞台は王都です。
いくつか閑話と幕間を挟んだ後に開幕となります。
次章からは一気に登場人物が増えますので、中程で登場人物紹介を挟む予定です。
それでは今後もどうぞよろしくお願いします。




