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小さな賢者の魔導学  作者: 五泉 昌
聖女転生編
22/159

幕間 – 暗殺の依頼

今回はかなり短いです

それと、幕間と閑話を間違えて投稿していたので、遡って修正しました。

大勢に影響はありませんので、戻って読み返さなくても大丈夫ですが。

「悪く思うな、これも依頼なんでな。」


魔族の間者であるノーマは、彼の依頼人であるランズロウト伯爵の言葉を思い出していた。


ーーワシの倅を殺してほしい。


人間にはよくあることだ、さして珍しい依頼ではない。

特に貴族階級には親子であっても齟齬が起これば簡単に排除対象になる。

ただ、魔族としては度し難い話だ。

魔族はそもそもの個体数が非常に少ない。

長命種だということもあるが、出生率が人間と比べると著しく低い。

魔族にとって子は宝であり、子供は種にとっての財産だ。

故に魔族はたとえ人間やエルフとの半血種であっても魔族の子として大事に育てる。

魔族の血は強い。

片親がどんな種族であろうと、生まれて来る子は彼らにとっては等しく魔族なのだ。

もっとも、彼には子供どころか伴侶もいないが。


ノーマは暗殺に最も適した魔物を【空間檻】より解き放つ。

それは虫だ。

依頼とはいえ……いや、だからこそか。

殺されたことがおおっぴらに知られるのは好ましく無い。

地方領主とはいえ貴族の嫡子が襲われて殺されたとなれば、対外的には大醜聞になる。

暗殺は秘密裏に、が鉄則だ。

彼は生粋の暗殺者ではないが、今まで何度となく暗殺という仕事をこなしている。

その理由が、このアサシンバグにある。

ノーマが召喚した虫の魔物、アサシンバグは対象を音もなく仕留め、ほとんど傷跡も残さない。

対外的には突発的な発作による病死として処理される、正に暗殺に理想的な魔物である。


ノーマの仕事は特に大きな問題もなく、完遂した。

少なくとも彼はそう思ったし、手ごたえもあった。

そう、この時点では彼に落ち度など全く無かった。

ノーマにとって人間の暗殺など、赤子の手をひねるようなものだ。

人間は種としての肉体的、魔力的な優位性は全く無いと言っていい。

人間の種としての特性は相応の繁殖力と努力次第で伸びる成長性と応用力だと、ノーマは彼の本来の主人から聞かされていた。

その優位性すら、短命種ゆえに研鑽の期間が短いことで、たいした脅威にはならない。

所詮は生きても70歳そこそこ、平均で3000年生きる魔族とは比べるべくも無い。

まして、彼の使役していたアサシンバグは野生に於いては無音で行動し、確実に獲物の急所を突き、さらに強力な毒を持って仕留めるという習性を持つ危険度の高い魔物であり、冒険者ギルドの脅威度区分では超小型の虫系の魔物ながらAAAランクに指定されている。

時には集団で巨体の魔物なども襲う、極め付けに凶悪な魔物だ。

人間如き、その魔の手、いや魔の針からは逃れられないだろう。

だが、だからこそ使役する方もそれなりに気をつかう。

小さいながらそのレベルはノーマ自身をも上回る上級の魔物だけに、一歩間違えば自らも死に至る様な、そんな魔物なのだ。

熟練の魔物使いであるノーマでも、片手間にゴブリンを遣うのとはわけが違うアサシンバグの操作は、彼の意識を一点に集中させる結果を生んだ。

故にノーマは気づくのが遅れた。

彼にとっての不幸が、訃音となって近づいて来ることを。

※スキル講座

【空間檻】特殊スキル

クラス付随の特殊スキル。魔物使い専用。

空間魔法の【空間倉庫】に似ているが、こちらは魔物専用。

魔物使いとして隷属させた魔物を閉じ込めておくことができる。

魔物使いはクラス特性として、自分よりも強い魔物をも隷属させることができる。が、使役は難しくなる。

一般的な使い魔契約は屈服させた魔物のみが対象。


魔物は動物や植物中でも強い魔力を内包し、体内に魔石を持つモノのことを指す。

宿さないものは普通に動植物。

また人型の魔物は厳密には魔物ではなく魔人(人魚族や有翼族など)の一種なので魔石は持っていない。

ヒト種として扱われない理由は「理性を持たない」ため。

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