2 アルテマスキル
わたしの名はイルミナ。元の名前はフィオレンティーナ。
伝説に謳われた最強の魔導師だ。
齢1300歳にしてアルテマスキル【魔導の極み】に至った人類史上、いや有史以来最高の大賢者。
元は人間であったが、秘術を用いて魔法使いとなり、以後不老不死を得て魔法スキルの研鑽に明け暮れた。
そうしてついにアルテマスキルを得るに至った。
ところがだ。
アルテマスキル【魔導の極み】には罠が仕組まれていた。
いや、仕込んだ本人からしてみれば罠でもなんでもないんだろうが、わたしにとっては罠以外の何モノでもなかったのだ。
アルテマスキルは簡単に言えば、神へと至るスキルだった。
スキルを取ったその瞬間、わたしの意識はとある世界に飛ばされたのである。
そこで出会った人物……いや、人ではないので人物というには語弊があるが、他に形容しようもない。
それは正に神だった。
世界を創った創造神だと、その存在は名乗った。そして神は言った。
「よくぞアルテマスキルを取るに至ったな、人間よ。古の盟約通り、其方を神の一柱と認め……」
「認めなくていいんで、地上に返してください。」
「は?」
困ったことにわたしは神になる気などさらさら無い。
わたしの望みは魔法スキルの研鑽をしながらだらだらと生きていくことだ。波乱万丈の人生などまっぴらだ。
「なんじゃと? お主、アルテマスキルを取れるほど努力と研鑽を積んできたというのに神になる気は無いと申すか?」
「わたしがアルテマスキルを取るに至ったのは結果論ですし、そもそもアルテマスキルを取ったら神へと至るなんて知りませんでしたし。
知ってたらアルテマスキル取りませんでしたよ?」
そうなのだ。
アルテマスキル自体、存在なんて知らなかった。
ただ全ての魔法スキルを取得したら自動的に付いてきた。スキルというより称号みたいなものだ。
必然、アルテマスキルを取ったら神に至るなんて知らない。
「では、用事もないのにワシを呼び出したのか。」
「勝手に出てきたのは其方なのですが……」
そこは勘違いして欲しくない。呼ぼうとして呼んだんではない。
「そりゃつまらんのう。この世界での初めてのアルテマスキル所持者だというのに。」
「それは、申し訳ないです。」
「しかしおかしいの。ワシはちゃんと神へと至る道としてスキルを磨けと地上に沙汰しておった筈なんじゃがのう。」
「それはいつの話ですか?」
「わりと最近じゃぞ? たかだか2万年前じゃ。」
……おいじじい。
2万年とか今まともな文明残ってないですよ。
古代魔導王朝の時代じゃないですか。
古代魔導王朝というのは大陸が今の国家群を形成する以前の以前の以前のそのまた以前に大陸をひとつにまとめていた巨大国家の名前だ。
今では大陸のあちこちに遺跡として存在が確認されるだけで、魔導王朝の直系は絶えている筈だ。
始めたばかりなので色々手探りですみません。