命の向日葵
夏の暑い日になると、 僕の家の庭には向日葵の花が咲く。その向日葵を、命の向日葵と呼ぼう。
あれは、東日本大震災が起きてから、3年が経過しようとしていた2014年2月のことだった。大学院の勉強の一環として、宮城県石巻市とのイベントに参加した。そこで僕がもらったのは、3粒の向日葵の種だった。
僕がもらった向日葵の種の親は、宮城県石巻市のとある小学校の丘の上にある。
この小学校は、東日本大震災による津波の影響で、74人もの尊い命が失われた。亡くなった子どもたちのお母さん方は、子どもたちが避難しようとしていた場所に向日葵の種を植えました。
今、その向日葵の種は、日本中に広がっている。僕が通っていた大学のキャンパスで、そして僕の家の庭で、夏になると大きな花を咲かせる。
そして僕は、その向日葵の種を友達に渡す。
「忘れない。震災を。亡くなった方々を…」
そんな思いで、向日葵の種をつないでいく。
2015年12月。大学で仲が良かった、3人の留学生が言った。
「向日葵の種をください」
中国、韓国、アメリカから来た留学生だった。中国からの留学生はこんなことを言った。
「日本人は、中国で地震があった時、助けてくれた。だから、日本で起こったことを忘れたくは無い。世界中で風化させない」
韓国の留学生はこう言った。
「日本人のおかげで、韓国は発展した。震災が起きた後も日本人は立ち上がろうとしている。学ばなければならない」
僕は、向日葵の種を渡した。
向日葵の種は、世界中に繋がっている。