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ゲームオタクの異世界最弱譚  作者: メヌエット
8/13

食堂での騒ぎ

 着替えを終え、公人は食堂に向かうために階段を下りていた。この宿は2階と3階が宿泊スペースとなっていて1階が受付と食事場を合わせたものになっている。

 公人は全体を見回して他の皆を探す。もう朝日もすっかりと昇っているので食堂はそれなりに賑わっていた。そして、奥の席の方に凛の顔を見つけ足を向かわせる。


「おはよう、鈴谷さん。今日も早いね」

「ん、あぁ橘。おはよう」


 軽い挨拶を済ませた後、公人は凛が座っている向かいの席に腰を下ろす。


「橘、朝食はどうした?」


 凛は公人が朝食を持ってこずにそのまま席についたことが気になり声をかける。ちなみにこの食堂はカウンターの前に置いてある料理を取って量に応じってお金を払う仕様になっている。


「朝、栄養ドリンク的なものを飲んだからいいかなって。」

「そんなことでは駄目だぞ橘!育ち盛りの男子が朝食を抜くなど体に悪い!」

「で、でもそんなにお腹すいてないから買って食べるほどじゃないよ。」


 朝の回復薬でそんなにお腹が減っていないのは確かだが、本当の所は少しでも節約して錬金の材料代を少しでも稼ぎたいのが本音のところだった。


「駄目だ!私の目が届くうちは朝食を抜くなんてことはさせない!」

「で、でもお金を上に置いてきちゃったからいいよ」

「なら、私のパンを1つ譲ってやるから食べるんだ」

「え!そんなの悪いよ!」


 公人はそう言って遠慮するが凛は頑なに断りを受け入れず、公人の前にパンを突き出す。


「そう思うなら、食べるんだ。他人が食べてないのに一人だけ食べるのは気が引ける」

「・・・なんか後付けくさいけど」

「それでも気が引けるのは本当のことだ」


 そんな凛を見ていたら反抗する気も失せて降参とばかりに両手を前に出す。


「わかったよ、大人しく貰うことにするよ」

「うむ。ほら」

「ありがとう、今度何かでお返しするよ」


 微笑を浮かべ小さく、あぁ、と返事を返す。

 公人がパンを半分ほど食べ終えたあたりで他のメンツも顔を出し始めた。


「おはよう凛、橘」

「おいーっす」

「おはよう皆!」


 まず優斗と竜司が2人で姿を現し、少し遅れて清華も姿を現した。


「あれ?橘くんはパンだけ?」

「うん、あれを飲んだからあまりいらないかなって」

「あ、わかるかも。私も橘くんのあれを飲んでからとっても元気が出てきたし」

「咲本さんも?そういえば、美味しそうに全部飲んでたもんね」

「うん、橘くんのくれたの甘くて濃厚でとっても美味しかったからつい夢中になっちゃって」

「僕もだよ。ついつい息するのも忘れて飲んじゃうんだよね」

「橘くんも?私見せてもらえなかったら知らなかったなー」

「う、ごめん」

「ううん、冗談だよきにしないで。それにこの話はもう終わったんだったね」


 清華は回復薬を一気に飲み干したのが少し恥ずかしいのか少し照れたような顔をする。


「今度また飲ませてね?」

「うん、もちろんだよ」

「「「・・・・・・。」」」


 そこで二人は周りの3人が静かになっているのに気づく。


「あれ?みんなどうしたの?」


 3人とも表情は重く、凛に至っては赤面していた。


「どうしたって言われても・・・なぁ?」

「そんな・・・嘘だろ・・清華が橘と・・・」

「そ、そんな朝から濃厚で甘いやつなんて・・・は、ハレンチすぎる!」

「「???」」


 三者三様な反応を見せるが、公人と清華は一体皆が何のことを言っているか分からなかった。


「え、ホントにどうしたの?」

「そ、そうだよ皆おかしいよ?」

「おかしいのは清華と橘だ!」

「「えぇっ!?」」

 

 神代がバッと立ち上がり2人に指を指して言う。2人も急に様子がおかしいと思っていた方からおかしいと言われてとても驚きを隠せないでいる。


「だってそうだろ!そんな朝から・・・くっそ!なんで橘なんだよ!」

「え?僕がどうしたの?」

「清華に・・・甘くて濃厚なの飲ましたんだろ?」

「う、うん」

「やっぱり・・・」


 公人は頭の中でよく考える。公人は朝、清華に回復薬を飲ましたがそれはこんなに大騒ぎされるようなことなのかだろうか。そこで公人はさっきまでの話を順に思い出していった。


 ・・・・・・あれ?よく考えたら卑猥な会話に聞こえないこともない?


 やっとそこまで思考が追いついた所で凛が清華に確認するように尋ねていた。


「せ、清華は本当に・・その・・橘のを・・・飲んだのか?」

「うん!すっごく美味しかったよ」

「お、おいしひかった!?」


 そういった話に免疫が低いのか凛は顔を真っ赤にさせカミカミになりながらなんとか言葉を絞り出す。


 ・・・・・・これ完全に朝からキスしたと勘違いされてるな、しかもかなりディープなやつだと。


「せ、清華は本当に橘と・・・。はっ!!ま、まさかさっき、橘が言っていた栄養ドリンクって・・・清華のだ、だえっ!!!!!」

「ストオォォォォォォォォッッッップゥ!!!!!!」


 あまりの事態だったため公人は周りの目を気にすることも気にせず大声を上げ、3人の暴走(主に優斗と凛)を止めにかかった。



 数分後。


「つまり清華と橘は別にそういうことはしてないと?」

「うん」

「つまり、私たち3人の誤解だと?」

「うん」

「飲んだっていうのは橘が作った回復薬だと?」

「うん」

「「紛らわしいわ(ぞ)!!」」

「ご、ごめん」

「あはは、ごめんねみんな」

「お前たち慌てすぎだぞ・・・」

「「なっ!!」」


 竜司の指摘に優斗と凛はすかさず反論する。


「竜司だって最初びっくりしてたろ!」

「そ、そうだぞ岩本!」

「俺は驚きこそすれどそこまで取り乱してないぜ?」

「「うぅ・・・」」


 竜司の言う事が正論すぎて2人は黙り込んでしまう。


「も、もういいじゃないこの話は!それよりもさっき説明した回復薬のことなんだけど、これがそれなんだ」


 公人はそういうと、布袋を机の真ん中に置く。

 中を出してみると袋の中には公人と清華が飲んだものと同じものが入った小瓶が3つ入っていた。

 

「これが例の回復薬か?」

「うん、味と効果は僕と咲本さんで試したから大丈夫だと思うけど、念のために一応皆にも飲んで貰おうかなって」


 それを聞き3人とも瓶を開ける。


「では、先に・・・おぉ!これはなかなか!」

「おー、これはいいぜ」

「うん、悪くない」


 3人の反応は上々だった。味はジュースのそれに近いので3人とも食後のドリンク代わりにゴクゴク飲んでいた。


「でしょでしょ!」

「いや、なんで清華が自慢するんだ?」


 それとなく凛がツッコミを入れる。


「それにしても安心したよ。皆に効果があって。これでやっと皆の役に立てそうだ」

「何を言っている橘?迷惑などないぞ」

「そうだよ橘くん!そのことはこの間言ったでしょ?」

「そうだったね。でも僕が何も出来なかったのは事実だからね。なんていうか・・その・・皆、改めてよろしく」

「あぁ、こちらこそよろしく頼む橘」


皆さんあけましておめでとうございます!!

いつも読んでいただきありがとうございます!

これからもよろしくお願いします。

皆さんの今年の1年が良いものであることを~

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