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ゲームオタクの異世界最弱譚  作者: メヌエット
6/13

初めての錬金

6時間おきにまだ2,3話上げたいと思います。

 次の日の夜、公人は宿を取っている自身の部屋の中央に腰を下ろして座っていた。

 備え付けの椅子や机も隅に追いやってあり、部屋の真ん中にはかなりのスペースが出来ていた。そこには昨日買った【薬膳キノコ】と錬金術の本、そして、今日の冒険の際に採取した【薬草】が広げられていた。


「えーと、取り敢えず本によると・・・【薬膳キノコ】と【薬草】を1:2の割合で混ぜるのか。なら量りがいるな。」


 そう口に出すと公人は右手に意識を集中させる。すると、右手が青白く光りだす。


「えーと、取り出したい器具をイメージするんだったな。」


 公人は自分が今欲しいもの、量りの形、機能を明確にイメージしていく。すると、何もないはずの空間からイメージした通りの器具が姿を現した。

 それを手に取り、公人は器具を回しながら全体を見ていく。


「へー、これが錬金術のスキルを持つ人だけが使える力か。便利だなー。」


 これは自分の欲しい錬金術に必要な器具を魔力を消費することで作ることが出来るという能力だ。この力は錬金術のスキルを持っている人だけが使えるのだが、この力単体に技名がついていたり、スキル名がついているわけではなかった。これはあくまで錬金術というスキルに付属している能力であるためだ。

 ちなみにステータスペーパーで錬金術のスキルを調べると、以下のような内容だ。


 錬金術


 ・魔法陣無しでの錬金が可能になる。


 ・錬金の成功率が上がる。


 ・錬金した際に品質の良いものが出来やすくなる。


 ・魔力の消費で錬金器具を作り出せることが可能となる。



 ざっと説明するとこんな感じだった。このことは昨日のうちにあらかじめ予習して公人は知っていた。だから本当に出せるかどうかやってみたのだ。

 公人は早速出した器具で重さを量り、千切ったりして重さを調節していく。

 数分後、公人は量り終えた材料を目の前に置き大きく深呼吸をする。


「よし!」


 最後に声を出し、自分に気合を入れる。そして両手に血液を集めるイメージを始めた。

 魔力は自分の体に流れる血を特定の部位に集めるイメージをすることで集めやすくなる。このことはステータスペーパーだけでなく本にも書いてあった。

 意識を集中し始め少しすると、両手が何かの粘液にでも覆われているように感じてきた。


 なんだか泥の中に手を突っ込んでる感覚に近いな。


 そのまましばらく意識を集中していると公人の両手は少し青白い光を帯びだした。


「これが・・・魔力なのか?」


 意識を手に集中したまま公人は手をまじまじと眺める。とても不思議な色をした光に暫し心を奪われ眺めてしまうが思い出したかのように首を振り、意識を取り戻す。

 

「おっと、眺めてる場合じゃない。さっさと錬金に取り掛からないと」


 ステータスペーパーに書かれていたように両手を材料の前に突き出す。

 今度は手に集まった魔力を材料に送るイメージを始める。2つの材料が公人から受け取った魔力に包まれる。しばらくしそれは突如光を放った。


「っ!!」


 急な光に公人は目を眩まし、反射的に両手で自信の顔をかばう。急に強い光を見てしまったために視覚をしばらく失う。少しずつ視覚に色を取り戻してくる。ようやく少し見えるようになったので材料があったはずの場所に目をやる。

 そこにあったはずの材料は消え、その代わり小さな小瓶が置かれていた。


「出来た・・のか?」


 公人は恐る恐る小瓶に近寄る。

 指で小瓶をつまみ、部屋の光に小瓶を照らし、中身の色などを確認する。


「色は・・・雑貨屋で売ってた回復薬とあまり変わらないみたいだな。」


 それを確認するとどこかやり遂げた気持ちが出てきて、溜息が1つ漏れる。

 しかし、色が同じだからといって味や効能が同じとは限らない。問題は次だと体にもう一度気合を入れ、小瓶に向き合う。


「取り敢えず・・・舐めてみるか。」


 そう決心し、公人は黄緑色をした液体が入った小瓶を開ける。キュポンという音を出し、開けた小瓶からは【薬膳キノコ】の物と思われる果実のような香りが広がる。その匂いを感じ、これならいけそうと思い舐めるというプランを変更し、飲んでみることにした。

 公人はゆっくりと口をつけ少量その液体を口に含ませる。


「ッ!!」


 その瞬間、口いっぱいに甘い味が広がった。リンゴのような甘みとミカンの酸味、バナナのようなまろやかな味だった。感覚としてはフルーツジュースを飲んでいるのに近いと公人は感じた。そしてそれを飲み込むと今日の疲れが嘘のように抜け、気だるかった体が軽くなるのを感じた。

 その美味さと心地よさから残っていた分も全て口に流し込む。全てを飲み干し一気飲みして乱れた呼吸を整える。そして落ち着いたところで小さくガッツポーズをし、一言呟く。


「これで僕も皆の役に・・・。」




 その後、公人は4回ほど回復薬を作ってみた。正確には最初のも含め5回分の錬金しか魔力的に無理だったわけだが、その中で公人は少しだが自分のスキルについて理解した。まず、最初の光の事だがあれはどうやら魔力の込めすぎによるものだったようだ。2回目3回目と重ねるごとに魔力の出力を押さえて作ってみたのだがそれに応じて、光量が抑えられていき5回目のころには手元を照らすほどの光量に抑えられていた。

 次に、自分の出来る錬金の数についてだ、最初の方に無駄遣いで魔力を使ったことを踏まえても6か7回しか今の所錬金は出来ないというのが公人の考えるところだった。


「うーん、この分だと1日で作れる量は全員分1回分と呼びに1,2個といったところか。もう少し増やせないのかな」


 錬金は成功したもののまだまだ数をこなすことが出来ないので少し、対策を考えなければと思案顔になる。しかし、ほとんどの魔力を使ったことで少し、寝不足のようなふらつくような感覚を覚えた。これはいかんと考えるのをやめる。


「ま、それは明日考えるとして今日はもう寝よう。」


 その後、公人は布団に入りものの数十秒で眠りにつく。

 その寝顔は穏やかなもので公人の肩の荷が少し下りたというのを理解するには十分すぎるものだった。

 

3時ごろにまた上げます。

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