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未熟な考え

「どうしたソラン?」


国王は勇者に向けていた剣先を降ろしソランへ振り返った。


「父上、お言葉ですが……勇者を殺すのはまだ早いかと思います。おそらく装備について何らかの情報を隠しているはず」

「だとしてもだ、こいつは適当なことしか答えないぞ?」

「やーね、こんな正直者を詐欺師扱いするなんて」


隙あらば煽る勇者。


「私がその情報を吐かせてみせます」

曇った顔でソランが呟いた。


「へぇ〜」

目を細める勇者。

「ほぉ…」

目を見開く国王。


ソランの発言に対し思わず声が漏れる勇者と国王。


「よく言ったソランよ。それでこそだ…勇者の扱いはお前に任せる」


自分の息子の成長が嬉しいのか国王はニタニタと薄気味悪い笑顔を浮かべる。

そして剣を兵士に預け、兵士とともに地下牢から出て行った。


地下牢に残った囚われの勇者と華奢な王子。


「親も親なら、子も子ですかい。昔から蛙の子は蛙ってね。

お兄さんガッカリだ。それより聞きたいんだが何故さっきオレを助けた?」


「あなたが装備のありかについて詳しく知っていると思ったまでです」


「…違うね。あんたは自分の前でオレが死ぬのを見るのが怖かった…ただそれだけじゃないのか?」


「そんなことはありません」


「装備のありかを吐かせるなんて…後付けでしょ?あんたが国王を止めるにはもってこいの理由だ」


「見当違いです」


「じゃあ、ここからはオレの独り言だ。装備は国王が今最も欲しがってるものだ。それをあんたも知ってる。あんな状況で装備のありかなんて言葉を持ち出したら…あの場を治めるには(自分が吐かせる)と言うしかないよな」


「………」


「あんたが吐かせると言ったから、さっきオレは殺されなくて済んだ。ただし言ったからには、尋問、拷問、半殺し、あらゆる手を使ってでもオレから情報を聞き出さないといけない。出来ませんでしたでは済まないはず…」


「………」


「あんたにその覚悟があるのかな〜?と思ってね。まぁ、あんたが拷問好きのサディストだったらオレの見当違いだが…だとしたらあんな曇った顔するわけないか」


「………」


「自分の自己満足でオレを助けたことで、まさか自分が非人道的なことに手を染めるようになるとはな〜…思ってなかっただろうな。まぁオレにとっては生きれられる時間が少し延びただけ…拷問でも何でも一緒だ」


「じゃあどうすれば良かったんだ!!」



良い反応だ。

おそらく精神的にきているはず。

演技とは考えにくいな。

ここでソラン王子さえ取り込めたらここからの脱出も不可能ではなくなる。

あと、もういくつか材料がほしいところだ。


「いっそ見殺しとかアリだったんじゃない?自分が死ぬわけではないし。罪悪感なんてすぐに消える」


「人が死ぬところなんて見たくなかった!けど、自分も辛い想いはしたくなかった!」


「優しいんだな。いや、人によってはそれを未熟という奴もいるな…リスクは負いたくないがメリットは得たい…甘い考え。ただその甘い考えで行動したあんたのおかげで良くも悪くもオレは生きてる」


「何が言いたいのですか!」


怒りとも不安ともとれる震えた声でソランが尋ねる。


「言った通りだよ。それよりあんた、国王が何のために装備を集めているか知ってるかい?」


「そ、それはこの先もし魔王が復活した場合、新たな勇者に渡すためと聞いています」


静かにソランが答える


「現勇者がここにいるのに?」


「あなたは勇者だが人々の間では元の世界へ帰ったことになっています」


「ならオレを拘束している理由は国王からなんて聞いてる?」


「勇者としての力を悪用しこの国を乗っ取ろうとしたため…と聞いています」



無茶苦茶だなあの国王。

それを鵜呑みにするソランも危機感ない奴だ。


「良いか!あいつがやろうとしていることはな……





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