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国王直々の手厚い労い

初投稿です。定期的な更新を目指します!

よろしければ感想を書いて下さい!

「なかなか、手厚いもてなしっすね。この世界を救った勇者様を地下牢に閉じ込めてさらに冷水までぶっかけてくれるなんて」


皮肉交じりに若者がつぶやいた。

若者は部屋の壁に貼り付けられ、四肢をくさりで繋がれ、身動きが取れない状況だった。


「この度はご苦労であった勇者よ。魔王の盗伐、

魔王城の破壊、これで魔物達の数も減り、やがていなくだろう」


「ハッ!ありがたきおことばでどーも。その件を詳しく報告するためおーさまの前で跪きたいから、鎖外してくれないっすかね?こんな格好では失礼にあたるでしょ?」


若者はうつむきながらつぶやいた。


「気を遣わなくても良いぞ。そなたは勇者だからな。

たとえ、国王といえど勇者には敬意を払わなければならない。そのままの格好で結構。それより、いくつか聞きたいことがある」


勇者と呼ばれた若者が顔をあげた。

勇者の目に映る国王の姿。

醜く肥えた体。

その体にこれでもかと宝石が散りばめられた服、

すべての物に対して自分が上という優越感があるのかニタニタとした笑み。

勇者にとっては何もかもが不快だった。


「城下町にある酒場の看板娘が欲しがってるものですか?それとも宿屋の1番下の子?」


「黙って聞かれたことだけに答えて欲しい。世界の英雄を傷つけるのは心苦しいからな」


「あー!わりぃーっす!確か、おーさまソッチでしたね!宿屋の主人はどっちかって言うと華奢なほうが良いらしいっすよ。そんな風に肥えた体よりかはね?」


おどけて答える勇者。


「次にふざけたことを言うと、本当に勇者様を傷つけなければならない。では、最初の質問だ。魔王を倒したときに身に付けていた武器と防具はどこにある?」


勇者が身に付けていたものは、

剣、盾、鎧、そして靴だった。

勇者はどれもすべて、魔王との戦いのあとに隠した。知っているのも仲間達だけだ。

その4つの装備品には精霊の加護が付与されている。

国王はその加護の力を欲しがっていた。


答え辛いな…

失くしたと言ってこいつが信じるか?

それは考えにくい…執拗に聞いてくるはず。

仮に信じた場合だ。

だったら用なしと言って殺しにかかる可能性もある…

次に正直に隠したと言った場合、

おそらく隠した場所を吐くまで拷問…

それか、この後オレを解放して泳がしてから……

いや、こいつの考えにそれはないな。

半分嘘ついて半分信実を言うか。


「魔王に封印されたよ。奴が生き絶えるときに一緒にな。オレを道連れにするため最後に呪いを掛けたらしくてな。装備がオレを守って光になってどっかに飛んで行った。世界中探せばどこかにあるんじゃない?

まぁ、お言葉ですがサイズは合わないとおもいますが」


「減らず口め。ということはだ、装備はまだこの世にあるのだな?」


信じたか?

ずいぶん余裕があるな、それともただの馬鹿か?


「あるんじゃないの?」


「そうか」


ニタニタと笑いながら国王が頷く。


「では次だ。仲間達はどうしてる?」


それは知らない。

仮に知っていても絶対に言わない。

魔王の城を出たあと、結構な期間ずっと一緒にいたけどその後はな…


「知らないな」


「そうか」


質問の意図がわからない。

なにを考えているんだ?


「質問は以上だ。また、会いにきますよ勇者様」


「待て!オレも聞きたいことがある。オレを捕まえてどうするつもりだ?」


「勇者様を捕まえたのは装備が欲しいからですよ。

それさえ、手に入ればあなたは用なし。その後処分しますよ。異世界から召喚された勇者様は見事魔王を倒し、そして異世界へ還っていった!表向きにはね。

勇者を召喚した我が国は讃えられ、国王会議でも大きな発言力、影響力を持つことになる。その後は…わかりますよね?」


そう言って、国王は地下牢から出ていった。






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