新たな朝
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
〈んん~~、、、〉
寝覚めとしては悪くない、強いて言うなら喉が渇い
ているぐらいだ…
頭が痛くもなければ気持ち悪い訳でもない、ひとえ
に、あの時点でストップをかけてくれた浜崎のおか
げと言える…
あのまま飲み続けていたらメイク落としはおろか、
自分の足で帰宅出来たかも怪しい…
トテトテと洗面所まで歩くと、鏡で自身の顔を確認
すると、思った通り顔色が優れない
〈これは、、アレだな!〉
以前から試してみたかったメイク…そう!二日酔い
メイクだ、二日酔いメイクとは、その名のお通り!
まるで二日酔いの時を思わせる可愛くも色っぽい、
そんな雰囲気を醸し出すメイクの手法だ
以前から興味はあったが、実際に試してみた事はな
い、わざと崩れた感じを出しつつも、崩し切りはし
ないでナチュラルメイクをさらに少し薄くしたよう
な、そんなボヤッとした理解が晴子のイメージだ
洗顔し化粧水を ”これでもか!” と馴染ませる
いつもより手の平が頬に吸い付く感触を館Jいなが
ら、すぐさま美容液、乳液と与えた潤いにフタをす
る…
ベースメイクは肌ツヤが肝心!との事で以前佳澄に
選んでもらったパール入りの化粧下地を選択!
チークは普段より少し赤みがかった配色、眉毛はし
っかりと書きすぎず、さらに輪郭をボカす
アイシャドーは極薄!ほとんどはペンシルで輪郭を
ハッキリと仕上げ過ぎない
コンセプトとしては理解しているのだが、サジ加減
が非常に難しいのだった
悪戦苦闘する事30分…
〈出来たぁ~~~!!〉
鏡を見やりながら右へ左へと自身の顔をマジマジと
眺める…
これで良いのだろうか???
完成形のイメージがぼんやりとしているので自身で
は判断が難しい…
まぁいいか♪ 皆に意見をもらおうっと!
そう割り切っていそいそとお弁当作りに向かう
いつもはスキンケアをしてからお弁当→朝食→メイ
ク、と流れるのだが、今日は勢いでメイクを済ませ
てしまった、朝食は軽めの物で済ますとしよう
実は昨日はお酒を飲みに行く予定だったので、あら
かじめお弁当の具材を仕込んであるのだ!
後はそれ以外の当日仕込みのおかずを作れば良いの
だ!
キッチンに立つと、まずは玉子、白だし、薄口しょ
うゆ、を用意し、玉子は小さめの深皿に割入れる
カラザを取り除き白身を切るように混ぜながら用意
した調味料を混ぜ合わせる
同じ深皿をもう一つ用意すると、ザルで卵液をこし
ながら移し替える
自己流で何度作っても出汁巻玉子に白身の層が出来
るな~と思っていたら、エミに
「ザルでこしてる?」
と聞かれた、どうやらこれが答えだったようだ(笑)
それ以来、すっかりお店のような真っ黄色のキレイ
な出汁巻玉子が出来るようになった
あとは豚肉のスライスを味噌に漬けてある、これを
炒めて、焼き上がる直前に刻みネギを入れて火を止
める…ニンジンしりしり、解凍したスナップエンド
ウ、そして!昨日の夕方仕込んでおいた一夜漬け!
大根をイチョウに切り、ジップロックで塩コンブと
少量のごま油で漬けた物だ…
試しに一欠け摘まんでみると、、、
〈わ!コレ美味しっ♪〉
思った以上に美味だった、コレは少し多めに詰めて
皆に振舞おう!
今日のお弁当はこれで完成だ!昨夜仕込んでおいた
だけあって時間もいつもの半分ちょっとで出来上が
った!
よしよし!飲みに行った次の日にしちゃ上出来♪
思いのほか美味しそうな見た目に思わず写メを撮る
今日は勢い余ってメイクを済ませてしまった…
面倒だが朝食抜きは晴子の主義に反する!健康の秘
訣は朝食から!
ここは諦めてリップ周りはやり直す事としよう…
まぁ外出時の食後と考えれば良いだろう、昨日の酔
いどれ状態でのメイク直しに比べれば随分マシだ…
カップスープに、冷凍赤魚の切り身の焼いた物とブ
ロッコリーを刻みマヨネーズで和えた物をトースト
に乗せて焼く、以前にも作ったがこれがやたらと美
味しい!
焼き上がったトーストを包丁で4等分して完成だ…
ザクザクとしたトーストの上の赤魚とブロッコリー
のマヨネーズ和えが、香ばしく少し焦げた部分を一
齧り…
〈ん~美味っし~♪〉
勢いよく食べ進め、アッと言う間に完食してしまっ
た…
食器を洗い場で漬け込むと、洗剤を少し垂らして混
ぜ込む、夕方帰ってくれば食器の油汚れもバッチシ
落ちている訳だ…
〈さぁ行こうっと!♪〉
元気よく玄関の扉をくぐると、晴れやかな朝の陽光
の下で晴子を待ちわびるかのようなAPEの姿が目に
入る
〈最近お留守番が多くてゴメンね…〉
タンクバッグを装着しながらAPEに何となく詫びる
と、スタンドを外して駐輪所から引き出す
昨日一日乗っていなかったにも関わらず、一発でキ
ックスタートに成功し、調子の良さを感じさせる
チョークを戻すとアイドリングもすぐに落ち着く…
(よしよし!今日も絶好調ね♡)
ギアを一速に入れると、アクセルを開けて発進する
愛車の機嫌の良さに思わず微笑む
一速での発進時、暖気が不足していると、クラッチ
ミートの際にグズって加速しなかったりするが、カ
ブりも無く軽快な吹き上がり!
以前に須賀が言っていた言葉が最近になって体感さ
れる
【乗ってやらなきゃダメなんだよバイクは!】
まさにその通りで、長期間不動で放置されていたバ
イクはガソリンが腐ってしまったり、キャブの分解
洗浄が必要になったり、バッテリーが上げってしま
ったり等、バイク自身にとってもあまりよろしくな
い…
やはり持ち主が定期的に乗ってやり、手をかけ、異
常を把握し、常に手を入れて可愛がってやる
それがバイク自体を長く維持する事にも繋がるのだ
今なら分かる、須賀が、どれだけの愛情をもってA
PEを維持してきたのかが…
(今度須賀さんにオイル交換の仕方教わろうっと♪)
晴子にとってはAPEの維持にかかる手間や時間、そ
れらも含めて大事な趣味の時間であった
こうして通勤でAPEを走らせる時間も、今の晴子に
とっては欠けがえのない趣味の時間なのだ…
信号待ちで停止していると、後ろから見慣れたヘル
メットを被ったライダーが近づいて来るのが見えた
『おはようございま~す』
セローが横に並ぶと元気なミキの挨拶が飛んで来る
〈おはようミキちゃん!〉
シールドを上げつつミキに挨拶すると、すぐさま…
『アレ!?晴子さんなんだかメイクが違う!』
ヘルメット越しでも即座に晴子のメイクの違いに反
応する、なんともメイクのし甲斐があると言うもの
だ…
〈青だよ~ミキちゃん!〉
そう言って晴子は不意打ちでAPEを発進させる
『ま、待ってくださいよ~~』
すぐさま追いかけるミキ、なんとも楽しい平日の始
まりだった
『二日酔いメイク??』
〈うん、実際に二日酔いではないんだけどね、それ
を意識したメイクスタイルって言うか…〉
と、そこへエミが到着する…
TWを滑り込ませるとヘルメットを外しながら
「おはよ~ハルちゃん、ミキちゃん!」
『おはようございますエミさん!』
〈おはようエミちゃん!〉
と、晴子の顔を見るやすぐさまエミが
「わ!ハルちゃんそれ!?二日酔いメイクってやつ
?」
『わ~すぐ分かるんですね!?』
さすが勉強熱心なエミだ、二日酔いメイクのコンセ
プトも理解している…
「下地はだうぶ薄めなんだね!ふむふむ、アイシャ
ドーどのくらいで収めたの?アタシもやってみた
んだけどさぁ…」
食いつきがスゴイ…熱心なのは知っているがこれほ
どとは…
〈あ、アタシも初めてで、よ、良くは分からないん
だけど…〉
「え~初めてなの!すご~い!上手~♪」
エミが手放しで褒めてくれるのなら及第点ではある
のだろう、アレやコレやと、二日酔いメイクのコツ
などについて話し込んでいるところへ…
〘おはよう、みんな!〙
浜崎が通りがかった…
「おはようございます」
『おはようございま~す』
元気に挨拶を返す2人、それに続いて…
〈おはよう、、、ハマちゃん…〉
一拍ほど開けてのぎこちない挨拶…少々の不自然さ
が残りつつも、浜崎との関係は会社でも崩さないと
決めたのだ、、、、これがその第一歩!!
「大丈夫?何か二日酔いみたいになってるよハルち
ゃん?」
親しみを込めて呼び合う2人…
それを目の当たりにしたエミとミキは、晴子と浜崎
の顔を交互に見やりながら、2人のやり取りに聞き
入っている
〈ちょっと二日酔い気味でね~~(嘘)〉
〘え??大丈夫?仕事出れる??〙
〈アハハハ!ウソよウソ!これはこういうメイクな
の!わざとよわざと…〉
〘な~んだ、、昨日のお酒がまだ残ってるのかと思
ったよ…〙
親密そうに見える2人、何がどうなっているのだろ
うか?エミには分からなかった、口を開きかけた時
エミよりも先にミキが口をはさむ
『お、お、お2人は随分親しそうですね!?』
ミキに問われてキョトンとする2人、答えようとす
る晴子より先に浜崎が口を開いた
〘そうだね、ハルちゃんとは仲良くしてるよ♪〙
ハッキリと言い放った浜崎の顔は晴れ晴れとしてい
て、誰に何の遠慮が要るものか!とでも言いたげだ
った
〈そうね~、由貴さん紹介したり、ヘルメットとか
カッパの買い出しに付きあったり、割と仲良いの
かもね♪〉
「そうなんだ…ビックリ!?」
結果からしてみると、別段これといって構えるほど
の事も無かった、エミもミキも晴子と浜崎の関係性
をアッサリと受け入れ、すぐに順応するのであった
『あぁ、じゃあ由貴さんが ”堅苦しいわ” ってイ
チャモン付けたのが始まりですか?』
〈そうそう、それで困ってるハマちゃんが面白かっ
たからアタシも ”ハルちゃんで” ってね♪〉
「でも、なんか良いね!そういうのって…」
〈うん、昨日正直に言ったの ”会社で遠慮して呼
び合うの何かイヤ” って〉
『昨日?デートですか!?』
〈うぅん、デートは一昨日、いっぱい楽しんだか
ら昨日はそのお礼にゴハン奢ったの〉
そう言ってロッカーを閉めるとササッと職場へと
向かう、追いすがるようにミキがついて来るが、
この話題をこれ以上掘り下げるつもりは無かった
ミキもそれを察したようで以上は詮索してこない
こういう所が気が合う仲間、と言える…
エミは元々そういった詮索はしない主義らしく、
何かの相談に乗ってもらう時以外はあれこれとプ
ライバシーには立ち入ってこない
何とも居心地の良い仲間たちだった…。
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




