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晴子の大作戦②

日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです

仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを

肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが

なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます

温かい目で読んでいただければ幸いです。

 〈そこ右に曲がって…〉

 言われる通りに横道へと右折する浜崎、薄暗かった

 通りが、その一角は明るく照らし出されていた

 そこは居酒屋「風車」、晴子の家からもほど近く、

 歩いて帰れる範囲だ、そして居酒屋としては規模が

 大きく、各テーブルには鉄板も設置されており、家

 族連れなどは焼肉屋のような用途で訪れている

 ドアをくぐると外からは想像つかない程の喧噪に包

 まれた…

 ‹いらっしゃいませ~♪›

 愛想の良い店員の挨拶に迎えられ人数を聞かれる

 〈2人です…〉

 小さな声でそう答えると ”こちらへどうぞ!” と

 店員が席へと先導する

 ‹ご注文が決まりましたらこちらのタブレットで入

  力して下さい、不明点がありましたら遠慮なく、

  そちらの呼び出しボタンでお呼び下さい›

 そう言って店員は去ってゆく

 晴子は無言でタブレットを手にすると、迷う事な

 く生ビールの中ジョッキを2つ入力する

 あわてて浜崎が

 〘ちょっとちょっと、僕、今日は車だよ…〙

 そう言う浜崎だったが

 〈アタシたち大人だよ!デートするならお酒だっ

  て飲みましょうよ!アタシが代行呼ぶから!〉

 そう言って晴子は強い目で浜崎を見つめる

 〘分かった、でも代行の代金は僕が出すから!〙

 〈っ、、、、〉

 晴子は口を開きかけたが、それで浜崎が気持ち良

 く飲めるのなら、と言葉を飲み込んだ…

 〈分かった、じゃあ注文しようか♪今日は何が食

  べたい?〉

 〘色々あるんだよね?メニュー見まわそうか〙

 二人でメニューを見ながら、アレも良い、コレっ

 てどんなだろ?と、盛り上がりつつも、お通しの

 枝豆だけでは寂しい、と言う事でさし当たってネ

 ギマと揚げ出し豆腐を注文した

 〈ハマちゃん遠慮しないでね、今日は昨日のお礼

  なんだから〉

 〘うん、分かった!〙

 素直にそう言ってくれたが、遠慮深い浜崎は果た

 して自身が満足いく程注文してくれるだろうか?

 そうこうしている間に、最初の中ジョッキがテー

 ブルへと届けられる

 〘来たよハルちゃん!〙

 と、ジョッキを晴子に手渡す浜崎、これまでもそ

 うなのだが、浜崎はレディーファーストと言うか

 常に晴子を先に立ててくれる…

 〈ありがとハマちゃん♪〉

 機嫌よくジョッキを受け取ると、浜崎の顔の前へ

 とかざす

 〈何にか分からないけどカンパ~イ♪〉

 〘カンパイ!〙

 そう言ってジョッキを当ててくるのも晴子のジョ

 ッキのやや下…

 (あぁ、こういう所なんだなぁ…)

 と浜崎に惹かれる訳を自己分析する…

 一気にジョッキの1/3程を飲みつつ

 〘あ~~美味しいね♪〙

 とニッコリ微笑む浜崎、どうやら飲むのは嫌いで

 はないようだ

 自身もジョッキを少し開けた後

 〈ハマちゃんはお酒は強い方?〉

 と尋ねると

 〘特別強い方でもないけど逆にすごく弱い訳でも

  ない…〙

 と、ここはイメージ通り、といった答えが返って

 きた、あまり多く勧め過ぎない方が良い、という

 事であろうか?

 そんな事を考えつつも、抑え過ぎてもつまらない

 な、とも思えた…

 ネギマと揚げ出し豆腐が提供され、空きっ腹にビ

 ールと共に流し込まれる快感が、何とも言えず心

 地よい、その後もイカの姿焼きチーズ乗せや、ス

 ンドゥブチゲなど、あれよあれよと注文している

 うちに、いつの間にやら晴子は5杯目のジョッキ

 を空けていた…

 〘ハルちゃん…ずいぶん飛ばしてるけど大丈夫?〙

 あまりのピッチに浜崎が心配して声をかけるが

 当の晴子はせせりの串を齧りながら

 〈だいじょ~ぶ!飲まなきゃ出来ない話だってあ

  んのりょ~〉

 と、少し呂律が怪しくなっている…

 (あまり無理はさせられないな…)

 そう思った浜崎は、コソッとウーロン茶を注文す

 る…

 〈ハマちゃんのんれる~??〉

 いよいよ限界くさい晴子の様子に、浜崎としては

 (そろそろお開きにするかな…)

 と決意したのだが、当の晴子は

 〈次は何のみゅの~??んん??〉

 と、すっかり上機嫌でまだ帰る気はないようだ…

 〘もう飲まないよ、この後ハルちゃんをちゃんと

  送らないといけないからね…〙

 と、キッパリ断りを入れる…

 この店のラストオーダーは25時だ、ハルちゃんを

 送り届けてから代行を呼んでも十分間に合う

 時刻は21時30分…

 〈えぇ~~~!?もうお開きらのぉ?〉

 そう言って晴子はゴネるが、浜崎は…

 〘ハルちゃん、せっかくビシッ!と決まってるの

  に飲み過ぎて前後不覚じゃ台無しだよ!〙 

 浜崎にそう言われて、初めて晴子は自分が飲み過

 ぎている事を自覚した…

 急に羞恥の心が沸き上がって来る…

 〈ちょっと、トイレ…〉

 そう言ってトイレへと逃げ込むのがやっとだった

 やってしまった!話をするのにお酒の勢いを借り

 よう!と安易に考えたのが間違いだった…

 だが今さらもうどうしようもない、、、

 この上は、恥の上塗りだけは避けねばならない…


 少し化粧崩れした部分を直していると、すっかり

 酔いも覚めて来た…

 〈よし!バッチリ!!〉

 食い入るように鏡に見入ってメイクを直していた

 晴子を、大学生くらいの女子たちが遠巻きに眺め

 ていた

 そちらに晴子が目をやると、何故か親指を立てて

 GOODサインをくれるのだった!

 なんだかいたたまれなくなり、そそくさとその場

 を後にする

 〈おまたせ~ゴメンね、なんだか…〉

 そう言ってはにかむ晴子だったが、浜崎は裏腹に

 〘大丈夫?気分が悪くはない?〙

 と心底心配した表情で聞いてくる…

 申し訳ない気持ちでいっぱいになり…

 〈本当ゴメンね、学生みたいに下手くそな飲み方

  しちゃってっ…〉

 〘いいよ、ハルちゃんが楽しかったなら何よりだ〙

 そう言って笑う浜崎がウーロン茶とアイスを注文

 してくれていた…

 なんともソツなく、そして今の晴子にとってあり

 がたかった…

 二人でアイスを食べながら

 〈大丈夫ハマちゃん?ちゃんと満腹になった?〉

 〘十分十分!いつもより食べ過ぎなくらいだよ〙

 と、少しギクシャクしたやり取りをしつつ、どち

 らともなく ”出ようか” と席を立つ

 会計だけは譲らず本日はキチンと奢らせてもらっ

 た!と、言っても浜崎がストップをかけなければ

 、それすらも危うかったかもしれない…

 結局、1人で帰すのは心配だから、と浜崎が連れ

 添って家路を歩く事になった

 道すがら、浜崎に少し説教じみた事を言われた…

 〘ハルちゃん、男の人と飲む時は、もうちょっと

  気を張った方が良いと思う…〙

 今日の体たらくでは言われてもしょうがない、、

 が!!言わずにはいられなかった…

 〈アタシはっ!!!〉

 言いかけて少し、迷いが生じる、、でも…

 〈アタシは好きでもない男とご飯にも行かないし

  、ましてやお酒なんて飲まない!〉

 言いながら歩みを停める事が出来なかった…

 どんな顔をしてよいか分からない、浜崎と目を合

 わせる事が出来なかった…

 〘ゴメン、、説教くさかったよね、悪かった…〙

 そう言い浜崎は頭を下げる

 違う、ハマちゃんは悪くない、言いたかった事も

 これじゃない!

 、、、、、、、、、、

 〈ホントはね…今日話したかった事は別にあった

  の…〉

 〘それは、、?〙

 〈前にも言ったでしょ、周りがどうでもアタシと

  ハマちゃんには関係ないって…〉

 〘うん?〙 

 〈だからアタシはハマちゃんを会社でもハマちゃ

  んって呼びたいし、アタシの事もハルちゃんっ

  て呼んで欲しい!〉

 〘え??そんな事なの??〙

 〈そんな事って!?大事な事だよ…〉

 〘そっか~全然構わないよ!むしろハルちゃんに

  迷惑かと思ってた〙

 〈アタシは全然迷惑なんかじゃない!〉

 〘分かった!じゃあそうしよっか〙

 驚くほどアッサリ浜崎は晴子の申し出を受け入れ

 た、こっちは ”これでもか!” と準備して臨ん

 だのに…何ともアッサリしたものである

 〈ホントにいいの………?〉

 自分から言い出しておいて、自分でも何とも訳の

 分からない事を言っている

 〘うん、いいよ!〙

 屈託なく笑う浜崎、そうなのだ…浜崎に限って、

 無理に笑顔を取り繕っていたりはしないのだ

 〈アタシ…免許の時の話と同じで…皆の前でもい

  つもと変わらない態度で居たかった…〉

 〘そうだね、僕もちゃんと打ち明けてから会社

  がますます楽しくなったよ!〙

 〈やっぱり今日は来て良かった♪〉

 そう言って満面の笑みを見せる晴子を見て、柄

 にもなくドキッとする…

 晴子とお出かけするようになって、会社では見

 た事のない一面を何度も見ている

 昨日可愛らしかったと思えば、今日は圧倒され

 る程キレイだったりするのだ 

 かと思えば、ついお酒を飲み過ぎてヘベレケに

 なってみたりと、本当に飽きない、そして…

 なんとも愛らしい…

 ……………………

 〈着いたよ、ここがアタシの家…〉

 酔いどれの晴子の足に合わせてゆっくりと歩い

 て来たが、それでも10分もかからず着いてしま

 った…

 晴子を無事に家に送り届けるのが本来の目的だ

 ったのだが、何だかこの時間が終わってしまう

 のが惜しいような、そんな気分…

 それは晴子も同じ心境で、後半なるべくゆっく

 りと歩いていたのだが止む無く家へと辿り着い

 てしまった…

 〈もう大丈夫だから、わざわざゴメンね…〉

 そう言って手を振る晴子、名残惜しくもその晴

 子に手を振り返し

 〘おやすみ、ハルちゃん…〙

 と寂しげに挨拶を返す

 〈うん、おやすみ、、ハマちゃん…〉

 寂しい気持ちはこちらも同じ…

 互いが互いに惹かれ合っている、なのに決定的

 な一線を越えられずにいる

 どうにこうにも厄介な社内恋愛というジレンマ

 APEのシートに横座りすると、ハンドルに突っ

 伏して唸り声を上げる

 〈あ~もうっ!何やってんだアタシ!!〉

 常にちゃんとすると誓った!メイクも頑張った

 服だっていつもの倍はオシャレに決めた!

 だが、肝心の酒席での振舞いがあれでは……

 穴があったら入りたい気分だった

 そうする事数分…

 〈よし!お風呂入ってメイク落として寝よう〉

 反省はした!もう醜態は晒した後だ、、

 考えても解決しない問題は後悔しても始まらな

 い、結果として明日からは会社でもお互いに普

 通に呼び合えるのだ!

 切り替えて前向きに行こう!!

 スックと立ち上がると自室へと向かう

 〈明日からまた頑張ろうっと!!〉

 カラ元気、されど晴れやかな平日の夜だった。 















































 





 






 










 

今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります

多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が

ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい

メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は

「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。

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