晴子の大作戦!①
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
その日の業務が終わり、駐輪場でワイワイと話し込
む3人…
お弁当、コスメ、話題は尽きないが、不意に浜崎が
通りがかると
『あ、浜崎さんおつかれさまです!』
「おつかれさまです!」
〈おつかれさまです…〉
〘おつかれさま~〙
少し元気のない晴子の挨拶に、やや怪訝な表情をし
ながらも駐車場へと歩いてゆく浜崎…
(なんだか様子が変だったなハルちゃん…?)
そんな違和感を抱きつつも、楽し気な3人の邪魔を
すまい、と極力素通りした事を少し後悔した…
結果として見ればこれが功を奏したと言える、皆の
前では言えない理由が晴子にあるからだ…
その日の夜、帰宅してメイクを落とした後にスキン
ケアをしていたらスマホが鳴った…
キリが悪かったのでスキンケアを済ませた後スマホ
を確認すると「浜崎」の文字…
少し身構えながらも返信すると、2コールを待たず
に浜崎が応答する
〘もしもし、あ、忙しかった?ゴメンね…〙
〈うぅん、全然大丈夫だよ、メイク落とししてただ
け…〉
〘そっか~、別に何も用は無いんだけどね、ただ、
ちょっと気になって、さ…〙
〈え??何が??〉
〘いや、気のせいなら良いんだけど、ハルちゃんが
元気ないように見えたから、さ…〙
晴子は素直に驚いた…自信でも少し元気がないのは
自覚していた、だが、浜崎にそれを気取られるとは
露ほども思ってはいなかった…
〈そう見えた?〉
〘うん、なんとなく…だけどね、、〙
少しの沈黙…それから晴子にある考えが閃く…
〈ねぇハマちゃん…〉
〘うん??〙
〈ちょっと相談に乗って欲しいんだけど、今日の教
習って何時まで?〉
〘今日は7時(※19時)で終わりだよ!〙
〈じゃあ、さ、、、終わった後ちょっと付き合って
欲しいんだけど…〉
〘良いよ、僕で良ければ!〙
〈じゃあ待ち合わせ、何処にしよっか?〉
〘ハルちゃんは今自宅??〙
〈うん、まだ着替えてもない…〉
〘じゃあこないだのコンビニまで迎えに行くよ!
終わったらすぐ行くから7時30分ぐらいかな…〙
〈ホント!?じゃあ準備して待ってるね…〉
〘うん、そろそろ教習に向かうよ!〙
〈頑張って!じゃあ後でね〉
〘うん、じゃあまたね!〙
そう言って電話を終えた…
〈え、え~~~っと!?どど、どうしよっかな?〉
晴子の悩みは自身では明白だった、だが、それが
浜崎にとっては迷惑かもしれない?
この話題を切り出すには勢いが大事だ、、、
その為には、、、、、、そうだ!!!
作戦は思いついた、後は実行するのみ、だが真面
目な浜崎はこの作戦に乗って来るだろうか?
一抹の不安はあるがこうなればヤケだ!?
テテテテテテテテテテテテン♪
困った時の佳澄頼み!晴子の中ではもはや神格化
された佳澄の元へと助けを求める…
❝もしもしハルちゃん??❞
〈あ、すみません、、お仕事中ですよね??〉
❝うん、でも大丈夫よ、どうしたの?❞
〈実は………〉
晴子は昨日のデートと今日の出来事、今現在の浜
崎とのやり取りと、今日こうしたい、という内容
を佳澄に掻い摘んで説明した
❝あらあら…随分とまぁ、事態が急に展開してるの
ね(笑)❞
〈こんな場合、どんなメイクでどんな服装して行
ったら良いと思いますか?〉
、、、、、、、、、、、、
❝思いっきり本気のメイクしなさい!超マジモー
ドの!そんでもって履けなかったスカート履い
て行きなさい!❞
〈え??〉
❝メイクで先手を取りなさい!最初から自分が優
位に立つの!交渉の時はナメられたら負けよ!
大人のメイクでデートの時とは違う雰囲気で
迫力出していきなさい!❞
〈良いんですか?、、それで…〉
❝良いの!それとね…❞
、、、、、、、、、、、、、、、
〈ありがとうございました!頑張ります〉
❝うん、頑張って!それじゃね~♪❞
そう言って佳澄は電話を切ってしまった…
しばし呆然とした後、はたと我に返り時間が余り
無い事を思い出す
〈こうしちゃいられない!〉
すぐさま洗面所へ向かうと、メイクに取り掛かる
まずは洗顔、どうせなら全て最初からだ!
気合を入れて全部やり直し!
30分かけてメイクは終了した、さんざん悩んでつ
けまつ毛は持っている中で2番目に大きいサイズ
に決めた…
久々に真っ赤なリップ!それに負けない青のシャ
ドー、だが決してケバくなり過ぎぬよう細心の注
意を払った
バランスは悪くない、、ハズ…
次は服装だ!大体の候補は決まっているのだが、
これまでそれを着合わせた事がない…
メイクを見てもらうついでに来てみて佳澄の意見
をもらおう!
そう決めて晴子が選んだのは白のマーメイドスカ
ート!片方には膝元までスリットが入り、大人カ
ジュアルを演出する、トップスにはスカイブルー
のVネック、その上には白のカーディガンを羽織
る、足元はトップスに合わせた薄いブルーのサン
ダルで今回はさすがにハンドバッグを合わせる…
姿見の中の自分を改めて眺めると
(気合入り過ぎじゃ??)
と不安になる…少し時間が余った所で、佳澄に再
度、今度はビデオ通話で連絡を取る
❝もしもし、あ、出来たみたいね?❞
〈もしもし、、、完成、しました…その、、、ど
うで、しょう、か?〉
例によって右を向いたり左を向いたり、上目遣い
下向き、と様々な角度を検証される、今回はそれ
に加え、姿見の前で全体像を検証される
❝ちょっと~ひとみちゃん、可奈ちゃん、いらっ
しゃい!!ホラ早く早く!!❞
どうしました?などと声が聞こえ、2人ほどカメ
ラの前にやってきた、磯山と前原だ…
❝見なさい、ハルちゃんが全力でメイクした結果
よ!!❞
〈どうです、、、か??〉
息を飲んで評価を待つ晴子……、だがカメラの向
こうでは、すぐに歓声が上がり ”スゴイ!” ”
キレ~イ!” などと大絶賛の声が上がる
❝ホラ、これが私たちプロからの評価よ、自信持
って行ってきなさい!❞
目元がウルウルと涙を流したがるのをグッとこら
えて
〈ハイ!〉
と返事するのがやっとだった、、、
❝じゃあ頑張ってね~!!❞
佳澄の声の脇で磯山と前原が ”なんだか知らな
いけど頑張って下さい!” ”応援してます!” と
声援をくれる
画面に向かって最大限のお辞儀をすると、通話を
終える、時刻はちょうど19時…
少し早いが出かけるとしよう、久しぶりに下駄箱
から出したサンダルに足を通すと、ここ最近履き
つけていなかったせいか、少し足元が怪しい…
まぁこの歩きづらさもまた、デートの醍醐味だと
割り切ろう…
今日は開き直って最後までカッコつけてやる!
そう決めた晴子は佳澄の言いつけを思い出してい
た…
コンビニで浜崎を待っていると、そう時を置かず
に見慣れたハイラックスが車庫入れを始めていた
晴子はカツカツと小気味良い音を立てつつ、すぐ
に浜崎の元へと歩き着く…
〈おつかれハマちゃん!〉
そう言う晴子の姿をマジマジと見つめ、浜崎は絶
句しているようだ…
浜崎の顔の前で手をヒラヒラさせながら
〈どうしたのハマちゃん?〉
と尋ねると、ハッと我に返った浜崎が真顔で
〘あぁ、ゴメンゴメン…ちょっと面食らっちゃっ
て…〙
と何だか歯切れの悪い様子だ…
(効果はバツグンだ!)
とポケモンのワンシーンの様な手応えを感じつつ
”おじゃましま~す” とハイラックスに乗り込む
佳澄のアドバイスを忘れずに…
❝シックな装いの時は所作もそのように!❞
大人っぽい装いの時は、それに即した所作で臨ま
ないと台無しだ、との事だ、だから今日はゆった
りと、丁寧に乗り込む…
その効果か、浜崎は茫然と見とれているようだ…
〈どうしたのハマちゃん?〉
〘いや、あ、あの…昨日はあんなに可愛かったハ
ルちゃんが、今日はすごく、、その、、、キレ
イ、だから、さ…〙
〈ホント!?ありがと!嬉しい♪〉
晴子は内心動揺していた、辛うじて平静を装った
が、実は心臓がバクバクを脈打っている
(そうだった~!?この男はこういう事を口にす
るのに何故か抵抗がないのだ!!)
あやうく主導権を取り戻されそうな所だった…
と、いうのも、佳澄からのアドバイスで
❝せっかく本気でメイクして行くなら、相手にキ
レイと言わせなさい、それも自然に!❞
と言うものあったからだ…
結果としてアッサリとミッションクリアとなった
訳だが、何かこの男が相手だと達成感が乏しい…
まぁいい!ここは本来の目的を果たす事にシフト
するとしよう!
〘さてと、話するにしても何処かお店行こうか〙
きた!今日はそれが本命なのだ、ここで晴子はあ
る提案を浜崎に持ち掛ける
〈ハマちゃん…〉
〘なんだい?〙
晴子は浜崎を真っすぐに見つめ、真剣な面持ちで
話しかける
〈昨日はすっごく楽しかった!ありがとう!だか
ら、、、今日はアタシからのお礼、って事で晩
ゴハンおごらせて!〉
〘え、、、でも…〙
晴子のこの提案に浜崎は案の上、渋った様子を見
せる、恐らくは浜崎の性格的に女性に物を奢らせ
るのが性に合わないのだろう
ここで佳澄に伝授された必殺技を使う事にする…
〈お願い…〉
必殺上目遣い、、、今日の威力は昨日の比ではな
いハズだ!?
〘う、うん…わかった…〙
よし!これで主導権は取ったも同然だ!あとは…
〈じゃあ行先は任せてもらって良い?〉
〘良いけど、、あんまり高いとこじゃなくて良い
からね…〙
言葉の端々に浜崎の優しさが表れている、だが、
今日はそういう事では無いのだ!
〈じゃあ行こうか!すぐそこだから…〉
そう言って晴子は浜崎にコンビニを出るように促
す、行先は浜崎の予想とは違った場所のハズだが
こうなればもう断らせはしない!今日は必ず結果
を出すのだ!
晴子の堅い決意を胸に、2人を乗せたハイラック
スはコンビニを後にした…。
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




