美味しいお弁当
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
PCに向かい検索をかける、お気に入りに入れてい
る検索サイトは新車、中古問わず網羅されている
特にこれだ!と決めてしまっている訳ではないが
気になる車種は何度となく画像を見た、時にはYO
UTUBEでインプレッション動画なども参考にした
だが、これといってビビッと来るものはなく
未だに ”これだ!” と思わせるバイクには出会
えていない、だが、何となく、で通い始めた教習
だったが、今ではすっかりのめり込み、だからこ
そこれ程真剣に悩み、日々模索しているのだ
コンセプトは固まっている、釣りやアウトドアに
乗って行く事が出来て、尚且つある程度の排気量
があり、出来れば高速での移動が可能だと尚良い
砂利や未舗装の道がある程度走行でき、悪路を攻
める、とまではいかないまでもそれらの道で支障
をきたさない
そんな車種が良いかな?とは漠然と思っている
検索していると不意に
(そういやハルちゃんは何を選んだのかな?)
と気になった、晴子のコンセプトは恐らく自分と
は大きく異なるだろう、アウトドアでの走破性を
必要とはしないだろうし、むしろ市街地での利便
性の方が重要視されるだろう
取り回しなども考え、大きさ、重量の観点からも
400㏄の中型限度いっぱい、の車種より、むしろ
250㏄クラスの軽量車種を選択しそうかな?
などとかってな妄想を膨らませる
〘実際に物を見て判断するって、案外大事なんだ
な…〙
明朗快活で、大事な事は即断即決、ズバリと本質
を突き、妥協せず結果を出す、そう言った、いわ
ゆる ”出来る女性” の代表みたいなイメージが
浜崎の中での晴子像だ…
共にバイク選びに付きあってくれるとなれば頼も
しい事この上なかった
〘うん、今日はもう寝ようかな…〙
晴子と共に週末に実物を見に出かける、その事実
が、ここのところ入れ込んでいた浜崎の気負いを
和らげ、昨日よりも早めの就寝を促した
浜崎にとっての晴子、晴子にとっての浜崎…
お互いがお互いの心の支えになりつつある現状
だが、浜崎はまだそれに気づいてはいなかった…
『じゃ~ん!今日のお弁当はこれです!』
そう言ってミキが取り出したのはスープジャー
に深めのタッパーだった、エミと晴子が不思議そ
うな表情で見守っていると、タッパーの中には中
華麺、そして薬味と思われる刻みネギとチャーシ
ューをラップで包んだ物、更にはメンマまで見受
けられる
『どうです?意外でしょ』
〈でも良いねそれ!今度アタシも真似しようかな
、美味しそうだし!〉
「ホントだね!チャーシューはどうしたの?」
『コレ多めに持ってきたんで食べてみて下さい!
昨日ネット見ながら仕込んだんです!』
〈わ!?自家製なの?〉
「スゴイね!手間がかかってる」
『そうでもないですよ、鍋に放り込んだらほと
んど放置です、コトコトと…』
「麺はどうしたの?」
『あ、流水麺ですよコレ、だから朝水でほぐし
て詰めただけです』
「考えたね~、スープジャーなんて普段はお味
噌汁入れてこれるしね!」
〈夏場は冷や麦とか冷やし中華とかもアリだね
!!〉
『あ、それ頂きですね!』
「考えてるね~、アタシなんて朝パンの気分だ
ったらついでにサンドイッチにしちゃったり
、って感じだよ…」
〈アタシは和風一辺倒な感じになっちゃってる
なぁ…〉
「ハルちゃんはワッパ飯風なんて意外な弁当箱
選んだもんね」
〈え~駅弁みたいで何か良くない?〉
『確かに!駅弁チックでアガりますよね』
言いつつ広げた晴子の弁当は、正統派ののり弁
といった風情のワッパ飯、ご飯の上には海苔が
乗せられ、海苔の下には昆布の佃煮とキンピラ
が半々、おかずに半切りのコロッケとおひたし
晴子の好きな人参シリシリ、と色どりも十分だ
エミはと言うと、恒例のBOLTサンドにカップス
ープを、自身のマグカップに作っており
エミ自身の言葉を参考にするなら、今朝はパン
食だったのだろう
〖おっ!今日はみんな変わったお弁当だね〗
〘おじゃまします〙
〈いらっしゃい!〉
『「おつかれさまです」』
男子勢はこれまた色気のない食堂の日替わり定
食だった
〖良いね~お弁当!〗
〘本当ですね、毎日楽しそうだし〙
『でも作るのは一苦労です…なので今日はこれ
なんです!』
〖麺類とは考えたね、つけ汁とかはどうしてる
の?〗
『つけ汁とチャーシューはネット見て自作しま
した!』
「このチャーシュー美味しいよ!」
〈ホント!アタシ厚めのチャーシューってパサ
ついてて好きじゃないんだけどこれは美味し
いね〉
『エヘヘ、お2人も試してみて下さい』
そう言ってミキは伸一と浜崎にチャーシューを
差し出す
〖それじゃ失礼して〗
〘じゃあ僕も…〙
箸を伸ばしてそれぞれチャーシューを受け取っ
た後、口に入れた二人は
〖お!?美味いねコレ、お店のみたいだ〗
〘ホントだ美味しいよミキちゃん、柔らかくて
しっとりしてて〙
『わぁ~嬉しいです!ひと手間かけた甲斐があ
りますね』
「どうやったの?」
『ある程度煮あがった後にジップロックに煮汁
で漬け込んで冷めるまで放置です』
〈へ~、低温調理気味な感じかな?〉
「たぶんそうだね、豚肉は上手くやらないとパ
サついちゃうから、圧力鍋で煮込んで失敗す
るよりよっぽど確実かも」
『そうなんですかぁ?』
「圧力鍋だと早く炊き上がるけど、圧力抜くと
きに失敗するとパサパサになっちゃう、って
聞いた事があるよ」
〈へ~、そうなんだ!ラーメン屋さんですら厚
切りなだけでパサついてるとこあるもんね〉
「チャーシューは使い道が多いし、冷凍保存し
ておくと良いね」
『もちろんバッチリと!これでルーロー飯や焼
き豚丼、チャーハンなんかもいけます!』
〘スゴイね!みんな頑張ってるんだなぁ〙
浜崎が心底感心した様子で皆の弁当を眺める
〈アタシ普通ののり弁だしなぁ…〉
〘え!?お店の売り物かと思う程の出来じゃな
い?〙
〖ホントだよ!手作りには見えないぐらいだ〗
自分の中で ”やや手抜きだったかな?” と思
われるのり弁だったが、男子には刺さる内容の
ようだ…
「アタシのが一番普通だよ…」
『エミさんのは駅前とかで売ったら即完売です
よ(笑)』
〈美味しいよね~そのBOLTサンド!〉
そう言われて悪い気はしないらしく、エミは照
れたようにカップを啜った
楽しい昼食の時間、少し前までは、自分達も味
気なく食堂の日替わり定食を頼んでいた
もちろんそれが悪い事とは思わないのだが、こ
うして自分で弁当を作ってみると、これがまた
奥深く、冷めても美味しい、悪くなりにくい等
考慮すべき事項も多々あった
起床時間は多少早まったが、それを考慮しても
余りある恩恵がある
皆とのこの欠けがえのない時間だ!
以前は15時の休憩に持ち寄ったスイーツでワイ
ワイとおしゃべりしながら盛り上がるのが楽し
かった、もちろんそれは今も同じだが、やはり
自分たちで作ったお弁当を持ち寄り、時には交
換などしつつ、振舞い、振舞われ食事を楽しむ
ただの昼食の時間が、より一層大事な時間にな
った
〖ところで浜崎はいつ頃卒業出来そうなの?〗
伸一の質問に、皆の視線が浜崎に集まる
〘順調に行けば再来週の土曜には卒検になるか
と思います〙
『え~!?早いですね…』
これには晴子も驚いた、自動車免許を取得して
いると受講時間が短縮されるとは聞いていたが
自分たちとこれ程の差があるとは…
〘実技が17時限と学科は1時限だからね…〙
『がが、学科1時限、、アタシたちなんて20時
限以上でっ!?』
〖それはしょうがないよ、浜崎は同じだけ車の
免許の時に受けてるから…〗
『そそ、そうです、よ、ね…』
〈交通法規なんて車と一緒なんだから、そりゃ
そうなるよ、でも…1時限って、、、〉
「ま、まぁ浜崎さんは車の免許取ってからしっ
かり車社会で実習し続けてるみたいなもんだ
から…」
2人の反応を見て対処に困る浜崎にエミが助け
舟を出した
〖まぁ思ったよりずっと早く取れそうで良かっ
た、楽しみにしとくよ〗
〘無駄に落ちないように頑張ります〙
〖そういやバイクは何買うかは決まったか?〗
〘いえ、まだです、なので今週末にバイク屋で
直接物を見てきます〙
そう言って晴子の方をチラリと見やる…
〖選択肢に制限がないから良いな、モチベーシ
ョンにも繋がるからしっかり見てくると良い〗
『アタシたちでもテンション上がりますもんね
、バイク屋さんって』
「バイク眺めるの楽しいよね~」
〖エミちゃんは店に行くと長居するよね…〗
「こないだは店長さんがコーヒーまで出してく
れたね…」
一同がドッと笑った瞬間に休憩時間の終わりを
告げる予鈴が鳴った
〖さ~仕事仕事!午後からもうひと踏ん張りと
いきますか!〗
〘えぇ!頑張りましょう〙
『「〈お~~!!〉」』
元気の良い返事を皆が返し、それぞれが片づけ
を始める
まずは仕事!!趣味を全開で楽しむために、社
会人としての勤めをしっかり果たさなくっちゃ!
午後の就業に向け
改めて決意を固める晴子だった…。
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




