気づき…
GOOバイク、バイク王、バイクセンサー、数ある中
古市場の情報を漁りまくる
〈ん~、ちょっと予算的に厳しいなぁ…〉
晴子の予算は45万円…だが相場はほんのり晴子の予
算より高いのであった…
〈安いのはあるにはあるんだけど、走行距離が問題
よねぇ…〉
ここのところ密かにずっと検索している、いよいよ
中型バイクの購入に踏み切ろうと言うのだ、だが…
自身での検索ではどうにも上手い事いかない…
(そうだ!こんな時は…)
晴子はスマホを取り出すと、おもむろにLINEを開く
見慣れたパピヨンのアイコンを選ぶと、いつもの”
作戦会議”ではなく、須賀個人のLINEに連絡する
テテテテテテテテテテテテン♪
聞きなれたLINE通話の音楽、相手の応答が待ち遠し
いのは久しぶりだ
【もしもし!?】
〈あ、須賀さんっ!いきなりすみません…今って大
丈夫でしたか?〉
【あ~全然大丈夫、それにしても珍しいね?】
〈えっと、、皆に内緒で進めたい話があって、でも
自分だけだと不安なので色々アドバイスが欲しく
って…〉
【フムフム、聞こうか!】
〈実は…〉
、、、、、、、、、、、、、、
、、、、、、、、、、、、、、
【青春してるねぇ…】
〈バイクに乗り出してから、毎日がバラ色です♪〉
【それは良かった!APEも喜んでるね】
〈結構長く話し込んじゃった、夜分にすみません〉
【スピーカーで佳澄ちゃんも聞いてるからさ、ホラ
…】
❝ハルちゃ~ん、いいの見つかるように祈ってるか
らね!❞
〈ハイ!ありがとうございます〉
【って訳で、一応ツレなんかにも当たってはみるよ
、良い話があると良いけどね…】
〈いえ、もし見つかったらラッキー!ぐらいのつも
りなので、今日はコツと注意点が聞けて良かった
です、助かります!〉
【良さげなのあったらオレにも教えてよ、何なら
一緒に見に行くから】
〈あ、それいいかも!ですね…〉
【まぁバイク探す時はあれだよ、なるべく妥協しな
い事!例えば好きな色とか、気に入ってる年式と
かね…】
〈そうですね、拘って探してみたいです〉
【きっと買ってしまえば大事にはするんだろうけど
”あれにしとけばなぁ” なんて後悔はしたくない
からね】
〈えぇ、絶対イヤです!!〉
❝頑張って!不安があったらすぐ連絡して良いから
ね!❞
〈ハイ!ありがとうございます、それじゃ失礼し
ます、おやすみなさ~い〉
【またね、頑張って!】
❝おやすみ~ハルちゃん!❞
須賀との通話を終えると、晴子はすぐさまPCに向か
う、目的の車種はバイク業界でも取り扱いの数が少
なめで、出会える確率が低いと言える…
それでも愛知県内での検索で、数々の候補が見つか
る、その一つ一つを吟味してゆく晴子…
果てはジモティーにまで検索を広げるが、やはり見
ず知らずの人間と、個人的にやり取りをするのは女
の身の晴子としてはいささか抵抗があった
社外マフラー、大径ヘッドライト、カフェレーサー
仕様などなど、魅力的な文言が並ぶが、どうにも気
が進まない…
(やはり直接店に足を運ぶか!)
そう決心した晴子は、早速在庫があると思しき愛知
県内の販売店を検索し始める
すると……こないだツーリングで通った岡崎のレッ
ドバロンで在庫を発見した
〈う~ん、見に行きたいけど、仕事後からだと微妙
に遠くて困ったなぁ…〉
どうにも落ち着いて見に行くには土日の休みを利用
するしか無さそうだ
(そうだ!)
晴子にある考えが閃いた!ここ最近であれば、真っ
先にエミやミキに声をかけるところなのだが、今回
は内密に事を進めたい!
〈ふわぁぁぁ~~…〉
大きく伸びをしてベッドで身体を起こす、結局昨日
は1時過ぎまで電話してしまった…
モソモソとベッドから這い出て洗面所へと向かう
(わ~ヒドい顔…)
夜更かしは美容の敵とは良く言ったものだ、あまり
体感すべきものではないが、今後はもっと計画的に
事に当たろうと決心した
バシャバシャと洗顔を施し、佳澄のおススメのオー
ルインワンでビシッとスキンケアを済ます
忙しい平日はオールインワンやUVカット入りの下地
と、伝家の宝刀を抜きまくる晴子、効率主義だが妥
協したくない部分にはこだわりを見せる
少し頑固な一面もあった
それが使用しているコスメにも現れている、普段は
絶対に妥協はしないのだが、佳澄のおススメの時短
コスメに関しては全面的に信用し取り入れている
晴子だけに限らずだが、3人の中で佳澄は絶対的な
メイクのカリスマなのだ
スキンケアを終え、お弁当作りに入る、昼食を弁当
にしてから、基本的には弁当作りと並行して朝食も
作って摂ってしまう
最後のキンピラをフライパンから皿に移すと、茶碗
にご飯をよそって食卓に着く
〈いただきます!〉
今日のみそ汁は、以前にエミから教わったお手製の
カット野菜、キンピラ用にゴボウのささがき、ニン
ジンの細切り、レンコンのスライスなど、今では冷
凍庫は下ごしらえされた野菜のジップロックで満た
されていた
その中から、ササッと取り出して適量使用し味噌汁
に加える、本当に便利だ、今では弁当も普段の食事
も、これらを基本にサッと出来上がる
下ごしらえの手間がかかるが、それは買い出しして
きた時の必要経費の一環として割り切る
費用対効果は絶大なのだ!
食事を終えた頃には、お弁当のおかずたちもすっか
り粗熱が取れて、あとは詰めるだけ!といった風情
だ
〈これで良し!っと…〉
最近お気に入りの、わっぱ風の弁当箱に中身を詰め
終えると、いそいそと洗面所へ向かう
メイクにこだわり出してからと言うもの、このメイ
クを始める前段階がワクワクする
今日は何色にしようか?明るめ?シックに?大胆に
つけまつ毛でもしてみようか?
などと、あれこれ思案する時間が楽しい
以前はもっと事務的に、当たり障りのないメイクを
日々施し、メイクに感情移入する事など一切なかっ
た、そのため毎日毎日のメイクは、自然と型が決ま
り、それらを施すことに何の感慨も湧く事はなかっ
た、だが、今は違う!
チークの色を変えただけですぐに分かってくれる仲
間がいる、自身が使って良い物は教えてあげたくな
る、迷えば相談に乗ってくれ、どうしようもない時
には師匠にプロがいる
メイクの時間は晴子にとっての、何でもない日常の
作業の一環から一転して、楽しい時間へと変貌を遂
げた、メイクだけではない、朝起きてから、メイク
を支える下地としての洗顔、スキンケア、お弁当作
り、朝食作り、メイク、そしてAPEでの通勤、と、
日々の生活全てが色を変えだした…
楽しい!毎日が、自分でも想像できなかったぐらい
に充実している!
ガチャリ…
玄関に鍵をかけ駐輪所へと向かう、ワイヤーロック
を外していると、お隣りさんが通りがかった
«おはようございます!»
〈おはようございます〉
«これから出勤ですか?»
〈そうなんです、バイク通勤にしてから30分近く短
縮出来てます〉
«良いですね~そのバイク、可愛くてカッコ良くて»
〈ありがとうございます、とっても気に入ってるん
です♪〉
«それじゃ!お仕事頑張ってください»
〈ハイ!そちらも頑張って下さいね〉
(可愛くてカッコ良いってさ♪)
APEのタンクを軽く撫でてからタンクバッグを装着
する、しっかりとマグネットが張り付いたのを確認
すると、送ってくれた須賀夫妻に感謝しつつAPEを
押して跨る
〈さぁ今日もお願いね!〉
キックスタートを華麗にこなすと軽快なエンジン音
を響かせて発進する
今日は気持ち早めの出社だ、と、言うのも実は少し
浜崎に話があるのだ…
駐輪場の手前で待っていると、判で押したようにい
つも通りの時間に浜崎は現れた
晴子の姿を認めると、少し小走りで駆け寄って来て
挨拶する
〘おはようハルちゃん、どうしたのこんな場所で?〙
〈おはようハマちゃん!実はちょっと話があってね〉
〘うん?どうしたの〙
〈週末の教習の予定ってどうなってる?〉
〘ん~、土曜が昼過ぎから実技1回、日曜は実技なし
かな〙
〈あ、だったら、日曜に、、ね、、その…〉
少し言いよどむ晴子、それもそのはず、まるでデー
トのお誘いのようだからだ…
だがここまできて黙っている訳にもいかない!
〈アタシもバイクを見に行きたいから、岡崎のレッ
ドバロンに一緒に行かない?〉
〘良いね!ぜひ!!〙
〈ホント!?じゃあ行こう行こう!、あ、それとね
…実は…〉
晴子は事情を説明した、実はエミとミキ、由貴にも
内緒にしているのだ…
〘珍しいね、あの2人と由貴さんにも内緒なの?〙
〈そうなの…一緒に見に行けば楽しいだろうな~と
は思うんだけどね…〉
〘分かった!絶対に言わないから安心して〙
〈じゃあまた連絡するね…〉
〘うん、じゃあ日曜に!〙
そう言って手を振り浜崎と別れた、何だか少し胸
がドキドキしている
(な、なんだろう?デートって訳でもないのに…)
自身の浜崎への気持ちに気づいてもいない晴子…
だが、世の中の多くの女性は、意中の男性とお付
き合いする前の段階として、デートを重ねる
趣味嗜好、生活状況、物や人に対する価値観、立
ち居振る舞い、己や他者に対する態度、そんな所
をデートという行為の間で見極めて、自身が交際
するのに値するか、もしくは自身は相手にとって
相応しいかを見極める
今回の趣旨はあくまで自分のバイクを見に行く、
といったもので、たまたまそれが浜崎も目的を同
じにしているから、と思っていた…
(あぁ、そうか…アタシってハマちゃんの事…)
晴子は悟った、自身の浜崎への気持ち、そして
、何故自分が急に中型車を欲しているのかを…
〈まぁいっか、物のついでだよね♪〉
小さくつぶやき職場へと向かう、今日も一日の
仕事が始まる、晴子の生活を支える、大事な収
入源!だから仕事は浮つかずに一生懸命頑張る
〈がんばろっ!!〉
小さくガッツポーズして歩き出す晴子を、エミ
とミキが駐輪場で手を振って迎える
「おはよ~ハルちゃん!」
『おはようございます晴子さん!』
〈おはよう2人とも!〉
(さてさて、あのニブちんに、どうアプローチ
したものか?)
晴子の中でまたテーマが湧いてきた、だが問題
ない!これだって新しい楽しみなのだ
『晴子さん朝からなんだか上機嫌ですね?』
〈そう見える?〉
「ホントだ、何か良い事でもあった?」
〈ナ~イショ♪〉
階段を上がりながら感じる、身体が軽い!充実
した日々と、それに伴う心の満足感、それらが
晴子の身体すらも軽く感じさせているのだろう
タイムカードを打刻してロッカーの上にヘルメ
ットを置く
しばし目を閉じて先々に思いを巡らす
(さぁお仕事お仕事♪)
着替えよう!今日という一日を共にするアタシ
の戦闘服に!




