Let`sツーリング③
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
全員が由貴に倣って道路脇に停まると、由貴から一
言
<さ~て、どうしようか?>
一同は由貴の言葉の意味が分からなかったが
<伊良湖クリスタルポルトは道の駅なんだけどね、
土産物買う訳じゃないなら恋路ヶ浜の灯台茶屋に
行った方が灯台も近いし良いかもよ?>
との提案だった、一同は顔を見合わせて確認し合う
と
『ここも見てみたい!』
「アタシも興味あるかも…」
〈ゴメン由貴さんアタシも行ってみたい…〉
と女性陣はもれなく寄ってみたい、との意見だった
由貴が伸一に顔を向けると
〖みんなが回りたいように回ろうよ…〗
と言うので
<分かった、行こうか、ここも見て、恋路ヶ浜にも
回って白亜の灯台に行こう>
そうと決まれば話は早い!とでも言いたげに颯爽と
由貴が発進すると、全員がそれに続いた
ここでも一行は注目の的で、その中でも由貴のハー
レーはフラッグシップな位置にいた
旅慣れていて運転が上手く、おまけに美女ときてい
る、否が応でも注目される、というものだろう
<さ~て、ここ休憩スペースがあるからお弁当持っ
て行きましょう>
『は~い』
ミキが元気の良い返事をすると嬉しそうにタンクバ
ッグを抱えて歩き出す
一同もそれに続いて施設へと向かった、時間は12時
15分、最も混雑する時間とも言える、案の定休憩所
、お食事処共にごった返していた
<あちゃ~、思った通りダダ混みだね…>
どうやら由貴はこれを予想していたらしく、灯台茶
屋の方に回ろう、と提案したのだろう
〖ちょっと座れそうにないね、、〗
「ここでの昼食は諦めてさっき言ってた灯台茶屋の
方で食べようか?」
〈の、方が良いかもね、あまりに混んでるし…〉
<せっかく来たんだし、見て回ってから移動しよう
か、でもってあっちの海岸沿いで海見ながら食べ
れば最高だと思うよ>
『あ~それ最高ですね!』
「さすが!詳しいですね」
<とは言えあっちも混んでるとは思うけどね、ただ
目の前は浜だし、アタシらはお昼買い物しないし
ね、混んでても関係ないでしょ(笑)>
などと雑談しながら中を目指す一行だった…
伊良湖クリスタルポルトは、渥美半島の先端に位置
し、伊良湖岬の海路、陸路のターミナル事務所を擁
する海と陸を結ぶ複合施設だ、伊勢湾フェリーのタ
ーミナルとしての側面も持っており、エミたちがバ
イクを停めている駐車場の海側にはフェリーの離発
着用の大型桟橋を備え、クリスタルポルト内ではチ
ケットの販売所や待合所が設けられている、また、
道の駅としての側面も持っており、陸海結ぶ拠点と
して、多機能な施設となっており、多くのライダー
が度々訪れる施設だ
『わぁ~これが電照菊なのかな?』
正面入り口を入ると、すぐに鉢に植えられた数々の
花たちが出迎えた
(ようこそ伊良湖クリスタルポルトへ)
青を基調とした豪華な看板が一行を出迎える
〈チケット売り場があるけど、あれが伊勢湾フェリ
ーの?〉
<そうそう、こっから鳥羽の港までフェリーで行け
るの>
「どのくらいかかるの?」
<1時間ぐらいかな、割とすぐ着いちゃうよ、バイ
クごと>
『あ、そうか!?バイクごと行けるんだぁ』
<ラッシングベルトって言うギア付きのベルトで
ギチギチに固定してくれるよ(笑)>
〖幸太おじちゃんも旅行の時きっとAPEをラッシン
グで固定してるんじゃないかな〗
〈へ~~〉
フェリーを利用するライダーたちと思われる一行が
表に居たのをエミも見た、エミたちの一行と違い
統一感のあるバイク集団のようだ、高速ツアラー系
のリッターバイクが並んでいた
ブラブラと館内を見て回ると、雑多な土産物が目に
つく、メロン、しらす、大アサリ、あおさ、トウモ
ロコシ、キャベツ、あつみ牛、田原牛、etc、、名産
品が多いのだろう、土産を買うのなら目移りしてし
まいそうなラインナップだ
『ここお土産ものすごく売ってますね!』
〈ホント!でも田原の名産だけじゃないみたいね?〉
<ここからは日間賀島にもフェリーが出てるからね
、三河湾の名産と伊勢湾の名産も集まってる、み
たいな感じよ>
「由貴さんすごい詳しいね」
<まぁ5~6回は来てるからね~>
どうりでこの施設やフェリー内情にも詳しいはずだ、
一同は納得しつつ、頼もしくも思った
賑やかな売り場一面を埋める人たちの顔は一様に笑
顔で、楽しげな表情からは、心からこの場を好んで
いる様子が見て取れる
〖良い所だよね、ここ…〗
伸一もこの場の和やかな雰囲気を察したのだろうか
柔和な表情で店内を眺めやっている
楽しく、穏やかな時間、バイクがくれた安息の時と
言えよう
「旅の途中で立ち寄る場所って、ある種の特別感が
あるって言うか、少し浮かれちゃう?みたいな、
、そんな感じなのかな?」
<バイクも車も、何だかんだ言ってもやっぱ多少は
不便じゃない、それから解放された状態、っての
?アタシはそう思ってた>
なるほど!言われてみればそうかも知れない、車で
の旅行の際もそうなのだが、パーキングエリアなど
から再び出発する際には ”よし!行くぞ!!” と
、気合を入れ直すのが良い例だ…
<バイクは特にだけど、そのちょっとした不便さも
合わせて楽しむのが大事だ、、、>
ここで少しのタメた後に
<…ってハーレー仲間のおっさんズが良く言ってた>
何とも良い事を言ったようで台無しに落とした様な
複雑な語り口で由貴が言う
しかし、エミも伸一も妙に納得できてしまったのだ
った
一行はひとしきりこの道の駅を楽しんだ、十分堪能
したか確認した由貴が
<じゃあ恋路ヶ浜の灯台茶屋に移動するけど良いか
な?>
と尋ねる、みなそれぞれにこの施設を堪能し終えた
ようで、誰一人異を唱える事なくこの場を去る事と
なった
恒例のエンジン始動は、相変わらず注目の的となり
、唯一人の男である伸一は、毎回所在無さげに、少
し照れた様子でバイザーを下ろすのだった
なんなら歩いて来れてしなうのでは?という距離を
移動して一行が到着した場所には、複数の店舗が仲
良くズラリと軒を連ね、それぞれがそれぞれ、特色
のある店構えとラインナップを展開しているようだ
カップル、家族連れ、孫を連れているのであろう老
夫婦、海外からの観光客、雑多な人種がごった返し
、クリスタルポルトに勝るとも劣らない盛況ぶりだ
った
『うわぁ~こっちはこっちで賑わってますねぇ…』
<いいのいいの、アタシらは店に行かないから…>
ここも知り尽くしている、といった感じの由貴が、
バイクを停めると、サッと荷物を持参してスタスタ
海岸の方へと歩いてゆく、一行は店舗方面に気を取
られながらも、後ろ髪引かれる思いで後に続く
そんな思いも、視界に砂浜が広がってくると、一気
に吹き飛んでしまった
〈わぁ!ツーリングに来た~って感じ♪〉
〖良い所だねぇ、ここでお昼とは贅沢だ!〗
『どこか目立たない所に陣取りましょうか』
ミキの提案通り、あまり周りから目立たず、且つ眺
めの良い場所を探す、多少歩くハメにはなったが、
おおよそ思惑通りの場所を確保した
<さぁ!お腹空いちゃった、海を眺めながらお弁当
食べましょ>
『〈「は~い!!」〉』
一行は荷物を降ろすと、各々が持参した弁当を出し
始めた
エミがサンドイッチを披露すると一同から歓声が上
がった、ミキがおにぎり各種とおかず少々を、そし
て晴子がおかず全般を担当した
由貴は、事前に皆で話し合った時に
<何か皆とかぶらない物を作って行く>
と言っていた、タッパーから由貴が出した物は、意
外にも麺類各種だった、ナポリタン、カレー焼きそ
ば、残る一つが何だか見覚えのないパスタだった
『由貴さんこれは何パスタ?』
ミキが尋ねると
<これはね~お手軽なインスタントのお吸い物を和
えたパスタ…>
そのパスタは、日本国民が慣れ親しんだ、あのお吸
い物をパスタに和えたシンプルな物だ、だが!
これがおにぎりと抜群の相性なのだ
〖うわ!?このパスタ簡単そうなのにすごい美味い〗
「ホント!ご飯に合う感じね、コレ」
ワイワイと各々が持ち寄った食べ物をつつき合い、
楽しい食事の時間が過ぎてゆく、エミのサンドイッ
チも好評で、特にBOLTサンドが人気のようだ
<エミちゃんBLTに玉ねぎも入れるのね~>
「スライスしたのが余っちゃって、ONIONだからBO
LTサンドなの…」
『なんだかカッコ良い!!』
〖お湯が沸いたよ!何が良いか言ってね〗
伸一は料理の代わりに飲み物全般を用意する、と宣言
していた、携帯の小型ガスコンロを持っている伸一な
らではの提案だった
そう言う伸一が示してきた物は、コーヒー、紅茶、お
茶の他に、コーンスープ、オニオンスープ、フリーズ
ドライの味噌汁各種など、およそのシチュエーション
に備えた汁物が揃っていた、梅昆布茶まである…
〈川本さんこれ、会社のお昼で何でもいけそうな感じ
ね…〉
『ホントですね!ご飯ものでもパン食でも何でもいけ
ちゃうって感じ(笑)』
〖バレたか、、会社のお昼も想定して買いそろえた物
なんだ〗
紙コップを出しながらそう言う伸一は、なんだか嬉し
そうだ
「ハルちゃん、このレンコンのはさみ揚げスッゴイ美
味しい!」
〈それ、業務スーパーのスライスレンコン使ってるか
らすごい簡単よ〉
なるほど!エミの心のレシピに、そっとこのメニュー
が刻まれた
と、言うか、最近お弁当にハマっている面々からして
みれば、それぞれの持ち寄ったメニューはそのまま即
戦力となりうる物ばかりで、とても参考になる
<みんな料理イケるクチなのね~、参考になるわ>
〈でもやっぱエミちゃんはピカイチね、川本さん羨ま
しい〉
『ホントですね、アタシエミさんとルームシェアした
いぐらい!』
「そしたらアタシもスイーツ作れるようになれそう」
ケラケラ笑う皆がとても近くに感じる、他愛の無い会
話と少しだけ頑張ったお弁当、それぞれが腕を振るっ
て作った品々がどんどん減ってゆく
気づくと何もかもが美味しく消費され、楽しい食事は
幕を下ろした
各々が持ち寄った入れ物やゴミを回収し、綺麗に片付
いた後には、足跡以外の何者も残っていない
正に立つ鳥後を濁さず、だ!
<良いね!ツーリングの基本、ゴミを出さない、汚さ
ない>
須賀にも口酸っぱく言われた事で、佳澄ですらが
❝ツーリングに行くならゴミは絶対捨てちゃダメよ❞
と、言っていた、勿論そのつもりだが、ライダーたち
の不文律、とでも言える部分なのだろう
(しっかり片付けましたよ…)
皆が心の中でそう思ったのだった
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




