Let`sツーリング②
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
藤川宿を超えると、しばらくは山でも町でもない、
といった片田舎のような風景の道なりが長く続く
要は単調なのだ、目指すブランジェは豊橋駅のごく
近くとの事だから、まだまだ道のりは遠い
一行は音羽蒲郡ICの前に差し掛かっていた
<あれ、ヤマサのちくわの直売所だよ…>
由貴が指さす先には「豊橋名産Λサのちくわ」の赤
い看板が見えた
<向かい側が土産物店だね、バスとか良く停まって
るよ>
「へ~~~」
〈詳しいですね由貴さん〉
<何度も通ったし、寄ったしで詳しくなっちゃった
(笑)>
由貴はハーレー仲間のおじさま達によくツーリング
に誘われるのだそうだ、まぁ由貴の美貌でハーレー
に乗っていたら当然そうなるであろう事はエミでも
分かる
まだまだのどかな風景は続き、何本かの橋を渡った
先の信号を境に、急に町並みが栄え出した、恐らく
は駅が近い、豊橋市の中央に近い場所なのだろう
目指す「ブランジェ」がほど近いと言う事だ…
先頭を走る由貴がスマホを確認する頻度が増えてき
た、どうやら国1を走行するのもここまでのようだ、
右にウィンカーが出ている、たしか地図上では目的
地は右折してからはさほどの距離がなかったような
のでそろそろ到着すると思われる
道路上の青看板にも「豊橋駅」の表示が見られる
右折した由貴は探り探り走っているのかややペース
が落ちている、エミも注意深く観察しながら走って
はいるが、そこはまだ初心者、、、運転に手いっぱ
いな部分はまだまだ否めなかった
<もう着くよ~、そこの信号越えたら左曲がってす
ぐのはず>
信号停止中に由貴から告げられ、皆の表情も緩む
「結構近かったね~」
〈藤川宿から1時間かかってないね…〉
〖ここまではそんなもんでしょ、丁度良い距離で手
頃だね〗
『そうそう、初めてならこのぐらいの距離がちょう
ど良いですよね』
しゃべってる間に信号が青だ、由貴が間髪入れず発
進するのを慌てて追いかける…
由貴が言った通り信号を左折したらすぐ左手に「ブ
ランジェ」の文字、ウィンカーを灯して駐車場に滑
り込む、思っていたよりも遥かに大きな店舗だ、駐
車場は広く、マイクロバスなども停車している、ど
うやら豊橋市が誇る1大観光スポットのようだ
『うわぁ~結構大規模なお店なんですね!?』
〈洋菓子に分類はされてるけど、ブランジェって事
はパン屋さんなのよね、ホントは…〉
<え!?そうなの??>
〈うん、実はね、でもこの場合カフェって意味合い
が強いんじゃないかな?実際カフェスペースが一
番人気らしいから〉
「ハルちゃんのチョイスにしては珍しい系統だね」
〈そこは抜かりなしよ!洋菓子に強いカフェなの〉
〖さすがは洋菓子派!!〗
『何がおススメなんですか?』
〈名物はラスク、菓子パン各種、らしいんだけど、
実際見てみて判断するのが良いんじゃないかな、
アタシは明日の朝食用のパンも買ってくつもり〉
要領の良い晴子の言葉には重みがあった、皆もそれ
を理解しているから、明日の朝はブランジェのパン
がツーリングメンバーの鉄板になりそうだ…
〖論より証拠、ってね、入ろうか!〗
「いこいこ~」
〈ん~楽しみ♪〉
飛ぶような軽やかな足取りで店内へ向かう一同、店
内にはバターやパンの焼けるなんとも香ばしい香り
が漂っている
入店して右側がパン売り場、左側が土産物売り場に
なっている、晴子とミキは土産物売り場に向かって
いた、と、一際大きなコーナーに、様々なフレーバ
ーのラスクが陳列されていた
プレーン、チョコ、ココアパウダー、ピスタチオク
リーム、ピーナッツバター、それとは別にガーリッ
クバター、梅フレーバーパウダー等も見受けられる
〖うわ!こりゃすごいね、名物ってだけはある〗
「ホントね!甘い系だけじゃないみたいだし」
<アレ見てみ!>
由貴が指さす先には、各フレーバーの試食品が載っ
た皿が置かれていた
試しに伸一がプレーンを試食してみる、すると…
〖なんだコレ!?食べた事ない感触と味だ、でもこ
りゃ美味い!〗
すかさずエミと由貴も試食してみる
<ヤバ~い!何コレ、アタシの想像してたラスクと
は全くの別物>
「ホントだ!すっごく軽い、塩が振ってあるのかな
?ほんのりしょっぱくて美味しい」
〖そう!軽いんだね、サックサクなのに全然油を感
じない〗
<コレヤバいね、、、買って行ったら即日食べきっ
ちゃいそう…>
これにはエミも伸一も大笑いした
『試食しました?』
いつの間にかここにいるミキが尋ねてきた
「コレすごい変わってて美味しいね!」
〈ミキちゃんとも話してたんだけど、皆で種類の違
うの買ってって分けない?〉
〖いいねそれ!いろんなの食べられるし〗
<やろうやろう!>
満場一致でミキの提案を受け入れた一行は、それぞ
れが異なったフレーバーを手にするのだった
エミはピスタチオ、伸一がピーナッツバター、晴子
がチョコ、ミキはココアパウダー、由貴がガーリッ
クバターとなり、それとは別に皆で会社へのお土産
用にプレーンと梅を各1箱購入した
『すご~い!全フレーバー制覇だ(笑)』
他にも洋菓子が並んでいたのだが、この店の名物は
やはりラスクのようで、店側も特に気合を入れて売
り出している様子は見受けられなかった
一通り土産コーナーを見終わると、一行はパン売り
場へと足を向けた、こちらもまた大盛況で、焼けあ
がったパンが長く陳列される事が無い程の人気ぶり
だ、と、そこへ…
〘くるみパン焼き上がりました~〙
と店員の声が響き渡り、目当てとしていたであろう
客たちが、我先にと声の元へと殺到する
<なんだかスゴイ騒ぎだね…>
〈あれがパンコーナーの名物なのよ、運よく焼けあ
がった時に出会えて、買えたらラッキーって感じ
の…〉
「へ~~、でもまぁあの様子だと残らないね…」
〈そう思って他は何がおススメかは調べておいたよ
、売り切れず買えるパンとしては「塩バターパン
」がおススメみたい…〉
〖塩バターパンってデイリーヤマザキとかで売って
るのも美味いもんね~〗
〈アタシは明日の朝、それとコーンスープとサラダ
で決まり!!〉
<真似して良いかな…>
『アタシも…』
くるみパンで賑わう店内をよそに、エミたち一行は
塩バターパンに群がっていた、一つでは物足りなく
皆が二つ購入する中、伸一だけは4つ購入していた、
こういうところはしっかりと男の子である…
結局、他数点のパンを各々購入しつつ、ブランジェ
での滞在はここまで、となった
<アタシちょっとトイレ行ってくる>
〖あ、オレも今のうち…〗
由貴と伸一がトイレに向かい、残りのメンツは愛車
の元へと向かった、のだが…
⁽100㏄かよ、ちっせぇな~、仲間も250㏄ばかり、
中免とかダッセぇな⁾
〔あ、なんだオーナーは女か、ならしょうがないわ〕
と明らかにエミたち一行のバイクをバカにした様子
の二人組が隣に立っていた
隣にはCBR600とKATANA750が停まっている
⁽あぁ、悪いね、小さいバイクに乗りたがる奴の気が
知れなくてさ⁾
〔そうそう、こんなオモチャみたいなバイク、よく
乗るなと思ってさ〕
『ちょっと!!』
ミキが言い返そうとするのを晴子が止めた
『どうして晴子さん?コイツら…』
<な~に~?排気量がデカいと何か偉いわけ?なら
アンタらアタシにひれ伏すのかしら?>
そう言って現れた由貴が徐にハーレーのエンジンを
かけて一吹かしした
辺りを包む轟音に周囲の注目が集まる、分が悪い空
気を察したのか、2人組は何も言わずその場を後に
した
〈由貴さんカッコいい!!!〉
〖出る幕なかったね…〗
『すっっぅっっっごい!!スッキリした(笑)』
<あ~んなバカ相手するだけ無駄よ、ハルちゃんが
正解>
〈なんか、ゴメンねせっかく楽しいツーリングなの
に…〉
「ハルちゃんが謝る事なんて何もない!!」
〖そうだよ!あんな奴ら気にしないで良いよ〗
由貴はエンジンを切ると
<須賀さんが言ってたでしょ、APEにはAPEの良さが
ある、って、アタシのバイクなんて間違っても積
んで旅行なんて無理だよ…>
『でも、ハーレーにはハーレーの良さがあるんでし
ょ?』
<そうそう、アタシが良ければそれで良いのよ♪>
〖気を取り直して伊良湖を目指そう!お腹空いちゃ
ったよ〗
「『〈<お~~~!!>〉』」
一同が揃ってエンジンを始動する、相変わらず注目
を集めながら、一同は由貴を先頭にブランジェを後
にした
次に目指すは伊良湖岬、皆が行きたがった「白亜の
灯台」、それにほど近い道の駅「伊良湖クリスタル
ポルト」を目指して走る事とした
ナビによると、1時間10分、まぁのんびり行くとし
て1時間30分見ておけば良いだろう
今が10時45分、正午過ぎには着けるだろう
一行が向かう先は、街中の雑多な建物が建ち並ぶ市
街地風景を抜け、再びのどかな田園風景が目立つツ
ーリングには最も適した、と言えるシチュエーショ
ンを迎えていた
「風が気持ち良いねぇ~♪」
〈ホントね!風景ものどかで、走っててすごく落ち
着く〉
チラホラと辺りに大きな農業用のハウスが散見され
る様になった頃
<ここら辺は電照菊が有名でね、夜来ると照明が灯
ってすごくキレイらしいよ>
由貴はさすがのツーリング歴らしく、ここいらの事
情にも詳しいようだ
見通しの良い平原をひたすらに走っていると、右手
に不意に海が見えてきた
「うわぁ~海が見える」
〈自分の運転で海まで来るって感動だね~〉
『ホントですねぇ!感無量です!!』
〖海を見るのも久々だなぁ~〗
各々が感想を述べている、由貴としても海は嫌いで
はない、まぁ回数は何度も見てはいるのだが…
信号停止でワイワイしていると
<海が見えたって事はもう15分もあれば着いちゃう
からね>
気持ちよく走っていると時間の経過も距離の経過も
早く感じてしまう、もっともっと、こんな時間が長
く続けば良いのに…
そんな気持ちとは裏腹に、一行の歩は順調に進み、
気づくとクリスタルポルトまで0.5㎞の青看板が…
由貴に付き従い、クルリと右折すると、明らかにそ
れと分かる施設が見えてきた、これが伊良湖クリス
タルポルトに違いない、一同がそう確信した時には
由貴は広めの路側に滑り込んでいた
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




