ミキのセロー
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
ピピピピ…バシッ…
久しぶりに目覚まし時計がキチンと仕事をした音で
エミは目を覚ました
「ん~~~~~っ!!!!」
大きく伸びをして布団から出る、少し肌寒くなって
きたこの頃、だがまだ秋に片足を突っ込んだ位の時
期としては、まだまだバイクが楽しめるという物だ
ろう、今日は伸一のセローが納車される日、そして
伸一との約束のツーリングの日だ
本当は伸一と2人で和菓子屋へとツーリングに向か
う予定だったのだが、
〖昨日あれだけおみやげ貰って幸太おじちゃんとこ
もまだ和菓子は要らないんじゃないかな?〗
との伸一の助言に、急遽来週へと予定変更したのだ
言われてみればその通りで、昨日あれだけの人数で
ワイワイ食べたが半分以上まだ残っているのだ
どうせ土産を届けるなら万全の状態で食べて欲しい
かくして晴子、ミキ、由貴の三人で行く予定だった
豊橋ツーリングに混ぜてもらう事となった
普段より少し早起きしたエミだが、それには理由が
あった、それはツーリングの昼食を作る為だ
と言うのも
『それならみんなでお弁当持ち寄りましょうよ!』
とのミキの提案に
〈良いね!そうしよう〉
<アタシ割と自炊いける方だよ!>
と、満場一致で決定してしまった
そうと決まったからにはこちらも手を抜けない!
いつものごとくティファールに水を張り、湯沸かし
をかける、すかさず洗面所に向かうと、洗顔のち歯
磨き、化粧水、美容液、と基本的なスキンケアを施
す、いつもの流れを終えると、ティファールが湯を
沸かし終わっていた、キッチンに舞い戻るとすかさ
ず冷蔵庫をあける、レタス、玉ねぎ、トマト、玉子
きゅうり、マヨネーズ、つぶマスタード、ケチャッ
プを用意すると、調理に取り掛かる
まず玉ねぎをスライサーでスライスしてゆく、一通
りスライスしたらザルに入れて、ティファールで沸
かした湯を回しかける、ザルで良く水を切ったら、
キッチンペーパーで水気を取る、これで辛み取りは
終了、次にきゅうりをきってゆく、5㎜厚ぐらいで
の斜め切り、アッという間に切り終わり、レタスに
入る、レタスは洗って手で千切るだけ、簡単である
玉子は砂糖を入れてよ~く混ぜる、と、言うのも、
単にエミ自身のこだわりなのだが、玉子焼きに白い
部分が入るのが許せないのだ、だからカラザもちゃ
んと取るし、なるべく泡立てながらしっかりと混ぜ
る、あまり混ぜすぎもコシが無くなって良くないと
は思うのだが、エミの混ぜる時間は常人の倍以上だ
と思われる
気が済むまで玉子を混ぜたエミは、熱したフライパ
ンに卵を流してゆく、フライパンが一面埋め尽くさ
れたらしばらく待って固まったところで箸で引っ張
り上げる、薄焼き玉子の完成だ、同じ手順で合計5枚
焼いた、皆の分のサンドイッチなら十分だと思うが、
伸一がどの程度食べるのかまだ把握しきれていない
カレーの食べっぷりから考えるに、サンドイッチが
好物だった場合、エミの倍量は用意しておいた方が
良さそうだ…
2枚重ねた食パンの耳を落とし、片方には粒マスタ
ード、片方にはマヨネーズを塗る、レタスを片方に
乗せ、形を整えた薄焼き玉子をはみ出さないように
レタスの上に敷き、ケチャップを、その上にきゅう
りを乗せて4等分に切る…三角に切りたい所だが、持
ち歩きの収納性を考えると四角の方が便利だ
そうこうしているうちにベーコンが焼き上がる、免
許試験の時にも作ったBLTサンドに取り掛かる、先ほ
ど同様に粒マスタード、マヨネーズをパンに塗り、
スライス玉ねぎ、ベーコン、トマト、最後にレタス
を挟む、玉ねぎは余計だが少し余ってしまったのだ
まぁ良いだろう、今日はBOLTサンドだ!
BOLTか、なんだかカッコ良い!!
なんて事を考えているうちに、すっかりサンドイッ
チは完成した、あとは付け合わせだ!
エミの冷凍レシピから唐揚げとマカロニサラダは決
定している、野菜っ気が足りないと思うのだが玉子
サンドもBOLTサンドも野菜たっぷりなのだ、緑が寂
しいと感じているのだが…
そうだ!!昨日100円ショップの後で行った業務ス
ーパーで買い込んだ冷凍ブロッコリー、あれなら色
味もサンドイッチとの相性もバッチリだ!マカロニ
サラダの横に添えるとしよう
最後にパンの耳でオヤツを作る、これは皆で休憩時
にでも食べるとしよう
エミはほくそ笑みながらフライパンでパン耳を炒めた
、バターの良い香りが鼻をくすぐる
これで完成、今日のお昼は少し豪勢だな!と満足し
つつメイクに向かう、今日は記念すべき本格的なツ
ーリングの第一回目だ!ふさわしいメイクで臨まな
くてはならない、恐らくは晴子もミキも由貴も、そ
れぞれが相当気合を入れてメイクに励んでいるだろ
う
仮にも皆で初のツーリング、そして女子がほとんど
での集団となる、それが何を意味するのかは昨日の
昼食ミニツーリングでも実感した
❝ハッキリ言いますが”バイク女子”は注目されま
す、メイクの手を抜いてる場合ではありません❞
佳澄の言葉が思い出される…
全くもってその通りだった、昔は隣町だったとは言
え、足助までの軽いツーリングでもエミたち一団の
注目度は高かった、佳澄から伝授されたバイク仕様
のメイク、その真価を問われる場面だ、手抜きなど
一切している場合ではない
しかも昨日とは違い、今日は一日中バイクに乗って
いる予定だ、メイクの維持、直し、そこらへんにも
気を使う必要がある
エミの予定ではこうだ!まずメイクの強弱、これは
普段の仕事用メイクを10段階の4ぐらいだとすると、
今日のツーリングバージョンとしては6か7、上手い
事6.5位で仕上げたい、ちなみに須賀の家にTWを受
け取りに行った時のツケマ全開メイクが9.0といった
所だろうか、お出かけ仕様とは言っても化粧直しや
日焼け対策などまで考慮すると、あまり派手派手に
して行く事は出来ないし、また必要もない
色使いとしては少し派手めでも良いだろう、と言う
のも、エミは今日バブルシールドで行こうと思って
いるからだ、さすがにブルーミラーのバブルシール
ドに映えるメイク、とまでは計算出来ないが…
黙々とメイクに没頭し、気づけば約束の時間の30分
前だ、家を出るにはちょうど良いだろう
最後にもう一度荷物を確認する、サンドイッチとお
かず一式はバスケットとタッパーに詰めた、そして
昨日買った会社で使うお茶セット、100円ショップ
で購入したジッパー付きのミニバッグにスパイス入
れに詰めたインスタントコーヒー、カフェオレの粉
末、ティーバッグは緑茶、抹茶、ほうじ茶、紅茶の
4種類、スティックシュガーにティースプーンこれ
らがこれまた100円の収納ケースに収めてある
会社のティータイムで使おうと思っての購入だが、
先にツーリングで使う事になった
これらに使うお湯は伸一が沸かしてくれる、上手い
事分業で荷物も分ける事が出来た
メイク道具のポーチも入れた、もしもの雨様にカッ
パも忘れない、一部の隙も無い完璧な準備だ!
自画自賛したところで家を後にする、ミキたちとの
待ち合わせは駅の駐輪場、その場所まで自力で走っ
て行ける、なんとも感慨深い…
駐輪場に停まるTWのロックを外す、万が一の盗難
など絶対に避けたい、と、ゴツ目のワイヤーロック
を購入した、以前は寂しかったエミの部屋の鍵、今
ではTWのキーとワイヤーロックの鍵が付きにぎや
かになってきた
ワイヤーロックをサイドポーチに収めるとキーをO
NにしTWを取りまわす、跨ったエミはヘルメットを
装着するとエンジンをかけた、4サイクルエンジン
特有の、軽い吹き上がりの音、これから長く苦楽を
共にする相棒、その相棒との本格的なツーリングの
記念すべき第一回
「お願いねTW!」
そう独り言をつぶやくとバイザーを降ろしてクラッ
チを繋いだ、軽快な立ち上がりで自宅を後にすると
いつもの通勤路をトレースする
自転車でさんざん通った同じ道のりが、TWで走ると
とても新鮮に感じられる、まぁそれもすぐ慣れてし
まうのだろうが、それはそれとして、今を精一杯楽
しもう!最高の愛車で!
駅までの行き道に唯一あるガソリンスタンドに寄っ
て行く、何せ駅までは5,6分で着いてしまうのだ、
バイク恐るべし!
空いている給油機の前に停めると、液晶画面をタッ
チする、レギュラー、満タンを選択し、キーを指し
てタンクの蓋を開ける、懇切丁寧にガイダンスが出
る今どきのタッチパネルのおかげで、何一つ苦労す
る事無く給油の段階へと辿り着く
給油してみて驚いたのだが、昨日足助まで往復した
と言うのにスレスレまで給油しても1リッター入れ
るのがやっとだった…
バイクは燃費が良いとは聞いていたがこれほどとは
思わなかった、給油を終え、最後にフューエルコッ
クがONになってるのを確認し、ガソリンスタンド
を後にした
(ミキちゃん、バイクは楽しいよ♪今日からミキち
ゃんもセローだね!)
そんな事を考えながら走っていると、信号待ちで2
人乗りのバイクが横に停まった
〖おはようエミちゃん!〗
⦅おはよう~エミさん!⦆
見ると伸一が綾太を乗せて送ってきたところだ
「おはよう2人とも!」
どちらともなく青信号で発進し、気づけば並んで
気持ちよく走っていた
駐輪場に着くと、ちょうど晴子がエンジンを止め
る所だった、ミキと由貴は先に到着していたよう
でエミたちは最後のようだ
「おはようみんな、早いね~着くの」
『おはようございます!だって、待ちに待った日
ですよ!遅刻なんてしてられません』
<おっはよ~、アタシも早めに着いたけどミキち
ゃんはもっと早かったみたいよ(笑)>
〈じゃあ無駄話してる場合じゃないわね…〉
〖そうそう!行こうか、オレも新しい相棒が待っ
てる〗
⦅一応オレも新しい相棒がね…⦆
『じゃあ行きましょうか!!』
〖⦅〈<「おう!!」>〉⦆〗
綺麗にそろった返事をかき消すように一同が一
斉にエンジンを始動した
100㏄から果ては883㏄まで、総勢5台のバイクが
揃いぶむ、だが、それらを従えて出発するのは50
㏄のミキのVINOだった
デコボコな集団は一路レッドバロンを目指して出
発するのだった…
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




