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遅めの昼ご飯①

日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです

仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを

肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが

なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます

温かい目で読んでいただければ幸いです。

 トヨタ市の東部に位置する足助町は主に山間部が広

 がり、自然豊かなロケーションと、古き時代の面影

 を残すその町並みは多くの観光客から愛される風情

 を漂わせる

 特に人気のある観光スポットである”香嵐渓”には、

 紅葉の時期には特に多くの観光客が来訪し、最盛期

 には交通渋滞でトヨタ駅からでも2時間を超える時

 間を要する時がある程だ

 幸いなことに夏の終わりがけの今時分ではそういっ

 た渋滞の心配は無いと言える

 一行は、由貴の選んだ大き目の通りを緩やかな速度

 でジグザグな陣形を描き連なって走行していた

 エミと伸一がお互いの気持ちを確かめ合ったKヶ池

 に至る国道を走行しながら、数の少ない信号のおか

 げで快適なペースを維持できている

 傍から見ると、バイクの車種にも排気量にもこれと

 いった統一感も無く、極めて異様な集団である事だ

 ろう

 と、すれ違うバイクの小集団がピースサインをして

 くる場面が続いた、エミは(何だろう?)と疑問に

 思っていたのだが、それを見た須賀が不意にエミ達

 を追い越して由貴に近づくと、何やら話しかけてい

 た、すると、由貴と先頭を入れ替わった須賀がペー

 スを作り出し、あるダムの脇の駐車場へと入って行

 った、一行はそれに続き、駐車場で皆が一旦集合す

 る事となった

 〈どうしたんですか?〉

 予定にない須賀の行動に晴子が心配して疑問を投げ

 かけると、明るい口調の須賀が

 【ゴメンゴメン、説明するの忘れてた…】

 と言い、エンジンを切った

 エミと晴子もそれに習ってエンジンを切ると、由貴

 も伸一も佳澄もエンジンを止めた

 【さっき、知らないライダーがピースサインしてた

  でしょ】

 「〈『はい…』〉」

 【あれはライダー同士特有の挨拶でね、最近では

  ”ヤエー”とか呼ばれてる習慣なんだが、結構やっ

  てくれるライダーが多いんだ】 

 〈なんだか楽しいですね♪〉

 「良いですね、それ…」

 <アタシも結構返す方なんだけどね、やってくれな

  い人は無視するのよ…>

 【そう、中には嫌ってる人もいる、と、まぁそれは

  良いとして、ヤエーをするのは良い、けど注意点

  がある!】

 『注意点??』

 【そう、注意点は二つ!まずカーブの最中やシフト

  操作中なんかの無理がある時にはやっちゃダメ!

  って事、あと一つはあまり相手のバイクを注視し

  すぎない事!前の車に突っ込んだり、カーブを曲

  がり損ねたりと、危険な目に合うからね】

 〖別に義務がある訳じゃないから、今日は初めてな

  んだし無理しなくて良いからね〗

 <そうそう、真っすぐなとこで気が向いた時にやっ

  てみれば良いよ>

 ❝まぁ返ってくると嬉しいものだけどね♪❞

 『へ~全然知らなかった~』

 「ホントね、バイクの世界って知らない事だらけ…」

 〈まぁこれがホントに最初の最初だしね〉

 【そうそう、今後いくらだって機会があるんだから

  何も今日無理しなくても良いさ、そう言うのがあ

  るんだよ~って事だけ教えとこうと思ってね】

 これまでのエミの人生で踏み込んだ事のない世界、

 そこに仲間入りしたのだ、という実感が湧いた

 【んじゃあ中断して悪かったね、行こうか】

 『〈「は~い」〉』

 <じゃあ出発~!!>

 そう言って一同がエンジンを始動した、総勢7台の

 バイクが揃ってエンジンをかける瞬間というのは

 なかなか迫力があるもので、他の駐車場にいた面々

 が振り返ってこちらを注目していた

 由貴はハーレー女子なだけあってそういった視線に

 は慣れっこなのだろう、堂々と爆音を立てて先頭を

 切ってゆく、晴子とエミもそれに続くと、その後を

 フォローするように伸一と須賀夫婦が続いてゆく

 矢作川に沿った国道の風景はダム湖の水面を悠然と

 眺めながらのロケーションで、今日突然決めた道程

 としては、極めて優秀で的確な選択だったと思える

 エミも晴子もミキも、これまでに感じた事のない解

 放感と、自然を感じながらの走行に酔いしれていた

 交差点で停まった際に横に並んだ伸一が

 〖どう?自分で運転してみての感想は?〗

 と尋ねてくるのだが

 『最高ですよ!』

 〈うん!APEも思ってたより全然早いし!〉

 「TW乗りやすくて嬉しい♪」

 【そりゃ良かった♪そのAPEはそこらのよりちょっ

  とだけ早いハズだからね】

 須賀の事だ、なんらか手を入れてあるのだろう、ち

 ょっとだけって具体的にどんななんだろうか?など

 と、疑問を呈しながらもスイスイと国道を進んでい

 った、目に映る景色はどれも、かつての自分が誰か

 の運転する車の車窓からただ眺めるだけだった時と

 は違い、自らの意思でアクセルを開け、自らが操作

 したバイクを走らせて進む道行きの景色なのだ

 それら全てが新鮮で、家族旅行などで通った事があ

 る普通の景色も、何かこう特別な、全く来た事の無

 い初めて走る道の様な、そんな気さえしてくる

 何処にだって行ける!そんな万能感を感じさせてく

 れる最高の相棒!エミにとっては翼が生えたかのよ

 うな気分だ…

 20分ちょっと走っただろうか?香嵐渓を抜けた一行

 が上り道に差しかかった頃、すれ違うバイクの一行

 がピースサインを寄こした、満面の笑みでサインを

 くれる女子が印象的だった、ちょうど街中の直線部

 分だった事もあり、エミも晴子もピースサインを返

 す事が出来た、ただ街中ですれ違っただけの相手、

 バイクだけが共通点の2度と会う事があるのか知れ

 ない、そんな相手とも、この瞬間だけは確かに意思

 が通じ合い、互いに特有の挨拶を交わした、その事

 実が嬉しく、思わず笑みがこぼれる、晴子も同じだ

 ったようで、ヘルメット越しに見せた横顔は満面の

 笑みだった

 「ピースくれたね~!!」

 〈女の子だったね!なんか嬉しい♪〉

 走りながらの為、大きな声をださないと聞こえない

 そんな煩わしさも、イヤではなかった…

 あぁバイクって本当に楽しい!

 行道は山間部に差し掛かり、細かなカーブが続く峠

 道に差しかかる

 <ここらからワインディングだからペース早かった

  ら言ってね~>

 由貴が大声でエミと晴子に話しかける、クネクネと

 うねる峠道での走行を心配しての言葉だろう

 だが、エミとしてはまるで苦にもならず、むしろ走

 り甲斐のある、楽しい道なりだった

 晴子もまた笑みを浮かべて楽しそうに走っている

 対向車線では、レーサータイプのバイクが、鋭いコ

 ーナリングを見せながら下ってゆく姿が散見された

 が、いずれもこのコーナー続きの区間ではヤエーな

 どという状況ではないようだった

 と、大きく右にカーブの後、左折合流した道は、道

 幅も広く、真新しい印象を受けた

 見たところこの道を戻ると、来た道に帰りそうな印

 象だが、違うのだろうか??後で由貴に聞いてみる

 としよう

 広い道に合流を果たすと、道なりも急に穏やかにな

 り、右へ左への連続カーブや急カーブといった形状

 の道なりは成りを潜めた

 ゆるやかな登り道を真っすぐ進んでいると、いつし

 か右前方に鶏の形のオブジェが姿を現した

 看板には「〇の木」の文字、どうやら到着したよう

 だ…

 由貴が右ウィンカーを出し、入り口から侵入すると

 その爆音のせいか店外に屯していた客たちの注目を

 一身に集めていた、店の駐車場には同じくツーリン

 グと思われる若者たちの5人組がバイクを並べていた

 ゼファーやXJRといったネイキッドタイプを中心に、

 若いころはヤンチャしていた、と思われる20代後半

 といった見た目の集団だ、先頭の由貴とミキを認め

 ると、なんとも言えぬ表情を見せていたのが印象的

 だ、エミと晴子も好奇の目に晒されたが、そんなも

 のは自動車学校の時点で慣れっこだった

 バイクを停めると、ヘルメットを外した須賀が

 【ふっふっふ!美女ばかりで羨ましかろう♪】

 と、勝ち誇った顔で言い放つ

 ⦅間違いないね!⦆

 と、何故か同じく自慢げな綾太、すると…

 ❝アラ、それってアタシも含まれるの?❞

 などと佳澄が須賀をからかう

 【当たり前じゃないか!佳澄ちゃんが含まれないハ

  ズがないだろう】

 まぁそうである事は間違いなかった、何と言っても

 佳澄はエミたちからして見てもまだまだ綺麗なお姉

 さん、といった風情なのだ、綾太と並んでも姉弟に

 しか見えない…

 <あらあら…ご馳走様です…>

 〈仲が良い事で…〉

 などと2人が呆れていると

 〖もちろんエミちゃんも含まれるさ!〗

 と伸一が何故か対抗意識を燃やしていた

 『なんだかヘンテコな空気…』

 とミキが漏らした時…

 ⦅もちろん由貴さんも含まれますよ!⦆

 と、綾太が由貴をフォローする

 <アラ!?ありがとう、取って付けた感あるけど嬉

  しいよ>

 と由貴に言われた綾太が、ついで、と言わんばかり

 に

 ⦅あ、と…晴子さんとミキさんも勿論含まれます…⦆

 と口走ったものだから

 〈ハイハイ、ありがとね…〉

 『さらなる取って付けた感、ありがとう…』

 などと2人の反感を買ってしまったようだが、当の

 綾太は、と言うと、由貴の好評を得たのが嬉しくて

 そんな事はどうでも良いようだ…

 扉を開けて店内に入ると、順番を待つ客が多数認め

 られた (これは待ちそうだな…) とエミは思っ

 たのだが、須賀は

 【多分そんなに長くは待たないと思うよ~】

 と明るい口調、一体どういう事なのだろうか?

 須賀の予想通り、15分ほどで畳の座敷席に通された

 『すごい並んでたのに早かったですね!』

 ミキが驚きの声を上げたが

 ❝ここの行列は持ち帰りの購入客が多いのよ❞

 と佳澄が疑問を解消してくれた、どうやら持ち帰り

 の客も等しく行列に並ぶようだ

 〈おススメは何ですか?〉

 と尋ねる晴子に

 【唐揚げやテリヤキ、ホルモンなんかも美味しい

  けど、ここに来たらやっぱり鶏の半身焼きの定食

  かな!】

 との言葉にミキも晴子も

 『じゃあそれで!』

 〈同じく!〉

 と、即決してしまった、エミも量が心配ではあった

 が、せっかくなので同じ物を注文する事にした

 結局全員が鶏の半身の定食で落ち着いた

 よく売り切れになってしまう事があるようだが、幸

 いにも今日は全員が注文すると事が出来た

 <ところで、どうだった?2人とも、ここまで運転

  してみて?>

 由貴に尋ねられ

 〈APEすっごい乗りやすいし、ぜんっぜん疲れない

  !どこまででも乗って行けそう〉

 「そうそう、教習所のSUPERFOURが如何に重たか

  ったかが良く分かるよね!」

 【今はまだそういう場面に立っていないから分から

  ないだろうけど、高速を使ったツーリングとか行

  くと400以上が欲しくなったりするかもしれない、

  でも、やっぱりそれらとは違う楽しさがあるんだ

  よなぁ小さいバイクって】

 ❝アタシたちは旅行でも使ってるからAPEの良さは特

  に分かるかな❞

 【オレたちは好きなバイクが400㏄のSRってだけの

  話だけど、400あるとやっぱ高速でも楽だからね】

 ❝アラ、アタシはあのパールホワイトのSRに一目惚

  れだったわよ、ブルーメタリックも悪くはないん

  だけどね…❞

 「由貴さんはやっぱり物足りなくなってハーレーに

  したの?」

 エミが由貴に尋ねると

 <アタシ最初はレブルに乗ってたのよ、でもレブル

  は女の子が乗る用のアメリカン入門車見たい言わ

  れてて…>

 〖オシャレで良いと思うんだけどな~レブル…〗

 <ある日行きつけだったバイク屋で”ハーレーとかは

  やっぱ由貴ちゃんじゃ無理かもね”って言われて>

 ❝イヤな感じね~モテなさそう…❞

 <アッタマ来てすぐ大型教習始めて即ハーレー買い

  に行った…(笑)>

 一同が驚愕する中、綾太だけが

 ⦅か~っけ~!!!!!⦆

 と絶賛した、皆も口々に

 ”すごい行動力!” ”間違いなく勝利!” などとも

 てはやしたが

 <でもね~、今じゃ感謝してる…あれが無かったら

  ハーレーなんて絶対乗ってなかったから…>

 意外な由貴の過去、レブルと言う愛車も意外だった

 が、大型取得のきっかけはもっと意外なものだった

 世の中は何がどうなって結果に繋がるか分からない

 ものだ、エミだって須賀とぶつかっていなければ、

 今も平々凡々と変わらない毎日を送っていたろう…

 [お待たせしました~]

 そうこうしているうちに本命の定食が提供されてき

 た、そのビジュアルは想像を超える物だった
















 






















 




















 







今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります

多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が

ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい

メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は

「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。

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