思わぬ贈り物と思わぬ展開…
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
譲渡の手続きが済み、一同がワイワイとそれぞれの
バイクを眺め合っていると、不意に佳澄が三人を呼
んだ、見るとその手には四つの大き目な包みがあっ
た…佳澄は三人に歩み寄ると
❝ハイ、エミさん…❞
❝晴子さんも…❞
❝ミキちゃんも❞
❝そして由貴さんも❞
とそれぞれに、包みを手渡した
〈あ、あの、これは??〉
そう尋ねる晴子に
❝フフッ気に入るかな?開けてみて❞
佳澄に促され一同はソロリと慎重に包みを開けた、
すると…
中から現れたのはタンクバッグだった、手提げの
取手が付き、左右と頭の部分にマグネットが付い
ている、肩掛け用のバックル付きの紐が付いてお
り、ショルダーバッグとしても使えるようだ、最
大の特徴としてスマホを入れる窓があり、どうや
らGOOGLEMAPなどを使用しながら使えるようだ
ブラウンのボディーがセンスを感じる…
「タ、タンクバッグ!これどうしたんですか?」
『カッコいいですねコレ!!』
〈もしかしてコレって…〉
【そう!オレと佳澄ちゃんからの卒業祝い】
<ア、アタシまであるんですか!?>
❝ホントはついでに綾太の分買ってきたんだけど
ね、良いでしょ綾太?❞
⦅ん!?良いよ~キレイなお姉さんに譲るなら
全然文句ない!⦆
〖間違いないなw〗
実に須賀の息子らしい意見だった…
❝あなた達がメイクに努力してくれて、成長して
ゆく姿を見るのがとても嬉しかった、その上、
幸太さんのバイクを引き取って可愛がってくれ
る、こんな嬉しい事はないわ、これはそのお礼❞
「むしろお世話になってばかりなのに…」
〈APEだって格安で譲ってもらって、こんな…〉
『アタシはバイク買ってすらいませんよ…』
<アタシなんてハルちゃん送ってきただけだよ>
❝磯山はチーフ研修に向けて勉強中です、前原は
アイメイクの技術を磨いてます、あなた達が
刺激を与えて ”負けてられない” と奮起させ
てくれたから…うちの店はかつてないほど今活
気づいてるのよ、ありがとう❞
「そんな、とんでもない…」
【まぁ貰っといてよ、全員揃いでカッコ良いじ
ゃない♪】
『すみません、なんだかお世話になりっぱなし
で…』
そう言うミキの肩を晴子が抑えて首を振った
それを見た由貴も頷き、スッと一歩前に出る
<私にまでこんな良くして頂いてありがとうご
ざいます、有難く頂戴して大事に使わせて頂
きます>
そう言って綾太の方を向くとニコッと笑いかけ
た、綾太は照れ笑いを浮かべてデレデレしてい
る、こういう所はまだ少年なのだろう…
【さっすがハーレー乗り!ところで良かった?
サドルバッグ黒だけど…茶色でゴメンね…】
<とんっでもない!すごく良い趣味ですよこの
タンクバッグ!>
由貴がブンブン手を振って否定した、こんな有
難い贈り物、文句があろうハズが無い
〈本当に有難うございます…〉
もう一度晴子が頭を下げると、一同もそれにな
らって改めて礼を述べた
❝さ、堅い事はもう言いっこなしよ!❞
佳澄が手を叩いて場を締めくくった、それぞれ
の包装紙を佳澄が受け取り、処分してくれる
皆が肩紐の調整を済ますと、肩から下げて並ん
で見せた
<どう?似合ってる??>
由貴が綾太に尋ねると、相変わらずデレデレし
た表情で
⦅もちろん!すっげ~似合ってます!⦆
『アタシらには完全に興味ない感じですかね~
?(笑)』
ミキが綾太をからかうと一同がドッと湧いた
〈なんだか同じ物持つと一体感があって良いね
!〉
「ホント!なんだか ”チーム” って感じ」
バイクもまちまちで、それぞれの個性もバラバ
ラ、だが一体感!晴子が口にした通り、それが
この仲間たちとの間にはある、エミはこれから
もずっと、皆と一緒にいたい気持ちに包まれた
【まぁ何か分かんない事あったら ”作戦会議”
に連絡して】
「あ、店長、、佳澄さんも参加しませんか?」
❝良いわね、入れてもらおうかしら…❞
すでに合点がいっている事だが、須賀がやたら
メイクに目ざとかったのは、裏で佳澄が口添え
していたのだろう
これからは佳澄に、メイクの事でも相談出来る
のだ
須賀が佳澄を招待し、無事 ”作戦会議” への
参加を果たした、佳澄のアイコンは愛車のSRだ
った、何気に晴子のアイコンを見てみると、い
つの間にかAPEに跨った画像に変わっていた
「ハルちゃんいつの間にか画像が…」
〈うん!乗り始めたら変えようと思ってたから
ついさっき、ね〉
その後伸一をエミが招待し、”作戦会議”のメン
バーは7名と結構な大所帯に膨れ上がった
『そうだ!集合写真撮りません? ”作戦会議”
のアイコンに使いたいです!』
【いいね!撮ろう撮ろう】
急遽撮影する事となった写真は、綾太が撮影し
てくれる事になり、エミのTW、晴子のAPEをそ
れぞれが跨り、その間に残りのメンバーが2列
で並んで撮影した、中心に座った須賀、その両
肩に手を添えた佳澄を中心にエミの隣には伸一
が立ち、晴子の横には座った由貴とAPEと由貴
の肩に手を添えるミキという布陣だ
⦅それじゃ撮るよ~⦆
綾太の合図に合わせてそれぞれが表情を作る、
カシャリと言うシャッター音が3回程響き、満
足げな表情を浮かべた綾太が
⦅撮れたよ~どう?カンペキっしょ?⦆
と、一同に画像を見せる、それを見たミキが
『いいね!カンペキ♪』
と、満足した様子ですぐさま画像を”作戦会議”
にアップした
今日から始まるバイクライフ!その輝かしい記
念にもってこいの画像だ
【さぁ!若い者はくすぶってちゃダメだ!せっ
かく休みの日なんだからどっか走りにいって
おいで】
❝そうそう♪せっかく天気も良いし、ちょうど
お昼時だしね❞
〖そう言えばもうお昼回ってるんだ、夢中で
気づかなかったよ〗
〈あ、あの…それなら何処か食べに行きません
か?どうせならみんなで…〉
そう言うと須賀と佳澄も顔を見合わせて、、
❝良いかもね!アタシもお昼作らなくて済むし
(笑)❞
【佳澄ちゃんが良いならオレも構わないよ】
『決まりですね!楽しくなってきた』
⦅いいないいな~オレも行きたいけど、あっ
ちのAPEは乗らしてくんないんだろ?⦆
【オレのケツ乗ってきゃ良いじゃないか】
⦅あぁそうか!乗っけてってよ親父⦆
〖なんならオレの後ろでも良いぞ綾太〗
綾太の席は確保出来たようだ、問題は何処に
行くかだ
❝せっかくだからあんまり近くてもつまんな
いわね…❞
<足助とかどう?鶏の半身出すお店が人気な
んだけど>
【お、〇の木か!いいね、久々だ】
「なんですそこ?気になる」
〖鶏の丸焼きの半身が有名な鶏料理店でね、
美味しいし、場所的にもライダーに人気な
んだ、ここからの距離も手頃でちょうど良
いね〗
❝バイク乗る人なら大体知ってるのね…❞
<アタシも何度か、何より距離が最初に丁度
良いかも>
【うん、決まりだな!鶏料理が苦手な人いる
かな??】
『大好き♡』
「アタシも(笑)」
〈異議な~し!〉
【じゃあオレ達ちょっと準備してくるよ…】
「〈<は~い!>〉」
須賀一家を待つ間、エミと晴子はLINEのアイ
コンにすべく、新たな画像を撮影していた
「今日は盛り盛りのメイクだからこれでアイ
コン画像飾るんだ♪」
〈良いね!アタシもメイク頑張ってきたから
撮り直してもらおう〉
TWに跨った写真を伸一が撮影する
〖どうかな?エミちゃんが納得するまで取り
直すけど?〗
そう言って伸一が見せた画面は、文句なしの
構図で、バッチリTWに跨ったエミが中心に
捉えられていた
『アタシスマホのカメラには自信ありますよ
~!』
そう言ってミキが見せた画像は、言うだけの
事はあって見事に晴子とAPEを捉えている
〈ありがとうミキちゃん、すごい良い画像!〉
二人ともがルンルンでアイコン画像を変更し
た、すると
〖ミキちゃんも乗りなよ、オレが撮ってあげ
るよ〗
伸一に促されたミキだが
『ちゃ~んと明日セローを受け取った後で撮
影します、今はまだ川本さんのだから…』
〖そっか、じゃあ明日お互いのを写そう〗
〈そうか!?明日川本さんは新車が来るのね〉
〖うん、だからコイツとは明日でお別れなん
だ…〗
そう言ってセローのタンクを優しく撫でる…
「でも、毎日見られるね(笑)」
<ホントだね!>
〖何処かの知らない人の手に渡るよりずっと
良いよ〗
〈ミキちゃん大事にしないとね…〉
『可愛がりますよ~♪大事に大事に乗るんで
す、なんてったってラブですから♡』
ミキも思っていた以上にセローを気に入って
いるようだ
❝お待たせ、お腹空いて来ちゃったね!❞
【あぁ、鶏食いに行くにはちょうど良い腹具
合だ!】
⦅オレ行った事ないから楽しみだな~⦆
そう言いながら須賀夫妻が2台のSRをガレー
ジから押してくる
SR2台、TW、APE、セロー、ハーレー、ミキ
は原付を辞退し由貴の後ろで行くそうだ、い
やはや、なんとも多彩で取り留めのない顔ぶ
れ、それでも暖かくてなんだか落ち着く…
【由貴ちゃん道分かるんだっけ?】
<ハイ、分かりますよ!>
【じゃあ先頭を任せよう、そうだな~エミち
ゃんと晴子ちゃんはその後ろでペースを作
って続こう、オレと佳澄ちゃんが最後に続
くから】
<了解!まかせて~>
【2人は何かあったらすぐ知らせてくれ、ペ
ースが速くてついて行けないとか、マシン
トラブルとかね…】
〈「ハイ!」〉
❝緊張しなくて良いのよ~気の合う仲間とつ
るんで走る、ただそれだけなんだから❞
<じゃあ出発するよ~!>
由貴の呼びかけに各々が頷くと、ハーレーの
エンジン音がけたたましく鳴り響いた
出発した由貴のパパさんを追いかけて晴子の
APEが発進し、続けてエミも発進した
緊張するな、という方が無理な話なのだが、
本人が思っているより体が運転を覚えている
ようで、ごく自然にTWを走らす事が出来る
思わぬ形で始まったミニツーリング
TWの初走行には絶好のステージだ!
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




