ダブルサプライズ!
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
一体何故??急に実家に連れて来られたのだろう?
そりゃあ…何時かはご挨拶に伺わねば、と思っては
いたが、これでは何とも急すぎる…
伸一に促されるままヘルメットを渡すと、いつもの
ようにホルダーにエミのヘルメットを固定してくれ
る、何だろう?本当に錯乱しちゃったのかな?
「あ、あの~アタシ…」
どうしよう今日はメイクがこんなにチャレンジング
な内容なのに…と、心配するポイントはそこで良い
のか?という内容でエミが悩んでいると
〖こっちだよ、さぁ!〗
と、エミの手を引いて歩き出してしまう、どうしよ
う?エミがそう思っている間にも、伸一はスタスタ
歩いてしまう、だがおかしい!伸一が実家だと言っ
た家からは離れて行ってしまう
「あの??伸ちゃん??」
ピンポーン♪ 話しかける間もなく伸一は呼び鈴を
押してしまった、ん?表札には「須賀」の文字が…
【はいはーい、どなた~?】
聞き覚えのある声、須賀の声だ!
〖オレです、伸一です!〗
【お~久しぶり!ちょっと待って!!】
ドタドタ走る音がした後、玄関ドアがガチャリと開
いて須賀が顔を出した
〖お久しぶり幸太おじちゃん!〗
【どうしたの伸ちゃ~ん、久しぶりだね!!ん?】
伸一の後ろにエミの姿を認めた須賀が、驚きの表情
を浮かべた
【伸ちゃん、これはどういう事?】
〖幸太おじちゃんだったんだね!イケおぢって〗
やっとエミにも状況が分かってきた…つまり、、、
「あ、あの…Kさん、、です(笑)」
そう言って伸一を両手で指し示すと、しばらく逡巡
した後、大きく破顔しながら須賀と伸一が大笑いし
た
【あ~っはっはっはっ!マ~ジかぁ~!?】
〖ホントにね!!あるんだねこんな事って!?〗
さんざん笑いこけた後、2人が徐々に状況を説明し
てくれた
須賀は伸一の家の2軒隣りのご近所さんで、伸一が
赤ん坊の頃から可愛がってくれたおじさんである事
小学校、中学校、高校と、伸一が成長してゆく過程
の中で、ご近所で可愛がってくれる良き大人であり
また、多感な時期に趣味のバイクを見せつけてくる
魅力的なチョイ悪親父でもあったようだ…
〖いや~、言ってしまえばオレがバイクに乗ってる
のも幸太おじさんの影響だからね!〗
【免許取ったその日見せに来たよな~伸ちゃん!】
〖そうそう!誰より先に見せに来た(笑)〗
などと盛り上がっていると曲がり角の先から大きな
バイクの音が響いてきた
ドドドドドドドドドドドッ
伸一の家の前で停止すると
〈アレ~?もう少し先だと思うんだけど…〉
<え~ちょっと見せて、、>
晴子と由貴のやり取りが聞こえる
須賀が道路へ駆け出すと
【2人共こっちこっち~】
と手招きする、それを受けた由貴のパパさんが、須
賀の家の前までやってきた
【イカスね~ハーレー!!】
<有難うございます!はじめまして、アタシ有賀由
貴と言います>
【須賀幸太です、よろしくね!】
〈川本さんのセローってあそこに停めてあるけど良
いの?〉
【良いの良いの!あそこ伸ちゃんの実家だからw】
<〈えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?〉>
無理もない…エミだってやっと状況が呑み込めてき
たところなのだ、、、
かくかくしかじか、と、状況を説明すると2人とも
ようやく状況が理解出来たようだ…
【鍵やら書類やらを渡したいから、みんな一旦上が
りなよ】
〖うん、そうしよう〗
そう言って伸一は須賀に続いてスタスタ上がって行
ってしまう、昔から慣れ親しんだ間柄ならではの距
離感とでも言うのか、遠慮するとかの時期はとうに
過ぎているのだろう
晴子と由貴と顔を見合わせていると、須賀が再び玄
関から顔を出し
【さぁ入って入って!お茶でも入れるよ】
と、手招きした、三人はおずおずと玄関ドアをくぐ
り
「お、おじゃましま~す…」
<〈おじゃまします…〉>
とそれぞれ遠慮がちに靴を脱いで上がり框に上がっ
た、玄関から向かって右手側にある12~15畳と思わ
れるリビングに通される
(広っ!?)
大きな窓から覘く広々とした庭、洗練された庭木た
ちと人口の池が人目を引く、非常に手の入った庭だ
<素敵なお庭ですね~♪>
〖幸太おじちゃん庭師だからね~〗
そうなのか!?そう言えば須賀の職業を聞いた事が
無かった…
今日は驚きの連続だ!イケおぢの正体は伸一のご近
所さんだった、そして職業は庭師らしい、こうして
思い起こしてみると須賀の事は知っているようで、
まだまだ何も知らなかったようだ…
❝アラ伸ちゃんいらっしゃい、久しぶりね~♪❞
そう言って須賀の妻がトレーを片手にリビングに入
ってきた、須賀の妻が、、、、妻がっ、、、!!?
「<〈えっえええええええぇっ!!??〉>」
三人が三人ともに驚愕の声を上げた、そこに立って
いたのは、何を隠そう店長その人だったのだ…
「おっおじゃましてますっ!!」
すぐにザッとエミが立ち上がり会釈した、すかさず
晴子と由貴の二人も立ち上がると
〈<おじゃましてます!>〉
元気よく挨拶した
〖どうしたの三人とも??〗
驚いた表情の伸一をよそに、いたずらっ子のような
表情をした須賀がニヤニヤと
【お師匠さまにご対面ってねw】
❝気づかれてるかと思ってたけど、気づいてなかっ
たのね~三人とも…❞
〖オレは面白いから黙ってた…w〗
本当に今日は何という日なのだろうか?須賀が伸
一のご近所さんで昔からの知り合いだった、とい
うだけでも驚きだったのに、まさか須賀の奥さん
が店長であろうとは…
伸一にはどういう事かまだ理解が出来ていなかった
エミが事情を説明すると
〖な~んだ~スゴ腕の店長さんって佳澄おばちゃん
だったのか(笑)〗
当然と言えば当然なのだが、店長も伸一の昔からの
馴染みらしい、なんとも世の中は広いようで、やっ
ぱり狭い、ようだ…
❝あら、エミさん今日は…❞
「そうです!須賀さんに買ってもらった、つけまつ
毛まで総動員して最初に会った時のメイクを再現
してみました」
❝最初にひとみちゃんがしてくれたメイクの画像っ
てある?❞
佳澄にそう問われて、エミはすぐさま自分のスマホ
で画像を呼び出す、それを見て現在のエミと見比べ
た佳澄が口を開いた
❝再現率は80%ってところかな?それだけの数字で
再現出来てるのはむしろスゴイ事よ!❞
「80%…!!」
言われてエミはついガッツポーズを取ってしまう…
「残り20%はプロの技の部分だから、そう簡単に身
につけられちゃ困るのよね~」
その横で満足げにエミを見つめる須賀と、妻の佳澄
、何とも楽しい夫婦である
「あぁ、いけない!、こっコレ、良かったら食べて
下さい」
そう言ってエミが差し出したのは、三河庵特製の詰
め合わせだ、いつも何やかやと和菓子を購入してい
るエミはすっかり店長にも顔を知られていて
”恩人のお宅に伺うのに相応しい和菓子を!” と相
談したところ、店長が中身を見繕って予算の通りに
詰めてくれた
〈あ、アタシたちからもありますよ…〉
そう言って晴子が差し出したのはこれまた高級そう
な洋菓子の袋、その店名を見た佳澄が
❝これって、岡崎の有名な洋菓子店の…❞
<そうです、ガトーヨシヅヤ!2人でツーリングが
てらフラッと買いに行ってきました>
〈由貴さんわざわざありがとね~〉
<全然良いよ~って言うかアタシほっといてもまた
買いに行きそう(笑)>
【みんなありがとね!なんだか逆に申し訳ない】
❝お客さんに気を使わせちゃってゴメンね~❞
「とんでもない!喜んでもらえたら嬉しいです」
〈ホントね!アタシも由貴さんと楽しんで選んでき
ましたから〉
❝ちょっとお皿出してくるわね♪❞
そう言って佳澄がキッチンへいそいそと走る
【どれどれ?】
須賀が楽しそうにエミの土産の箱を開ける、そこに
は大福、栗ようかん、最中など、如何にもエミの好
きそうな和菓子が整然と並べられて詰まっていた
エミから見れば、もはや宝箱と言っても良い代物だ
〈うわ~エミちゃんの趣味全開ね!〉
<ホントだ~、これだけ和菓子が並んでると爽快>
【良いね良いね!なんて美味しそうな趣味だw】
❝あら~素敵な詰め合わせねコレ!こんなの三河庵
さんにあったんだ❞
「店長さんに頼んで見繕ってもらったんです!」
〖エミちゃんウキウキで買いに行ってたよね〗
「うん、和菓子のお買い物ってとっても楽しい♪」
〖せっかくだからみんなで頂こう!そっちも開けて
みて良いかな?〗
〈是非どうぞ♪〉
<アタシたちがあぁでもないこうでもないって選ん
だ数々です(笑)>
❝じゃあ失礼して…❞
そう言って佳澄が袋を開けると
❝わぁ♪❞
と感嘆の声を漏らした、その内容は…出てくる出て
くる、個包装の数々、、フィナンシェ、マドレーヌ
、フォンダンショコラ、チョコブラウニー、ガレッ
ト、挙句には…
〈実はまだあって、、、、〉
と言いながら晴子は少し大きめの箱を引っ張り出し
て言った
〈これが本命!名物のアップルパイです〉
❝あぁ、そうそう!あそこの名物はアップルパイだ❞
〈これをみんなで食べたくって…(笑)〉
【結構な金額いっちゃったろう、ゴメンね、ホント
に…】
〈いえいえ…〉
<アタシたちは2人がかりだもんね~(笑)>
屈託なく言う由貴だが、由貴としては三人に出会え
た事に感謝があるようだ、その感謝の意味だろう
楽しい茶会が催され、全員が持ち寄られた菓子類に
舌鼓を打った後、不意に須賀が
【ホイ!これがまずTWの鍵とそのスペア、そして
書類ね…】
と言って急にエミに手渡した、エミがキョトンと
している間に
【これがAPEの鍵とスペア、そして書類…】
淡々と晴子に手渡す、かしこまって渡してこないの
が実に須賀らしかった…
エミと晴子が丁寧に正面向いて座り直すと、お互い
が封筒を差し出し
「これがTWの代金です」
〈こちらはAPEの代金です〉
と、それぞれが須賀に封筒を手渡した、須賀が丁寧
にお札を数えると
【確かに…これで譲渡は成立です!】
と静かに返事した
パチパチパチ、、と佳澄が拍手すると、伸一も由貴
も続いて拍手に加わった
【ようこそバイクの世界へ!】
❝おめでとう2人とも❞
<おめでとう!これで一緒にツーリング行けるね>
〖2人ともおめでとう!会社の駐輪場も賑やかにな
るね〗
皆から祝福を受け、ここにめでたくTWとAPEはエミ
と晴子の所有となった
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




