伸一…錯乱!
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
カチッ…バン!!
目覚まし時計のアラームが鳴る直前のカチッという
音でアラームを停止させると、バサッと布団を巻き
上げ、勢いよく起き上がる
「ん~~~~~!!絶っっっ好ぅぅ調ぉぉ!!」
両手を天井に突き上げながら元気よく吠える
普段のエミからは考えられない、これまでの人生で
一番ではないか?というぐらいにテンションが上が
っている
早速キッチンに向かうと、ティファールに水を張り
スイッチを入れる、すかさず洗面所に向かうと、洗
顔のち歯磨き、化粧水、美容液、と基本的なスキン
ケアを施す、ティファールが湯沸かしを終了した気
配を感じ、キッチンに戻ると、冷凍庫を開けほうれ
ん草のおひたしと、サケの切り身を取り出す、それ
らをすかさずレンジで解凍にかけ、自身は味噌汁に
取りかかる、とは言え、ティファールからお湯を鍋
に取り、出汁の元少々、油揚げと豆腐の冷凍ブロッ
クを1欠けずつ、冷凍のジップロックから取り出す
これはエミが仕込んだ物で、ジップロックに下ごし
らえした味噌汁の具をいれて割りばしで四角く区切
り冷凍した物だ、エミのお気に入りの倹約主婦がY
OUTUBEで紹介していた物を真似して作った物だが
すこぶる使い勝手が良い
この味噌汁を沸かすのにティファールのお湯を使う
のも倹約主婦から学んだ技だ
すでに沸騰しているところへ冷凍の具材を入れ、出
汁の粉と味噌を溶かし込んだら少し煮立たせて完成
である
そうしているうちに解凍したおひたし、サケの切り
身をレンジから取り出し、サケの切り身はバターを
乗せてアルミホイルで包んでトースターへ放り込む
おひたしはそのままでも良いのだが、昨日も食べた
ので変化をつける為、ベーコンを細かく切った物を
痛めてカリカリに焼いて乗せたところへマヨネーズ
で和えた、即席のスピナーチョサラダ、といった感
じか…フライパンを汚したついでに卵焼きも焼いて
おいた、これで朝ごはんが完成!ご飯、豆腐と油揚
げの味噌汁、サケのバターホイル焼き、自家製スピ
ナーチョサラダ、そして卵焼き、実に見栄えの良い
朝ごはんになった、思わず写メに収める
なんとはなしに伸一に画像を送ると
〖うっわ!めちゃオレ好みな朝メシ!スッゴく美味
しそうだね!!〗
「なんなら納豆も付けるよ!」
と返信すると、とても残念がっている反応が返って
きた
ゆっくりと朝食を味わうと、今度はじっくりとメイ
クに入る、今日のテーマは「メガネでの勝負メイ
ク」だ、今日は須賀の自宅へ伺うのだ、しかも伸一
を伴って、紹介するのだ、メイクにも気合が入ろ
う、というものだろう
日焼け止めの後、化粧下地を塗ってゆく、エミが最
近 ”これだ!” と思っている塗り方は、まずは大
きい面積を指で塗り広げる、そしてスポンジで目元
、鼻の凹凸周辺、口元、といった立体部を塗り込み
、最後にヘルメットラインをブラシで馴染ませる
この手順が、エミが思っている下地の理想的な伸び
を実現出来る手法だ、色々試してみたのだが、結局
はオーソドックスな手法に落ち着いたと言えよう
さてと、、、今日のメイクのポイントはと言うと…
彼氏と同伴、バイクに乗る、メガネが前提、といっ
たところか、これらの条件に合い、且つ須賀に成長
を見せつける為には…
(そうだ!!)
エミには思いつく物があった、それを使うのであれ
ば、自然と方向性も決まってきた
(よし!これで決まりだ!!)
方向性が決まってしまえば、後はそれに合わせてメ
イクを施してゆくだけだった、改めて見るに、エミ
のメイクの腕前は確実に以前より上達している
これも日々の努力と、そして何と言ってもきっかけ
をくれた須賀のおかげだろう
「よし出来たっ!」
自己流のメイクでの新しい形!記念に自撮りを撮り
まくる、自分でも良い出来だと思う、これだけ使い
こなせれば大満足だ!!
昨夜選んでおいたバイク用コーデに身を包む、と言
っても、教習所に通っていた頃に着まわしていた服
装と大差ないのだが…
最大のポイントは靴だ!伸一と行ったワークショッ
プで購入した例の安全靴、今日それを降ろす、今日
が、いや今日こそがそれに最も相応しい日であろう
事は間違いようがない!
ドルルルルル…表でバイクの音がしたかと思うと、
しばらくして ピンポーン♪ と玄関の呼び鈴が鳴
った
「ハイハ~イ♪」
トテトテと玄関まで小走りし、躊躇なく鍵を開ける
〖おはようエミちゃん、、、、うぉっ!?〗
伸一が驚きの声を上げた、原因はエミのメイクにあ
るのだが…
「どう、、?かな???」
しばしの沈黙の後、顎に手をやっていた伸一が口を
開いた
〖良いんじゃないかな、普段のエミちゃんとは違っ
て…〗
奥歯に物が挟まったような物言いが気になった
「本当に?変じゃない?」
〖変ではないよ、似合ってもいる、ただ…〗
「ただ??」
〖エミちゃんのイメージじゃなかったから驚いただ
け、全然似合ってはいるよ〗
どうやらお世辞で言ってる訳ではないらしい、ひと
まずは安心、といったところか
「時間がまだ早いから上がって、コーヒーでも淹れ
るよ」
〖うん、ありがとう〗
もはや何の抵抗も迷いもなく部屋へ誘うエミと、こ
れまた何の迷いもなく部屋へ上がる伸一、ここだけ
見ると長年連れ添ったカップルのようなやり取りだ
った
ドリップパックのコーヒーをマグカップに淹れてい
ると
〖そう言えばオレもマグカップとドリップのコーヒ
ーを買いに行きたくてさ〗
「うん??」
〖今日TWを受け取ったら帰り道で買いに行かない
?何なら業務スーパーとかも〗
「いいね!アタシも休憩用にマグカップとパックの
お茶類が欲しかったの」
〖じゃあそうしようか、どうせなら気分で飲み物変
えられるように数種類買おう〗
「アタシ100円ショップも行きたい!」
〖100円ショップ?〗
「そう!スパイスケースとかにインスタントコーヒ
ー入れて持っていけば嵩張らないと思って」
〖あ!!それいい案だね〗
思わぬところでティータイムのアイデアが浮かんで
くる、100円ショップで物を見ながらならもっと良
いアイデアが出てくるかもしれない
そんな会話をしながら出終わったドリップバッグを
始末してコーヒーを伸一に出す
「ハイ、どうぞ」
〖ありがとう!良い香りだ、これを会社でやろうっ
てのは良いアイデアだよねぇ〗
「ね~!ハルちゃんってつくづく優秀だわ」
お互いコーヒーを啜りながら、アレをこうしては、
コレにあれを入れて持って行けば、などと会社での
ティータイムのアイデア話に花を咲かせた
〖おっと、そろそろ時間だ!じゃあ行こうか〗
「うん!」
いよいよ出発だ、伸一のタンデムシートに厄介にな
るのもこれでしばらくは機会が遠のくかもしれない
仲良く階段を降りながら駐輪場へと向かう
〖それでイケおぢさんお家ってどの辺りなの?〗
「待ってね、今位置情報出すから…」
そう言いつつ自らのスマホでGOOGLEMAPを立ち上
げる
”作戦会議” から須賀の送ってきた位置情報を表示
すると
「コレコレ、ここが家らしいよ!」
そう言って位置情報を伸一に見せる
〖どれどれ…〗
そう言ってスマホを覗き込む伸一の表情が見る見る
変わってゆく…
今では(それはどういう感情?)といった表情に変
わってしまった、すると
〖ふ、ふふふふふふ…あははははは…〗
突然こらえ切れずに笑い出した
「ど、どうしたの!?大丈夫??」
〖あははははははっはっはっは…ふぅ~~〗
しばし沈黙の後
〖大丈夫大丈夫!問題ないよ…〗
と、大丈夫ではなさそうな雰囲気ではあったが本人
はそれを否定した
エミとしては心配ではあったが、本人が大丈夫と言
っている手前、それ以上の追求はやめて伸一の采配
に任せる事にした
〖じゃあ行こう!しっかりつかまっててね〗
「う、うん!」
そう言うと伸一はセローを出発させた、須賀の家は
エミのアパートからは20分程度とGOOGLEMAPでは
表示されていた
伸一はいつもと変わらぬ丁寧な運転ぶりで、信号で
の停車時、発進時もスムーズで正確、シフトアップ
やブレーキングも、つんのめる事もなければ、逆に
後ろに引っ張られるような事もない
果たして、自分が人を後ろに乗せて走ったらこんな
不快感のない運転が出来るのであろうか?
そんな疑問が湧いてくる、とは言え、落ち着いた運
転をしているからといって、やはり先ほどの様子は
ただ事ではなかった、どうしても心配で、交差点で
信号停止した間に伸一に問うてみた
「ねぇ、本当に大丈夫?様子が変だったけど…」
エミに心配された伸一は、少し申し訳なさそうな表
情を浮かべながら
〖ゴメンゴメン、心配させちゃったね、大丈夫!全
然問題ないから!!〗
そう言って笑って見せる伸一、良かった…何事もな
いのだ、では先ほどのは何だったのか?
未だ疑問を残しつつも、セローは快調に進んでゆき
気づけば住宅街のど真ん中のような一軒家の駐車場
に滑り込んでいた
〖さ、着いたよエミちゃん…〗
「へ~ここが…」
キョロキョロ見まわしていると不意に
〖そう俺ん家!〗
ん?俺ん家?そう聞こえたような気が…
「え??」
訳が分からず驚いた声を上げると、伸一がもう一度
〖ここ俺ん家ね!〗
そう言って後ろ向きに親指で我が家と言われる家屋
を指さした
「え~~~~~何で??」
突然伸一の実家に招待されたエミだった…
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




