作戦会議!
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
「とりあえずカンパーイ!!」
それぞれにグラスを合わせる4人だったが
「エミちゃん今後のメイクについてはどうなの?」
須賀の問いが話題の口火を切った
「どうやら私はキュートタイプの顔らしいです」
「キュートタイプ???」
須賀は(なんじゃそら?)といった表情だ
「なんでも女性の顔の系統は4タイプ、キュート、
フェミニン、クール
フレッシュに大別されるらしくて…」
エミは昨日調べたサイトをスマホで表示して皆に見
せた、そこには各タイプ毎に代表される女性芸能人
の顔写真と共に、それぞれのタイプの
メイクの方向性やハマる色使いなどが書かれていた
「あぁ、確かにこの顔診断だとエミちゃんはキュー
トタイプになるね」
晴子もミキも頷いた、須賀は自分のスマホでも同じ
サイトを表示し
何かをしきりに読み漁っていた
「須賀さんどうしたんです?メイクのサイトを読み
ふけって??」
ミキが不思議そうに須賀に尋ねた
「あぁ、ゴメンゴメン、晴子ちゃんとミキちゃんを
それぞれ診断してたw」
晴子とミキは顔を見合わせた
「それでどうなりました??」
「ん~とまず、晴子ちゃんはクールタイプだね」
エミのスマホを覗き込みながら晴子が頷いた、須賀
の隣の席のミキも須賀の
スマホを一緒に見ながら(間違いない!)といった
表情で頷いていた
「晴子ちゃんはキレイ系だからね、シックで大人な
メイクの方向性が良いと書いてあるよ」
須賀にキレイ系と言われ満更でもないような照れた
ような表情を浮かべる晴子だった
「アタシはどうですか??」
ミキの問いに須賀は
「ミキちゃんは丸みもあるけど少~しエミちゃんよ
りは面長だからフェミニンタイプかな」
ミキは全員の顔を見渡しながら(そうなの???)
みたいな表情を浮かべている
「須賀さんの言う通りかも、ミキちゃんは童顔って
よりは少しキレイ系が入った顔立ちだから…」
エミの言葉に、自身のスマホをインカメラにして自
分の顔を見ていたミキが
「じゃあメイクの方向性はどうなります??」
「なんか派手めでも映えちゃう顔立ちらしいよw」
須賀の言葉にミキは
「そうなんですね!でもアタシ普段から結構お化粧
濃いめかも、、、(笑)」
これには皆何と言って良いかわからず苦笑いするの
だった、、実際のところミキのメイクは濃い、と言
うよりハッキリ言えば「ヘタ」なのだ、ネギマを齧
りながら須賀が
「しかし晴子ちゃんもミキちゃんも可愛いのに彼氏
もいないの?」
須賀に問われて2人は口々に
「そうなんですよぉ~~(汗)」
「なかなか機会に恵まれずに…」
などと口々に言い訳めいた事を言っていた
「予定ないって言ってたもんね、、w」
少しイジワルな須賀の物言いにミキが頬をふくらま
せながら
「ほっとけばそのうちアタシだって売れます~!」
と須賀に食ってかかる、その様子を晴子と共に嬉し
そうにエミが眺める
「でも、なんとなくは知ってたんですけど自分に合
ったメイクとか深く
考えた事もなかったです」
晴子の言葉にエミもミキもうんうんと首を縦に振り
ながら大きく頷いた
「調べれば調べるほどメイクって奥が深くて、覚え
なきゃならない事がたっくさんあります」
エミの言葉に須賀がまたしても不意に見せる真顔で
「大変かい?」
と尋ねた、エミは満面の笑みで
「とんでもない!私、今とっても楽しいんです♪」
と答えた、すると須賀は表情を崩して
「よかった!オレが余計な事したせいでメイクしな
きゃ!って思い悩んでないかと心配だったんだ…」
エミはブンブン首を振りながら
「こんなに楽しいのは高校の陸上部で頑張ってた時
以来です!」
力強く答えた、須賀もニッコリ笑い
「楽しんでくれてるなら何よりだ」
父が娘を慈しむような表情で須賀が言うのを見てミ
キが
「アタシ達も居るんですけど~2人の世界に入らな
いで下さい」
ちゃちゃを入れてきた、そのタイミングで晴子が
「エミちゃんもう一度メイクしてもらった時の画像
見せて」
とエミに言ってきた、エミがスマホで画像を表示す
ると、須賀とミキも
画面を見ながら改めて
「やっぱプロの美容部員さんってすごいわね~」
「オレも昨日マジマジと見せつけらてビビったよ」
「でもエミさんの今日のメイクって少しこのメイク
を参考にしてますよね」
3人が3人とも画像を見ての感想を述べた、エミは画
像を食い入るように見ながら
「私はこれを自力で再現出来るようになりたい!」
エミの意外な力強い言葉に晴子とミキは顔を見合わ
せて驚いた
「エミちゃんのメイクを見てアタシはてっきり彼氏
が出来たんだと思ったのにな」
「オレとしては3人とも彼氏が居ないのが不思議な
んだけどね…w」
臆面もなくこういう言葉が出てくる須賀だが、決し
て遊び人という雰囲気はなかった、どうやらそれは
晴子もミキも同じようで、須賀の言葉を素直に喜ん
でいた
「アタシもメイク頑張ってみま~す」
ミキが宣言した、晴子も乗り気のようで
「アタシもちょっと自分のメイクを見直してみよう
かな」
などと言っている、エミは2人に
「今度また私がメイクしてもらった店員さんに相談
に行こうと思ってるんだけど…」
と告げると
「あ!!アタシも行きたい!!」
と2人揃って声をハモらせるのでエミは快諾した
「ハハッ、盛り上がってるねぇ」
「今は情報を一生懸命に詰め込んでいるので、実践
に入ったらすぐに自撮りして画像送りますね♪」
エミの言葉に
「そうだ!グループラインを作りましょう!」
ミキが言い出した
晴子も乗り気のようで「そうしよう!」と、いつに
なく前のめりである
ミキがトークルームを立ち上げ、すぐさまエミと晴
子を誘った、エミも
すぐさま須賀を誘い4人はラインで繋がった
「部屋の名前は何にします」
「ん~”作戦会議”とかでいいんじゃないか?」
須賀の一言でそのまま異存なく決定した
「ところで須賀さん!このワンコなんて名前なんで
すか??」
ミキがすぐさま須賀のアイコンのパピヨンに食いつ
いた
「こいつはジャッキーっていう名前だよ」
「すっごく可愛いですね!!」
晴子もミキもとても気に入ったようだ
「こいつの写真なら死ぬほどあるよw」
と言って須賀が画像ファイルを開くと、あるわある
わ写真の山であった
「キャ~可愛い♡」
しばらくはテーブルから黄色い悲鳴が上がりっぱな
しだった
「このちょくちょくコスプレしてるのは趣味です
か?」
「トリミングに行くといつも記念に撮ってくれるの
よ」
アイコンの写真はどうやらハロウィン時期の写真の
ようだ、オレンジの
帽子とマントがとても愛くるしい
「ちょっとオレはトイレ行ってくるね」
そう言うと須賀は立ち上がりトイレに向かって行っ
た
「はぁ~須賀さんイケおぢですぅ~」
ミキがテーブルに肘をつき頬を両手で支えながら言
った
「ほんとね♪」
エミは何故か自分が褒められたように嬉しい気持ち
になった
晴子も隣でウンウンと頷いていた
須賀はテーブルに戻ってくると
「そろそろお開きにしようか、みんな明日も仕事で
しょ?」
須賀に言われ時計を見ると21:30を少し回っていた
「そうですね、自転車も原付も飲酒になっちゃうか
ら2人ともバスでしょ?」
晴子の言葉に現実に戻ったエミは
「そうだね、連絡ならもういつでも取れるしね、時
間も遅いしアタシもバス
にしておこうかな」
「ま、何かあったら”作戦会議”で知らせてよ」
須賀はいつものくだけた調子でそう言うとスックと
立ち上がった3人は少し後ろ髪引かれる思いだった
がおずおずと立ち上がって会計に向かうのだった
先頭を歩いていた須賀がレジに着くと店員が
「お釣りになります」
と須賀に小銭を渡してくる、どうやらトイレに立っ
た際に須賀が会計を
済ませていたようだ
「じゃ、行こうか」
エミは須賀に
「いくらでしたか?私たちちゃんと払いますよ」
と言ったが予想していた通り
「前にも言ったけど、んなダッサイ真似出来ない
よ、奢らせといてw」
「そんな…私おごってもらってばかりです、こっち
から誘ったのに…」
「男が社会に出て30年も働いてりゃそれなりに余裕
はあるもんだよ、
大丈夫!ビクともしないさw」
尚も食い下がろうとするエミだったが、晴子に後ろ
から肩を掴まれ首を
振られてしまった、するとミキが一歩あゆみ出て
「ご馳走様でした、今日はご厚意に甘えます~」
と深々頭を下げた、つられるようにエミも晴子もお
辞儀をする
「でも申し訳ないので今度手作りスイーツをゴチソ
ウします!」
「あ、それなら私も今度は違うおススメのお店の和
菓子を…」
「ならアタシだっておススメの洋菓子を…」
「アハハハ、楽しみにしとくよw」
「じゃあ、今日のところはここで解散って事で、な
んかあったら”作戦会議”
で、みんな気をつけて帰ってね」
須賀は昨日と同じく、クルリと踵を返すと振り返ら
ずに手を振った
3人は須賀の後ろ姿にそれぞれ控えめに手を振ると
「それじゃ私たちも解散しよっか」
とそれぞれが帰路に着いた
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。