須賀の愛車…
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
トヨタ駅に着くや否や晴子と遭遇した、駐輪場へ行
く途中だったらしいが、市役所からは通り道で、エ
ミとはタイミング的に偶然だと言う事だった
「免許証見せて~」
エミの言葉に晴子が見せてくれた免許証の写真は、
エミよりもミキよりも遥かに写真映えの効いた素晴
らしい写り映えだった
「スゴーイ!!」
驚きを隠せないエミの反応に晴子は
〈そんな、、、普通だよ…〉
と謙遜するのだが、エミは知っていた、晴子が努力
の人であるのを、自分がこれで精一杯!と思ったと
ころから、更にもうちょっと上を目指して努力した
結果だろう
「アタシも95点ぐらいの出来だと思ったけど、ハル
ちゃんは120点だね~」
そう言って自身の免許写真を眺めていると
〈エミちゃんが見せてくれた写真がスゴかったから
、言われた事全部やってみて、それでも心配だか
らネットでさんざん調べたの…〉
やはり晴子は努力の人だ…(敵わないな…)と兜を
脱ぎつつも、自身の努力の不足を反省し、次に活か
そう、と心に誓った
駐輪場に着くとミキはすでに来ていて、後は須賀の
到着を待つばかりだった
『おめでとうございます、晴子さん!』
〈ありがとうミキちゃん!これでみんな揃って免許
持ちだね!〉
「そうだね、いっぱいツーリングしようね!」
『和洋菓子店を巡ってシメに材料を仕入れてスイー
ツ作りとか良いですね!』
〈アタシたちのフルコースだね(笑)〉
「ホント!でも今まで行きたくても行けなかったお
店とか行けちゃうね!」
〈手始めに名古屋ぐらいだと距離もちょうど良いよ
ね♪〉
『原付だとちょっとな~ってぐらいの距離が絶妙で
すね(笑)』
「大須商店街行きたい…電車じゃなくバイクで!」
〈そうしよっか!すごく丁度良い場所だと思う〉
何気に最初のツーリングの目的地が決まった所へ、
小気味良い単気筒のエンジン音が響き渡った
見るとブルーメタリックのバイクが駐輪場に入って
くる所だった、乗っているのは…
須賀だった、そしてその愛車とは…
〈きゃあ~♪須賀さんの一番の愛車って!愛車って
!〉
晴子が黄色い悲鳴を上げて一目散に駆け寄って行っ
た、無理もない、須賀の愛車は晴子が惚れ込んでい
るSR400だったのだ!
『あれ、例のSR400ってやつですよね?晴子さんが
大好きな』
「そうみたい!やっぱり須賀さんって趣味が良いね」
【やぁ、お待たせ!みんな】
「〈『おつかれさまです!』〉」
〈須賀さんの一番の愛車ってSRだったんですね!〉
【そうそう♪コイツを一番可愛がっててねぇ、他も
もちろん大好きだけども、コイツは特別!】
そう言いながらブルーメタリックのタンクをスリス
リと撫でる
「結構イジってる感じですね?」
【いや~オレのはそうでもないよ、市販のボルトオ
ンのパーツがほとんどだし、ミラーやハンドルグ
リップなんてオレの持ってるバイクは全部イジっ
てるから…コイツもマフラーが一番こだわった所
ってぐらい】
〈音にこだわった、って事ですか?〉
【ではなくて、実は形にこだわった(笑)、形がダ
ッサいマフラーはどうしてもイヤだったから…】
その言葉でマフラーを注視すると、車体の左側で
”コ” の字に曲がったエキゾーストパイプがスタン
ドの上から斜めに駆け上がり、ショックアブソーバ
ーのやや後方でエンドを迎える
一見して手が入っているのが見て取れる、高級感の
あるマフラーだ
【オレはSRのノーマルの外観が好きだからね、大き
く見た目が変わるカスタムはしないんだ…】
そう言いつつ何気にフロントフォークが倒立に変わ
っているのは自慢しないのが須賀らしいところだ
晴子は須賀が到着してからずっと、ウットリした目
でSRを眺めている
傍から見ると、顔の前で手をヒラヒラさせても気づ
かない程の様子に見えた
【そんじゃ行こうか!エミちゃんは自転車だっけ?】
「ハイ!近いから全然大丈夫です」
【分かった!じゃあ先に行ってるからゆっくりおい
で】
『じゃあエミさん現地で~』
「また後でね~」
皆に手を振り、エミは自分が毎日自転車を預けている
、駅の駐輪場へと歩き出した
ふと見ると、APEの時はウキウキと綾太の後ろに乗り
込んだ晴子が、ひどく緊張した様子でSRのタンデムシ
ートに跨るところだったSR400に乗るのだ、しかも須
賀が手塩にかけて作り上げた1台にだ!
少しの距離の短い移動だが、晴子にとっては忘れられ
ない思い出になるだろう…
(良かったねハルちゃん…)
心の中で晴子を思いやりながら、自転車を漕ぐ
レッドバロンに到着すると、三人と店員がちょうど話
し込んでるところだった
【あぁ、来た来た!このエミちゃんがTWの方のオーナ
ーになる娘です】
⦅こちらの伊藤さんがAPEのオーナーになる方ですね⦆
【そうそう、で、こちらのミキちゃんがVINOを査定し
て欲しい、っと】
⦅承知しました、あちらのテーブルでお待ちください、
査定のお客様は担当者を呼んできますので少々お待
ちいただけますか⦆
『は~い』
程なくして担当者が現れ、ミキは表に停めた自身の原
付の査定に向かった
エミ達はと言うと、あっけないくらいすぐに手続きが終
わってしまった
「名義変更の手続きって簡単なんですね(驚)」
【相手はその道のプロだからねw】
〈これでもう終わっちゃったんですか?〉
⦅陸運局の手続きは本日は間に合いませんので、明日行
います、夕方寄って頂ければ新しい登録証が出来上が
っていますので⦆
【了解です、明日の会社帰りに寄ります】
⦅ところで趣味の良いSRですね⦆
【ありがとうございます】
⦅ノーマルの良さを活かしたカスタムですね、でも総額
で結構かかってそうです…⦆
【妻には怒られますけどね…w】
⦅バイクが趣味の方はそういう方がほとんどです(笑)⦆
須賀のSRはプロから見ても良い趣味のようだ…
査定が終わったミキと共に店内を見て回る、すると…
〈あ、、、〉
晴子の視線の先にはワインレッドののCB223Sが展示され
ていた
【どうしたの晴子ちゃん?】
恐らくはCB223Sを購入しようと考えていた晴子だったが
須賀のSR400を見て心が揺らいだのだろう、気持ちは分
かる
〈アタシ、ツーリング用の中型でコレ(CB223S)を買お
うと思ってたんです〉
表示価格はコミコミで33万円、相場や状態から見てどう
なのかは、今のエミでは判断しかねる
【はは~ん、オレのSRを見てどうしようか悩みが生まれ
たね】
〈そうなんです、コレはコレで良いしな~って(笑)〉
【オレも好きだよ、このAPEをまんま大きくした感じ】
〈そうなんですよ~カッコ可愛いですよね!〉
【悩めば良いじゃない、それもまた楽しいよ、SRは良い
けど車検もあるしね、少し大きくて重いし、中型の最
初の1台で不安、、ってんならこっちを買うのもアリだ
と思うよ】
「そうだよハルちゃん、なんてったってAPEがいるんだ
から!あせる必要は全然ないんだよ」
『ですね!APEすっごく可愛いし、そのうえタンデムま
で出来ちゃう』
【APEは良いよ~綾太がさみしがるくらいにね!】
〈アハハハ、ちょっと悩んでみます、これも楽しい悩み
ですね〉
【県内ぐらいだったらAPEで全然良いしね】
⦅え?APEとかGORILLAやMONKEYのオーナーの方々っ
て県外でも余裕でツーリング行かれますよ⦆
〈え!?そうなんですか?〉
⦅私もGORILLAを1台持ってますが、浜松へツーリング
に行ってうなぎ食べて来ましたよ⦆
〈わぁ楽しそう♪〉
⦅良かったら参加しますか?APE、MONKEY、GORILLA
、ばかりで総勢50台近く集まります⦆
「すご~い!!」
『50台って!?』
〈ちょっと怖そう…〉
【大丈夫でしょ、女子も多いと思うよ車種的に…】
⦅さすが鋭いですね!1/3は女性ですよ⦆
驚きだった、エミ達の知らなかった世界、そこでは女子
も普通に混ざって活動している
〈今回のAPEが初めてのバイクなんです、しばらく乗っ
て慣れてきたらまた考えてみますね〉
⦅興味がおありでしたらご来店下さい、何か困った事が
ある時もお気軽にお越しください⦆
ありきたりだが丁寧で、それでいてフレンドリーな対応
だった、バイク乗りの仲間入りを果たした、という実感
が急に湧いてきた
【さ~てと、それじゃ晴子ちゃん送って行こうかねぇ、
いつも使ってる最寄り駅で良いかい?】
〈え?良いんですか?〉
【トヨタ駅でも隣駅でも変わんないよw
エミちゃんまたね!週末待ってるから】
「ハイ!愛しのTWを迎えに行きますね」
【Kさんと会えるのも楽しみにしておくよw】
「ハイ…」
【じゃあ晴子ちゃん、行こうか、エミちゃん、ミキちゃ
んまたね】
〈お願いします!じゃあエミちゃんまた明日~〉
『エミさんまたです~』
【んじゃまたね~】
皆が手を振り走り去ってゆく、少しさみしい気持ちにな
ったが、焦る必要はない、週末までの辛抱だ…
心地よい風を頬に受けながら、家路の道、自転車を
漕ぐ、TWが来たら自転車に乗る事もなくなってし
まうだろう、、そう思うと少しさみしい気もした…
長らく通勤を共にした自転車…
(もう少しお願いね、、、)
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




