名変前夜…
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
『明日はいよいよ晴子さんですね』
〈うん!絶対合格してくるから〉
ミキの言葉で晴子も奮起したようだ
「そう言えばアタシもお弁当頑張ってみようかな、
って今日はお弁当用に試しで唐揚げ作ってみた
の」
そう言いつつ唐揚げの画像を上げる、特にカレー粉
の衣の唐揚げは美味しかった、と補足を付けると
〈え?カレー粉って衣に混ぜるの?もう一つの何か
衣に入ってるのは何?〉
「カレー粉は衣に混ぜるの、小麦粉1片栗粉1カレー
粉はそれに対して1/5ぐらいかな、もう1種類の
は試してみたかった柿の種の衣!これも美味しか
ったよ」
『あ!それ聞いた事あります、やっぱり美味しいん
ですね!?』
「うん!衣が思ってる3倍ぐらいサクサクしてて、
でも下味が付きすぎだと衣とケンカするって書い
てあったから下味を軽めにしたの」
〈へ~今度やってみるね、アタシが調べたサイトだ
とマヨネーズで漬け込むと柔らかくなってジュー
シーで一石二鳥だって書いてあったよ〉
「酒と醤油としょうがで漬け込むだけが唐揚げじゃ
ないんだね~」
〈塩水で漬け込むとかもあるらしいね〉
「あ!それTVで見た、お相撲さんが作ってたやつ」
〈そうそう!レシピ出てたよ、やっぱり塩水に漬け
るだけなんだって、鶏肉に切り込みを入れといて
塩水がしみ込みやすいようにするのがポイントだ
って〉
『でも晴子さんがいきなりお弁当生活を始め出して
ビックリしました』
「ホント!でも良いアイデアだよね」
〈エミちゃんがヒントだよ!〉
「そうなの?」
〈平針の食堂が混みそうだからサンドイッチ持
ってったって…〉
「あぁ、それで!?」
〈エミちゃんもお弁当始めるの?〉
「うん!そのつもり」
〈それは良いね!お互い少し緊張感があって手抜き
にならなさそう〉
『アタシもやろうかな…』
「そうしよう、きっと楽しいよ♪」
〈おかず交換とかきっと楽しいよ〉
『確かにそれは楽しそう!』
【いや~いい湯だった、って今日はものすごく女子
トーク全開って感じだね?】
〈おかえりなさい、アタシお弁当生活始めたんです〉
「アタシも始めるところです」
『アタシも便乗しようかと、でもあんま料理得意じ
ゃないんですけどね…』
【今の時代なら大丈夫でしょ!ネットで調べれば大
概の物のレシピは載ってるからね、後は創意工夫
だ!】
「それを調べるのがまた楽しいのよね♪」
〈そうだね、あ、コレなら作れそうって…〉
『アタシでもいけますかね?』
「間違いなく大丈夫!なんならコーチしに行くよ」
『ホントですかぁ!?』
〈じゃあ今度みんなで業務スーパーとかに買い物に
行って、ミキちゃん家で仕込みしよう!〉
『それならその時にケーキ作りましょう!』
【とっても楽しそうで何よりだね】
「おかげさまで最近何やるにも楽しくって♪」
〈ホント!生活に張りが出ました〉
『感謝、感謝ですね!』
【それなら本当に良かった、ところで話は変わる
けど…】
須賀が勿体つけた話し方をするとは珍しい
【明日、晴子ちゃんが試験を終えたら、市役所に
寄って住民票を取ってくる、で、仕事が終わった
エミちゃんと、オレとで6時に駅で待ち合わせ、
っと】
『いよいよ名義変更ですね~』
〈ミキちゃんの方は?〉
「新車の方のセローは日曜に納車らしいから、納
車の時に一緒に名義変更でどうか?って言って
たね」
【お!?Kさんのセローがもう納車なのかい?】
「そうなんです、買い替えを決断する良いきっか
けになったって言ってましたよ」
〈Kさんも須賀さんと同様にキレイに乗ってるも
んね~〉
「少しさびしいけど、ミキちゃんだったら会社
に乗ってきてくれるし、嬉しいって言ってた
よ」
『それなんですけど、明日アタシもご一緒して良
いですか?』
【お!?名義変更に興味ある?】
『もちろんそれもあるんですけどVINOの下取り
を頼みたくって…』
【あぁ!?なるほどね、乗って行けばその場で査
定してもらえるのか】
「じゃあみんなで行こうか(笑)」
【明日はオレの一番の愛車で行くから!】
『わ!ついにお目見えですかぁ!?』
「何だろう~楽しみ♪」
〈須賀さん趣味いいからワクワクする!〉
【一番可愛がってるからね!期待を裏切らないと
思うよ】
自信満々でそう言う須賀を見るのは初めてだった
よほど好きなバイクなのだろう、これほどまでに
須賀が肩入れするバイクは一体何だろう?本当に
興味が尽きない
【晴子ちゃんは駅から乗せてくとして、エミちゃ
んは自転車で、ミキちゃんは原付で来るのかい
?】
『そうです、で、ついでに査定してもらう、と…』
【分かった!じゃあ明日の18時にあの駐輪所で集
合だね】
「了解です」
『りょうかい~』
〈承知しました!〉
”お風呂がたまりました” のアナウンスが聞こえ、
エミがその旨伝えると
『アタシもお風呂行ってきます』
〈アタシもお風呂にしますね〉
と皆一斉にお風呂タイムに突入していった
エミもお風呂に入りながら、ふと考え事が頭に浮
かぶ
(バイクって家族が出来ても乗ってられるのかな
ぁ…)
昼休憩で小泉さんと話した内容によると、結婚し、
しばらくは旦那さんもバイクに乗ってはいたが、自
分が妊娠し、バイクではなく車ばかりでの生活が次
第に長くなり、徐々に乗らなくなっていった、車庫
で眠らせているのも忍びないので仕方なく売った
との事だったが、もし仮に自分が結婚したと仮定し
て、妊娠し胎児への影響からバイクに乗るのは控え
ざるを得ない、そうなってくると、ただ無為に維持
費を払い、所有し続ける事態が続く、そうなると…
今は考えてもしょうがない事だ、だが、備えておか
なければならない事態でもある
須賀は言った
【バイクはキチンと手をかけて愛してやれば、生涯
その1台に乗り続ける事が出来る】と…
事実、須賀のTWは20年という時を共に過ごしている
消耗品もあるだろう、乗り方だって大事だ、何よりも
、状態を維持していく為には好きである事が絶対条件
だろう
(大丈夫だろうか?須賀の愛したTW、綺麗に、最高
の状態で乗り続けたい!可愛がって可愛がって、ず
っと一緒に居たい)
頭まで湯につかると、そのまま10秒ほど沈んだまま、
一気に浮き上がる
「ぷはぁっ!」
両手で頬をパシパシッと2回はたくとキッと目が座っ
た
(大丈夫!勉強しよう!知ろう!大事にしよう!)
改めて決意は固まった、まずは勉強!オイル交換ぐら
いは自分でやりたい、その他の事だって、出来る事は
自分でやりたい、お金をかけて手入れ ”してもらう”
のではなく、自ら手をかけて手入れしたい、今のまま
では知らない事ばかりだ
バイク、メイク、料理、そして伸一の事、知りたくて
変わりたくて、上達したくて、もっともっと好きにな
る、目的を持って日々を過ごせることが、こんなにも
自分に安らぎをくれる事、心に活力を与えてくれる事
を、最近、切に実感している
以前はPCに向かって調べ事をしている際など、口寂し
く、ついつい煎餅などを頬張りがちだったが、最近、
皆と ”作戦会議” で盛り上がっている時などは、お
茶すら必要としない、それほどまでに夢中なのだ…
自分でも自覚している、何故なら終始笑顔なのだ、無
意識のうちに口角が上がってしまう
自分に自信が無く、何をするにも ”自分など…” と、
無意識に自制のブレーキを踏んでしまっていたこれま
で、その足枷を、須賀という男が見事に取り払ってく
れた、本当の自分は、思っていたよりも遥かに高く飛
べたのだと!
世間一般ではバイクの免許を取るなど、大した事では
ないのだろう、だが、エミの中では違う!あの時須賀
と出会わなければ、サイフを落としていなければ、絶
対にバイクの免許など取っていなかっただろう
スキンケアをしながら、そんな事に頭を巡らせている
と、いつの間にやらもう10時を回っていた
忘れないうちに目覚ましのタイマーをいつもより30分
早く設定する、お弁当作りに備える為だ!
まずは目の前の目標からコツコツと、エミはエミなり
に、自分の目標へと歩みを進めていた
さすがに寝るには少し早い、エミはPCに向かうと、以
前から気になっていたヘルメットの装飾を検索する
「ヘルメット 着色 装飾 ステッカー」などの複合
検索をかける、プロの手掛けるヘルメットの着色動画
など、興味深い物がツラツラと並ぶ中、
「ほかの人はこちらも検索」の欄に気になるワードを
見つけた 「ヘルメット 和柄」 一際エミの目を引
いたこのパワーワードをすぐさま検索する
トップの画像がいきなりエミのハートを鷲掴みにした
それは桜のステッカーを装飾したヘルメット
見た瞬間に(これだ!!)と確信するものがあった
和菓子派のエミがビビッとくるものはやはり和テイス
トの物のようだ、自分でも苦笑しつつ、表示された画
像を見進めてゆく、桜のステッカーは既製品らしく、
値段がヘルメット自体より高いぐらいだった、、だが
その他のステッカーは良心的な物が多かった
狐の面の和柄、不動明王、侍、鶴、風神雷神、旭日旗
、、、後半はなんというかヤンキー臭いデザインが多
く見受けられてきた
色々調べていると、どうやら自作出来るキットがある
らしい、カラーラインナップが5色と心許ないが、自分
でデザインを選べるのはありがたい、代りに労力とい
う対価が必要なようだが…
すぐさまステッカーを自作する方法を検索する、どう
やら予想の通り、安くすませたいのなら支払うのは労
力という対価のようだ、だが、がぜん燃えてきた!
逆に言えば労力をかければ、安く、そしてカッコ良く
自分で仕上げられるのだ!
晴子のお弁当作戦から、倹約と言う発想をもらった
今度はそれを活かして、ヘルメットをアレンジするの
だ、しかも自らの手で!
出来る事は自分でやってみる、可能性は無限大だ!
自分が出来得る限り、それが上限なのだから…
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




