初デート!!
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
日曜日、今日は伸一とお出かけの約束をしていた
と、言うのも、店長の所へ結果報告とお礼を兼ねて
の挨拶に行きたかったのだ、無論あの店へ行くのだ
エミは朝からメイクに余念が無かった
「どっちにしようかな~」
一人でブツブツ言いながらメイクに勤しむ
メガネとコンタクト、その二者で悩んでいるのだ
無論、エミの普段はメガネが主流、会社でもメガネ
モードを崩すつもりは無かった
伸一への告白の為に一生懸命練習した勝負メイク、
ここ一番での効果は絶大だった、、、のだろう
だが、普段のエミのメイクこそ、私生活の中でエミ
が一番施す物で、店長に相対するにも相応しいと思
われた
「よし!メガネで行こうっと」
そうと決まれば話は早い!エミはここのところ慣れ
親しんだメイクを施す、だが伸一が一緒なのだ、し
かもバイクに2人乗り!ここは少し華やかに盛ってお
かないと川本にも失礼にあたる、というものだろう
手持ちの中で一番映えるオレンジのシャドーを入れ
る、ベースメイクはいつも通りなので、あまり派手
過ぎると目元が浮いてしまう、ここはチークを普段
より強めて相殺する、陰影を顔の凹凸や、メイクの
強弱毎に調整出来るようになってきたのは最近だ
エミは弱、中、強と呼んでいるが、普段通勤の際に
は弱のメイク、今日は中と強の間ぐらいで良いだろ
う、思いっきり振り切った強のメイク、つけまつ毛
や派手なリップグロスなど、使う時がくるのだろう
か?
それこそ晴子やミキや由貴が結婚するような時が来
れば、その時には思いっきりメイクして式に参加し
てみるのも良いだろう
そんな事を考えながらも、本日のメイクは完成した
「うん!上出来♪」
鏡を眺めながら自画自賛する、自信を持つのだ!そ
れが須賀や店長らの恩に報いる事になる、そう信じ
ている
ピンポーン♪ どうやらお迎えが来たようだ
「は~い!」
準備した小ぶりのリュックを引っ提げて玄関へと向
かう、ガチャリと玄関ドアを開けると、カジュアル
な服装に身を包んだ伸一が目に飛び込んで来た
下駄箱の上のヘルメットを掴むと、玄関をくぐり外
へと出た、少し秋めいてきた外気が心地よい
「おはよう伸ちゃん!」
〖おはようエミちゃん!〗
まだ慣れないお互いの呼称に、思わずお互いが照れ
笑いを浮かべる
〖今日は少しメイクが強めなんだね?〗
「お師匠様たちの所に行くし、それに、、伸ちゃん
と一緒なんだから!」
エミの言葉が意外だったのだろうか?伸一は驚いた
表情を浮かべた後
〖嬉しいね!そうやってメイク頑張ってくれるのっ
て…〗
「そうなの?」
〖そりゃそうさ!女の子が自分の為にメイクを頑張
ってくれて嬉しくない男なんていないよ〗
そう言うものなのだろうか?もうすっかりメイクに
ハマってしまっているエミにとってはメイクは最早
趣味と呼んでも差し支えないものだ、伸一に見せる
というのも重大ではあるが、言ってみれば一つのテ
ーマだ、それが結果として伸一を喜ばす事になるな
ら、それは願ったりといったところだ
階段を降りながらそんな話をしつつ、エミの心はま
た一つ満たされるのだった
セローの前まで来ると
「じゃあお願いします!」
と伸一とセローにペコリとお辞儀する
〖おまかせあれ!〗
伸一は”ドン”と胸を叩くとセローに跨った
エミも跨ったのを確認すると、セルのスイッチに指
をかけながら伸一が
〖そういや、燃料入れてって良いかな?〗
と尋ねてくる、バイクの給油を見た事がないエミは
「どうぞ、見た事ないし興味ある!」
と目を輝かせた
〖そんな面白い物でもないけどね~〗
などと言いつつセルを回してエンジンをかけた伸一
が
〖じゃあしっかりつかまっててね!〗
といつものセリフをかけてくる
「うん!」
返事をするエミの両手に自然と力が入る
セローはゆっくりと静かに発進した、相変わらずエ
ミを気遣う伸一の優しさが感じられるやわらかなス
タートだ
「伸ちゃんってバイクの運転上手いよね!?」
〖特別上手いって程じゃないと思うけど、長く乗っ
てると自然に上手にはなるよ〗
そういうものなのかな?確かにエミも、教習所に通
い始めから考えれば想像もつかないぐらい進歩した
これから免許を取得して通勤に使用していれば
自然と運転も上手くなるのだろうか?
走りながら大きめの声でそんな会話をしながら走っ
ていると、伸一はとあるエネオスに入った
画面をタッチするとスマホをかざしてクーポンを使
用する
〖オレはエネオス使ってるけどエミちゃんの家から
だとどこが良いのかな?〗
考えた事もなかった、これからしょっちゅう使う事
になるのだから調べておいた方が良いだろう
立地が便利でサービスが良いブランド…さっぱり見
当がつかない
〖さってと…〗
伸一はキーを抜くと、タンクキャップに差し込みキ
ャップを開けた、開けたキャップを給油機のキャッ
プ置き場に置くと、レギュラーの緑のノズルを手に
取った
「あ、やってみたい!」
〖いいよ、やってみる?〗
そう言いつつ伸一がノズルを手渡す、エミは少し緊
張しながらノズルを受け取った
〖ノズルを差し入れてトリガー引くだけだけど、バ
イクの場合はすぐいっぱいになるから気を付けて
、センサーが付いてて止まりはするんだけどね〗
「分かった、やってみる!」
エミはタンクの穴にノズルを差し入れると、トリガ
ーを握った
ポンプがガソリンを送る音がし始め、メーターが給
油量と料金を表示し始める
30秒と立たずに満タンになってしまった、バイクの
タンクとは小さいのだろうか?
〖ちょっとノズルもらうよ…〗
伸一はそう言うとエミの手からノズルを受け取り、
給油口から少し抜いて入り口付近にノズルの口を持
ってくる
〖センサーが付いてるからさ、ギリギリまでは入ら
ないんだよね、だからこうしてギリの所まで自分
で口を持ってきて、と、、、軽く握る…〗
弱めに握っているからだろう、注がれる流量が少な
い、メーターで確認していると1.5ℓほど入っただろ
うか、タンクの上部に液面が見えてきた
〖あふれる前に止めて、っと〗
伸一は丁寧にノズルの残りをタンクに落とすと、ノ
ズルを引き抜いて機械に戻した
〖こんな感じに、最後は調整してやらないとギリギ
リまで給油出来ないんだよ…〗
「へ~、でもギリギリまで入れないとダメなの?」
〖ダメじゃないけど、イザって時に ”あそこでもう
1ℓ入れておけば” ってなったらイヤだから〗
確かに!この小技を使う1.5ℓほど前で給油が止まって
いるのを見た
かなり有効な裏技なのだろう
〖じゃあ行こうか〗
「うん!」
再びセローに跨ると、伸一の背中に張り付く、それを
確認した伸一が、ゆるやかに発進する
ものの5分で駅に着いてしまった、これからの通勤は
会社まで乗って行くつもりだが、駅から会社など10分
もあれば着いてしまう、つまり会社まで20分以内にと
到着するのだ、なんと画期的なのだろう!
もうすっかりお馴染みとなった駐輪所にセローを停め
ると、2人で仲良く階段を上る
ドキドキしてきた…
店長は何と言ってくれるだろうか?落ち着かなくも止
まる事なく入店し、決意が揺るがぬうちにカウンター
へ向かった
⁅〝 いらっしゃいませ~ 〟⁆
磯山と前原が相変わらず揃った声で挨拶を寄こす
⁅ あ!?ひょっとして ⁆
〝 間違いないですね! 〟
「その節はお世話になりまして、、その、アタシの、
、彼氏です…」
〖はじめまして!エミちゃんとお付き合いする事に
なりました、川本と言います〗
伸一は丁寧に頭を下げた、エミが伸一に
「こちらは磯山さん、アタシの、ホラ、例のメイク
をしてくれた人」
〖あ~あの画像の!あれ、見せてもらってオレも驚
きました〗
⁅ い、いえ、お客様のご要望に全力でお答えした
結果ですから ⁆
磯山はエミから見ても分かりやすく喜んでいる、自
信の施したメイクがこの結果をもたらした、といっ
ても過言ではないこの状況、冥利に尽きる、と言う
物だろう
「 こちらは前原さん、こないだIRONPLATE行く時
に寄った時 ”この後良い所に行くんですね”
って、すぐ見破られちゃった 」
〖そんな事まで分かるんだ!?スゴイね〗
〝 いえ、アタシなんてまだまだ勉強不足です 〟
と言う前原だが、これ以上ないぐらいに上機嫌の様
子だ
「今日は皆さんに紹介したくて、、、店長さんいま
すか?」
磯山は少し表情を曇らすと
⁅ 店長は今日お休みを取ってるんですよ、なんで
も買い物に行きたい、とかで… ⁆
〖残念です、エミちゃんがいつもお世話になって
る人に挨拶したかったですが…〗
「まぁ、今日じゃなくっても、ね!」
〖そうだね!また来れば良いさ…〗
⁅ 素敵な人ですね ⁆
〝 ホント!うらやましいです 〟
「ありがとうございます、皆さんのおかげです」
〖これからもエミちゃんをよろしくお願いします〗
なんて会話を交わした後、少々談笑した後、前原が
お客さんに呼ばれたのをきっかけに店を辞去した
〖良い人たちだね~〗
「そうなの、全然お金にならないようなアドバイス
だけでも真剣に相手してくれる、とっても良いお
店」
〖さて、それじゃどっちから行こうか?〗
「ん~!?じゃあバイク屋さんから」
〖おっけ~!じゃあまずはバイク屋さんからだ〗
今日はバイク屋とアウトドアグッズを見て回りたい
と伸一にお願いしていたのだ、バイク屋、一体どん
なバイクが売られているのだろうか?
雑誌でしか見たことない実物がこの目で拝める
目の当りにしたらどんなだろう?
楽しみで仕方ない
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




