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決戦 VS 店長 そして…

日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです

仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを

肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが

なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます

温かい目で読んでいただければ幸いです。

 勝負メイクを施した後だ、もう自転車で汗をかく訳

 にはいかない、エミはバスを待つ間に川本に連絡を

 取った、現在時刻は14時35分…あの店で寸評を受け

 た後で、待ち合わせにはちょうど良い時間だろう

 (16時にこないだの店の駐輪場で待ってます)

 駅周辺で落ち合いたい、とザックリ決めておいたの

 は、元々先に店長らに寸評をもらう為だ

 エミにとっては外せない、川本にも匹敵する ”ラス

 ボス” の様な存在だと言って良い

 プシュー バスの扉が開くと共に素早く階段を駆け

 上がる、エミはバスに乗る時はいつも、後部タイヤ

 の上の席が好きだった、少し小高い足元、周りと違

 うその感触に慣れ親しんでいる為、いつしか空いて

 いれば好んで陣取るようになった、だが今後、バス

 に乗る機会はグっと減るだろう、たとえ雨だったと

 しても、カッパを着てバイクに乗るに違いない…

 そう言えば、バイク用にと購入したカッパは、須賀

 に言わすと最低ライン、との事で、実際雨の日に自

 転車に乗った時に使ってみたが、エミがこれまでの

 人生で使ってきたカッパよりはがぜん高性能だった

 とは言え、須賀が言うには、長時間ツーリングで雨

 に打たれてしまえば、水がしみ込んでも来るし、大

 事な手首と首元の気密性が足りない、と指摘された

 だが、その反面

 【通勤ぐらいならしばらく使っても問題ないかもね

  、ひどい大雨でもない限りは内側には染みてはこ

  ないだろうと思うよ】

 とも言っていた、あくまで遠出していて、雨がしっ

 かり降ってきてしまい、退避場所も見当たらない

 といった最悪のケースを想定した場合、という事ら

 しい

 あれからエミも、晴子とミキと一緒にライダー用の

 カッパを探ってはみたのだが、GORETEXなどを採用

 した本格的なライダースのレインスーツは30000円

 以上と値が張る物が多く、透湿性、耐水性、デザイ

 ンなど、高い物はそれ相応に値段が張るのだ

 こないだ『わぁカッコいい!』とミキが言っていた

 カッパは値段を見たら70000円を超えていて

 『原付下取りに出しても買えない…』

 と驚いていた、アウトドアメーカーなどでデザイン

 の気に入るカッパを見かけるのだが、実際に物を見

 て見ない事には、手首の密閉度や首元の防風性など

 も、分かったものではない

 何てことを考えながら、駅を目指すバスに揺られて

 いたら、アッと言う間に駅に着いてしまった、駅の

 アーケードをくぐり、駅に併設されている大型店舗

 のマクドナルドを横目に、信号待ちをしている間も

 エミの心臓は早鐘のように鼓動を刻んでいた

 (どうしよう!?スゴいドキドキする…)

 ただ寸評をもらうだけ、メイクを見せて、感想を聞

 かせてもらう、、、ただそれだけの事が、なんだか

 怖い…自分が今まで努力して積み上げてきた物が音

 を立てて崩れてしまう、そんな言いようのない不安

 が襲ってくる、落ち着け…何も取って食われる訳じ

 ゃない、やれるだけの事はしてきた!これが今の自

 分に出来る精一杯!現状出し得る最適解だ!

 カッと目を見開き、青に変わった信号を突き進む、

 うつむかず、一心不乱に、まっしぐらに!

 ⁅〝 いらっしゃいませ 〟⁆

 磯山と前原が、相変わらず揃った声で挨拶を寄こし

 た

 「あのアタシです、今日これから大事な用事があっ

  て、そ、その、、メイクを見てもらいたくて来ま

  した」

 しばしの沈黙の後、、

 ⁅ あっ!エミさん?ゴメンなさい、気づかなかっ

  た(汗) ⁆

 〝 ホントだ!すみません、アタシも声聞くまで

   分からなかったです 〟

 無理もないだろう、でもこれが、エミの出した結

 論、だから今日はこれで勝負するのだ…

 ❝ いらっしゃいませ… ❞

 背後から声をかけられてドキリとする、エミが最

 も評価を問いたい相手、店長の登場だ!

 エミが振り返ると、そのエミの顔をじっくりと眺

 めた店長が一言、ポツリとつぶやいた

 ❝ とってもステキ♪ ❞

 その瞬間、エミの目から大粒の涙がポロリとこぼ

 れ落ちた

 「あっヤダ!アタシったら…」

 慌てて涙をぬぐうエミに、優しく店長が

 ❝ 大変!今日はこれから大事な用があるんです

  よね?でもここはプロが集うお化粧の聖地!バ

  ッチリ元通りに直してみせます ❞

 そう言うと、エミをいつもの鏡台の前まで連れて

 行くと、相変わらずの手際でパパッとメイクを直

 してしまった

 ❝ しっかり!そのメイクを本当に見せたい相手

  が待ってますよ ❞

 本当にこの人には敵わない…

 「ありがとうございます、さっきの店長の一言で

  何もかも満足です!」

 ❝ 元々エミさん自身が出したベストの答えなん

   だから、もっと自信持って! ❞

 「ハイ!」

 ”頑張って!” と、肩を叩く店長らに見送られ、

 エミは店を後にした

 ⁅ どんな人なんですかね~?…相手の人…⁆

 そう問う磯山に

 ❝ 近いうち、会えるんじゃないかな? ❞

 と、微笑む店長は磯山や前原から見てもドキッと

 するほど魅力的だった

 〝 な~んか、エミさんが巣立って行っちゃった

   ようで寂しいですね… 〟

 ❝ お客さんに追い抜かれちゃったらシャレにも

   ならないわよ、あなた達も頑張って!❞

 〝⁅ハイ!!⁆〟

 二人の威勢の良い返事が響き渡った


 川本との約束にはまだ40分ほど時間があった、

 エミは須賀と出会ったあの日に行った

 「三河庵」に向かっていた

 残念ながらプレミアムどら焼きの発売日では

 ないのだが、運の良い事にたい焼きと今川焼

 がちょうど焼き上がったところだった

 「たい焼きと今川焼を二つずつ下さい」

 ❛ たい焼きと今川焼ですね~、焼き立てなの

  で気を付けて下さい ❜

 支払いを終えて紙袋を受け取ると、ゆっくり、

 一歩ずつ噛みしめながら駅までの道を歩いた

 駅からは歩いて5~6分の道のり、遠いとは言わ

 ないが決して近いとも言えない距離

 あの日、須賀はこの距離を走って追いかけてき

 たのだ、見ず知らずの、ただぶつかってきただ

 けのエミに、サイフを届ける、ただそれだけの

 為に…

 そして全てが始まった、メイクに打ち込み、免

 許取得を目指して教習所に通い、そして今日つ

 いに川本に思いを告げる

 何もかもが昨日の事のようで、それでいて随分

 前の事のような、そんな不思議な気持ち…

 ”いいね!頑張ってみなよ、きっと君にとって

  プラスになる”

 須賀の言葉が思い出される…

 (アタシ頑張れましたか?ちょっとはプラスに

  なってるでしょうか?)

 自分の中の須賀に問うてみる

 ”イイネ!今日のエミちゃんバッチシ決まってる”

 そう言いながら少年のような屈託なく笑う須賀が

 頭に浮かんだ

 「フフッ 都合の良い妄想かもね…」

 もう何も怖くない!気づけば足取りが軽くなり、

 目指す駐輪所は目の前だ…

 その端に停まるセローに腰掛け、手持無沙汰に天

 を仰ぐ川本の前まで行くと

 「お待たせしました…」

 と、声をかける、川本は一瞬驚いた表情を浮かべ

 〖ビックリした!エミさん今日はメガネじゃない

  んだね?〗

 そう、エミの勝負メイクはコンタクト仕様だった

 のだ、メガネをかけていない素顔の自分、それを

 川本に見てもらいたかった

 「変、、、です、か?」

 答えを聞くのが怖い、でも、聞きたい、知りたい…

 〖とんでもない!褒め言葉しか浮かばないよ!〗

 天にも昇る気持ちと言うのはこの事だろうか?エ

 ミは過去これほど嬉しいと思った事はない、それ

 ほどに嬉しかった

 〖ところで卒検どうだった?〗

 呆けていたせいだろうか、昼間の卒業検定が、も

 う随分前の事のように感じられていた

 思えば今日は、卒業検定を終えた後で、という約

 束だったのをすっかり忘れていた

 そんな事を考えていたら、すっかり沈黙してしま

 っていた

 〖もしかして、落ちた??…〗

 いらぬ誤解をさせてしまったようだ

 「うぅん 合格しました三人とも!」

 〖ビックリした~!脅かしっこなしだよ…〗

 「ゴメンなさい、舞い上がっちゃってて…」

 少しの間天に昇っていたのだからご容赦願おう

 「ねぇ川本さん…」

 〖ん?〗

 「今ね、あまった時間でたい焼きと今川焼買って

  きたの」

 〖さすが、和菓子派だね♪〗

 「だから、何処か静かな所で2人で食べたい、で

  す…」

 〖分かった…じゃあ移動しようか、ヘルメットあ

  るみたいだし〗

 そう言うと川本はセローを取り回し、タンデムス

 テップを出した

 エミもヘルメットを被ると、無言のうちにタンデ

 ムシートに乗り込む

 〖しっかりつかまっててね!〗

 やや上ずった声で川本が言う

 「ハイ…」

 消え入りそうな声で返事をすると、川本の腰に手

 を回す

 ゆっくりと走り出すセロー、今なら分かる、川本

 が、どれほどエミに気を使って運転していたのか

 これからは乗せてもらうばかりじゃなく一緒に走

 りたい!色んな所に行きたい!一緒に居たい!


 想いがあふれる…

 セローは走り出した、いざ行かん!決戦の地へ!

 
























今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります

多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が

ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい

メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は

「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。

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