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卒業検定:中編(晴子、エミ)

日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです

仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを

肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが

なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます

温かい目で読んでいただければ幸いです。

 卒業検定の一番手は晴子だった、次にエミ、最後は

 ミキだった、一番手で緊張マックス!と思われた晴

 子だったが、様子を見るに「ド平常」とでも形容す

 るのが適当と思われる、清々しい程までにいつもの

 晴子だった

 〈行ってくるね!見てて〉

 そう言って教習車に向かう晴子に、エミもミキも、

 言葉には出さずにエールを送った

 普通二輪の卒業検定では、乗車前の点検は省かれる

 それが出来ているという事は、恐らくは1段階や2

 段階の見極めですでに確認されている、といった意

 味合いなのだろうか

 本日の採用コースは第2コース、今現在いるスター

 ト地点を出発し、外周のコースを1/4周ほどした

 ところで左にある坂路コースへ入り坂道発進、坂路

 コースを抜けた先が外周コースの直線部分を抜けた

 右コーナーに繋ぎ込まれている所で本線へ合流、直

 進して反対側の右コーナーを抜けた先で右折してク

 ランクへ侵入、クランクを抜けた先を左折し、中央

 通りの中心信号を抜けた先で左折して踏切を通過、

 その後、外周に合流し、すぐ右折してS字へ侵入、

 S字を抜けた先で右折して中央通りを通りつつ信号

 を左折して外周コースへ左折で合流、半周まわった

 所でエミたちのいるスタート地点へ入り、急制動、

 一本橋、スラロームとこなしたら今現在全員が待機

 している目の前の停止線で止まり、エンジンを切っ

 て車体を取り回し、最初の地点へ納めてゴールとな

 る、車体に触れて、車体を手放すまでが試験の採点

 対象であり、最後まで気を抜く事は出来ない

 

 フー、、、目を瞑り、ここまで聞こえてくるような

 大きく長い息を吐いた後、ついに晴子がハンドルに

 手を掛けた、キーをONに回すと、右手をブレーキ

 にかけて取り回しを始める、車体を腰でしっかりと

 支え、ハンドルを切りつつしっかりとブレーキを使

 って取りまわす、エミから見ていると一切文句が付

 かない完璧な取り回しに見えた

 ただし、試験官はバインダーの裏でしきりにペンを

 走らせていた…

 停止線までやってくると、スタンドを立て、いよい

 よ車体に跨った、右足をしっかとブレーキに乗せる

 と、車体を起こし、左右のミラーを調整し始める、

 川本の指摘通り、ここらで試験官の目が険しくなり

 始めた、いよいよ本番だ!

 晴子はフロントフォークの頂点のチェックランプが

 消えている事を指を指して確認すると、右足をブレ

 ーキに乗せてセルのスイッチを押し込んだ

 キュルルル、、、ブオン、、ドドドドドドド…

 軽く首を振って左右を確認した後、軽快に走り出し

 た、外周コースの合流地点の停止線で停止し、また

 も左右を確認した後、ウインカーを出して外周コー

 スに躍り出た

 (頑張ってハルちゃん!!)

 『肝が据わってますねぇ晴子さん…』

 全くだ、エミがトップバッターだったらどうなって

 いた事か、、が、晴子とて、実は努力家で、並々な

 らぬ努力が普段の晴子を形作っている事をエミは知

 っている

 (頑張れ!頑張って!)

 応援する事しか出来ない自分がもどかしかった…

 遠目に見る晴子は、坂道発進を終え、外周コースへ

 の合流を済ませ、反対側のコーナーを抜ける地点だ、

 右折してクランクに侵入する所だが、クランクコー

 ス内には教習中の車が走行していた、恐らくは車の

 免許の仮免試験の車両だろう

 晴子は、既定の位置でキッチリ停止して待機してい

 る

 と、クランクを教習車が抜けて行った、いよいよ晴

 子がクランクに入って行った

 晴子は見事なニーグリップのリーンウィズでクラン

 クを抜けていく、淀みないアクセルワーク、パーシ

 ャルのお勉強会は効果があったようだ…

 クランク出口で左ウィンカーを出して左右の確認、

 中央の信号で停止、左折していよいよ踏切だ、停止

 までは問題ない、踏切の状況確認、右見て左見て、

 もう一回右見て、と完璧な確認具合、しかし問題は

 踏切通過時に起こった、あまりにもスムーズに行き

 過ぎていたのだろう、晴子はつい、踏切通過時に2

 速へシフトアップしてしまった

 教習所ではエンスト防止の観点から、踏切内ではシ

 フトアップしない決まりとなっている、一発落ちで

 はないが、減点の対象ではあるだろう

 教官は当然見逃さない様子だった、バインダーの裏

 で激しくペンが動く様子が見て取れた

 (大丈夫!一発落ちではないし、ましてや落第なん

  て絶対しない)

 その後はS字を見事にこなし、エミたちのいる集合

 地点付近の急制動、一本橋、スラロームと難なくこ

 なし、停止線へ戻って楽々と教習車を既定の場所へ

 納めてしまった

 スタスタと自分たちの元へ歩いてくる晴子はサバサ

 バした感じで

 〈あ~もうっ!調子良すぎて踏切でシフトアップし

  ちゃった~〉

 と悔しがって見せた

 「全然ヘコんでない、のね…?」

 キョトンとした晴子の顔が可愛らしくて印象的だっ

 た

 〈なんで?落ちたわけでもないし、きっと合格して

  ると思ってるけど?〉

 『カ~ッこいい!合格宣言来ましたね!』

 〈当ったり前でしょう!落ちる気なんてサラサラな

  いよ〉

 珍しくテンション高めな晴子の言動、だがここでエ

 ミの中で閃く物があった

 (そうだ、そうなのだ!普段通りやれば必ず合格出

  来る!)改めて晴子に教えられたような、そんな

 気分だった

 〈クランクとS字のパイロンは意外と圧迫感がある

  から気を付けて、他は普段通り!〉 

 ボソリと小声で伝えた晴子に”了解!”と小声で答え

 るエミとミキ

 (この三人で良かった!)改めてその想いに胸がい

 っぱいになる

 《 では次、長坂さん 》

 「ハイ!」

 両頬をパンパンと手で叩くと、心地の良い音が響き

 渡った、いよいよエミの卒業検定が始まる



 エミの実技は驚くほどスムーズに、且つ何の問題も

 なく進んでいった、と言うのも、直前の晴子の走行

 と、その後の晴子の言動を聞いて悟った、と言うの

 が正しいだろうか、何も100%カンペキである必要

 はないのだ、だからこの試験も100点中70点以上で

 合格とされているのだ、そもそもバイクに乗り始め

 てたったこれだけの期間でカンペキなどと、どだい

 あり得ない話なのだ

 事故を起こさず、ケガをせず、させず、交通に支障

 をきたさず、交通法規に則り、安全に目的地へ着く

 それが出来れば、自然と合格となる

 ”何もかもを完璧にこなす” そのエミの思い込みが

 自身をガチガチに緊張で縛っていた原因だ

 逆に ”今は”70点で良い” そういった開き直りが、

 エミの今現在のスムーズな運転という結果であろう 

 この場合 ”安全で交通法規に背いていなければ良

 い” と言い換える事も出来る

 自分を取り巻く、全ての物に感謝したい気持ちで

 エミの検定走行は終わりを告げた、名残りおしい気

 持ちで教習車のタンクを撫でつつも(ありがとう)

 とつぶやいてその場から歩き出す

 〈スゴ~イ!エミちゃん見たとこ減点全く見当たら

  なかったよ〉

 「そ、そうかな?合格、だと良いけど…」

 盛り上がる2人の横で、青ざめたミキが震える手を

 組みながら泣きそうな顔をしていた…

 『どどどどど、どうしましょう、、お2人があんま

  り見事だったから、きき、緊張してしまいました

  …』

 エミも晴子も、これまでに見た事の無いミキの表情

 だった、ミキと言えば、明るく天真爛漫で、この三

 人の中にあっても存在感が一番大きくムードメーカ

 ーとして常に話の中心にいた

 そのミキが、らしくもなく青ざめた顔で緊張に震え

 ている

 (どうしよう?どうしたら?)

 困り果て、晴子の方を見るたが、晴子もまた対応策

 を持ち合わせているようには見えなかった

 『てて、手が震えて止まりません、だ、誰か止めて

  下さい、、、』

 エミがミキの手を握ろうと手を伸ばした、それより

 先に、誰かの手がミキの手を両手で包み込んだ

 驚いて振り返ると、それは水木の手だった


 『み、水木先生???』

 《 誰か、って言っていたので、私じゃダメでした

   かね? 》

 「プッ…アハハハハ」

 〈おっかし~アハハハハ〉

 『水木先生ってば、、、(照)』

 ミキは真っ赤になって手を引っ込めた

 《 オッサンに手を握られて、緊張は吹っ飛んだで

   しょう? 》

 『でも、まだ不安です~~』

 不安を隠せずにいるミキに、エミが人差し指を立て

 ながら、一言こう告げた

 


 「これは仕事だと思って!」





















今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります

多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が

ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい

メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は

「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。

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