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結果報告…そして…

日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです

仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを

肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが

なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます

温かい目で読んでいただければ幸いです。

 《 本日の教習、お疲れ様でした 》

 水木の言葉に

 「おつかれさまでした」

 と、返すエミの顔は晴れ晴れしていた、結果とし

 て言えば、見極めは見事合格!次からは2段階の

 教習となる、にこやかな表情で受付に向かうエミ

 は驚愕した、そこにはなんと!川本が居たのだ

 川本は3時の休憩にエミが渡した物と思われるど

 ら焼きを頬張りながらお茶を飲んでいた

 〖おつかれ~エミさん、見学室で見てたよ、タイ

  ム11秒2も〗

 「え?え??」

 エミは思いもよらぬ状況にアタフタした、が

 〖原簿返してこないとでしょ?〗

 川本に言われ思い出したように原簿を返却に向か

 う、その背中に

 〖駐輪場で待ってるから〗

 川本の声が飛んでくる

 (何だろう?この状況??見てたんだ川本さん)

 困惑とともに嬉しさがこみ上げてきた、今日この

 場で、1段階の見極め合格の喜びを報告出来る、そ 

 の事と、自らが上達した証を、紛うことなくタイ

 ムという確たる証拠とともに見届けてもらったの

 だ

 原簿を返却し、駐輪場に向かうエミを事務員さん  

 が呼び止めた

 < お疲れ様でした、どうでした見極めは? >

 そう聞く事務員さんに、大きく頷きながら

 「ハンコもらえました!明日から2段階です!」

 嬉しい報告をする事が出来た

 < やりましたね!おめでとうございます >

 祝福の言葉をくれる事務員さんの横で、原簿を返

 却する若者はエミと同じ教習で見極めを受けた若

 者だった、残念ながら彼はハンコはもらえなかっ

 たようで、水木からアクセルワークとニーグリッ

 プの問題を指摘されていた

 落ち込んだ様子でトボトボと歩き去る後ろ姿を見

 て、事務員さんが

 < ハシゃいじゃ悪かったようですね、、 >

 と反省していた

 エミは急いで原簿を返却し

 「それじゃまた!」

 と事務員さんに挨拶し駐輪所へ向かった

 川本のセローに駆け寄るエミの姿を大窓から見つ

 つ、事務員さんがニヤニヤとほくそ笑んでいるの

 がエミの側からも確認出来た…

 「スミマセン、、お待たせしました!」

 息せき切って走り込んで来たエミに

 〖そんな急がなくっても良かったのに(汗)〗

 と気を遣う川本だったが、エミ自身が待たせたく

 なかったのと、一刻も早く合格を報告したかった

 のだ

 「川本さん、アタシ、、、、」

 川本が真剣な表情で次の言葉を待っている

 「合格しました!2段階に突入です!」

 それを聞いた川本は両の拳を握りしめ、我が事の

 ように喜びを表現した

 〖やったねエミさん!おめでとう〗

 「ありがとうございます、これも川本さんに送っ

  てもらったおかげです!」 

 無意識の間に2人とも手を取り合いはしゃいでい

 た

 〖おっと、、ゴメンね…〗

 先に我に返った川本が手を離した、エミも川本に

 言われてようやく手をつないでいる事に気づいた

 〖じゃあ軽くお祝いしないとね!〗

 「え?良いですよそんな、悪いです」

 教習に間に合っただけでも感謝しているのに、こ

 の上お祝いなどと、とても甘えられる訳ない、と

 エミは思っていた、が、、、 

 〖例によって晩飯まだでしょ?〗

 「ハイ、それはまだですが、、」

 〖んじゃ決まりだ、今日の行先は任せてもらって

  良いかな〗

 なんだか少し強引な感じだが、不思議とイヤな感

 じはしなかった、ここまで誘ってくれてるのに断

 るのはかえって悪い気がする

 エミは少し逡巡してから

 「分かりました、ではお祝いに付き合ってもらい

  ます!」

 世話になりっぱなしの罪悪感を和らげる為か、無

 意識に訳の分からない言い訳を口にしながら快諾

 した

 <んじゃ行きますか!>

 川本の言葉に大きく微笑んで頷いたエミはヘルメ

 ットをかぶってタンデムシートに乗り込む

 受付を見ると事務員さんが片手を口に当てながら

 ムフフといった表情で手を振っていた

 エミが控えめに手を振り返したのを見て川本が

 <じゃあしっかり捕まっててね>

 と前置きをしてセローを発進させた

 どこへ行くのか知らされていなかったが、川本が

 向かった先は、隣の市との境に近いやや寂れた住

 宅地の外れにあった

 〖着いたよエミさん〗

 看板には”IRONPLATE”とある、洋食屋だろうか?

 トヨタ市に住んでるエミでもあまり馴染みのない

 場所だったが、その店は住宅地の外れにあるにし

 ては小洒落ていて、それでいて歴史を感じさせる

 佇まいだった

 川本は自分のヘルメットをミラーにかけ、エミの

 ヘルメットをホルダーに掛けてロックすると

 〖さ、入ろうか〗

 とエミを促した、誘われるまま店内に入ると、窓

 際の席へ案内された、席に着くと

 〖実はここはね、うちの家族で祝い事なんかある

  とよく来る店でね〗

 と打ち明けられた

 「そうなんですか?」

 〖そう、それで、教習見てる時に(あ、久しぶり

  にアイアンプレートのエビフライが食べたい)

  と思ってさ、ゴメンね付き合わせちゃって〗

 両手を顔の前で合わせて謝る川本に

 「とんでもない、むしろ連れてきてもらってばか

  りで申し訳ないです…」

 恐縮するしかないエミだった

 (お世話になりっぱなしで、その上またご馳走に

  なんかなれない…)

 ”今日は自分が会計を全部出すんだ!”と心に決め

 るエミだった

 〖エミさんビールは飲める?〗

 川本の問いに

 「え??飲めますけどマズくないですか?」

 川本はバイク、エミは自転車とは言えどちらも飲

 酒はご法度だ

 〖あ~勿論ノンアルだけどね、せっかくお祝いだ

  から雰囲気だけでも、と思ってね〗

 「良いですね、ノンアルでいきましょう♪」

 などと会話がノッてきた流れで

 「おススメは何ですか?」

 と尋ねると

 〖ここはハンバーグとエビフライが名物でね、オ

  レは特にエビフライが大好物でね〗 

 と言われ

 「どっちも食べたい!」

 とエミが言うと

 〖両方はボリューミーだからね、んじゃオレがエ

  ビフライ頼むからハンバーグをメインで頼むと

  良いよ、3尾あるから半分あげるよ〗

 と言ってくれた

 〖良いんですか?好物なのに??〗

 「全然良いよ、エミさんのお祝いなんだし」

 と言われ、結局川本がエビフライのセットとビー

 フシチューを注文し、エミはハンバーグのセット

 を、川本のおススメの和風醤油ソースで注文した

 最後に川本が

 〖あとノンアルコールビールを食前に2つお願い

  します〗

 と追加した

 注文が終わり店員がメニューを持って下がると

 〖ところで一本橋苦手じゃなかったの?〗

 と、当然と言える疑問をブツけてきた

 エミはフフフ、と不敵な笑みを浮かべつつ

 「行きに教えてもらったコツが最初の一回目で

  ビビッと理解出来たと言うか何と言うか…」

 「実際にやって見せてもらったのが一番大きか

  ったです、本当に有難うございました」

 エミは深々と川本に頭を下げた

 川本は恐縮しながらも

 〖じゃあ遅れかけてかえってラッキーだったの

  かもね〗

 とおどけて見せた

 そんなやり取りをしていると食前のノンアルコ

 ールビールが運ばれてきた

 店員に軽く会釈をして受け取ると、川本がエミ

 に一つを寄こしながら

 〖それじゃエミさんの1段階見極め合格を祝っ

  て~カンパーイ!〗

 とグラスを差し出してきた

 エミも快くグラスを差し出し、少し下気味にグ

 ラスを重ねた

 カチン、と小さな小気味良い音を立てた後、2

 人とも一息に半分近くを一気に飲み干した

 〖あぁ~~美味いっ!!〗

 「ホントですね!合格出来たからよけいに格別

  です」

 何気ない会話の数々、バイクの事、和菓子の事

 会社の事、食事をしながら様々な会話を楽しん

 だ、他のテーブルから見れば恋人同士以外の何

 物にも見えないであろう雰囲気だった…

 結局、川本の頼んだエビフライは3尾あるが全

 長が20㎝はあろう大物で、エミは頭の方を半分

 だけもらって食べたのだった

 川本は ”遠慮しないで” と、言ったのだが、

 単純に食べきれない程だったのだ、川本が頼ん

 だビーフシチューを取り分けてもらったのが原

 因だと言えたが、ハンバーグもエビフライもビ

 ーフシチューも格別で、最高の合格祝いだった

 「どれもとっても美味しかったです♡」

 本当にどれも美味しかった、この店にはまた来

 たい、それも自分のバイクで!と心から思った

 〖バイクに乗り出したらこの店も、こないだの

  うどん屋さんも、もはや近所だね〗

  そう言う川本は何故か少し寂しそうだった…

  「何か残念そうですね、、」

 エミが尋ねると川本は

 〖せっかくこうしてエミさんを乗せてバイクに

  乗る機会が出来てきたってとこだからね…〗

 とつぶやく…

 エミは川本の言葉の意味を、どう受け止めて良

 いのか考え込んでしまった

 〖ゴメンね、なんかよけいな事言ったかも…〗

 川本は素直に謝罪してきたのだが、エミはうつ

 むいて静かに語り出した

 「最近メイクに目覚めて、バイクに興味を持っ

  て、移動手段が手に入れば好きな和菓子も、

  もっと楽しめる、ってすごく充実してるんで

  す、、、」

 エミは思っている事を素直に告げた

 川本は黙ってうなづく

 「そのうえ、前から気になって、た、、その、

  、川本さんと食事にまで行けて、あまりに

  恵まれすぎてて怖い、んです」

 そこで顔を上げて真っすぐ川本の顔を見つめ

 る、川本も真剣な表情で受け止めていた

 「アタシ、今の頑張ってる自分が好きです!

  でもっ!、、、、」

 川本はエミの言葉を静かに待った

 「今の状況で川本さんに甘えっぱなしじゃダ

  メなんです!だからっ、免許を取るまで、

  その、、普通で、その、、、いさせて下さ

  い、、、」

 「ゴメンなさい、よく分からない事言ってま

  す、よね、、(汗)」

 川本は微笑んで

 〖いや、全然おかしな事言ってないよ、すご

  く理解出来た〗

 川本は清々しい表情で

 〖つまり、免許を取るまでは今までのままで

  いたい、って事だよね?〗

 「そうなんです、自分の力でやり遂げないと

  、あの人に言われた昔の自信の持てない自

  分のままのような気がして」

 〖いけおぢさんかw〗

 「そうです!免許を取って、自分の運転でお

  ススメの和菓子を買いに行ってあの人に渡

  しに行くのが当面の目標なんです」

 「その時には自分で納得のいくメイクを完成

  させて一緒にお披露目するんです!」

 〖良い目標だね!〗

 「ハイ!」

 川本はスッキリした表情でエミに言った

 〖最近エミさんが何と言うかスゴくイキイキ

  してると言うか、キラキラと輝いて見えた

  んだ〗 

 〖最初は本当に彼氏が出来たんじゃないだろ

  うか?と疑った、だから、もし本当にそう

  ならエミさん自身の口から聞いて、諦めよ

  うと思った…〗

 川本の誠意が伝わってくる、、、

 〖でも、焦る必要はないみたいだ!オレ待つ

  よ!いつまででも、エミさんが納得いくま

  で、だから、、、〗

 しばしの沈黙…そして

 〖免許を取ったら2人でツーリングに行こう

  !目標の和菓子屋まで…〗

 「ハイ!ぜひ一緒にお願いします!」

 〖じゃあコレ〗

 と川本は左手の小指を突き出した

 エミも無言で左手の小指をからめる

 約束の指切り、果たされるのはいつになる

 だろうか?

 夢のようなお祝い会は2人の指切りをもっ

 て幕を閉じた…



















 



 














今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります

多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が

ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい

メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は

「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。

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