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帰路でのキセキ…

日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです

仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを

肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが

なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます

温かい目で読んでいただければ幸いです。

 結局その日は受けられる学科が2つあり、合計で

 学科3つ、実技2つを進める事が出来た

 『いや~まさか、入校日からこんなに進められる

 とは思いませんでしたね』

 ミキの言葉に2人とも大きくうなづいた

 「しかも実走出来るとは思ってもみなかった!」

 〈興奮したよね!外周走るの〉

 やはり晴子でも思う所があったのだろう、エミは

 素直に感心した

 〈それじゃアタシバスだから、またね〉

 そう言い手を振る晴子に別れを告げ、エミは自転

 車で、ミキは原付きで、それぞれが帰路についた

 自転車を走らせるエミは、車体のバンク、バラン

 スそして漕ぐ事による動力、と、今日の通学前ま

 では気にも留めなかった色々な事が自身の心を捉

 えていることに気づいた

 (世の中って知らない事がイッパイある!)

 今更ながら自身がこれまで過ごしてきた世界の狭さ 

 と、まだ知らぬ世の中の様々な事象に思いを馳せる

 (そうだ!本屋に寄っていこう!)

 それは何て事ない思いつきだった、だが、バイクの  

 事をもっと知りたい!理解したい!という強い思い  

 がエミを本屋に向かわせたのだった

 自転車を駐輪場に停める、ふと、となりを見ると先

 日会社で見せてもらった川本の物と同じセローが停 

 まっていた

 (ミキちゃんはこれに乗る為に教習を頑張ってるん 

  だなぁ)

 などと考えながらセローを眺めていると

 〖あれ?エミさん??〗

 不意に聞き覚えのある声で話しかけられ、振り返っ

 たエミの顔を、覗き込むように見下ろす川本の顔が

 そこにあった 

 「か、川本主任!?」

 そこに居たのは川本だった、ミキはセローに乗るん

 だなぁ、と眺めていたら、正にそのものズバリ!川

 本のセローだったのだ

 〖あ、もしかしてオレのセローだって分かっちゃっ

  たかな?〗

 「あ、いえ、、気づきませんでした、、ミキちゃん

  が乗りたがってるやつだな~と思って眺めてまし

  た」

 〖そっか、まだそこまで見分けとか付かないよね〗

 「川本さんのセローとカラーリングまで同じだな

  ~とは思いましたよ(笑)」

 〖そうだね(笑)タンクにセローって書いてある

  しね!〗

 他愛の無い会話でお互いが微笑みあった後、エミ

 は本屋を目指した理由を思い出した

 「あの、アタシ達、今日入校式で、教習の帰りな

  んです」

 〖お!!入校すませたんだね、おめでとう〗

 「ありがとうございます!、それで、実技も2時

  間乗ったんですが、知りたい事や分からない事

  が多くて、何か良い本はないかな~って本屋に

  寄ったんです」

 〖あぁ、なるほどね〗

 川本は合点がいったようだ、だが難しい顔で

 〖今時はネットで大体の事は情報が調べられるけ

  ど、本が良いの?〗

 と、聞いてきた

 「昔っからアタシ紙派、というかデジタルで書籍

  とかあるんですけど、紙媒体の方が好きなんで

  す」

 エミは言ってしまった後、少し後悔しながら続け

 た

 「古臭い、です、よね、、、」

 川本は大げさに両手を胸の前でブンブン振りなが

 ら

 〖全然そんな事ないよ!俺だって、ホラ!今小説

  を2冊買ってきたとこだし〗

 リュックから袋に詰まった本を出して見せる川本

 になんだかいつも以上に親近感がわいた、と、不

 意に川本が

 〖そういやエミさんもう晩飯食べた?〗

 時間は午後6時30分過ぎ、絶妙にお腹が空く時間

 だ

 「いえ、実はまだなんです、、」

 〖ヘルメット持ってるね?どっか軽く食べに行か

  ない?〗

 「!!!!!」

 不意打ちすぎる川本の申し出にエミがおろおろし

 ていると

 〖あ、迷惑、だったかな??〗

 川本が申し訳なさそうに言い出すのを、エミは先

 ほどの川本の3倍ぐらいの勢いで両手をブンブン

 振って否定した

 「とんでもない!嬉しい申し出です!!」

 〖オレと2人乗りじゃ、イヤだったかな?〗

 川本の問いに、エミはこれまた激しくブンブン両

 手を振って

 「そんな事ないです!嬉しいです」

 と心からの言葉を吐きだした

 〖じゃあ行こうか、エミさんの今の気分的には何

  が食べたいかな?〗

 「う~ん、お昼に教習所のそばの喫茶店でナポリ

  タン食べたんですよね…」

 〖そっか~、おいしいうどん屋さんがあるけど、

  それなら麺類は避けた方が良いかな?〗

 「うどん大好きです!!」

 事実エミは家の冷蔵庫に冷凍うどんを常備してい

 る、レンチンだけで釜玉や、明太バターなど、1

 人暮らしの強い味方なのだ

 〖あ、それなら行ってみようか、オレそこのうど

  んのファンなんだよ〗

 「ハイ!」

 川本の問いに二つ返事で答えると、エミはいそい

 そと自転車にワイヤーロックをかけた

 それを認めた川本が、タンデムステップを足で出

 しながらセローを後ずさり、駐輪所から出た

 〖じゃあ行こうか!〗

 憧れの川本のタンデムシート!エミにとっては夢

 のようなシチュエーションだった、すると、、

 〖え~ゴホン!これを言う初めての相手がエミさ

  んとは光栄です、、〗

 「???」

 勿体つけた言い方で川本が語り出した、その後表

 情を引き締めると

 〖しっかり捕まっててね!〗

 しばしの沈黙、、、、

 「プッ!!(笑)」

 どうやら最高のキメ顔らしい表情に、エミはなん

 だか堪らなくなり吹き出してしまった

 〖ヒドいな~一世一代のキメ顔だったのに(泣)〗

 「すみません、なんだか可愛くって…」

 〖ハハハッ!女の子乗せるの初めてだから緊張し

  てたけど、すっかり緊張ほぐれたよ〗

 (初めてがアタシなのか~(照))

 などと思いつつ、エミはそっと川本の腰に両手を

 まわした

 〖んじゃ出発しま~す、気をつけてね〗

 「ハイ!」

 そう言うと川本はセローを発進させた、アクセル

 は結構開けているのに、発進はとてもスムーズで

 緩やかだった

 発進、信号停止、コーナリング、減速方法やシフ

 トワーク、今まで知りもしなかった事がエミの頭

 に、新しい情報としてどんどんインプットされて

 いく

 しかも運転しているのは川本で、エミはなんと今

 そのタンデムシートに乗っているのだ

 (このままずっと走っててくれないかな、、、)

 そんなエミの思いとは裏腹に

 〖もうすぐ着くよ、このすぐ先なんだ〗

 と川本からタンデム終了の予告が入ってしまう

 エミが残念に思っていると、直前の信号も空気を

 読まず、ノンストップの青信号でスルッと着いて

 しまった

 〖さぁ、ここだ!ここのうどんは手打ちなんだよ〗

 と嬉しそうに暖簾をくぐる川本に続いて店内へ入

 った

 人気店らしく、2組ほど順番待ちがあった

 番号表に名前を記入して順番を待つ間、エミは疑

 問点を川本に投げかけてみた

 「川本さんが発進する時って、アクセル結構開け

  てますよね、でもゆっくり発進するじゃないで

  すか?あれってどういう事なんですか?」

 〖もう少し慣れてくると分かると思うけど、今回

  に限って言えば、2人乗りだから、かな〗

 「???」

 エミが理解出来てない表情を浮かべたのを見て

 〖つまり、1人乗りの時よりパワーが必要だから

  アクセルをいつもより開けて発進してたの〗

 〖それでもって、アクセルを多めに開けていても

  クラッチミートをゆっくりとしてやれば、急発

  進する事もなく、ゆっくりと発進する事が可能

  なんだよ〗

 「アクセルを開けた分だけ走ってっちゃうんじゃ

  ないんですか?」

 〖ん~クラッチを完全につないで開放した後はア

  クセル開けた分だけ進むんだけど、発進の時は

  それをなるべく緩やかにつなぐ事によって急発

  進になるのを防いでるって感じかな〗

 つまりはクラッチのつなぎ方によってアクセルを

 開けていても滑らかな発進が可能な訳だ

 エミが納得した顔をしていると

 〖今日はエミさん乗せてたから特別丁寧にクラッ

  チミートしたけどね〗

 と、川本はこちらの気持ちを知ってか知らずか、

 くすぐるような事を言ってくる

 ”2名でお待ちの川本さま~”

 などと話していると呼び出しがかかった

 〖行こうか…〗

 川本に促され店員の後に続く、奥の対面のテーブ

 ル席に案内された、会話がし易く有難い場所だ

 〖エミさん今日2時間乗ったって事はもうコース

  を走った?〗

 「えぇ、一応外周コースをアイドリングで走行し

  ただけです、が、」

 〖お~~おめでとう!一番”今バイク乗ってる~”

  って実感する所だね〗

 「そうなんです!ゆっくり走っただけだけど、そ

  れでも自分で走ってる!って実感がありました」

 やはり川本はバイク乗りだけあってこちらの気持

 ちをすごく理解してくれる

 〖あ~イカンイカン、メニュー決めなくっちゃ〗

 「すっかり忘れてましたね」

 お品書きとにらめっこする事1分、、

 「何がおススメですか?」

 〖無難なのは天ぷらうどんのセットかな、うどん

 をしっかり楽しみたいなら釜揚げうどんもアリ〗

 「じゃあ釜揚げうどんにします!」

 という具合でメニューが決まった、川本も釜揚げ

 うどんを注文した

 〖ちょっとトイレ行ってくるね〗

 そう言って席を立つ川本を見送り、エミは今置か

 れている状況が夢ではないかと疑っていた

 須賀に出会い、メイクに目覚め、バイクに興味を

 持ち、ついには自動車学校で中型二輪の免許取得

 に励んでいる、その帰り道に、今までバイクに興

 味を持つまではほとんど接点のなかった川本と、

 こうしてバイクに2人乗りで食事に来ている

 ひと月前では考えられない状況だ

 (最近良い事ばっかり起こるけどアタシもうすぐ

 死ぬのかな?)

 などと訳の分からない自虐に思考が陥っていた時

 〖ただいま〗

 川本が席に帰ってきた

 「おかえりなさい」

 と川本を迎えるエミ、まるで恋人同士のようなや

 り取りだ、事実周りの席からはそう見られている

 だろう

 〖ところでエミさん〗

 「ハイ?」

 急に川本が話題を振ってきた

 〖最近彼氏出来たの?〗

 「!!??」

 何故こんな質問が飛んでくるのだろうか?エミは

 軽くパニックになった

 その沈黙を肯定と勘違いした川本が

 〖ゴメンね、やっぱ迷惑だったかな?〗

 と申し訳なさそうな表情で続けた

 「か、彼氏なんていません!」

 少し大きな声を出してしまった、周りのテーブル

 が好奇の目を向けてくる

 〖あ、そうなんだ、ゴメンね、なんか最近楽しそ

  うだし、メイクも頑張ってるみたいだから…〗

 川本は素直な謝罪の言葉を告げてきた、やはりど

 こまでもナイスガイであった

 エミは正直に須賀とのいきさつを話して聞かせた

 川本はずいぶん感心した様子で

 〖イカスね~その人!そりゃたしかにイケおぢっ

  て呼ばれるわ〗

 「ですよね!だからアタシ、メイクもバイクも、

  もちろん仕事も、頑張ろうって決めたんです」

 腕組みしながらエミの顔をマジマジと見つめる川

 本が

 〖それでエミさん最近イキイキしてたのか、謎が

  解けたよ〗

 「アタシがTWの事で舞い上がってたらハルちゃ

  んに”ちゃんとしなさい!”って怒られました

  (笑)」

 〖晴子さんもミキちゃんも、最近イキイキとして

  るしね、皆生活にハリが出てるからなんだね〗

 嬉しそうにエミを見つめる川本に

 「ハイ!アタシ今とっても毎日が楽しいです」

 と胸を張って答えた

 満面の笑みを浮かべた川本がウンウンと頷いてい

 ると

 ”お待たせしました~”

 と、釜揚げうどんが運ばれてきた、それに続いて

 ”こちら天ぷら盛り合わせですね~”

 と、二人前の天ぷら盛り合わせがテーブルに置か

 れた

 驚いて川本をみやると

 〖ゴメン、是非食べてみて欲しかったからコッソ

  リ頼んでおいた〗

 とイタズラっ子みたいな表情で舌を出す川本が印

 象的だった

 〖嫌いだったかな?〗

 心配そうな表情で聞く川本に

 「大好物です♡」

 と答えるエミだった



































今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります

多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が

ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい

メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は

「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。

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