ドキドキの実技教習…
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
いよいよ初めての技能実習の開始だ、三人は三人とも
緊張はしていたがガチガチになるような事はなかった
と、言うのも気の合う三人組で揃って教習に来られて
いるおかげだろう、本来ならば緊張で体が思うように
動かない場面でも、この二人とならやっていける
エミはそう確信していた
待機所で緊張した表情で待っている三人はどうやら目
立っているらしく、手慣れた感じの男子教習性達が物
珍しそうに眺めてゆく
そのうちの一人が気軽な感じで話しかけてきた
”三人さん今日から?”
晴子が応じた
〈そうなんです、今日からよろしくお願いします〉
”こちらこそよろしく、でも女子三人組って珍しいね”
〈ちょっと運命めいたバイクと出会ってしまって…〉
晴子がドラマチックに語るのを驚いた表情で見返す青
年が印象的だった
エミとミキは一言も話さなかったが、おとなしい印象
を与えただろう
≪ 13時開始の教習の方、こちらへどうぞ~ ≫
教官に呼ばれ三人は実技コースの控室に入った
(いよいよ実技の開始だ!)
エミの心は緊張とワクワクの入り混じった独特のザワ
メキを感じていた
≪ それでは実技教習の方に入らせて頂きます、中型
の方は私が、大型の方は水木が担当します ≫
水木と紹介された教官が手を挙げた、先ほどの青年は
どうやら大型のようだ、回数を重ねているらしく、手
際よくプロテクターを装着している
≪ 中型の方々は三人とも全員、今日が初めての教習
でしたね? ≫
尋ねられた三人は大きくうなづいた
「今日からよろしくお願いします」
『お願いします』
〈お願いします〉
≪ こちらこそ、よろしくお願いします、私は大島と
言います ≫
≪ ではまずプロテクターの装着方法から説明してい
きますね ≫
≪ まず、プロテクターは三種類、上半身、ひじ、ひ
ざ用があります、置き場はそちらですね ≫
入口入ってすぐ右のプロテクター置き場を指さして教
官が言う、流れるように置き場まで歩いてゆくと三人
を手招きし、説明を始める
≪ こちらが女性用の上半身、こちらが女性用のひじ
、とひざ用、それぞれ表示の通りに置かれていま
す、使用後はこちらの棚の正しい位置に返却して
下さい ≫
≪ ではまず上半身用から、 ≫
と言って教官は上半身のプロテクターを装着し始めた
テキパキと説明しながら装着してゆく、何度となく説
明してきた動作なのだろう、一切のよどみがない
ひじとひざ用を装着し終えた所で、こちらの番だ
≪ では装着していきましょうか ≫
とはいえプロテクターの装着はさほど難しいものでも
なく、三人は何の問題もなく装着を終えた
≪ 最後にゼッケンをつけてもらいます、うちでは大
型が赤、中型及びそれ以下は黄色のゼッケンにな
ります、皆さんは黄色のゼッケンですね ≫
プロテクター置き場の横に下げられている黄色のゼッ
ケンを身に着ける、これでいよいよ準備完了だ!
≪ ではお待ちかねの教習車とご対面といきましょう
か ≫
こちらの気持ちを察しているのか、無駄な言葉を一切
省いて教習車の元へ案内してくれる教官が嬉しかった
≪ こちらが皆さんが今後教習する際に乗って頂く教
習車になります、といってもすでに見て触っては
いますね ≫
≪ 基本的に引き起こし、取り回しについては皆さん
問題ない事が確認されてますが、もう一度、引き
起こしと取り回しを確認させて頂きます ≫
そういうと1台の教習車を寝かせ始めた
≪ ではそちらの方、伊藤さん、でしたね、引き起こ
しをお願いします ≫
最初を仰せつかった晴子は少し驚いた様子だったが、
何の苦労もなく車体を引き起こしてしまった
≪ うまいですね、完全にコツがわかってるようだ、
ではそのまま8の字を押して回ってみましょうか
≫
≪ 他の方はここで見ていてください ≫
そう言う教官に伴われ晴子が8の字コースを手押し状
態で回ってきた
次がミキの番でエミは最後だったが、三人ともにさし
た苦労もなく順調に事を終えた
≪ 良いですね、皆さん何の問題もなさそうだ、実は
ここが最難関な方も多くおられるんですよ ≫
『そうなんですね!?意外~』
〈やっぱり体格とかの問題ですか?〉
≪ そうですね、女性で体格の小さい方はやはり苦労
される方が多いです ≫
≪ 引き起こしとセンタースタンド掛け、で苦労する
場合がほとんどですね ≫
幸い自分たち三人は誰一人として、さほど苦労する事
なくこの2点をクリアーしていた
エミはこの事実に感謝すると共に、これからの講習に
自信がわいてきた
三人ともが引き起こしと8の字取り回しを終えると、
教官はバイクを元の位置に並べて説明を始めた
≪ まず、よく言われるバイクの運転前点検の用語と
して、”ネンオシャチエブクトウバシメ”という物
が在ります ≫
教官の説明によるとこうだ、まず
ネン=燃料、ガソリンの残量や漏れの確認
オ =オイルの残量残量、漏れの確認
シャ=車輪のチェック、ヒビ割れや傷、空
気圧などの確認
チ =チェーンのたるみ、張り、さび等の確認
エ =始動状態、異音などの確認
ブ =ブレーキの効き、オイル(フルード)の量、漏
れの確認
ク =クラッチの効き具合、伸びの確認
トウ=灯火類(前照灯、ブレーキ灯、ウィンカー)の
点灯確認
バ =バッテリーの残量、と共にハンドルやミラーの
固定、ガタつきの確認
シメ=各部のネジのゆるみ等の確認
≪ 一連の確認動作を今から説明します、やってみて
、しっかりと覚えて下さい、次回からはなるべく
自分で出来るように心がけて下さい ≫
それから10分少々だっただろうか、ミッチリと点検内
容を指導してもらった、ブレーキランプの確認はテー
ルランプに手をかざしてブレーキを握る、など、知ら
ない事ばかりだった
≪ さて、それではエンジンをかけていきましょうか、
皆さん、センタースタンドはしっかりかかってま
すね?もう一度確認して下さい ≫
教官に言われ、皆がスタンドの確認を行った、すると
≪ ではお待ちかね、エンジンをかけてみましょうか、
まずはそれぞれバイクに跨って下さい ≫
いよいよだ!エミははやる気持ちを抑えながら、おず
おずとバイクに跨った
≪ 一度やって見せますね、見てて下さい、まずキー
を回してONの状態にします、すると緑のランプ、
これがニュートラルの表示ランプですが、これが
点いているのを確認して下さい ≫
≪ 確認が出来たら右のハンドルの下、これです、こ
れがスターターのスイッチになりますので押して
みます ≫
キュルル、、、ブォン、、ドドドドドゥ、、
セルの始動音と共にエンジンの咆哮が鳴り響いた
≪ このようにエンジンが始動します、いくつか注意
点がありますので手前の方から順に私と一緒にや
っていきましょう ≫
言うと教官はスタンドをかけ、一番近くのエミの元へ
やってきた
≪ では長坂さん、やってみましょうか ≫
「ハイ、、」
エミは緊張した、たかが教習とはいえ、ついに自身の
手でバイクのエンジンを始動する
≪ まずキーをONに回して下さい ≫
「ハイ」
言われるままイグニッションキーをONに回す
≪ 緑色のニュートラルランプが点いてますね ≫
「ハイ!」
≪ 確認すべきはこのランプと、さらにもう一点! ≫
そう言うと教官はフロントフォークの頂点を指さした
≪ 気づいたかと思いますがエンジンのチェックラン
プが最初に点灯してます、このバイクはCB400S
UPERFOURと言いまして、燃調が電子制御です、
突っ込んだ話は今回は避けますが、ザッと言うと
燃料と空気の混合を気温や湿度、などのセンシン
グで機械が自動で行ってくれてます、それが済む
とこのチェックランプが消えます、要はチェック
ランプが消えるまでエンジンかけるのは待ってね
、って事です ≫
そう言うと教官がキーをOFFに回し
≪ よく見てて下さい、ここですよ ≫
とランプの位置を指さした、そしてキーをONに回す、
チチチチチチチ、小さな電子作動音がしばらくした後
、点灯していた赤いチェックランプが消灯した
≪ こんな感じで自動でチェックがされますので、チ
ェックランプの消灯を確認した後、セルを回すよ
うに注意して下さい ≫
≪ ではあらためて、長坂さん、エンジンを始動して
みましょう ≫
「ハ、ハイ!」
エミはキーを回した、チェックランプが点灯し作動音
がしている、と、音が途絶えてランプが消灯した
≪ チェックが終わりましたね、ではセルを回してエ
ンジンをかけましょう ≫
エミは親指でセルのボタンを押し込んだ
キュルルル、ブォン、ドドドドドゥ
≪ 以上がエンジンの始動方法になります、よく覚え
ておいて下さい、では長坂さん、一旦エンジンを切っ
ておいて下さい ≫
「ハイ」
エミは興奮冷めやらぬままキーをOFFに回した
続いてミキ、晴子の順にエンジンの始動を教えてもら
っている間も、エミは片時も目を離さず、食い入るよ
うに動作を覚え込んだ、今は一分一秒でも無駄にした
くなかった
≪ では皆さんエンジンの始動方法と注意点はご理解
いただけましたか? ≫
「〈『ハイ!!』〉」
三人が揃った声で返事した
≪ では今度は発進、ギアチェンジについて説明して
いきましょう ≫
いよいよ始まった実技講習、だがまだまだ、先は長
そうだ
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




