いよいよ入校式!
入校式をむかえるにあたり、必要な物を買わね
ばならなかった、現状無い物は、雨ガッパ、手
袋、そしてヘルメットだった
雨ガッパはどういった物を買えば良いのか
分からず”作戦会議”で須賀に相談したところ
【耐水性10000㎜以上、透湿性10000g/㎡以上
の物、尚且つ無駄に高くない物】
との答えと共に
【アウトドア用品店や輸入雑貨店とかでオシャ
レなの買いたくなるのは分かるけど、そういう
のは免許取った後、教習中はコケて破く事も考
えて、動きやすく、さっきの条件を満たしつつ
”安い物”を選ぶべし!】と言われ、最後に
【つまりはワークマンで買うべし!】
との結論だった、ワークマン女子に行きたかっ
たのだが、残念ながら足がない、諦めて普通の
ワークマンに皆で行ったのだが、行ってみてビ
ックリ!全く問題ないほどオシャレで可愛いデ
ザインのカッパがいくつも見つかった
『全然これで良いんだけど!(笑)』
そう言いミキが選んだカッパは3900円で上下セ
ット、須賀の提示した条件を満たす物だった
色は三色、蛍光のイエロー、黒と青のツートン
、赤と黒のツートンだった
ミキは蛍光イエローを手に取り
『アタシこれに決めます!』
と、すぐに決めてしまった、すると晴子も
〈じゃあアタシは赤のやつ!〉
と同じカッパを手に取り、これまた早々に決
めてしまった
エミはしばらく考えたが、TWがブルーなの
を思い出し(これも運命か!?)と仲良く同
じカッパの青黒ツートンで決定した
手袋も相談したのだが
【教習の際は確か最悪軍手でも良い、となっ
てたと思うんだけど、そんなのイヤだよね
?w】
と冗談めかして聞かれたが
「イヤです(笑)」
『ヤです!!』
〈さすがにナイです…〉
と、当然の反応を示され
【カッコ良いグローブをバイク屋で買おうと
すると、最低でも7,000円ぐらいから高いと
20,000円ぐらいするから…】
と脅された後
【だからユニクロのレジ前とかにある手袋買
うと良いよ、ハメてみて感触もわかりやす
いやつを選ぶと良い、ちなみに綾太はそれ
使ってるよ】
これまた言われた通りに会社近くのユニクロ
で手袋を見たのだが、パッと見、バイク用と
言っても分からないようなデザインで1,000円
で売っていた
『カッパに合わせよう♪』
とミキが黄色の手袋を買ったのに合わせて、
晴子もエミもそれぞれ赤と青を購入した
と、ここまでは順調だったのだが、問題はヘ
ルメットだった、須賀曰く
【ヘルメットは気に入ったデザインの物を買
いたいだろうけど、正直高い買い物だから
今無理して買わなくても良いと思う、自動
車学校で貸し出してるやつを借りて教習し
つつ、通ってる一か月、もしくはバイクが
手に入った時に購入すれば良い、と思うよ】
との事だったが、もうひとつの手段として、
”とりあえず安い半キャップを買う”という手
段を提示された
【ホラ、ドンキとかで売ってる安い半ヘルで
とりあえず教習だけ通う、っと…】
との意見もあったが、須賀にどうするのが良
いか?と問うと
【女子はメットは拘った方が良いと思うよ、
特に君たちはメイク頑張るんだろ?だった
らますますだ!ダサいメットじゃ台無しだ
し、半ヘルじゃ冬寒いしねw】
【オシャレに決めるならジェットヘルが良い
よ、メイク決めてるなら尚更だ、フルフェ
イスみたいに化粧がつく心配もないし】
と、須賀がビデオ通話の画面をPCに向けてき
た、そこにはレディースヘルメットが表示さ
れている
【半ヘルでも5,000円そこそこするでしょ?
この無駄な出費しなければ15,000円とかで
気に入ったの見つかるんじゃない?】
確かに須賀の言う通りだった、15,000円くら
いの価格帯からデザインが秀逸になっていく
イメージだ
【でもね、最終手段があるからもし迷ったら
無地のメットを買うべしだね】
『え~~どうしてですか??』
ミキが疑問を投げかけると、須賀はフフン、
と笑い
【気に入るデザインや色がなければ、自分で
塗るのさ!w】
「え~~~!!」
〈そんな事出来るんですか!?〉
『難しくないんですか??』
【ネットで検索すると出てくるけど見てみる
と良い、入校までもうちょっと日があるし、
買うか買わないか、何を買うか、選択肢はこ
んなとこだと思うから自分に最適な選択をす
ると良いよ】
「ありがとうございます!自分じゃ絶対出ない
選択肢でした」
〈目から鱗ですね!〉
『ラメラメでスパンコールデコってる人がいる
(笑)』
エミが、ギャルのデコったヘルメットのサイ
トを見せてきた、こんな世界がある事など、今
まで知りもしなかった、カッパや手袋、ヘルメ
ットだけでこんなに楽しめる、バイクって奥が
深い!
【こういう事を楽しむのもまたバイクの醍醐味
だから!】
【いろいろ調べたくなったろう?オレは落ちる
から自分にあった選択肢を見つけてみてね】
「ありがとうございました」
『ありがとうございます~』
〈いつもお世話になります〉
【それじゃね~】
明るい感じで通話から落ちて行った須賀に感謝
しつつ、三人はそれぞれどうするか相談した、
雨ガッパについては、明日にでも仕事明けにワ
ークマンに行ってみる、と結論づいた
手袋についても同様、須賀のおススメのユニク
ロのレジ前に置いてあるとの情報の手袋を見に
行こう、と、なった、そして肝心のヘルメット
は、と言うと”とりあえずドンキで見てみる”と
いう結論になった、そしてユニクロ、ワークマ
ンとハシゴして、今はドンキにいるのだが
三人とも悩んでしまった、、と言うのも、悪く
ない、悪くないのだがそこまで気に入りもしな
い、そして3,900円、と絶妙に悩む金額、須賀
が言ったように半帽ヘルメットであればさらに
安く2,500円とかであるのだが、やはりジェッ
ト型のヘルメットが女子の身としては気を引い
た
『む~悪くないけど特に良くもない~~(汗)』
〈ホントね、これカワイイ!ってなれば買っち
ゃおうと思ってたのに…〉
「自分のバイクに合わせるのも忘れちゃダメだ
しね」
悩んだが、エミは真っ白のジェット型ヘルメッ
トをまさに”エイヤッ!”と購入した、エミは免
許を取ったらすぐにでもTWに乗るつもりだっ
たし、何より須賀を全面的に信頼していた
”気に入らなければ塗れば良い!”その言葉を信
じて真っ白の無地!、を購入したのだ、元々メ
イクの事を考慮して、半帽かジェットかの2択
だった事もあり、さらには須賀の助言が最後の
後押しとなった
結局、晴子も同じ物を購入し、ミキはとりあえ
ず教習所で貸し出しのヘルメットを借りつつ、
資金が貯まったら、その時に自分の気のすむ選
択をする、という事で落ち着いた
買い物帰りの電車で揺られながら、手に持った
大きな荷物たちの重さに(いよいよ入校か)と
実感をわかせる三人だった
待ち遠しい出来事までの期間は長く感じるらし
く、土曜までの3日間は、とてつもなく長い三
日間と感じられた
それでも日々は過ぎ去って行くもので、いよい
よ明日は念願の入校式の日だった
この日の為に三人は気合を入れて仕事にも励ん
できた、間違っても自分のミスで残業が発生!
などという体たらくはゴメンだと、それぞれが
思っていた、ミキなどは岡田に
《最近園田くんは仕事熱心だね!関心感心》
などと、普段はどうだと言うのだ?と問いたく
なる褒められ方をしていた
『ムカつきます~』
とむくれるミキは晴子に
〈褒められてるんだから素直に喜んでおけば良
いのよ〉
となだめられていた
エミはと言うと、最近昼休みに話しかけてくれ
る川本が
『お!みんな明日入校日なの?いよいよだね、
頑張って!』
と励ましてくれた事で、ますますモチベーシ
ョンが上がっていた
何気ない会話でこんなにものぼせてしまう自分
に(私ってチョロい女なのかな?)
と疑問を抱いたが、女子とはそういう生き物だ
と強引に結論づけ自分を納得させた
その日の三時の休憩時、和菓子派のエミは三河
庵の水まんじゅうを持ち込んでいた、
「仕事ももうすぐ終わるし、帰ったら持ち物チ
ェックしなくっちゃ」
〈そうね、忘れ物なんて最初からしてちゃ先が
思いやられるものね〉
『アタシはちょっと心配です~』
一同がドッとわらいこけていると
[今日も楽しそうだね三人さん]
係長の岡田が話しかけてきた、岡田はずうずう
しくもエミの持ち込んだ水まんじゅうを勝手に
一つ頬張ると
[うん、美味い!三人さんも仕事絶好調だし良
い事ばかりだ!]
と心ばかりのお世辞を吐いて去って行った
『何あれ~ウザいです』
〈アタシの洋菓子の時は絶対手を出してこない
のに〉
「まぁまぁ、仕事ぶりをホメてくれてたじゃな
い」
上機嫌な上に、残業の際の岡田の態度を見てい
たエミは岡田に対して寛容だった、が、
晴子とミキはそうはいかないようで、ブツブツ
と岡田に対する文句を言っていた
定時をむかえ、無事残業もなく、今日は定時退
社出来る事となった、元々残業自体が稀な会社
ではあるのだが、その分ハマると長い傾向にあ
る、今後は教習の予約取りも十分注意が必要だ
ろう
帰りの電車でウキウキとヘルメットやグローブ
を検索して晴子と二人でアレも良い、これが良
いとワイワイやっていると、アッと言う間に晴
子の最寄り駅まで着いてしまった
「それじゃハルちゃん!明日ね!」
〈えぇ、入校式で会いましょう(笑)〉
閉まるドア越しにお互い手を振り、はやる気持
ちを落ち着けて浮足立つ自分を諫めた
目をつぶりもう一度自分に言い聞かす
(バイクはバイク、メイクはメイク、そして仕
事は仕事、そのどれも疎かにせずちゃんと頑
張る!)
一度舞い上がった自分を晴子の言葉で諫められ
た、あれではいけない!社会人なのだから自分
で自分を律してゆくのだ
今まで何となくこなしていた仕事や生活、メイ
クなど、おざなりで適当、これといった趣味は
和菓子くらいで、自分に自信もなかった
今は違う!メイクに打ち込む自分が好きで、バ
イクを好きになって努力する自分も好きだ、そ
して仕事を頑張る自分も褒めてやりたい
これが須賀の言う(自分を認めてやる)事なの
だろう、なんて充実した毎日なのだろう、エミ
はつくづくと須賀に感謝しきりだった
家に帰り、着替えや食事、お風呂などの雑事を
全て効率よく済ますと、いつも和菓子を入れて
会社に持って行っているリュックに、明日の必
要品を詰め始める、と、程なくしてミキから”作
戦会議”に画像がアップされた
『準備万端!!』
とのメッセージと共に床に広げられた当日の荷
物の数々原付の免許証、顔写真、筆記用具、住民票、
そしてそれらが入るバッグ
〈カンペキじゃん!早いね〉
「私今始めたところ…」
『えへへ、原付がありますからね!家までが早いの
です』
〈ますますやる気が出てくるね!〉
「私も忘れ物ないようにっと、、、」
ひとまとめにしておいた荷物を順に床に並べてゆく
と、そこで画像を撮りアップロードする
「私もこれでカンペキかな?」
しばらくすると二人から
〈カンペキ!!〉
『バッチリですね♪』
などとやりとりしていたら不意に須賀が
【やってるね~】
とメッセしてきた
「おつかれさまです」
〈おつかれさまです〉
『おつかれさまです~』
【みんなもおつかれね】
もはや定型文の様な挨拶の後、須賀が
意外な一言を漏らした
【いや~うらやましいねw】
須賀はすでに中型免許どころかバイクも複数台所有
しているというのに(うらやましい)と言うのだ
「私たちがですか?」
エミの問いに
【そうだよ、とってもうらやましいね】
と答える、エミが須賀の意図を読めずにいると
『須賀さんはもう何台もバイク持ってるじゃないです
か?』
とエミと同じ疑問を投げかけた、すると
【免許取る前ってのはワクワクして、これからのバイ
ク生活を思い描いたり、バイク用品について調べた
り、とにかくワクワクドキドキがいっぱいの時期だ
からね、オレはもうそこは過ぎちゃったけど、とて
も楽しかった思い出だから、どうか今を存分に楽し
んでね】
(そういう事か!)エミは妙に納得してしまった
『確かに、今アタシとっても楽しくてワクワクしてま
す、思い切って免許取ることにして本当に良かった』
〈須賀さんがキッカケをくれなかったら中型免許なん
て一生取らなかったと思います、本当にありがとう
ございます〉
ミキも晴子も思う所があるのだろう、もちろんエミは
その比ではない程感謝していた、新しい自分、頑張っ
てる自分、そして、胸を張って大好きだと言える
「今の自分」
感謝してもしきれない、でも!!
(私がちゃんと感謝を述べるのは今じゃない)
エミにはエミの当面の目標があり、須賀に改めてお礼
を言うのは、それを成し遂げてからだと決めていた
自分の運転するバイクで足を延ばし、とっておきの和
菓子を買い求め、それを手に須賀にお礼を言おう
エミはそう決めていた、無論まだ晴子にもミキにも言
っていない、今は自分だけの小さな目標
胸に秘めた思いも新たに、エミは荷造りを終えた
【一番楽しい時期を、一番気の合う友達と共有する、
それはきっと一生残る思い出になるだろう、明日
はその第一歩!さぁ、準備が済んだら今日は早く
寝ようか】
『ハイ!!先生、おやすみなさい』
〈そうします、目覚ましをこれでもか!とかけてお
きますね〉
「一番最初に起きた人が”作戦会議”にモーニングコ
ール入れようか」
『きっとアタシではないですね、、(汗)』
今声を上げて笑う自分をとても大切に思える、この
気持ちをくれた須賀と、そして大切な友達に、改め
て「ありがとう」を伝えよう、そんな思いでエミは
「おやすみなさい」
の挨拶を書き込んだ




