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白熱!

日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです

仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを

肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが

なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます

温かい目で読んでいただければ幸いです。

 ボウリングのスコアで200というのは、素人でも出

 せない事はない数字だ、特に男子の場合は、コント

 ロールが良い者であれば出した事がある、という者

 はそう珍しくは無いのかもしれない…

 それこそマグレでダブルが2回出る、もしくはター

 キーが出てストライクがまばらに、などと言う場面

 で200を超えてしまう例は散見される

 だが、200以上のスコアを続けて出せ、と言われる

 と、その確率はグッと下がって来る

 これが女子ともなればその確率はますます下がって

 来る、そう言う意味で、由貴の190と言うスコアを

 安定して出す実力は、プロにほど近い、と言っても

 過言ではない、何せ200を出すのに必要と言われる

 ストライクは50%、つまり全10フレームのうち5フ

 レームはストライクである必要があるのだ…

 由貴はストライクが3~4、つまりあと一つ!あと一

 つが足りずに200に惜しくも届かない状況が続いて

 いるのだ、無論その他にも原因はある、忌み嫌うべ

 きオープンフレーム(ストライクもスペアも取れな

 かったフレーム)、これが一つ二つ、出てしまうの

 だ、ほぼパーフェクトカバーに近い由貴だが、10ピ

 ン付近の残りを苦手としていた…

 右ボウラーの宿命なのだが、由貴曰く

 <10ピンを残す方が悪い!>

 との事で、なんとも潔い…

 (※数字はピン数 /=スペア X=ストライク)

 話は戻って第6フレーム、ここまでの由貴は9/8/

 9/9/9/と耐えのボウリングを展開していた

 感触は悪くないのだが、いずれもピンアクションに

 恵まれず6フレーム目を迎え、4フレームまでのスコ

 アは75…

 (そろそろストライクが欲しいな…)

 そうは思っていたが、こういった入れ込みが一番フ

 ォームを崩す原因だという事もよく分かっていた…

 焦りは禁物!力みも余計な入れ込みも要らない、今

 はストライクが出るまでベストな投球を放るだけだ…

 〖由貴さんすごい集中してるな…〗

 『シッ!今は邪魔しちゃダメです!』

 ミキに注意され伸一が慌てて口をつぐむ

 由貴のただならぬ集中力に皆が水を差したくないの

 だ…

 騒がしいボウリング場内にあって、ここだけを静寂

 が包んでいるかのような錯覚に陥るほどの空気を全

 員が感じる中、注目の由貴の第6フレーム一投目!

 相変わらずキレイなフォームから放たれたその一投

 は、文句の付け所の無いスポットへと吸い込まれ…


 パカーン!!!


 弾けたピンは、全てのピンを引き連れて後には1ピ

 ンも残さず投げたボールが回収されゆく姿までハッ

 キリと確認出来る…

 まごう事無き!!

 そして待ちに待った待望のストライク!

 上部画面にSTRIKEの文字が踊り、その後由貴の5フ

 レーム目に95のスコアが表示される

 <やった~~~~ぁぁ!!!>

 〖きたぁぁぁぁ!!!〗

 『やったやったやった!』

 〘スゴイよ!ここまでパーフェクトカバー!〙

 大きくガッツポーズを取る由貴と一同!満面の笑み

 で戻って来る由貴の皆が我先にとハイタッチを求め

 る…

 「スゴイよ由貴さん、ノーミスだよ!!」

 〈絶好調だね!〉

 <ありがと!でもここまで耐えて来たから大事にい

  かないとね!!>

 そうなのだ、この後こそ肝心!ストライクの後の2投

 は、ボウリングで最もスコアを伸ばすチャンスなの

 だ!ここでオープンフレームなど出そうものなら恐

 らくは190にも届かないであろう…

 皆もうすうすそれには勘づいているのだが、口にし

 てしまうと由貴のメンタルにどのような影響が出て

 しまうのかが怖くて躊躇われるのだ…

 『続きますよぉ~!!アタシもなんだか170届きそう

  な気がしてます!由貴さんも今日で200行きましょ

  う!!』

 ミキもこのゲームは絶好調で6フレーム終えて

  ¹  ²  ³ ⁴ ⁵ ⁶

 8/ 9G 9/ 8/ X 9Gで、6フレーム終えて94、かなり

 良いペースで来ている、自信ゆえの発言だろう、だが

 それ以上に皆が言い淀んでいた由貴の200達成にサラリ

 と言及し、更に激励までしてみせたその胆力に皆驚いた

 だが…

 <そうだね!アタシもなんだか今日は出るような予感

 がしてきてるんだよね、、一緒にやっちゃおうか!?>

 『ハイ!』

 皆の心配をよそにミキの激励は逆に由貴を奮起させる

 方向へと働いたようだ、なんとも頼もしい限りである

 ミキは気持ちが高まっているのを感じた、一度レーン

 から降りて改めて指を乾かす、落ち着け!アタシがミ

 スって由貴さんの好調に水を差しちゃダメだ!そして

 自分のスコアを乱すのも論外!今は落ち着いて、自身

 のスコアメイクに集中するのだ…

 <落ち着きなよ、すごい顔してるよ…遊びなんだから

  楽しんで♪>

 「そうそう、あくまで遊び!でも真剣!ってだけだ」 

 〈だから頑張るのは頑張って(笑)〉

 「集中ね!!」

 ふぅ~っと、ひと息吐き切って改めて深呼吸、周りの

 皆もそれに合わせて深呼吸する…

 『なんだか落ち着きました…行ってきます!』

 そう言うとレーンを見据えてボールを構える…

 やる事は同じだ、自身の決めたスパット目がけて、自

 分のフォームで、無理なく、コントロール重視…

 放たれたボールは1,3番のスポットに吸い込まれ、、

 <うん!いいね…>

 由貴のつぶやきがボソリと聞こえた刹那…

 パカーン!!

 軽快な炸裂音を響かせピンが弾け飛ぶ、そして後には

 フラフラと左右に揺れる7番ピンが残される

 倒れろ!!倒れろ!!

 皆の叫びが聞こえてきそうな表情をよそに、ピンの振

 れは残念ながら収まりを見せ、惜しくも1投目は9本と

 なった…

 〖だぁ~~!!惜しいッ〗

 <イッたと思ったんだけどねぇ~~~>

 〈もう、、、倒れてくれて良いのに…〉

 〘惜しかったけど、切り替えよう!まずはオープンフ

  レームから脱出だ!〙

 『ハイ!しっかり狙ってアイツを倒してやります!』

 「ゆっくりで良いからね、、慎重に…」

 浜崎の言う通りだ、6フレームでガターを取っている

 今、まずは時点が加算されるスペアへの復帰が最優先

 その為にはあの7番!

 (全く!倒れちゃいなさいよね…) 

 そう思いつつもミキは再び集中してレーンとスパット

 を見つめる…

 自身の立ち位置、ステップ、振りかぶっての投球、リ

 リースポイント、投球の軌跡…

 イメージは完璧だ!いけるっ!!

 迷いないミキの投球は一直線に7番目がけて突き進む

 (カンペキ♪隕石でも降ってこない限り…)

 カコン…

 軽~い音を立てて憎っくき7番ピンが弾け飛んだ

 〘ナイススペア!!〙

 真っ先にそう言ったのは対戦相手である浜崎だった

 この事に一行のこの勝負に対するスタンスがありあ

 りと現れていた

 勝負だとギスギスせず、互いに讃え合い、有益な情

 報は常に共有する、だからこそ皆の成長も早いのだ

 〖よ~し続くぞ!〗

 「頑張って!」

 『まだまだいけますよ!』

 <川本さんも1回集中だね…>

 由貴にそう言われて改めてレーンを降りてスコアを

 眺める

 伸一のここまでのスコアは

 ¹ ² ³ ⁴ ⁵ ⁶

X X 81 9/ 9G 9/ で6フレームで104、普段なら好

 調と言えるだろうが、相手は由貴なのだ、由貴は5

 フレーム目で95、一見は伸一がリードしているよ

 うに見えるが、6フレームのストライクの加点がま

 だ未定で、もしターキーでも出ればたちまち30点が

 加算される、序盤でたまたまダブルが出たからまだ

 大差にならずに済んではいるが、それでもすでに20

 ピン差…

 改めてオープンフレームを如何に作らないかがスコ

 アの鍵と思い知る…

 (焦るな…コントロールだ!全てはコントロール!)

 序盤のダブルは決してマグレではないと自分では思

 っている、コントロールに重点を置き、フォームと

 投球の行先、特に球離れに注意してここまで投げた

 事実、3フレームと5フレームのオープンは投げ終わ

 った瞬間に違和感があった!

 投球を見届けると、案の定狙った位置より球半個分

 イメージよりズレていた…

 ここが大事だ!集中!集中!

 伸一がふぅーっと大きく息を吐くと、まるで恒例行

 事のように皆が続く…

 レーンを見据えると、自身の思い描く投球のルート

 が浮かび上がって見えるようだ

 今だ!伸一はおもむろにボールを構えると迷いなく

 一歩、二歩と助走を踏み、力みのないバックスイン

 グから球を放る

 良い感触!!

 〖来ただろ!これは良いはず!!〗

 珍しく熱いセリフを吐きながら、伸一が投球の行方

 を見つめる

 バカーン!!

 女子とは迫力の違う炸裂音を響かせて、伸一の一投

 目は見事10ピン全てをなぎ倒した

 <ナイスストライク!!>

 『わぁ~見事に続きましたね♪』

 「やったね!!」

 〘ヤバいな~あっち調子良さそう…〙 

 〈な~に言ってんの、こっちも負けずに頑張れば良

  いのよ…〉

 ウキウキとハイタッチを交わしながら颯爽と席に戻

 った伸一は

 〖ひょっとしたら200届くかもしれない…〗

 と、こっそりエミに耳打ちした…

 「そうなの?」

 と小声で聞き返すエミだったが、由貴がすかさず

 <ここでダブルがもう一回出れば200届きそうだね>

 すぐさま伸一の心を見透かしたような言葉を投げか

 けた

 〖参った、、狙いはバレバレか…〗

 <そりゃダブルとかターキーはスコア伸ばす最上手

  だもの(笑)>

 〖ここで由貴さんぐらいのコントロールがあればな

  ~って心底思うよ…〗

 <そんなんあったらおっさんズに並んじゃうでしょ

  (笑)>

 〖間違いない!!!〗

 一同が大いに笑ったところで少し場の空気が和んだ

 だが、そんな事でこのゲームにかけるモチベーショ

 ンもコンセントレーションも失われる訳はなかった

 と言うのも、これは皆も良く知っているであろう

 ”ライバル効果” と呼ばれるもので、適切に実力が

 拮抗した対戦相手がいる事で、モチベーションや集

 中力の向上、切磋琢磨する事で努力、工夫がなされ

 、それまで超えられなかった記録を更新する、とい

 った相乗効果が発揮される、といった物だ

 由貴には手が届きそうな所へと迫ったおっさんズや

 太田、伸一が、ミキには浜崎、エミと晴子も多少な

 りともこれに当てはまると言える

 奇しくもこの対戦が、この現象を効果的に引き出し

 たのだ…

 

 迎えた7フレーム目、ここでトップバッターが相ま

 みえるが、投球間隔の妙で伸一の投球順が先に回っ

 てきた

 (集中!集中!集中!)

 もはや恒例行事となりつつある深呼吸、ふぅーっと

 伸一の吐く息に合わせ、皆が大きく息を吐く

 〖よし!いくぞ!!〗

 自らに言い聞かせるようにそう言うと、淀みなくレ

 ーンへと向かって構え、いささかの躊躇も無く投球

 に入る、見守る一同の前で、穏やかな投球ドームで

 コントロールを意識した伸一の投球は、吸い込まれ

 るように1,3番のスポットへ…

 (よし!感触も良かった、、後は…)

 パカーン、、、、、

 伸一にしてはいささか静か目な炸裂音…

 男子の投球の後は結果が見えるのが早い、伸一もこ

 れに漏れず、、惜しくも残る7番ピン 

 〖だぁ~~、、慎重にいきすぎたか…〗

 <良い所いってたのにねぇ…>

 『ドンマイです、、、』

 〘確実にスペア取って行きましょう!〙

 浜崎の言う通りなのだが、ここはストライクを取っ

 て由貴に弾みをつけてあげたかった、というのが伸

 一の本音だった…

 <敵はアタシが取ってあげる!>

 そう言いながら由貴が気合の入った表情でレーンへ

 と向かった

 (大丈夫か?入れ込み過ぎなんじゃ?)

 伸一はそう思ったが、今さら声をかけるのも憚られ

 る…

 『由貴さんファイト♪』

 軽い調子でミキが声をかけると、クルリと首だけ振

 り返った由貴が

 <ありがと!頑張るっ>

 と歯を見せてニカッと笑った

 (スゴイなミキちゃんは…)

 伸一はミキの由貴への信頼と、由貴がミキへ向ける

 師弟関係のような優しい眼差し…

 この2人とエミ、晴子や佳澄の関係性が心底羨まし

 く感じられた…

 レーンに立った由貴の背中からは、何の入れ込みも

 感じられず、ただただゆったりとした流れるような

 投球動作が印象的だった

 自然体、、、そんな比喩が適切だったかもしれない

 レーンを転がるボールさえ、なんだかゆったりと転

 がって見えた

 パッカーン!

 その印象とは打って変わって、一際甲高い炸裂音を

 響かせた第1投は、、、、、、、、、、、

 

 

今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります

多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が

ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい

メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は

「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。

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