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覚醒²!

日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです

仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを

肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが

なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます

温かい目で読んでいただければ幸いです。

 『むぅ~なかなか思った通りにいかないですね…』

 ミキがそう漏らすのも無理はない、スコアとして

 見れば138、144と尻上がり!練習初日としては上

 々以上の出来と言えるのだが、本日の第一投で感

 じたあの感触!あれが再現されないのだ…

 《気に入らないのかい?144なんて立派なスコア

  じゃないか?》

 部長の言う通り、女子で144とは立派なスコアだ

 、もし草食系の男子とボウリングデートでもしよ

 うものならうっかりコテンパンにしてしまうかも

 しれない…

 『いちばん最初の一投目の感触が良すぎて…』

 ミキが言うのも無理はない、それほど傍から見て

 いても第一投目のミキの投球は完璧だった!

 《たぶん原因は球離れだな…》

 <そうでしょうね…>

 『球離れ??』

 《ボールをリリースする時に球を手放す事だが、

  園田さんはあの一投目の感触を求めて、無意識

  に球を強く放ってしまっているんだと思う…》

 <一投目はキレイに床面に転がすように放れてた

  けど、力が入り過ぎるとそれがどんどんポイ投

  げに近くなっちゃうの!>

 『そうかぁ~、なんだか感触が違うと思ってたん

  ですよね、、、』

 《極端な話、投球地点の床にボールが置いてある

  のを歩いてって手を振ってはたいて転がす、と

  いったイメージをすると分かりやすいかな?》

 ミキは目を瞑ってイメージしてみた…

 (ボールが置いてあって、それを歩いて行って手

  を振ってはたいて転がす、、、)

 <こんな感じね!>

 そう言って由貴がレーンの手前に置いたボールに

 向かって歩き出し、投球フォームよろしく手を振

 るとピシャリと音を立ててボールをはたく

 《正にそんな感じだ!》

 『あぁ分かった!』

 〈「アタシも!!」〉

 伸一と浜崎もそれぞれに合点がいった表情をして

 いる

 ミキもゆっくりと投球フォームを取りながら同じ

 動作を試みる

 『あ~これだとアタシ、ポイ投げしたり逆に床に

  投げ落としたりしてたかもしれないです…』

 《球離れが早くても遅くてもそうなるね、鋭く腕

  を振り抜きたくなるのは分かるけど、フォーム

  が完全に固まってから速度を求めた方が良いね》

 『どうしてもストライクが頭をよぎって力んじゃ

  うんですよね…』

 《確かにスコアを上げるのにストライクは効果的

  ではあるが、その分コントロールが狂いやすい

  というデメリットがある、まずはコントロール

  を重視してストライクは出たらラッキー!ぐら

  いに考えたマネジメントをすべきだろう》

 ミキは無言で頷いてしきりに首を上下している

 <しかし太田さんほんとに只者じゃないですね!>

 《何を言ってるんだね?有賀さんこそ、ここまで

  私よりスコアが上じゃないか》

 太田の言う通り、ここまでの太田のスコアが168、

 189、対して由貴のスコアは174、193だ…

 それと言うのも1投目をストレートボールでスト

 ライクの確立を上げる、2投目をカーブボールで

 スペア狙いといった戦略でスコアを伸ばす事に成

 功したのだ、これは奇しくもシゲさんと同じ戦略

 だが、こないだのシゲさんはストレートボール一

 辺倒でも200を超えていた…

 <久しぶりにボール投げて189とかおかしいでし

  ょ!アタシなんかつい最近も投げてるのに…>

 《妻とはまだたまにボウリングには行くからね、

  最近では息子も170ぐらいのスコアを出し始め

  たよ!》

 <息子さんはおいくつですか?>

 《18、もうすぐ高校卒業だね、最近やっとうちの

  妻とどっこいどっこいで勝負し出したよ》

 それは奥さんがおかしいのだ、と由貴はツッコミ

 かけたがやめておいた…

 伸一やミキも同じ事をツッコミたそうにしている

 《さてと、大体の勘は取り戻した!改めて3ゲー

  ム目、勝負といこうか!》

 <そうですね!じゃあやりますか!!>

 『こっちも勝負です、浜崎さん!』

 〘分かった!受けて立つよ!!〙

 こうして太田vs由貴、ミキvs浜崎の対決が始まる

 事となった

 所在なく見守るエミと晴子だったが、2人とも今日

 の最高スコアは128と126と、明らかに練習の成果

 は出ていた、こうなってくると欲が出て来るもので

 「勝負しようハルちゃん!どちらが先に130出すか」

 〈分かった!負けないからね!!〉

 と、こちらも平和な様子ではあるが勝負に発展した

 ようだ…

 右レーンの1番、ミキが最初の火ぶたを切って落と

 す役となった、ミキは念入りに自身の立ち位置を確

 認、ボールを持つ前に素振りを繰り返し、ボールを

 持った後も玉の向きをしきりに気にしていた

 自身で定めたスパット位置に構えると、イメージし

 た投球動作を頭の中で再生する

 実際のところフォームは固まって来ていた、後は繰

 り返し投球を重ね身体に覚えさせるのみだ 

 緊張しすぎず、投げ急がず、力まない

 ストライクは副産物として考え、コントロールを最

 重視!狙いは1,3番ピンの間のスポット!

 最初の一歩を踏み出す、親指を中心へ、手の平を正

 面に向けて、腕を振り下ろし床に置いてあるボール

 をはたくイメージで振り抜く!

 感触が良い!!スムーズに指が抜け床にボールが転

 がった際にも衝撃を感じなかった!

 同じ位置、同じ腕の振りで投球しても球離れのタイ

 ミングが違えば、着地点も変わりボールの行先も変

 わってしまう

 今の感触は良かった!きっと、、、、

 ミキの予想通り、ボールは1、3番ピンのスポットへ

 と一直線に転がってゆく

 パカーン!!

 気持ちの良い炸裂音を響かせたボールはほとんどの

 ピンを倒したが、惜しくも7番ピンが残ってしまう…

 「あぁ、惜しい!!」

 〘惜しかったねミキちゃん…〙

 《いや、今のは良かった!感触も良かったろう?》

 太田に聞かれたミキはニッコリ笑うと

 『いい感じでした!結果は1本残ったけど、今のは満

  足です!!』

 (あぁ、やっぱりこの娘化けかけてたんだ…)

 由貴はそう思った、自身が通った道だから良く分か

 る、俗にいう ”コツを掴む” といったところだ…

 由貴は130あたりで伸び悩んでいる時に、レイジにコ

 ツを教わってピンときた

 感触を得た時には一気に150辺りまでスコアが伸びた

 ものだ、すでに140を超えだしているミキがスコアを

 伸ばし出せばあるいは…

 由貴はミキの元まで歩み寄ると、肩を抱いてレーン

 に正対する

 <良い?今残ってるのは1番左奥の7番ピン1本!一

  見ガターの近くで圧迫感はあるけども、ビビる必

  要なんてない!ミキちゃんがあそこを狙うのに立

  つ位置と狙うべきスパット、それさえしっかり分

  かれば、あとは狙ってしっかり投げるだけ!>

 ガタン…

 由貴の投げたボールが返ってきた

 <しっかり狙って!大事な一投だよ>

 《なぁに、簡単な事だ、ヘッドピンだと思えば狙い

  も自然とつくだろう》

 上手い事を言うものだ、由貴は感心した

 事実、この言葉でミキも得心がいったのだろう、表

 情が和らいだ

 なるほど!三人とも良い上司に恵まれているようだ

 (あのピンがセンターのスパットだと考えて、いつ

  ものスパットは左から2番目あたりか)

 なぁ~んだこんなに分かりやすかったんだ…

 これまでは何となく狙っていた残りピン、だがキチ

 ンと狙うべきスパットが分かればおのずと何処に立

 って投げれば良いのか見えてくる

 ミキは目覚めた!自身の立ち位置と狙うべきスパッ

 トの導き方を、スパット理論と呼ばれるものだが、

 ボウリングは大衆的に親しまれている反面、専門的

 な知識を要さず手軽に始められる為、多くの場合後

 天的に専門知識を入れる場合がほとんどである

 ミキの場合はすでにロクな知識もない状態から中級

 レベルのスコアを出していた為、後に吸収した知識

 の恩恵が大きいのだ…

 気負いも入れ込みも一切なく、極めて自然に投球さ

 れたボールは7番ピンの真芯をとらえ、見事ミキは

 本当の意味で狙って出したスペアを獲得した

 『やった~!!狙い通り』

 <ナイススペア!お見事だね>

 《どうやらコツを掴んだ感じだな!》

 全員がミキとハイタッチを交わすと、ミキが一言

 『浜崎さん!早く投げて下さい、次が早く投げたい

  です』

 《これは負けておれんな!私も投げるとしよう》

 そう言うと、俄然やる気になったのか太田もボール

 をしっかりと磨き、手を乾かしている

 〘まいったな、、負けそうな気がしてきた…〙

 太田がレーンに立つと浜崎もいそいそとボールを磨

 き始めた、相変わらずの決まったフォームから繰り

 出された太田の第一投だったが、惜しくも2本残る

 結果となる

 《う~ん、レーンコンディションは掴んだつもりだ

  ったが少し薄かったな…》

 だが、右ボウラーにとって薄く入るボールは大事に

 至りにくい、何故ならボールが右に流れて右角が残

 りにくいからだ

 右投げ、それもカーブボウラーにとっては10番ピン

 つまり右奥はアキレス腱と言っても良い箇所で、ス

 ペアをカバーするのに難易度が高いのだ…

 今回の太田の残りは4番7番と、並んだ左角、油断さ

 えしなければ取るのは難しくない配置だ…

 こうした致命的な残りの排除を徹底して、スコアマ

 ネジメントを繰り返し200と言うスコアをマークする

 のだ!

 難なくスペアを取った太田とハイタッチを交わしな

 がら伸一がボヤく

 〖こっちレベルが高いよ~(汗)〗

 そう言う伸一も162、168とまずまずなのだが、いか

 んせん相手が悪い…

 190レベル2人に挟まれてはボヤきもすると言うもの

 だ…

 とは言え伸一も200に届いた事があるのは事実!

 ここは真剣に自身のスコアと向き合い、何とか2人

 に食らいつくつもりだ!

 先ほどのミキへのアドバイスは全て傍で聞いていた

 中でも置いたボールを手ではたく、といった物は、

 伸一にとっても非常に分かりやすく腑に落ちたアド

 バイスだった

 (よし!オレだって…)

 こういった力みが結果に影響するのがボウリング

 なのだ、結果として伸一の投球はヘッドピンを外し

 、1、2、4、7と4本のピンがキレイに斜め残る事と

 なる…

 《力んだな、川本くんらしくもない》

 〖ですね、ちょっと入れ込みすぎました…〗

 「ドンマイ伸ちゃん、スペアはいけるよ!」

 〖ありがと、しっかり狙うよ!〗

 そう答えた伸一だったが、キーピンである1番ピン

 は捉えたものの、残念ながら芯を食わなかったのか

 惜しくも7番ピンが残ってしまった

 《あれで取れんとは運がないな…》

 <行った!と思ったんだけどね~>

 『切り替えて行きましょう!次集中ですよ!』

 「ミキちゃんの言う通り!」

 〘僕も9本でした、、少し集中が切れてきてますね〙 

 『エミさん順番ですよ~』

 「よし!しっかり集中しなきゃ…」

 <頑張ってエミちゃん!隣で見てるから…>

 そう言ってボールを磨く由貴は、エミの投球に注目

 していた…

 エミも晴子もスコアは伸びてきている、130に手が届

 きそうなスコア、だがここで伸び悩んでいる印象だ

 恐らくはフォームがまだ定まっていないせいであろう

 では、何処が問題なのか?

 仲間としてはそこを見極めて導いてやらねばなるまい

 エミの第一投は8本、まずまずだが何が悪いのかは分

 からない、まずはここで保留だ、自身の番がまわって

 きてしまった…

 <さ~て!いきますか…>

 ミキにあれだけ言っておいて自分がつまらないミスを

 していては締まらない!

 しかも今は太田と勝負なのだ!ますますつまらないミ

 スなどしている場合ではない…

 立ち位置、目標スパットを確認…

 フー、と長く息を吐き出すと目標を見据えて踏み出す

 最初にミキに言って聞かせたように、投げ急がず、力

 まない、スゥーっとバックスイングすると、そのまま

 の軌道で腕を真っすぐ振り抜く、ボールは地面を転が

 すイメージで、決してポイ投げせず手の平で押し出す

 ようなイメージで!

 ボールを放った瞬間(これは行った!)と確信した

 自身がイメージした通りの軌道でスポットを捉えたボ

 ールはパカーンと軽快な音を奏でると、10本のピンは

 ものの見事に倒れていた

 <よっし!カンペキ♡>

 『ナイスストライク!』

 一番近くにいたミキが真っ先にハイタッチをせがむ

 それに応えると、エミが、晴子が、伸一が、浜崎が、

 とやんややんやと次々にハイタッチを交わし、最後

 に太田が

 《お見事!良いストライクだったね》

 と言って手を出す、由貴もハイタッチに応えると

 <とりあえずリードですよ太田さんっ!> 

 とニッコリ笑う、太田は年甲斐もなく照れた表情を

 浮かべつつも

 《ふっふっふ、まだちゃんとカバーは出来ているか

  らね、大崩れはしないさ…》

 と不敵な笑みを返す、由貴にはこの余裕がハッタリ

 ではない事がよく理解出来ていた

 出だしは上々!このまま油断せずオープンフレーム

 を作らずスコアメイクしていけば、あるいは…

 由貴の中に予感めいたものが沸き上がっていた

 



































今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります

多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が

ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい

メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は

「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。

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