Here comes a new challenger!
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
〘調べてみてビックリだったけど、あの人たちっ
てプロレベルじゃないか!?〙
『そうなんですよ!何ですか競技レベルって?反
則ですよね!』
〖そうは言っても由貴さんはやる気なんだろ?〗
『俄然やる気が出た感じでしたね…』
「アタシたちが勝負にどう影響するのか不安なん
だけど…」
〈でも由貴さんのお手伝いが出来るなら可能な限
り頑張りたい!〉
小さく拳を握って力をこめる晴子は硬い表情だ
〘僕らで手伝える事があれば手伝うけども…〙
「何にせよ行きましょう、まずは今日の業務をこ
なしてからだね!」
〖よ~し!今日もひとまず仕事を頑張るか!〗
憂鬱なはずの週明けの月曜日、いつからだろう?
ちっとも苦にならない日々がやってきた
職場での仕事もなんら苦痛ではない、むしろ大切
な日々の一部として、なくてはならない存在にさ
え感じられる今日このごろ…
充実した日々を送る三人にとって、趣味は趣味、
仕事は仕事、と、しっかりとした区別は付けつつ
も、仕事と趣味がうまく融合し日々の生活がリズ
ムよく流れていた
退屈で退屈で、早く終わらないかな~と、なんと
なくこなしていた仕事も、隙を見ては改善点を探
し、効率良く業務をこなす
自然と、職場の人間関係も良好で、エミも晴子も
ミキも、最近では太田や岡田をはじめ、事務所の
面々全員から一目置かれる活躍ぶりだった
当然男性陣も奮起し、川本、浜崎の両名も、これ
また獅子奮迅の働きぶりで、得意先からの評判も
上々!まさに順風満帆といった風情だった
エミと須賀の出会いがもたらした影響は、この会
社にとってはとてつもなく大きなものだった…
『腕はまっすぐ振り、親指と中指、薬指で狙った
スパットを掴みに行くようなイメージで…』
そう言って投球を披露するミキのフォームはなか
なか様になっており、これには部長の太田も唸り
を見せた
《園田さんなかなか堂に行ったフォームだがボウ
リングを真剣にやってるのかい?》
『ちょっと真剣にやってみようと思いまして…』
太田に褒められて満更でもないミキだったが、実
際の所は140が出だしたぐらいで、まだまだ胸を
張ってボウリングが得意!とまでは言えるレベル
ではないと自覚していた
《スコアはどのぐらいかね?》
ミキにとって一番聞かれたくない質問ではあった
が、見栄を張る訳にもいかず、正直に現状を答え
た…
『つい最近やっと140に届きました、普段は130そ
こそこです…』
口にしてしまうと自身の未熟さが悲しくなった…
由貴は200を目指していると言うのに、、、
《おお!!スゴいじゃないか女性で140超えれば立
派なもんだ!》
てっきり大した事ないと思っていた自分のスコア
がまさかこんなに絶賛されるとは思ってもみなかっ
た…
『で、でも、川本さんや浜崎さんは150以上ポンポ
ン出してましたよ?』
《ハハハ!男子と比べてたのか、男の場合は多少
変な所に行っても玉に力があるから多く倒れる
もんだよ、なんなら私はヘッドピンを外しても
ストライクを取った事があるぐらいだ…》
『え~~!!そんな事あるんですか?』
《力任せな男子なら経験した事がある奴は他にも
いるだろうな…》
ヘッドピンを外してもストライク…
そんなデタラメな、、とは思ったが、実際シゲさ
んみたいなパワーならあり得る話だろう…
『ちなみに部長のベストスコアはおいくつですか
?』
《ん~、かれこれ15年くらい前か、マグレでスト
ライクが5本続いて242いったかな…》
『に、242!?』
〖スゴいですね!?242ですか…〗
〘僕なんて200も行った事ないですよ…〙
「アタシたちなんて130もいかないです…」
〈ホントね…〉
《世代だよ世代!他に娯楽が乏しかった時代だか
らね、妻とも付き合ってる頃によく行ったもん
だが、アレも170は出してたぞ》
『奥さんも170!?スゴすぎですよ…』
「ボウラーカップルだ、、、(笑)」
ポツリとエミがもらすと…
《当時はそんなカップルが多かったんだよ、ボウ
リングについ熱が入っちゃうような、ね…》
〖じゃあ部長は今やっても結構なスコアが出ます
かね?〗
《分からんが150~160ぐらいは出て欲しいもんだ
な…》
『謙虚ですね~』
《そんな事はない、やっぱりブランクってのは大
きいものだよ、しょっちゅうボールを手に馴染
ませてないと感覚が薄れるものだ》
だからか、シゲさんも前日に一回は練習させてく
れと言っていた、恐らくは感覚を取り戻したいの
だろう
〖つけ入る隙を発見!!かな?〗
「とは言え今のままじゃ戦力差がありすぎる…」
〈練習しないとね!!〉
『2週間!死ぬ気で練習しましょう!』
《何か大会にでも出るのかい?》
事情を知らない部長が尋ねる、皆は簡単に事の顛
末を説明した
《なるほど、、しかしそれは相手がいささか悪す
ぎだな…》
〖そうなんですよ、由貴さんもベストスコア198
と、とても女子とは思えない腕前なんですが、
相手は200を平気で超えて来る人たちで…〗
《よし!分かった!!》
、、、、、、、、、、、、、、、、
《最初1、2ゲームはちょっと待っててくれ、勘を
取り戻したい…》
そう言って真剣な表情でレーンに向かう太田
話の流れから金曜に予定していたボウリングを急
遽今日に変更したのだ!
<何だかスミマセン太田さん…>
《いやいや全然構わないよ、こう見えても昔は結
構ならしたクチだ、勘さえ取り戻せば仮想敵を
務めてあげられるんじゃないかと思ってね》
レーンは二つ取った、左側に太田、伸一、由貴、
右側に浜崎、ミキ、エミ、晴子がそれぞれ入る…
『アタシたちはそれぞれフォーム固めとコントロ
ールの練習、同じく1,2ゲームを練習として3ゲ
ーム目で勝負です浜崎さん!』
〘承知した!やるからには手は抜かないよミキち
ゃん!〙
『それでお願いします!』
《こちらも1,2ゲームは練習として3ゲーム目で勝
負と行こうか!》
<よろしくお願いします!>
〖分かりました!〗
《では私から行かせてもらおう!》
そう言うと太田は颯爽とボールをタオルで拭き上げ
指を乾かしてボールに掴みかかる
ただそこに立っているだけで何となく雰囲気がある
これは上手い人の立ち居振る舞いだ…
由貴はなんとはなしにそんな雰囲気を太田に感じ取
っていた
流れるような投球フォーム、最初は大股で、後半は
小股に、基本に忠実な太田のフォームに、由貴は年
季の入った物を感じ取った
腕のスイングも真っすぐ、手の甲の向きも完璧、リ
リースの際も手首を捻じった様子が感じられない、
およそ完成されたフォーム、言うだけあってとても
洗練された投球フォームだった
放たれたボールは当たり前と言わんばかりに弧を描
きヘッドピンへと向かう
かと思われたが、いささか曲がり過ぎたようでヘッ
ドピンの裏側、2番ピンとの間のへと吸い込まれた
響く破裂音、それでも十分な威力を持った投球は、
結果として10ピン全てをなぎ倒し、天井から下がっ
た液晶画面にストライクの文字を浮かべた
『部長スゴ~い!いきなりストライクですね!!』
〖当たり前にカーブボールなんですね!?〗
<お見事!予想以上に投げてらっしゃいますね!>
《いやいやスマンね、本来の狙いより外れた裏スト
ライクなんだが、結果オーライのようだ…》
裏ストライク、通称ブルックリン!1番ピンと3番ピ
ンのポケットを狙うのが右投げのセオリーなのだが
、逆の1番、2番の間のポケットを捉えたボールで取
れてしまったストライクであるが、素人の間ではあ
まり言及される事はない…
<いえ、どれだけ投げ込んで来たかフォームを見れ
ばすぐ分かります!自力があるからこその結果で
すね>
そう言って太田とハイタッチを交わす由貴が鋭い目
をしているのをミキは見逃さなかった
新たなライバルの出現!といったところか…
〘こりゃレベルの高いお隣さんになりそうだね…〙
そう言いつつ1投目を放った浜崎だったが、惜しく
もど真ん中、5番ピンが残ってしまう
これを慎重に沈め、浜崎の1フレーム目はスペアと
好調な滑り出しだった
続く川本も9-1とスペア、そしてミキは…
自らの立ち位置をしっかりと確認する、狙うべきス
パットは真ん中から二つ目!立ち位置は真ん中のス
パットと二つ目の間!
慎重に立ち位置をフォームを確認するミキを見て思
わず
「すごい真剣だね!?」
とエミが小声で漏らすのだが、由貴が指を口に当て
てそれを制する
小声で
<あの子化けかけてるのよ、そっとしておいてあげ
て!>
そう釘刺され、誰も口を開けなくなった…
胸の前でボールを構え親指を12時の方向へと意識す
る、力を抜いて腕は真っすぐに振り抜き、手の平を
真正面に向けてそのまま真っすぐに押し出すような
イメージで!
流れるようなフォームから放たれたボールは、さし
て力を加えたとも思えないのに意外な程のスピード
を有してヘッドピンと3番ピンのスポットを捉えた
パカーン♪
小気味良い音を立てて10ピン全てが弾け飛んだ!
画面にはストライクの文字が躍っている
『な、なんか今思った通りに投げられた気がします
!?』
<ナイスストライク!今のは完璧なフォームだった
よ!>
由貴が駆け寄るとハイタッチを求める
《う~ん!良いフォームだったなフォロースルーま
でカッコ良く決まってたよ》
〘お見事!ナイスストライクだね〙
「スッゴ~い!ミキちゃんなんだかカッコ良い!」
〈アタシもカッコ良くなげたくなっちゃった!〉
<こりゃ負けてらんないね!!>
そう言うと由貴は自らも念入りに立ち位置を決める
胸の前でボールを構えると親指は10時方向、この時
点でミキは違和感に気づいた、いつもの由貴の立ち
位置ではない、そして構えも違う!手の向きが違う
のだ、一体何をする気なのか?
そう思った時、由貴がゆったりと投球に入った
やはり違う!今まで正面を向いていた手の平が横向
きなのだ、これは部長と同じ!?
そう!由貴が投げたのはカーブボール!何故かは知
らないが今まで由貴はストレートボールを投げてい
た、だが実はカーブボールも持ち合わせていたのだ
ろう、この場面で出してきた意味は果たして?
放たれたボールはヘッドピンと3番ピンのやや浅い
スポットへと着弾!9本ははじけ飛んだ、が、1本、
10番ピンがユラユラと揺れている、、、、、、、と
しばらくした後、その10番ピンも倒れる事となった
画面にはストライクの文字が踊り、皆からは拍手が
沸き起こった
『由貴さんカーブ投げれたんですね!?』
〖それもコントロール良いなんて、、、〗
《ナイスストライク!!やや浅かったがなんとか倒
れたね》
<ありがとうございます!>
礼を言いながら太田とハイタッチし、皆と次々にハ
イタッチを交わす
手応えはあった!久々のカーブボールだったがもう
迷いは無い!今まではストレートで押しても何とか
なっていたが今回に限ってはもうそういうレベルの
相手ではないのだ!カーブを磨く!そして目指すは
パーフェクトカバー!それさえ出来れば一組のダブ
ルやターキーでスコアが大化けする!
何よりスコアが安定しやすいのだ、キチンとコント
ロールされたカーブボールならガターは勿論の事、
スプリットやましてやビッグフォーなどといったハ
ードな残りピン形状を避ける事が出来る
<カーブは今までも投げれたんだけどね、ストレー
トのが安定してたからそっちに頼ってたの、でも
もう卒業の時期がきたみたいだからね!>
《本格運用、という訳かい?》
<えぇ!手強い人が現れたので…>
バチバチと火花を散らす両者!奇しくも1ゲーム目
のファーストストライクは互角!だが両者共に万全
とは言い難いコンディションだった…
最初から全開の両者が相まみえる3ゲーム目!
果たして勝負の行方は?
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




