いざ尋常に!
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
"¹由貴ちゃんかなり腕を上げたな~♪"
"³そうそう!もうすぐ200出せそうじゃないか"
"²安定して180出せるようになれば200はチラホラ出
るようになるな"
そう言われていい気に慣れない由貴だった
今日由貴は自分のベストスコアを更新した、197、、
一般ボウラーとしてはそうそう見ないスコアなのだ
が…
相手があまりにも悪かった、、と言わざるを得ない
由貴が197を出した時のおっさんズのスコアは全員2
10を超えていたのだ…
<そろそろ1ゲームくらい勝てると思ったのにな~>
そう言って悔しがる由貴だったが
"¹まだまだ負けてはやれないな…"
と、シゲさんの一言でカチンと来たのかつい熱くな
ってしまう
<シゲさんだって調子悪い時あるでしょうに!そう
いう時ならアタシにだって勝ち目も…>
"²じゃあ勝負しようか?"
そう言いだしたのは由貴を最も可愛がっている河っ
ちこと川村だった
"³オイオイ河っち、勝負なんて穏やかじゃないな…"
"²そんな入れ込む必要はない、ギスギスしないで純
粋に勝負を楽しもうじゃないか"
<純粋にって??>
"²何も賭けない、ただ純粋に勝負するだけ(笑)"
『良いですね、平和的で!』
"²だろう?そしてオレたちは自然に由貴ちゃんに会
う口実が出来る訳だ!"
〈アハハ、愛されてるね由貴さん〉
"⁴当然!由貴ちゃんはオレたちのアイドルだからね"
<アイドルなんてガラじゃないけど…勝負は面白そ
う!>
"³ならもっと面白くしようか?"
<え??>
"³そっちの女の子たちにも参加してもらおう!"
「あ、アタシたちなんて、そんな…」
〈そうですよ!?相手にもならないでしょう?〉
"³当然ハンデはつけるさ、何かうまい具合にハンデ
が付くよう模索しておこう"
<少し練習期間が欲しいかも…>
"¹だろうね、全然構わないよ、1~2週間後にしよう
か?"
<じゃあ2週間欲しい!>
"¹分かった、2週間後、勝負方法はレイジが上手く
考えてくれるよ"
"³もう一つ、オレたちはその間練習しない、隠れて
ボウリングに行く事もしないと誓おう"
"¹それはちょっとキツすぎないか…前日に一回だけ
でもカンベンしてくれ…"
<いいの?そんな条件で?>
"¹あぁいいさ、年季が違うからね!カンを取り戻
すのに1日あれば十分だ、だろ?"
シゲさんのこの言葉に皆がコクリと頷く
"³じゃあ今日は楽しかったよ、友達のみんなも今
日はありがとね"
<うん、今日は楽しかったよ!またねレイジさん
、うまい事なんかハンデ考えといて>
"³分かった、何か上手い方法考えるよ"
"²由貴ちゃん入れ込み過ぎて無茶するなよ、あく
までただの遊びなんだから…"
<うん、分かってる…そんな無茶するつもりはな
いよ>
"⁴何も今回だけじゃなくてもボウリングの相手ぐ
らいするからさ、気楽に練習しといで"
<そうだね、でも真剣にはやるから…>
平田は微笑んでコクリと頷くと全員に手を振って
一歩下がる
"¹じゃあ今日は退散するよ、みんなまたな!"
『みなさんお疲れ様でした!』
ミキがペコリとお辞儀するととても嬉しそうに各
々が声を上げる
”おつかれさまでした~” "また今度~" と、エミ
たちが見送る中、4台のハーレーは独特のエンジン
音を響かせて去って行った
おっさんズが走り去ると、クルリと振り返った由
貴が皆に向かって
<ゴメン!!なんだかおかしな事になっちゃった
~>
と、両手を合わせて謝罪してきた
「いいよいいよ!由貴さん、別に何も迷惑じゃな
いし…」
『そうですよ由貴さん!面白そうじゃないですか』
〈勝てる気は全然しないけど…〉
〖でもみんな練習しないとな、あの人たち相当な
ものだよ!〗
〘人だかり出来てたもんね…〙
〈ダブルとかターキーとかあんなに見たの初めて
かも…〉
実際おっさんズの面々がストライクを出すたびに
ギャラリーから大きな歓声が上がっていた
それもそのはず、全員が全員ストライクをバンバ
ン出し、スコアは200以上、注目するなと言う方
が無理からぬ事だろう…
「ま、まぁアタシたちも頑張るから、由貴さんも
程々に頑張りましょう…」
<ほどほどじゃあ勝てないのよね…>
俯きながら思いつめた表情を浮かべる由貴…
無理もない、今しがた人生のベストスコアを更新
したというのにアッサリと上をいかれたのだ…
バンッと由貴の背中を叩くとミキが
『ダメですよ~そんな思いつめちゃ、取って食わ
れやしないんですから!』
〈そうだよ由貴さん!頼りないだろうけどアタシ
たちも一緒に頑張るから〉
「そうです!やれるだけやりましょう」
〖練習になら付き合うよ〗
〘僕も!もう教習もないしね〙
<ゴメンねみんな、、面倒に巻き込んじゃって>
ミキは黙って首を振ると
『ちょうどハマりかけてたとこです!これを機に
150超えを目指します!』
そう言うミキは先ほどの3ゲーム目で143をマーク
していた
「ミキちゃん確実に腕を上げてるもんね!」
〈アタシたちも頑張らなきゃ!〉
『アタシはとりあえず打倒浜崎さんですね!』
〘え!?ぼく??〙
『ちょうど良いんですよね~浜崎さんって150後
半ぐらいで安定してるじゃないですか』
〘確かに僕はだいたいそのぐらいのスコアだね〙
〖ならミキちゃんは浜崎が相手するのが良いな〗
〘分かったミキちゃん!受けて立とう!〙
『お願いします!』
<エミちゃんとハルちゃんは今度アタシが一から
レクチャーしないとね!>
「こんな事なら今日ちゃんと教えてもらっとくん
だった…」
〈足を引っ張らないように頑張らないとね…〉
<もっと気楽にね!!でしょミキちゃん?>
そう言って2人の肩をポンポンと叩く由貴がミキ
にウィンクして見せる
『ですです!楽しんでいきましょうよ』
〖今日のところは解散しようか、明日以降はどう
するか連絡取り合って決めよう!〗
〘あとは会社で作戦会議しますかね…〙
〈あぁ、作戦会議と言えば、ハマちゃんも ”作
戦会議” 入ったら?〉
『そうですね!連絡も楽になるし』
〘”作戦会議” ??〙
「アタシ達のグループLINEですよ、伸ちゃんも入
ってます」
〖ちょっと待ってな、幸太おじさんにも聞いてみ
るよ〗
そう言うと伸一はサクサクと文面を ”作戦会議”
に打ち込んだ
すぐさま須賀夫妻からの返信が ”作戦会議” へ
と書き込まれる
【伸ちゃんの後輩だろ?別にいいんじゃないかな
?】
〖了解!じゃあ誘っちゃうね〗
淡白なやり取りの後、結果が浜崎に報告される
〖良いってさ浜崎、じゃあQR読んでくれるか?〗
〘ハイ!じゃあっと…〙
すぐにスマホを出しLINEでQRコードを読み取る浜
崎、友達認証を済ますと ”作戦会議” に浜崎の
アイコンが追加される
〘皆さん今日からよろしくお願いします〙
いかにも浜崎らしい真面目な文面、これに皆から
ようこそ!と歓迎の文面が続々と書き込まれた
〖じゃあ今日から再来週いっぱいまではボウリン
グ強化ウィークだ!皆で頑張るぞ!!〗
いかにも主任らしい伸一の檄に皆が笑顔で応える
<そんな大げさにしなくてももっと気楽に行こう
よ…>
〘やるからには勝とう!見たとこつけ入る隙が無
い訳でもなさそうだったし…〙
『おぉ!?アツいですね浜崎さん?』
〘ちょっと気合入れて行かないとあの人たちは格
が違うからね…〙
〈ハマちゃんの言う通りね!ちょっと気合入れて
かからないと勝利なんて夢のまた夢…〉
なんだか皆ずいぶんとやる気のようだ…
由貴は自身が巻き込んでしまった変な勝負に申し
訳なさを感じていたのだが、どうやらそれが取り
越し苦労だった事を悟った
各々が自宅へと帰宅した後、PCで、スマホで、と
ボウリングの事を調べている頃…
ミキもまたボウリングについての情報を基礎から
調べていた、それによると…
スコア50~80:初心者、これはまぁ良いだろう、
スコア80~110:初級者、何も学ばず、何となく
で投げていた頃のミキたちがこれに当たる…
スコア110~140:中級者、ミキは今ここに当たる
と言えよう、ひとえに由貴の指導の賜物なのだが
自身が中級者と呼ばれるレベル帯に居るとは正直
驚きだった…
スコア140~170:上級者、ストライクの獲得率、
スペアの獲得率ともに一定以上があって成り立つ
スコア170~200:エキスパート、フォームが固ま
っており、競技レベルの実力を有する、とある、
由貴はこのエキスパートレベルに居ると言える…
女子はおろか、男子でも一般的にはあまり居ない
レベル帯と言えた、だが!
スコア200以上:プロレベル…プロテストの基準が
男子190以上女子180以上…
『何それ!?おっさんズなんて完全プロレベル、、
、由貴さんだってプロテストレベルだったんだ
!?』
由貴の表情が硬かった訳がやっと分かった、相手
はプロと呼んでも問題ないレベルだったのだ!
『これは相当気合入れてかからないと足を引っ張
っちゃうな…』
課題は明白、まずはフォームの確立と安定、次に
スペアの獲得率の向上だ、ストライクを狙って強
投に走るのは愚策と言える…
まずはコントロール!その為には練習あるのみ!
そして目指すは、、、脱中級者!
エキスパートレベルまで2週間ではとても無理だ
ろう、、だが!目指さなくてはならない!
その為に必要なスコアは安定した140オーバー!
ハードルは高い、だが…
ミキの中にメラメラと燃えたぎる物があった…
上級者…この響きがなんともやる気を起こさせる
140~170のスコアを誇る上級者!
今日見た所、浜崎も川本もこのレベルにいる
川本などは今日のベストは178だった…
今目指すには少し無理を感じる、だが浜崎は164
、4ゲームでのベストがこれでその他のゲームは1
50代の後半だった…
現状の自分が目指せる最上位はその辺りだろう…
正に格好の相手と言えた!
勝つ!浜崎に!当面はそれが目標だ…
夢中になって調べているうちに気づけば12時を回
っていた
『ヤッバ!?もう寝なきゃ…』
仕事に影響は出さない!それはミキとエミと晴子
三人が免許を取る時に誓った事だ!
ミキはノートPCの電源を落とすと、高ぶる気持ち
を落ち着けて床に就く
(焦っても仕方がない、全ては明日以降だ!)
強引に自分を諫め眠りにつく、意外な事にすぐに
頭はクリアになり、徐々に眠気が襲ってきた
自身でも把握していない疲れが今日一日溜まって
いたのだろう
『ん~~~よっく寝たぁぁ!!』
昨日は夜更かし気味だったのに意外なほどスッキ
リと目覚める事が出来た、寝る前に気持ちをリセ
ットしたのが良かったのかもしれない
だが、着替えている間も、お弁当を作っている間
もボウリングの事が頭から離れずにいた
(試したい!あれも!これも!)
また一つミキの情熱を注ぐ対象が増えたのだった
自身でも意外なほどボウリングにハマっているの
だ!
行きがかり上行う事となった勝負に、たまたま自
身も出場する事となり、動揺する反面、気持ちが
高ぶっている事に気づいた
楽しいのだ!まるで免許取得に通う前の夜のよう
に興奮して仕方がない
だが、ミキもう社会人として自立した1人の大人
だ!仕事に影響など出さない、そして自らの責務
を果たす事も忘れない
何故なら今現在の自身のアイデンティティーがそ
こにこそあるからだ!
社会人としての自分があり、その自分のモチベー
ションを支える手段としてお菓子作りやメイクや
バイクがあるのだ!
今ここにボウリングと言う新たな趣味が加わった
仕事へのモチベーションも上がろうというものだ
園田ミキは立派な社会人なのだ!
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




