想定外のニアミス!
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
『川本さんってボウリングのスコア普段いくつぐ
らいですか?』
〖オレ?そうだな~いつもは平均で140~調子が
良くても170そこそこかなぁ…〗
『今まででベストスコアはどのくらいです?』
〖203だったか4だったか、運よく4連続ストライ
クが出た時に200超えたぐらいかな…〗
〈え~!?200出た事あるんですね?〉
〖大学の頃はしょちゅう行ってたからね、学生の
頃って野郎はボウリング上手くなる時期がある
もんなのかもね?〗
『じゃあ浜崎さんも?』
〘僕も普段は140とか150そこそこかなぁ…200は
出た事ないけど180ならいった事はある!〙
〖大体ボウリングかビリヤードかダーツが流行る
よな(笑)〗
〘どっちもよく付き合わされましたね!(笑)〙
『むむむぅ~!やっぱ男性陣は手強そうですね』
〈誰と競ってるの??(笑)〉
『アタシが、じゃなくって由貴さんがおっさんズ
の人たちに勝ちたいみたいで…』
〖あの由貴さんが190出したのにみんな200以上だ
ったっていう?〗
『そう、そのおっさんズです!』
〘それは由貴さんでも相手が厳しいね…〙
〖オレたちの学生時代のノリでボウリングにハマ
っていい歳まで続けた、って感じか…そりゃ上
手くもなるよね…〗
〘あの感じで40代、50代って続けてたら…〙
男性陣2人が考え込む、どうにも由貴が挑む相手
はハンパではないように思える…
〈由貴さんは何で急にボウリング熱が再燃したの
かな?〉
『と言うかアタシがボウリング行きたがったから
なんじゃないかな?アタシに教えてくれてるう
ちに180超えて ”調子出て来た~!!” みたい
な…』
〈なるほどね、、で、こんな調子良くても勝てな
いおっさんズってなんだ~!!みたいな感じな
のね…〉
『たぶんそんな感じじゃないかと…』
「とは言え相手は只者じゃないのね…」
〘まぁ出来る事と言ったら練習に付き合うぐらい
だよね…〙
『それ、良いんじゃないですか?』
〘え???〙
『皆で一緒にボウリングに行って、楽しく投げれ
ばそういうのも忘れるかも??』
「一緒に行った時は楽しそうにしてたもんね」
〈アタシたちが相手だと物足りなさそうだけどね
…〉
〖逆に火がついたりしてね?(笑)〗
「でもアタシたちがあんまり下手だったら由貴さ
んとしても気を使うし、逆効果かもしれないよ
?」
〈試しに行ってみる??〉
「良いね、みんなで行こうよ!みんなどう?」
〖全然構わないよ!〗
『アタシもおっけ~です♪』
〘同じく!〙
すかさずミキが ”作戦会議” でその旨を連絡する
ほどなく由貴から ”OK” のスタンプが貼り付けら
れ、細かな時間と場所が決められる
『18時30分、〇〇〇ボウル集合です!』
「『〈了解~!〉』」
〖うん、分かった〗
〘了解した…〙
かくして由貴を応援すべく、急遽決まったボウリン
グ行きだが、ここにいる全員がひっくり返るような
自体が待ち受けているのだった…
賑やかな喧噪、ゴロゴロとボールが転がる音に少し
遅れてピンが弾ける音が鳴り響く
一行は階段を上ったゲームコーナー近くのベンチで
由貴の到着を待っていた
『いや~楽しみですねぇ♪』
そう言いながらミキは嬉しそうに素振りを繰り返し
自らのフォームを確認している
〘やけに熱心だねミキちゃん?〙
『こないだ由貴さんに少し教わったんです!だから
今日は130以上、なんなら140超えたいです!』
〖女の子で140出れば立派だね!〗
「アタシ今までの全部でも出た事ないよ…」
〈アタシも~〉
<女の子で140は鬼門だよ、そこらから中級の仲間
入りのスコアだからね>
「あ、由貴さんいらっしゃい!」
〘お久しぶり由貴さん〙
〖お久しぶりです〗
<ハマちゃんも川本さんも久しぶりね>
〈なんかボウリングの話題で盛り上がっちゃって〉
『アタシも感触が新しいうちに投げたくって!』
<ミキちゃんもちょっとハマりかけかな?(笑)>
『そうかもです!』
〘いいんじゃないかな?健康にも良さそうだし〙
〖お金はかかるけどね…〗
『うあぁ…それは言いっこなしですぅ~』
皆がドッとウケたところで申し込みにカウンターへ
と向かう
用紙に各々の名前を書き込んでいると
"¹お~やっぱり由貴ちゃんだ!!パパさん停まって
たからそうじゃないかと言ってたんだよ"
背後から由貴が突然声をかけられる、声の主は…
<げっ!?シゲさん??>
"¹傷つく反応だな~こんな所で会えたってのに…"
『あ~!!皆さん!?こないだぶりです』
そう言ってミキがペコリと頭を下げる
"²お~ミキちゃん?だったかな?"
"³そうそう、ミキちゃんだ!こないだ由貴ちゃんと
遊びにきてくれた娘だね"
"⁴奇遇だねこんな所で…"
何を隠そうこの四人が通称 ”おっさんズ” 由貴が
打倒したい相手本人である…
結局おっさんズの面々は受付に頼み込み、由貴たち
の隣のレーンをゲットした…
<シゲさんたち今日はホントにどうしたのよ?いつ
もは岡崎のグランドボウルでしょ?>
シゲさんと呼ばれた男の名は柴田重臣、おっさんズ
のリーダー的存在で、いつもこの四人の中心にはこ
の男の存在がある、ミリタリー好きでアーミーパン
ツをよく履いている
"²まぁそう嫌がらずにさ、、、オレたちもたまには
別のとこで投げてみたかっただけなんだから…"
そう言うのは川村武夫、通称 ”河っち” 由貴を一
番可愛がっている男だ
"³スマン由貴ちゃん、イヤだったらオレたちなるべ
く関わらないようにするからさ…"
由貴に気を使うこの男は ”永田廉次” 通称 ”レン
ジ” 普段は物静かでクールな男だが、こと由貴に害
が及ぶ状況では烈火の如く激高する
<別にふつ~にからんでくれるなら全然構わないけ
ど、友達がいるんだからウザがらみはナシよ!>
"⁴すまない、普段の彼らは少しウザがられても仕方
がないかもな…"
そう謝る彼は平田悟、極めて普通然とした装いで、
普段の彼からはハーレーのハの字も感じられないが
ひとたびハーレーの知識を披露すれば、それはハー
レーショップの店長とも互角に語り合う程の知識量
を秘めている
〖あ、あの~由貴、、さん…〗
独特の雰囲気に会話に入るのを躊躇っていた一同を
代表して伸一が口を開いた
<あぁゴメン、面食らうよね~いきなりだと…>
”¹すまない、由貴ちゃんがいつもお世話になってい
る友人の皆さん、オレたちは由貴ちゃんの通う店
の常連でハーレー仲間だ”
柴田がそう言うと、それぞれが順に自己紹介を始め
た、最も、各々が愛車にまで言及したのだが、それ
が実像にまで及んだのは恐らくは由貴だけだろう…
〖我々は由貴さんの友達で、オレは川本伸一と言い
ます、ハーレーには乗ってはいないのですが…〗
"¹ハーレー乗りである必要なんてないさ、由貴ちゃ
んの友達ならそれでいいじゃないの"
伸一の自己紹介を機にコロモ印刷の面々も自己紹介
を済ませる
"²へ~!じゃあ川本くん以外はみんな由貴ちゃんと
こで免許とったのか"
〘僕はあと卒検が残ってますが…〙
"³大型だったな?いずれもしハーレーの購入を考え
る時は声かけてくれ、悟なんか店長と変わんない
くらい詳しいからさ"
<とりあえず投げようよ、まだ靴すら借りて来てな
いよ…>
"¹あぁ、そうだった!準備しようか"
シゲさんの声かけで皆がいそいそと準備にかかる
総勢9名に増えた一行の相手で一時貸靴ブースは人
でごった返した
伸一にエミがひそひそと話しかける…
「なんだかすごい賑やかになったね(汗)」
〖まぁ由貴さんがヒートアップしなきゃ良いけど
も…〗
〈せっかくだから楽しく投げましょう♪〉
〘そうそう、考えても始まりませんよ〙
『なるべく煽るような事は言っちゃダメですよ!』
ボールを選びながらも一同はやや気を使った態度で
由貴に接する
すぐに違和感を感じ取った由貴が
<だ~いじょうぶだって!別にそんなに対抗意識燃
やしてる訳じゃないからさ、見ればすぐ分かるよ
…あのおっさんズのヤバさが…>
少しこわばった表情の由貴がそう語るのを見て
一同は大げさな物言いだと思ったものだが…
1ゲーム目が始まってすぐにその認識が甘かった事
を全員が悟る事となる
『じゃあ行きますか~!』
明るくそう言いながらレーンに立つミキに左レー
ンのシゲさんが
"¹お先にどうぞ♪"
と紳士的に順番を譲る
『なんか緊張しちゃいますね(汗)』
と言いつつも、ここ一番での度胸では随一のミキ
は堂々と一投目を放る
そこにいる全員が固唾を飲んで見守ったボールは
ヘッドピンを見事に捉えたものの、惜しくも9本止
まり
"¹いや~やるなミキちゃん!なかなか良いフォーム
だった!"
『ホントですか!?』
そう言い喜んだミキだったが、すぐにシゲさんの一
投を見て愕然とする
シゲさんの放ったボールはミキのこれまで見た事の
ない速度でレーンを転がり、聞いたことのない衝突
音を響かせて10本のピンをなぎ倒した
"¹まぁまぁ、ってとこかな!"
そう言ってニカッとミキに笑いかけるシゲさんに
『お見事です…』
と言い返すのがやっとなミキだった…
〖なんだアレ!?とんっでもないスピードとパワ
ーだな!?〗
〘体格のいい知人でもあんなの見た事ない…〙
男子2名が絶句して眺める、無理もない、とても還
暦近い男の投球とは思えないものだった…
女子一同の目にはもっと鮮烈に映ったようで
「由貴さんあんなのどうにかなるんですか??」
〈相手が悪すぎなんじゃ?〉
といきなり出鼻を挫かれたような発言が出る中…
<何言ってんの?シゲさんなんか一番スコア引くい
ぐらいだよ…>
さらに衝撃の内容が告げられた
"¹そうだな~オレはムラっ気がデカいからな~"
"³そうそう、当たればドカンとスコアが出るんだ
がね"
そう言ってる間にミキが見事にスペアを決めた
"¹お~ミキちゃんナイスカバー!!"
そう言ったシゲさんとハイタッチを交わすミキ
自分の席にハイタッチを交わしながら戻って来るミ
キを見て
「ミキちゃんスゴイね!?アタシ緊張してきちゃっ
た」
〈ホント!それにスゴくフォームがカッコよくなっ
てたね!〉
<練習の甲斐アリってとこね>
『でももうちょっと頑張ります!今日は140出した
い』
<その意気だね!>
そう言ってる間に二番手の河っちが1投目を投げる
シゲさんとは全く違うカーブボール…
的確にヘッドピンと3番ピンの間を捉えたボールは
10本のピンを全て倒してしまった
「わ~♪お見事です!」
2番目に投げようとしていたエミが河っちとハイタ
ッチを交わして祝福する
場の雰囲気にのまれたのかエミの投球は6本→2本と
8止まりだった
3番手の伸一が投げる時の相手はレイジ、彼もまた
カーブボールの使い手で、由貴が言うにはコントロ
ールではおっさんズNO・1との事だ…
当たり前のようにストライクを取ると
"³今日のレーンコンディションは大体分かった"
と、もはやプロのような発言で周りを引かせる
"⁴みんな調子いいみたいだね、オレもあやかろうか
な"
そう言う平田の投球もカーブボール、威力も十分持
ち合わせており、当たり前のようにストライクを取
って来る
『ほえ~全員ストライクですか!?』
"¹たまたまだよたまたま…"
そう言い謙遜するシゲさんだったが、とてもじゃな
いがそれが本当だと思う者はこの場にはいなかった
<イヤんなるよね、こんなポンポンストライク出さ
れるとさ…>
そう言い真っ黒なボールを手にする由貴…
皆が見守る中、颯爽とレーンに上がると流れるよう
な投球動作で一投目を放る
皆が見とれてしまうようなキレイなフォームで放た
れたボールは、女子とは思えない鋭いスピードでヘ
ッドピンを捉える
パカーンと小気味良い音を立てると見事に10本のピ
ンがなぎ倒されストライクとなった
”¹うお~!!さすが由貴ちゃん”
"²³⁴ナイスストライク!!"
おっさんズ含む全員とハイタッチを交わすと
<負けてらんないじゃない!こっちだって>
と、ニコリと笑う
"³良いねぇ!そうこなくっちゃ"
かくして何故かいきなりおっさんズとの交流戦の火
ぶたが切って落とされたのであった
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




