メイクにバイクに!?
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
須賀親子に大いにお礼を言った後、三人は別れを告げて
そのまま化粧品店に向かった、カウンターには以前エミ
のメイクを担当した前原と磯山が談笑している姿があっ
た、エミは迷わずカウンターに駆け寄ると
「こんばんは、以前はどうも」
とペコリと頭を下げた
⁅いらっしゃいませ⁆
二人が合わせたような挨拶をよこすと、エミに気づいた
ようで
⁅あ、以前のアイメイクのお客様、ですよね??⁆
と確認を入れた
「あの時はお世話になりました、おかげですっかりメイ
クに目覚めまして(笑)」
⁅こちらこそ!以前はたくさんご購入頂き、有難うござ
いました⁆
これまた合わせたかのように二人が深々とお辞儀する
「それで私のメイクの変わり映えを見て、こちらの二人
が興味を持ちまして、アドバイスを頂けたら、と」
⁅わざわざ、うちを選んで下さったのですね?嬉しい♪⁆
前原も磯山も大いに破顔して喜んだ
⁅どのようなご相談でも、可能な限りご協力させて頂き
ます⁆
磯山は胸を叩いて”ドンと来い!”といった姿勢だ、自分
たちの店が選ばれたのが嬉しいのだろう
⁅どのような内容が知りたいですか?⁆
「私は化粧品見てくるから二人がお先にどうぞ」
エミが晴子とミキに先を譲ると、磯山がエミのメイクを
しっかりとチェックした後
⁅そうですね、お客様はかなりメイクの腕が向上したご
様子ですので、そろそろご自分のメイクの為にに必要
な道具を自身で選べる事かと思います⁆
と言うと磯山はもう一度エミの顔をしげしげと眺め
「以前に比べてかなりメイクの技術が上がってますね
今かけてらっしゃるメガネに合わせた眉の形、アイ
メイク、次はチークや口紅、といった所が気になる
頃でしょうか?」
驚いた、まさにそのチークと口紅を相談しようと思っ
ていたのだ
「すごい!お見通しなんですね?さすがプロ」
⁅一応お化粧のプロですから(苦笑)、でもチークや
口紅でしたら前原の方が向いてますね⁆
言われた前原が
⁅アイメイクや眉毛なら磯山、チークや口紅などは私
がご相談にのります⁆
〈じゃあエミちゃん悪いけどアタシたち先に相談させ
てもうらうね〉
『お先です~』
「頑張って(笑)」
二人に先を譲りエミは気になっていた化粧品を見て回
り始めた、今使っているビューラーと、マスカラコー
ムの使い勝手が少し悪く感じているので、もう少し手
になじむ物が欲しいと思っていたのだ、真剣に物を選
んでいると、いつの間にか横に店員が立っていた
〝いらっしゃいませ〟
年の程は30代中盤ぐらいだろうか?品のある顔立ちに
控えめな、それでいて地味にならないメイク、年相応
で落ち着いた仕上がりだ
(すごいキレイな方…)
エミがそう思って眺めていると、その店員はエミの顔
を一通り眺めた後
〝あら、あなた…??〟
と口にした後
〝失礼しました、なんでもありません〟
と謝罪した後、口を開いた
〝ベースメイクからアイメイク、眉毛までほぼ完ぺき
ですね、チークや口紅、グロスか何かをお探しです
か?〟
と尋ねてきた、明らかなベテラン店員にまで褒められ
て嬉しかったが
「ビューラーとマスカラコームの使い心地がイマイチ
なので手になじむ物を探してました」
「あと、、おっしゃる通りチークや口紅も見たいので
すが相談した後でどんな物が良いのか決めたいと思
ってて」
〝そうですね、ビューラーの使い心地ではどんな違和
感がありますか?〟
「最後の仕上げの時にグイッと手首を捻らないと仕上
がらない気がして、何か使い辛いんです」
〝なるほど、よくある事ですがそれはわざわざビュー
ラーを買い替えなくても使い方次第ですね、ちょっ
とこちらへ〟
二人がいる鏡台とは別の角の鏡台へ案内されたエミは
そこで鏡台に向かってビューラーの手ほどきを受けた
どうやら、最後にまつ毛をハネ上げたくて皆、手首を
返してグイッとやってしまうらしいのだが、それでは
まつ毛に負担がかかってしまい、最悪は抜けてしまう
らしい、店員さん曰く、ビューラーを動かす際には、
手首だけで持ち上げようとせず、肘から動かしてビュ
ーラーを持ち上げると、力が入りすぎずまつ毛にかか
る負担が最小限で済む、との事
〝むやみに道具を買い替えすぎず、今ある物でどうし
ても駄目だったらまたご相談下さい〟
店側としては新しく購入した方が得であろうに、この
店員さんは真摯にエミの悩みに向き合ってくれる
「ありがとうございます、今日家で試してみます」
〝マスカラコームでしたね、今はどこの何を使ってま
すか?〟
「〇生堂の、あ、そこにある、あ、これですこれ」
エミは自分の使っているマスカラコームが売られてい
るのを指さして店員に告げた
すると店員は、エミのまつ毛を眺めた後
〝失礼ですが地まつ毛はどんな感じですか?毛が細い
多い、少ない、長い、短い、といった情報ですが?〟
「あ、スッピンの画像があります…」
と少し照れはあったが、美容部員に対してスッピンを
恥ずかしがるのもバカらしかった為、スマホで画像を
見てもらった、すると
〝あぁ、全然盛ってないですね、それでこれならやた
ら盛らない方がむしろ正解、今のメイクは良いです
ね〟
また褒められた、エミは自身のメイク技術が向上して
いる事を実感してきた
〝お客様の地まつ毛でしたら(金属製)のコームが良
いかと思います、地まつ毛が細めで数が多いので〟
と金属製のコームを勧められた
〝もしダマを取るのに不便するなら、2WAYも購入さ
れておくと仕上げがやりやすいです〟
730円と520円、先ほどからビューラーの購入を止め
たり、プチプラの商品を進めてきたりと、利益など度
外視でエミの疑問に答えてくれている
「ありがとうございます、すごく参考になります」
エミが礼を言うとニッコリと柔らかく微笑み
〝メイクを頑張る女性の為によりそうのが仕事ですから〟
と上品に告げた、エミが男性だったらとろけてしまい
そうな笑顔だった
その後エミはチークや口紅について相談したが、今現
在使っている物で一度取り組んでみて、どうしても満
足いく仕上がりにならなければまた相談に来た方が良
い、と使い方のレクチャーのみにとどまった
むやみに売り物を勧めてこない所がエミの中で好感度
をますます上げていた
「もうすぐ私、自動車学校に通うんです、だから免許
写真までに自分のメイクの完成形を作り上げたいん
です」
〝アラ、とっても良いですね、目標がはっきりしてる
と成果が出やすいものです、もしまた必要ならいつ
でもご相談にお越しください〟
そう言いニッコリと笑う店員にペコリとお辞儀して
「ありがとうございました」
と礼を言い振り返ると、晴子もミキもメイクを受け
ている真っ最中だった
エミが近づくとミキのメイクがちょうど終わったと
ころらしく、ミキの完成が上がっていた
『すご~いこんなに変わるんだぁ♪』
ミキはアイメイクを頼んだらしく目元がパチパチに
仕上がっていた、だが派手なメイクも似合ってしま
う、ミキは元々エキゾチックな顔立ちだが、このメ
イクをしているとまるでハーフの様な印象を受ける
「ミキちゃんに合うねぇ、ビックリ!!」
〈すごい派手めなのに全然違和感がないの、スゴイ
ね!!〉
晴子も感心している、晴子の方は眉毛とチークであ
ろうか?まゆ毛に興味がある、と言っていたからそ
の相談をしたのだろう、さすがはプロ、メガネにバ
ッチリ合わせたメイクがすぐに出来てしまうあたり
エミにはまだ真似出来ない
『やっぱまゆ毛って大事なんですね~晴子さんもす
ごい違って見えます』
⁅メガネをかけてらっしゃる方は眉毛って大事なん
ですよ、でも案外おろそかにしてる方が多くて⁆
前原の言葉に三人は妙に納得するのであった
結局三人とも買い物するつもりはなかったのだが
1時間以上長居した挙句に晴子が8000円、ミキが1
万円、エミが2000円ほど買い物してしまった
⁅店長が見て下さったようで良かったです⁆
磯山の言葉にエミは驚いた
(店長!?あの若さで…)
「店長さんお若いんですね!」
エミは率直な意見を言ったつもりだったが、磯山
が顔を近づけてエミの耳元で
⁅実はああ見えて店長、今年で50歳になります
ナイショですけどね…⁆
(!!!!!!!!!)
エミは驚いて声が出せなかった、てっきり30代中
盤ぐらい、下手をすれば前半かと思っていたのだ
⁅ありがとうございました~⁆
前原と磯山がまたも合わせたかのような挨拶でお
辞儀する中、三人は店を後にした
『あぁ~楽しかったぁ~♪』
ミキが心の底から思っていそうに声を上げた
晴子も
〈そうだね、おかげでアタシもメイクの方向性が
分かってきたかな!〉
手応えを感じている様子だ
「メイクもバイクも、そしてスイーツも、とって
も楽しいね」
最近充実している自身の生活を振り返って、心か
らそう言える
晴子もミキも無言で頷いた、今この時、最高の仲
間と、今度は中型免許取得に挑む!まさに青春ど
真ん中!エミの生活はますます色を濃くしてゆく
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




