予期せぬ再会②そしてボウリング…
日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです
仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを
肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが
なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます
温かい目で読んでいただければ幸いです。
«わぁ~♪何コレ何コレ!?自分じゃないみたい»
鏡に映る自身の顔を、右に左にとしきりに角度を
変えてマジマジと見入る洋子…
"スッゴいね!!こんなに変わる??"
〈何言ってんの?次はおリョウの番だよ?(笑)〉
"え?え?アタシは良いよ…"
❝アラどうして?良い機会だと思うけど??❞
"アタシ造園の仕事してるんです、男だらけの職場
だから、普段でも結構チヤホヤされてて、、そ
の煩わしいんです…"
❝それは時と場合を選ばないと面倒ね~、キレイな
顔立ちしてるから余計にね…❞
涼子も、佳澄のこの言葉には満更でもなかったよ
うで ”じゃあ、ちょっとだけ…” などと言い出し
た隙を見て晴子が
〈磯山さんお願いします!!〉
と背中を押して姿見まで連れて行ってしまった…
"え?え?ちょっと、ハルちゃん!?"
などと言っていた涼子だったが、いざメイクが終
わってみれば、洋子と同様に鏡をウットリと見つ
める少女のような表情へと変貌を遂げていた
普段気っ風が良く男勝りな涼子でも、ここらあた
りはやはり女子なのであった…
"«〈ありがとうございました~!!〉»"
❝また何かあったら気楽に来てね♪❞
«ハ~イ♪»
"いいな~アタシはしばらく来れないや…"
〈佳澄さん今日はありがとうございました!!〉
"目から鱗が落ちました、、自分がどれだけ適当
にメイクしてきてたか思い知りました…"
«頑張る余地がすっごいある事が体感出来ました
これからはもっともっとメイクに身を入れます»
❝参考までに先輩はこんな感じも出来るようにな
ってるよ(笑)❞
そう言って佳澄がスマホを操作して2人に見せつ
ける…
そこにはバシッとメイクをキメキメの晴子が、
今とは雰囲気の違うスリット入りのマーメイド
スカートをビシッと着こなした例の画像が表示
されていた、、、
〈あ、、わぁ!!かっ、佳澄さんっ!?〉
慌てて画面を隠そうとする晴子だったが、洋子
と涼子の食いつきは凄まじく、佳澄からスマホ
を受け取ると食い入るように2人して見入って
いる
"スゴイ!ハルちゃんめちゃキレイ…"
«ホントだ~!コレ自分でやったの?»
❝ハルちゃんが自分で頑張ってメイクしてこう
なったのよ❞
当の晴子は真っ赤な顔でプルプルしていた…
«あ、アタシもこんなメイクが出来るようにな
りますか?»
"アタシも!会社の飲み会とかで社長の鼻あか
してやりたい!"
鼻息も荒く詰め寄る2人に、佳澄は真剣な表情
で
❝出来る!必ずね!!努力すれば❞
"頑張ります!アタシもハルちゃんみたいに!"
«アタシも頑張ろうっと!»
ニッコリと笑う佳澄の笑顔があまりにも屈託が
なく、晴子もつい自身の恥ずかしさなど忘れて
しまうのだった…
夕飯も一緒に、と言いたいところだったのだが
涼子は神戸に戻らなければならない、との事で
名残惜しいがそろそろ解散せねばならなかった
〈また今度戻って来る時は連絡してね!〉
«絶対だよ!また3人で会おうね!!»
"そうだね、、ハルちゃんのその後も聞かない
とだしね…"
〈フフッ、まぁ何か動きがあったらまた報告す
るよ…〉
«また今度だね~、アタシもメイク頑張って、
今度はもっともっと可愛くなって現れるよ»
〈その意気だね!でもそれが再現出来るまで結
構かかるよ、きっと…〉
«でも頑張るんだ~♪やれば出来るって分かっ
ちゃったから…»
"今日はありがとう、すごく有意義な1日だった
よ"
〈こちらこそ、何か刺激もらった感じ…〉
«それはアタシだよ~、今日会えて本当に良か
った…»
"ハルちゃんさ、、、、"
〈ん???〉
"今度会う時は全開のメイクしてきてよ!こう
さっきのみたいなさ…"
«アタシも今度はメッチャ頑張ってメイクして
くる!だからおリョウもさ…»
"分かった!アタシもバッシバシにメイク決め
てくる!"
〈じゃあそうする…〉
見つめ合ってお互いに頷きあう、久しぶりに
会ってもすぐに打ち解け分かり合う、旧友とは
良いものだ…
〈じゃあまたね!〉
"またね~~~!!"
«また~~~!!»
大げさに手を振り別れる2人と晴子、涼子は洋
子を送った後、神戸まで高速で帰るのだろう…
日曜の夕方、休日が終わり、またいつもの月曜
日がやってくる
でも寂しくはない、大事な仲間がいる職場で、
キチンと責任をもって自身の仕事をこなす
休日には友人と、共に趣味を楽しみ
充実した日々を過ごし
そして…
心には想い人もいる………
駐輪場までの道のりを歩くだけの時間、旧友と
の時間の余韻に浸り、最近の自身を振り返る…
メイクを楽しみ、バイクに目覚めて、お弁当作
りに励む、世の中何がキッカケで日々が好転す
るかは分からない、ただ!一つだけ言えるのは
自分で行動しない者には機会は訪れない
と、言う事だ、洋子の後ろ向きなあの姿勢、エ
ミのように良い方向に変わってっくれれば良い
のだが…
ニコニコと微笑みを浮かべつつ、ヘルメットを
被りキックする
トルルルルルル…
いつもと変わらず軽快な音で調子良くアイドリ
ングする愛車にますます表情も緩む
(ずっと一緒だよ♪たとえ何台バイクを買った
って、君は特別♡)
軽くアクセルを空ぶかしすると、まるでAPEが
話しかけてくれたかのような錯覚に陥る
そのまま駐輪場からAPEを出すと、お母さんに
手を引かれた4~5歳ほどの女の子と目が合った
晴子が軽く手を振ると、満面の笑みで嬉しそう
にブンブン手を振り返してくる
発進間際にもう一度晴子が手を振ってやると、
目を細めた女の子は
[バイバ~イお姉ちゃん!!]
と大きな声で晴子を送り出す
〈バイバ~イ!〉
晴子もエンジン音に負けない声で返事を返した
隣でペコリと頭を下げる母親もニッコリ微笑ん
でいる…
(あの子も大きくなったらバイクに乗ったりす
るのだろうか?)
世の中何がキッカケで物事が起こるか分からな
い、案外この出来事を覚えていた事がキッカケ
で、、何て事もあるかもしれない…
コンビニスイーツでも買って帰ろうっと…
何だか今日は気分が良いのだ!
『あ~~~もうっ!なんで1本残るの!?』
<惜しかったね~、良いとこ行ってたのに…>
2人でボーリングを楽しむ由貴とミキ…
ゲームはすでに5ゲーム目を数えていた、、
ミキのスコアは115、118、120、117ときて、
5ゲーム目でついに大台の132と大きく成果を見
せていた
だが!!
<やったね!130超えたじゃない>
由貴のこの言葉に素直に喜べないミキがいた、
と言うのも…
由貴のスコアは154、161、164、170ときて、5
ゲーム目ではついに183というスコア、尻上が
りも甚だしい出来だった
『そもそも挑む相手を間違ってたみたいです…』
すっかり意気消沈してしまったミキ…
だが、スコアとして見れば終始110以上、最高
132ともなれば女子では十分に上手の部類と言え
る、ただ単に相手が悪かったのだ…
由貴のスコアはそこらの一般男性でも腕自慢の
部類に入るほど高い物だ、由貴としても183など
というスコアは、自己ベストほどではないにせよ
、それに程近いスコアだった
<ゴメン、、今日はちょっと調子が良かったみた
いでね…普段は150~160ぐらいなんだけどね…>
『良いですね~150!出してみたいなぁ…』
<アタシも最初は120前後をうろちょろしてたよ…
ちゃんと考えて練習してからは安定するように
なったけど、こないだは久々だったからスコア
低かったけどね…>
『やっぱり結構通わないとですか?』
<アタシはおっさんズに付き合って投げてたから
ね!何100ゲーム投げたか覚えてないぐらい
(笑)>
『そりゃ上手くもなりますね(笑)』
<そうそう!腕は真っすぐ振り出せ、手の平は正
面に向けろ、指抜けの良いボールを選べ、無理
のない重さのボールでコントロール重視、スパ
ットをよく見ろ!ってね…>
『あ~最初にアタシに言ってたやつだ!?』
<そうだよ、全部受け売りだけど実感があるもの
ばかりだから…>
『おぢさまたちは由貴さんより上手いの?』
<まるで勝てないね!見てると今日のアタシみた
いに180なんてザラだよ…>
『何処かのプロですか!?』
<年季だよ年季!!(怒)いつか1ゲームぐらい勝
ってやりたいけど、180出だしたから勝ち目があ
るかもしんない!>
『ちなみに由貴さんのベストスコアは?』
<193!!>
『スゴいっ!?193って…』
<その時いたおっさんズは全員200以上だったよ、
、、>
『うわぁ……今日のアタシみたいな感じ(笑)』
<でも後ろから見てても腕はキレイに振れてたし、
リリースも良かった、まぐれじゃないと思うよ
130行ったのは!>
『ホントですか!?ハマってみようかな~ボウリ
ング!』
<趣味としちゃ全然アリだと思うよ、なんてった
って楽しいし>
『また来ましょうよボウリング♪』
<今度はみんなで来ようか!>
『そうですね!その方が楽しそう!合宿ですよ合
宿!!』
<強化合宿か!?打倒おっさんズ!でやってみよ
うかな?>
『お供しますよ!みんなで!!』
何気ないミキとの会話だった、が、後にこれがと
んでもない展開を見せる事を2人は想像もしてい
なかった…
『ところで、、、』
<ん?なぁに?>
『長岡さんはボウリングどうなんですか?』
この質問には由貴もほとほと困ってしまった…
と言うのも、本当にさっぱり知らないのだ!
何かの話の流れで歯科医の跡取り息子だと言う事
は聞いてはいた、イケ好かない金持ちのボンボン
…由貴の中ではそんな評価がほど近いかもしれな
い、だが…
由貴がパパさんを購入してからというもの、店で
顔を合わせれば由貴への心配を口にし、何か困っ
た事があれば相談してくれ、とさえ言っていた…
由貴のハーレー購入が長岡の言葉への意地のみで
行われた無鉄砲だと思っての事だろう
最初はそう思っていた…
確かに半分はそうだ、お前にはハーレーは無理だ
、と断ぜられ、頭に血が上ったのも事実
だが決してそれだけではない!
由貴には元々ハーレーを購入する決意があった!
その為の貯金をはたいてパパさんを購入したのだ
今ではとても気に入っている
悔いなど無い、むしろキッカケをくれた事に感謝
すらしているぐらいだ
『、、、、、由貴さん??アタシ何かマズい事聞
きました、か、ね?』
ミキにそう言われるまで頭の中をずっと整理して
はみたが…
<ゴメン……ず~っと思い出してはみたけど、、
アタシあの人の事ぜんっぜん何も知らなかった
みたいだわ(笑)>
由貴のこの言葉にミキも拍子抜けしてしまったよ
うだ
『可哀そうに~長岡さん…今度のデートではせめ
て優しくして上げて下さいよ』
<それはアイツの態度とエスコート次第でしょ>
『きっとバッチシ作戦練って来ますよ!』
<かもね~(笑)でもアタシの人生設計の一部を
大きく変えたんだから、簡単には許してやんな
い!>
『まぁまぁ、、ほどほどに…』
(長岡さん苦労しそ~~(汗))
ミキにとってはハーレーショップで出会った人当
たりの良い男性といった体の由貴の知り合い
だが、由貴への好意は明らかで、今日一目あった
ミキですらその事は疑いようもない…
”出来れば上手くいって欲しい…”
何故かミキはそう願っていた、普段から何処かサ
バサバしていて頼れるお姉さん然とした由貴だが
時折見せる寂しげな表情…
何とはなしに長岡の存在が気にかかっている
そんな状態がそうさせるのかもしれない…
最も、長岡の素性はサッパリ分からない、それは
なんと由貴も同じだと言うのだ…
気にはなるが、後の事は当人同士で進める案件と
なる、気長に由貴の報告を待つとしよう…
ミキの苦手な結果報告の局面がまた一つ
身近な所で起ころうとしていた…。
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。




