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それぞれの休日

日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです

仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを

肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが

なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます

温かい目で読んでいただければ幸いです。

 結局食事の後は、少し喋って浜崎とは別れた

 何がどう、と言う訳でもないのだが、逆にその後ず

 っと行動を共にする理由もまた無いからだ…

 駐車場で浜崎に手を振って別れる際は少し寂しく、

 なんとはなしに物悲しい気分になりつつも、後髪引

 かれるその気持ちすらが、なんだか心地よく思えて

 くる…

 それは浜崎にとっても同じ事で、走り去る浜崎の車

 をAPEに跨り、いつまでも眺めている晴子の姿をバ

 ックミラーで見つめていたら

 あやうく縁石に乗り上げそうになった…

 お互いがお互いに、相手に想いを寄せ、互いがそれ

 と気づかずに日々を過ごしてゆく

 その想いは、常に一定の量ではなく、往々にして日

 々その量を増してゆく 

 それぞれの持ち合わせた器から想いがあふれた時が

 相手に想いを告げる時なのかもしれない

 2人にとってもそんな時が、徐々に近づいているのだ

 った…

 

 ところ変わってこちらは岐阜県恵那市、駐車場には

 明らかな新車の雰囲気を醸し出すセローと、仲良く

 並んで停められたTW…

 こちらも年数を感じさせない程に手入れの行き届い

 た輝きを放っていた

 「やっと着いたね~♪感動だぁ!!」

 〖ツーリングには最適の距離だね!オレもここのは

  昔から大好きだけど、直に来たのは初めてだ〗

 「ここはね!イートインのカフェにも栗のスイーツ

  があってね!何を食べるか迷っちゃうの、、メニ

  ューはさんざん見て来たけどまだ決められなくっ

  て…」

 エミは明らかにテンションが上がりまくった様子で

 伸一からして見ても初めて見る程の入れ込みようだ

 〖楽しみにしてたんだね、とりあえず中入ろうか〗

 「うん!!行こ行こ」

 伸一の言葉に、弾むような足取りで階段を上り出す

 エミの後ろを、いそいそと伸一がついてゆく

 そう!ここは栗里宿 恵那川上屋恵那峡店、多くの

 来店者で賑わう店舗内、入り口をくぐると、空調の

 効いた店内とは言え、多くの客たちが放つ、ある種

 異様なまでの熱気が肌で感じられた

 エミは一目散に売り場へ直行するのかと思いきや、

 意外な事に冷静で

 「伸ちゃん!まずは一休みって事で茶房の方へ行こ

  うか」

 〖茶房?って〗

 「カフェの事だよ、併設の ”里の菓茶房” って所

  が有名でね、アタシネットで予約してたんだけど

  、実はもっと余裕があるかと思ったけどもう5分

  ぐらいしかないのよね…」

 〖意外と時間かかったからね…〗

 「でも遅れなくって良かった、ここのモンブラン

  だけは絶対に食べておきたかったの!!」

 〖ここって栗きんとん以外でも有名なの?〗

 「うん!栗の和菓子は全般的に、洋菓子も栗を中心

  にそれ以外の焼き菓子なんかも評判が高いよ!」

 〖ハハハ、じゃあエミちゃんにとっては天国だね〗

 「そうなの!バイクに乗って須賀さんへのお礼を買

  うなら絶対にここだ!って決めてた」 

 〖幸太おじちゃんと佳澄おばちゃんからはここのお

  土産貰った事あるから絶対に好きなハズだよ〗

 「あ~やっぱり!来るよね~バイクなら…」

 〖残念がる事はないさ、他にもそこらじゅう行って

  る人たちなんだから、さ…〗

 「うん!アタシが自分で運転してお土産を買って行

  く事に異議があるから」

 〖そうそう!絶対大喜びするよ〗

 終始ゴキゲンなエミの表情を見て、伸一は心の底か

 ら須賀に感謝していた

 エミをメイクに目覚めさせてくれた事、バイクを勧

 めてくれた事、そして、巡り巡って自分と結び付け

 てくれた事…

 いつか自分で思いを告げようとは思っていた

 だが、エミがメイクに目覚め、日々キレイになって

 ゆく様を見て、彼氏が出来たのではないかと心配し

 た、何度か食事を共にし、会話を重ねて互いの気持

 ちを確かめ合った

 エミが無事免許を取り、キチンと告白を終えて、晴

 れて恋人同士としてここにツーリングに来れている 

 (オレもお土産奮発しようか!)

 密かな決意を固め順番を待っていると、呼び出しが

 かかった…

 「行こうか、メニューとじっくりにらめっこしなき

  ゃ…」

 鼻息も荒く店内へと乗り込むエミ、対照的にやや雰

 囲気に飲まれながらも、エミと連れ立って歩く伸一

 は至って冷静で、これならば無茶な買い物や、買い

 食いに走る事もないだろう…

 席に通され着座すると、すかさず上機嫌でメニュー

 とにらめっこを始めるエミ…

 伸一もメニューを手に取り開いてみるのだが、そこ

 はやはり伝統のあるお店、なかなかに相場が高い!

 終始ゴキゲンなエミに水を差すのも悪いとは思った

 のだが、一言だけ注意する事にした 

 〖エミちゃん、、その、結構いいお値段するからさ

  、あまり無茶しないように、、ね…〗

 そう言う伸一だったのだが、、、

 エミは最高の笑顔でニッコリと笑うと

 「大丈夫!!免許取るって決めた月から1万円ずつ

  貯めてきて予算は3万円!!資金は潤沢だよ♪」

 伸一が思っていたよりエミはこの店にこだわりが深

 かったようだ、まさか積み立てまでしていようとは

 、伸一は自身の真剣さが足りないような気がしてき

 てなんだか申し訳ない気持ちになった

 〖参った!ゴメンね余計な事言っちゃって…なんだ

  かなんとなく、で付いて来た自分が恥ずかしいや

  …〗

 そう言う伸一にエミはメニューをパタリとテーブル

 に伏せると、真剣な表情で

 「うぅん!一緒に来てくれて嬉しい♪一番好きなお

  店に、まさか伸ちゃんと2人で来られるなんて、

  免許取る前は思ってもいなかったから…」

 思ってもいなかった真剣な返しに、思わず頬が赤ら

 む伸一…

 テレ隠しにメニューを指差すと

 〖どれがおススメなの?〗

 と、話をはぐらかす、だがこれがエミに火を点けた

 ようで

 「オススメはね~、何と言っても ”栗一筋” 土産

  物の方にもモンブランはあるんだけどね、クリー

  ムたっぷりのこのモンブランはここでしか味わえ

  ないの!」

 「他にもね!✕✕✕✕✕✕✕✕、○○○○○○〇〇でね

  、これなんか△△△△△△△△△なんだよ!!」

 熱心に説明するエミ、メニュー片手に、エミの説明

 が入る度、メニューに目を落としてはしきりに頷く

 伸一、傍から見ると、まるで白熱したプレゼンを受

 けるクライアントのように見えた事だろう…

 ハッと我に返ると

 「ご、ゴメン、、アタシ暑苦しかったよね?」

 〖い~や全然♪すっごく楽しそうだったよ〗

 「熱くなりすぎだよね~、早く決めようか…」

 〖いいじゃない一番好きな和菓子屋さんに来たんだ

  から、焦らずゆっくり楽しもうよ〗 

 「そうだね、でもあんまり長居しすぎるとお店にも

  悪いからね…」

 〖オレはもう決まったけどね…〗

 伸一がそう言うと、エミは前のめりで

 「何に決めたの!?」

 と真剣な表情で聞いて来る

 〖栗一筋味比べセット!〗

 「アタシも!!」

 〖やっぱそうなるよね~(笑)〗

 「うん!!」

 無事メニューも決まり、エミから和菓子の作法など

 の話を聞いていると、10分ほどで注文がテーブルへ

 と届けられた

 「うわぁ~♪」

 エミが歓声を上げるのも無理はない…

 〖これはビジュアルが強いね!!〗

 圧倒的存在感!まるでザルそば!?と言う表現が良

 いのか悪いのか、楕円形の深皿に盛られたモンブラ

 ンクリームと、中心に盛られた栗の甘露煮、味比べ

 セットの方はと言うと、これまた存在感の大きい4

 種盛り、人気土産のくり壱、栗羊羹・栗粉餅・栗き

 んとんのセットに、なんとソフトクリームまで付い

 て来た、そしてドリンク…

 半ば食事と言っても過言ではない量の盛り合わせだ

 エミの腹具合は大丈夫なのだろうか?と心配しては

 みたのだが

 チラリと目をやると、目をキラキラさせながら夢中

 でパシャパシャと写メを撮りまくっている

 一向に量に怯んだ様子もない事から、恐らくは全く

 問題がないのだろう…

 要らぬ心配をするよりは、今現在のこのメニューを

 真剣に楽しむ事に全力を注ぐ事としよう!

 伸一も一通り写メを撮ると、スプーンを片手に、い

 ざメニューと向き合う!

 何から手をつけるか?と言ってもまずは ”栗一筋”

 だろう…

 今現在のテーブル上の主役中の主役!盛り合わせの

 皿も華やかと言えるが、それらを抑えてなお圧倒的

 な存在感!!

 「いっただきま~す!」

 〖いただきます!〗

 エミも伸一もほぼ同時にスプーンを差し込むと、山

 盛りに掬い上げ一口目を口へと運ぶ

 パクリと頬張ると、いい意味で予想を裏切られる

 〖思ってたより全然甘くない!っていうか栗!すっ

  ごい栗!〗

 「そうそう、ここのは栗自体の風味が味わえるよう

  に甘味は抑え気味なんだよ」

 〖このパリパリしたのは何??〗

 「焼きメレンゲ、らしいよ、あとはカスタードと生

  クリームも入ってるから甘味はそっちで」

 〖ヤッバいなコレ、、すごい美味い♪〗

 実際アッと言う間に半分食べてしまった…

 かなり大きめのサイズだが、これだったら3個4個と

 ペロリと食べてしまいそうだ…

 すぐ無くなってしまいそうな危機感から、伸一は盛

 り合わせに手を伸ばす、と…

 〖お、コレも美味いな!?変わった食感…〗

 「それも人気の ”くり壱” だね、蒸し羊羹だよ」

 〖栗きんとんって水分欲しくなるけど、これは蒸し

  てるからかすごいしっとりしてて食べやすいね〗

 〖こっちは何?〗

 「それは栗粉餅、あんまり作ってる所ないから貴重

  だよ」

 〖栗きんとんって使いであるんだなぁ…〗

 夢中で食べ進めていると、エミが微笑みながら見つ

 めている視線とカチ合う

 〖どうしたの?〗

 「うぅん、アタシの趣味に付き合わせちゃって悪い

  なぁと思ってたけど、案外楽しそうで良かった、

  って…」

 〖そりゃ楽しいさ!エミちゃんとお出かけだからね〗

 「フフッありがと♪」

 こんな会話もすっかりテレも無く出来るようになっ

 た、エミにはもう分かっていた、伸一はこういった

 話題に一切怯まないのだ

 だからきっと、エミに対して、思う所があれば、ち

 ゃんと腹を割って話してくれるだろう…

 (ずっとこの人と居たいな~)

 漠然とそんな思いが、エミの心に去来する…。








 























今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります

多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が

ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい

メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は

「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。

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